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第四話・鴨川逆流・未来へ宛てた遺書(六)
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夜はすっかり更けていたが、祇園の花街には、まだところどころ灯りが残っていた。
昼間は人で賑わう花見小路も、今はかなり静かだ。提灯の明かりは半分以上落とされ、残りは道標のように間を置いて灯っている。石畳は夜露を吸ってほのかな光を返し、ときどき酒気を帯びた客の足取りがふらふらと横切り、どこかの茶屋の屏風にそっと呑み込まれていった。
西木屋の提灯は、まだ入口にぶら下がっていた。夜風に揺れるたび、その文字が小さく震える。
「いらっしゃいませ、深夜限定。」
綾女は鍵を取り出して戸を開け、振り返って彼を見る。
「今日はお客さんなし。道士だけ特別営業。」
室内には、暖房の温もりが残っていた。木の匂いと酒と出汁の香りが混ざり合って、外気の冷えを一気に押し返してくる。
ホールのテーブルと椅子は、ほとんど片づけられている。奥のほうに一つだけ低い卓が残され、その上に小さな炭火のコンロが乗っていた。
「そこに座って。水、垂らさないでよ。」
綾女は言いながら彼を席へ連れていき、濡れたコートをハンガーに掛けさせる。それから戸棚をあさって、乾いたタオルをひとつ放ってよこした。
「今日の夜食はメニューに載ってないやつ。」
そう言って袖をたくし上げ、カウンター奥の小さなキッチンへ消えていく。
「あんたが川から引き上げてきた“死にたがり”の数を考えたら、そろそろ“生きたい理由”のひとつくらいは出してあげないと。」
キッチンの灯りがぱっとつく。
まな板を叩くリズムと、鍋の中で出汁がぐつぐつと沸く音が、半開きの戸の隙間から聞こえてくる。
やがて、柚子の皮の爽やかな香りと、鶏の脂の甘い匂いが、空気に混じり始めた。
劉立澄は髪を拭き、炭火のそばに腰を下ろして、しばらく手を火にかざした。
卓の上には、小さな徳利が一本置かれている。中の酒はまだほんのりと温かく、瓶の表面に小さな水滴がついていた。綾女が出かける前に慌てて置いたまま、飲まずに出て行ったのだろう。
「今日は何?」
彼は顎でキッチンのほうを指す。
「鶏と柚子胡椒の小鍋。それと、ふろふき大根。」
綾女の声が中から返ってくる。
「河原で冷やした人間には、胃のあたりからじんわり光るものが必要でしょ。」
ほどなくして、小さな鉄鍋が卓の上に置かれた。
昆布と鶏ガラでじっくり取った出汁が、鍋の底でふつふつと泡をたてている。表面には薄く刻んだ葱と、糸のように細く削った柚子の皮が浮かび、鶏もも肉は一口大に切られて豆腐や白菜、椎茸と一緒に煮え、照りを帯びていた。
隣には、透き通るようなふろふき大根の皿。
厚めに切った大根は、箸を入れればすっと通る柔らかさまで煮含められ、薄い色の出汁がとろりとまとわりついている。上には少しのそぼろと葱が乗っているだけだが、「見ただけで慰めてくれそうな料理」という言葉がそのまま形になったような一皿だった。
綾女は彼の向かいに座り、鍋を炭火の上に戻して、ぐつぐつと音を立て続けさせる。
「まず食べる。」
そう言って、ふろふき大根を彼の小鉢によそった。
「今日の“哲学トーク”は、舌がやけどしない程度に落ち着いてから。」
大根は口に入れた途端にほどけ、出汁の旨味と、柚子のかすかな香りが一気に広がる。鶏肉には出汁がしっかり染み込み、噛むと筋肉の弾力が心地よい。
「さっきのカフェのデザートよりは、説得力がある。」
劉立澄は、短く評価を口にした。
「甘いものは、“飛びたがってる人”のため。」
綾女は自分の盃に少し酒を注ぎ、彼の盃にもなみなみと注ぐ。
「こっちは、“引き上げてきた人”用のドリンク。」
河の水で冷え切った彼の指先を見つめていた彼女は、ふと尋ねた。
「毎回、ああやって手を出すたび、龍脈のほうを気にしてる?」
「“見る”って感じじゃない。」
彼は盃の底を軽く卓に当てる。
「向こうが、こっちを見てる。」
「まるで、仕事報告の端末みたいな言い方。」
「実際そんなもんだよ。」
彼はあっさり言って、鶏肉をひと切れ口に運ぶ。
「何本書いたか、どこかで数えられてる。」
綾女はしばらくじっと彼の顔を見ていたが、やがてふっと笑い出した。
「だったら、ちゃんと経費精算しなきゃ。」
彼女は盃を掲げる。
「その仕事量に見合う給料、京都にはないからね。うちの鍋で手を打ってもらうしかない。」
「だったら、相当ツケが溜まる。」
「ツケでいいの。」
彼女は盃を彼のほうへ小さく突き出す。
「そしたら、ずっと『ご飯行こ』って言える理由になるでしょ。」
二人のあいだに、短い沈黙が生まれる。炭火がぱちぱちと音を立て、小鍋の湯気がとろりと立ち上る。
窓の外では、祇園の夜が一段と深くなる。どこかの茶屋から三味線の音がかすかに漏れ、それもすぐに戸板の音にかき消された。
「綾女。」
劉立澄が、不意に口を開く。
「なに。」
「これから、途中まで書かれた手紙を見つけたら――」
盃を卓に戻しながら言う。
「まず、相手に何か食べさせてあげて。」
綾女は一瞬目を丸くし、それから笑みを浮かべた。
「先生は、“魂の救済”を小さな居酒屋にアウトソーシングするつもり?」
「救うかどうかは、そいつ次第。」
彼は鍋の中のスープを見つめながら言う。
「あんたは、『生きてると、口の中にちゃんと味がする』って、それだけ教えてやればいい。」
夜はさらに深まり、祇園の灯りがひとつ、またひとつと消えていく。
東山の家は、夜の中では昼間とは少し違って見えた。
山の斜面の下から見上げると、住宅地の灯りは不規則な星の群れのように点々と散らばっている。カーテンをきっちり閉めた家もあれば、テレビの光がちらついている窓、台所の温かな灯りだけが浮かんでいる家もある。
劉立澄の家は、一番大きな建物でもなければ、ひと目でそれとわかるような造りでもない。
ただ、山の中腹に落ち着いたように建っている。屋根の線はまっすぐで、塀は高すぎず、その上に小さな石の獅子が伏せている。口には、長年撫でられて光沢を帯びた石の玉を咥えていた。
外から覗き込むと、居間の一部が見える。低い木のテーブルの上に何冊か本が積まれ、スタンドライトの光がソファの一角をやわらかく照らしている。まるで、誰かが腰を下ろしてぼんやりするためだけに用意された場所のように。
キッチンでは、吊り戸棚の下の小さなライトがまだ点いていた。シンクの脇には陶器の急須がひとつ伏せて置かれ、その口の下には、洗いざらしで白くなった布が敷かれている。
庭は広くないが、隅々まで手入れが行き届いていた。
背の高くない楓が、塀のそばに立っている。枝はきれいに剪定され、根元には石灯籠がひとつ。灯りこそ入っていないが、その丸い「灯口」の部分だけが、ちょうど一片の月光を受け止めていた。
戸を開けて中に入ると、室内の空気には、まだかすかに茶と木の匂いが残っていた。
靴を脱ぎ、半乾きになったコートを掛け、西木屋でまとった酒の匂いを一緒に玄関に置いていく。
書斎には、余計な飾りはない。壁際には本棚が一つ、そこに中日さまざまな言葉で書かれた本が雑多に並び、見慣れない文字の古い冊子も何冊か紛れ込んでいた。本棚の隅には、小さなラジオが一台。灯りに照らされて、角の擦り切れが浮かび上がっている。
机は窓に向かって置かれ、その上には二つのものだけがきちんと並んでいた。ひとつは古い硯。もうひとつは、ごく普通のノート。
彼は椅子に腰を下ろし、中国緑茶をひとつ淹れた。ガラスのポットの中で茶葉が少しずつ開き、水は透明から淡い翡翠色へと変わっていく。
立ち上る湯気には、少し青さの残る茶の香りが混じっていた。
彼は引き出しから、表紙に何の文字もない小さなノートを取り出す。
一ページ目には、「第一件:祇園花街・化粧の落とせない舞妓」とある。
二ページ目は、「第二件:清水寺の舞台・落ち続ける男」。
三ページ目には、「錦市場・影を食べる少年」。
次のページを開く。
ペン先を紙に置いたとき、指先がわずかに痺れた。
「第四件:鴨川逆流・未来へ宛てた遺書。」
インクがゆっくりと紙に染み込み、乾いていく。喉元を、何か細いものがきゅっと掠めていったような感覚が、一瞬だけした。
誰かが、この文字列を見ている。進捗を数えるような目で。
彼は顔を上げ、窓の外へ目をやる。
遠くの街の灯りは、夜霧に溶けてぼんやりとにじんでいた。ときどき一台の車のヘッドライトが、山腹の道を滑り、短い線を描いて消えていく。
「そんなに見てるなら、そのうち相談料取るよ。」
彼は、誰もいない暗がりに向かって、軽くそう言った。
夜は黙っている。
ただ、卓上の茶が、最後のひと筋だけ湯気を立ち上らせ、静かに温かな部屋の空気に溶けていった。
昼間は人で賑わう花見小路も、今はかなり静かだ。提灯の明かりは半分以上落とされ、残りは道標のように間を置いて灯っている。石畳は夜露を吸ってほのかな光を返し、ときどき酒気を帯びた客の足取りがふらふらと横切り、どこかの茶屋の屏風にそっと呑み込まれていった。
西木屋の提灯は、まだ入口にぶら下がっていた。夜風に揺れるたび、その文字が小さく震える。
「いらっしゃいませ、深夜限定。」
綾女は鍵を取り出して戸を開け、振り返って彼を見る。
「今日はお客さんなし。道士だけ特別営業。」
室内には、暖房の温もりが残っていた。木の匂いと酒と出汁の香りが混ざり合って、外気の冷えを一気に押し返してくる。
ホールのテーブルと椅子は、ほとんど片づけられている。奥のほうに一つだけ低い卓が残され、その上に小さな炭火のコンロが乗っていた。
「そこに座って。水、垂らさないでよ。」
綾女は言いながら彼を席へ連れていき、濡れたコートをハンガーに掛けさせる。それから戸棚をあさって、乾いたタオルをひとつ放ってよこした。
「今日の夜食はメニューに載ってないやつ。」
そう言って袖をたくし上げ、カウンター奥の小さなキッチンへ消えていく。
「あんたが川から引き上げてきた“死にたがり”の数を考えたら、そろそろ“生きたい理由”のひとつくらいは出してあげないと。」
キッチンの灯りがぱっとつく。
まな板を叩くリズムと、鍋の中で出汁がぐつぐつと沸く音が、半開きの戸の隙間から聞こえてくる。
やがて、柚子の皮の爽やかな香りと、鶏の脂の甘い匂いが、空気に混じり始めた。
劉立澄は髪を拭き、炭火のそばに腰を下ろして、しばらく手を火にかざした。
卓の上には、小さな徳利が一本置かれている。中の酒はまだほんのりと温かく、瓶の表面に小さな水滴がついていた。綾女が出かける前に慌てて置いたまま、飲まずに出て行ったのだろう。
「今日は何?」
彼は顎でキッチンのほうを指す。
「鶏と柚子胡椒の小鍋。それと、ふろふき大根。」
綾女の声が中から返ってくる。
「河原で冷やした人間には、胃のあたりからじんわり光るものが必要でしょ。」
ほどなくして、小さな鉄鍋が卓の上に置かれた。
昆布と鶏ガラでじっくり取った出汁が、鍋の底でふつふつと泡をたてている。表面には薄く刻んだ葱と、糸のように細く削った柚子の皮が浮かび、鶏もも肉は一口大に切られて豆腐や白菜、椎茸と一緒に煮え、照りを帯びていた。
隣には、透き通るようなふろふき大根の皿。
厚めに切った大根は、箸を入れればすっと通る柔らかさまで煮含められ、薄い色の出汁がとろりとまとわりついている。上には少しのそぼろと葱が乗っているだけだが、「見ただけで慰めてくれそうな料理」という言葉がそのまま形になったような一皿だった。
綾女は彼の向かいに座り、鍋を炭火の上に戻して、ぐつぐつと音を立て続けさせる。
「まず食べる。」
そう言って、ふろふき大根を彼の小鉢によそった。
「今日の“哲学トーク”は、舌がやけどしない程度に落ち着いてから。」
大根は口に入れた途端にほどけ、出汁の旨味と、柚子のかすかな香りが一気に広がる。鶏肉には出汁がしっかり染み込み、噛むと筋肉の弾力が心地よい。
「さっきのカフェのデザートよりは、説得力がある。」
劉立澄は、短く評価を口にした。
「甘いものは、“飛びたがってる人”のため。」
綾女は自分の盃に少し酒を注ぎ、彼の盃にもなみなみと注ぐ。
「こっちは、“引き上げてきた人”用のドリンク。」
河の水で冷え切った彼の指先を見つめていた彼女は、ふと尋ねた。
「毎回、ああやって手を出すたび、龍脈のほうを気にしてる?」
「“見る”って感じじゃない。」
彼は盃の底を軽く卓に当てる。
「向こうが、こっちを見てる。」
「まるで、仕事報告の端末みたいな言い方。」
「実際そんなもんだよ。」
彼はあっさり言って、鶏肉をひと切れ口に運ぶ。
「何本書いたか、どこかで数えられてる。」
綾女はしばらくじっと彼の顔を見ていたが、やがてふっと笑い出した。
「だったら、ちゃんと経費精算しなきゃ。」
彼女は盃を掲げる。
「その仕事量に見合う給料、京都にはないからね。うちの鍋で手を打ってもらうしかない。」
「だったら、相当ツケが溜まる。」
「ツケでいいの。」
彼女は盃を彼のほうへ小さく突き出す。
「そしたら、ずっと『ご飯行こ』って言える理由になるでしょ。」
二人のあいだに、短い沈黙が生まれる。炭火がぱちぱちと音を立て、小鍋の湯気がとろりと立ち上る。
窓の外では、祇園の夜が一段と深くなる。どこかの茶屋から三味線の音がかすかに漏れ、それもすぐに戸板の音にかき消された。
「綾女。」
劉立澄が、不意に口を開く。
「なに。」
「これから、途中まで書かれた手紙を見つけたら――」
盃を卓に戻しながら言う。
「まず、相手に何か食べさせてあげて。」
綾女は一瞬目を丸くし、それから笑みを浮かべた。
「先生は、“魂の救済”を小さな居酒屋にアウトソーシングするつもり?」
「救うかどうかは、そいつ次第。」
彼は鍋の中のスープを見つめながら言う。
「あんたは、『生きてると、口の中にちゃんと味がする』って、それだけ教えてやればいい。」
夜はさらに深まり、祇園の灯りがひとつ、またひとつと消えていく。
東山の家は、夜の中では昼間とは少し違って見えた。
山の斜面の下から見上げると、住宅地の灯りは不規則な星の群れのように点々と散らばっている。カーテンをきっちり閉めた家もあれば、テレビの光がちらついている窓、台所の温かな灯りだけが浮かんでいる家もある。
劉立澄の家は、一番大きな建物でもなければ、ひと目でそれとわかるような造りでもない。
ただ、山の中腹に落ち着いたように建っている。屋根の線はまっすぐで、塀は高すぎず、その上に小さな石の獅子が伏せている。口には、長年撫でられて光沢を帯びた石の玉を咥えていた。
外から覗き込むと、居間の一部が見える。低い木のテーブルの上に何冊か本が積まれ、スタンドライトの光がソファの一角をやわらかく照らしている。まるで、誰かが腰を下ろしてぼんやりするためだけに用意された場所のように。
キッチンでは、吊り戸棚の下の小さなライトがまだ点いていた。シンクの脇には陶器の急須がひとつ伏せて置かれ、その口の下には、洗いざらしで白くなった布が敷かれている。
庭は広くないが、隅々まで手入れが行き届いていた。
背の高くない楓が、塀のそばに立っている。枝はきれいに剪定され、根元には石灯籠がひとつ。灯りこそ入っていないが、その丸い「灯口」の部分だけが、ちょうど一片の月光を受け止めていた。
戸を開けて中に入ると、室内の空気には、まだかすかに茶と木の匂いが残っていた。
靴を脱ぎ、半乾きになったコートを掛け、西木屋でまとった酒の匂いを一緒に玄関に置いていく。
書斎には、余計な飾りはない。壁際には本棚が一つ、そこに中日さまざまな言葉で書かれた本が雑多に並び、見慣れない文字の古い冊子も何冊か紛れ込んでいた。本棚の隅には、小さなラジオが一台。灯りに照らされて、角の擦り切れが浮かび上がっている。
机は窓に向かって置かれ、その上には二つのものだけがきちんと並んでいた。ひとつは古い硯。もうひとつは、ごく普通のノート。
彼は椅子に腰を下ろし、中国緑茶をひとつ淹れた。ガラスのポットの中で茶葉が少しずつ開き、水は透明から淡い翡翠色へと変わっていく。
立ち上る湯気には、少し青さの残る茶の香りが混じっていた。
彼は引き出しから、表紙に何の文字もない小さなノートを取り出す。
一ページ目には、「第一件:祇園花街・化粧の落とせない舞妓」とある。
二ページ目は、「第二件:清水寺の舞台・落ち続ける男」。
三ページ目には、「錦市場・影を食べる少年」。
次のページを開く。
ペン先を紙に置いたとき、指先がわずかに痺れた。
「第四件:鴨川逆流・未来へ宛てた遺書。」
インクがゆっくりと紙に染み込み、乾いていく。喉元を、何か細いものがきゅっと掠めていったような感覚が、一瞬だけした。
誰かが、この文字列を見ている。進捗を数えるような目で。
彼は顔を上げ、窓の外へ目をやる。
遠くの街の灯りは、夜霧に溶けてぼんやりとにじんでいた。ときどき一台の車のヘッドライトが、山腹の道を滑り、短い線を描いて消えていく。
「そんなに見てるなら、そのうち相談料取るよ。」
彼は、誰もいない暗がりに向かって、軽くそう言った。
夜は黙っている。
ただ、卓上の茶が、最後のひと筋だけ湯気を立ち上らせ、静かに温かな部屋の空気に溶けていった。
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