39 / 109
第七話・京都駅・ナビゲーションされる人生ルート(三)
しおりを挟む
「思ったより来るのが早いね。」
高い位置の空中回廊には、すでにひとりの男が立っていた。
後輩が無事、八条口へ向かうエスカレーターに乗り、その背中が最後にガラス越しに流れるように通り過ぎたとき、劉立澄は顔を上げ、その男を見た。
ありふれたスーツ姿。そこに「交通行動研究員」と書かれた名札の下がった社員証。
一見すれば、どこかの調査会社から派遣されてきた、駅構内でアンケートでも取っていそうな調査員だ。
昼間なら、ここに立っていても誰も不思議には思わないだろう。
せいぜい「人流解析のプロジェクトでもやっているのだろう」と思うくらいだ。
今、彼は片手を手すりに置き、もう片方の手をポケットに突っ込んでいた。
ガラスの隙間から吹き込む雨まじりの風が、彼の周りで小さな渦を巻く。
「地下街で、僕らの『サンプルルート』を弄ったね。」
彼は見下ろしながら言った。
まるで、誰かが研究データを勝手に書き換えたのを指摘する研究者のように、淡々とした声だった。
「礼儀がなってないよ、劉さん。」
「そっちこそ、地下街で『出て行きたい人間』を素材扱いしている。」
劉立澄は、上へ通じる階段を一段ずつ登り始めた。
中央大階段の灯りは、一段登るごとに視界を少しずつ広げてくれる。
地下街、コンコース、駅ナカ店舗、改札――それらが層を成して重なっていく。
人の流れは、幾筋もの河のようだ。
その河の背後で、ぬるりと蠢くものがひとつ。
――それは、人の流れの軌跡に書き込まれた術式。
「僕らは、誰彼かまわずを対象にしているわけじゃない。」
スーツの男は言う。
「僕らが観測するのは、『本気で逃げ出そうと決心した人間』だけだ。」
彼は口元だけで笑ってみせた。
その笑みは、研修で覚えたような、マニュアルどおりの柔らかさを持っている。
「君もよく知っているだろう。この街には、彼らを引き留めておく力なんて、ほとんど残っていない。」
「でも、彼らの『逃走パターン』がきちんと記録できれば、今後のコントロール計画にとって――非常に価値がある。」
「誰をコントロールするつもりだ。」
「『自分で決めているつもり』でいる人間たちだよ。」
男はメガネを押し上げた。
その一瞬、シャツの袖口から覗いた手首に、薄い金属カードがバンドに挟まれているのが見えた。形は普通の交通系ICカードに似ている。だが表面には何も印字されておらず、縁を小さな光がかすかに走っている。
あれはただの入館証ではない。
ある種の「経路権限」だ。
「君の前の担当者は、伏見稲荷で狐たちを本気で怒らせた。」
劉立澄は、最後の数段を登り切り、男と同じ高さの空中回廊に立った。
空中回廊には壁がなく、透明な柵だけがある。
ガラスには無数の雨粒が張り付き、街の灯りを細かく砕いていた。
「そのまた前の担当者は、京大で人格実験をやりかけて、集団事故寸前まで行った。」
「ひとりずつ帳簿付けしてるなんて、律儀だね。」
男は小さく口笛を吹く仕草をした。
「感心するよ。」
彼は視線を下の人波へと滑らせ、次に駅構内の巨大スクリーンを見た。
スクリーンには、列車情報が延々と流れている。
発車時刻、到着時刻、遅延のアナウンス、乗り換え案内。
ひとつひとつの行の後ろに、極細の線が尾を引いていた。
それらの線は、スクリーンの裏でひとつの光点に集まり、それから上方――
この駅のはるか上空にある、かすかな裂け目へと伸びていく。
「伏見稲荷では、僕らの一つのプロダクトラインを断ち切った。」
男は続ける。
「京大では、人格コピーのテストを途中で止めてしまった。」
「だから『経路修正』を始めたわけか。」
そう言った瞬間、駅構内にアナウンスが響いた。
『……お客様にご案内いたします。線路点検のため、○○方面行き新幹線に二十分ほどの遅れが出ております。すでにご入場のお客様は、しばらくコンコースでお待ちください。』
聞こえてきた声は、ごく普通の放送だ。
だが、そのアナウンスのあとで、地下街やコンコースにいた何人かの動きが、同時に変わった。
改札を抜けようとしていた人が、突然足を止め、「もう少し何か買ってこよう」と売店に引き返す。
改札を通ったはずの人が、なぜかもう一度外へ出てきて、「ちょっと考え直そう」と引き返す。
ホームに向かっていた人が、スーツケースを持った手を緩め、ぐるりと向きを変え、人の多い方へと押し戻される。
さっきエスカレーターに乗った彼の後輩の周りでも、同じようなことが起きていた。
それは、あからさまな催眠ではない。
彼らの心の奥底にあった迷い――「本当に出て行っていいのか」「やっぱりやめた方がいいんじゃないか」――その部分に、そっと指先で圧をかけただけだ。
ただ、その「ひと押し」があればこそ、彼らの歩みは簡単に軌道から外される。
「手首をちょっと動かすだけで、放送経由で人の決心を上書きできるわけか。」
劉立澄の声は淡々としていた。
「違うね。僕らは何も変えてない。」
男は笑った。
「僕らは、もともとそこにあった想いを、少しだけ増幅しているだけさ。」
彼は手首を持ち上げ、金属カードをはめた腕を空中で軽くなぞった。
駅のスクリーンに映る路線図が、一瞬だけにじむ。
すぐに元どおりに見えるようになる。
だが劉立澄には、いくつかの線の色が変わったことがはっきり分かった。
一般向けに開かれた路線色ではない。
「内部用」の暗号色。
その路線は、駅のあらゆる出口から、じわじわと収束していった。
中央大階段の下――地下街とホームのあいだにある、細い分かれ道へと。
「誰を『ここに』留めるのかは、そこで決まる。」
男は低く言った。
次の瞬間、人の流れは微妙に偏り始める。
全員ではない。
「もしかして、出て行くのは良くないのかも」「わがままなんじゃないか」「もう一年だけ我慢すればいい」
――そういう思いが、本心のどこかに刺さっている人だけが。
見えない磁力に吸い寄せられたように、足を運ぶ。
案内板の矢印と、アナウンスと、たった二十分の遅れ情報に導かれながら、一歩ずつ、その細い分岐へと。
「ここで、どんな実験をするつもりだ。」
「単純さ。」
男は答えた。
「人間がどこまで歩けば、『もう逃げなくていい』と完全に諦めるのか――それを知りたい。」
彼は首を傾け、下の分かれ道を見下ろす。
そこは、本来なら駐車場とタクシー乗り場へと続くだけの、目立たない通路だ。照明はやや暗く、たまに忙しそうなサラリーマンが早足で通り抜けていく。
今、その通路は、術式による微調整で、そっと引き伸ばされている。
床のラインは細く伸び、天井の灯りは実際より遠く見える。
中を歩く者にとっては、一歩進むごとに時間が削られていくように感じられるだろう。
「ぼくらは、『ありふれた通勤ルート』の内側に、どれだけの制御指令を書き込めるかを試している。」
男は首をかしげ、笑みを浮かべたまま、劉立澄を見た。
「分かるかい? 『逃げようとする人間』ほど、理想的なサンプルはないんだ。」
ガラスのドームを叩く雨音が、さっきより少し強くなった。
劉立澄はそれ以上、彼を見上げなかった。
視線は、下に伸びる引き伸ばされた通路へと落ちていく。
彼の目には、その通路はもう普通の灰色の廊下には見えていない。
一筋、無理やり真っ直ぐにされた線として映っている。
駅の内部の、とある一点から伸び、街の外の、さらに大きな術式へと繋がる線。
その終端は、この街の龍脈にひび割れを入れている裂け目の一つに掛かっていた。
「時刻表を、陣の目盛りがわりに使って。」
彼は低くつぶやいた。
「人の足を、テスト変数にしている。」
男は片目を細めた。
「やっぱり、君はよく分かってる。」
心から感心しているような口ぶりだった。
「だからこそ、『上』が君に興味を持っている。」
「『上』?」
「そのうち、嫌でも目にするさ。」
男が手首を上げると、金属カードが、小さな「ピッ」という音を立てた。
次の瞬間、中央大階段の灯りが一斉に落ちた。
完全な暗闇ではないが、色温度が急に冷たく切り替わる。
駅中の電子スクリーンが一斉にちらついた。
刹那、すべての列車の発車時刻が「まもなく発車」に変わる。
高い位置の空中回廊には、すでにひとりの男が立っていた。
後輩が無事、八条口へ向かうエスカレーターに乗り、その背中が最後にガラス越しに流れるように通り過ぎたとき、劉立澄は顔を上げ、その男を見た。
ありふれたスーツ姿。そこに「交通行動研究員」と書かれた名札の下がった社員証。
一見すれば、どこかの調査会社から派遣されてきた、駅構内でアンケートでも取っていそうな調査員だ。
昼間なら、ここに立っていても誰も不思議には思わないだろう。
せいぜい「人流解析のプロジェクトでもやっているのだろう」と思うくらいだ。
今、彼は片手を手すりに置き、もう片方の手をポケットに突っ込んでいた。
ガラスの隙間から吹き込む雨まじりの風が、彼の周りで小さな渦を巻く。
「地下街で、僕らの『サンプルルート』を弄ったね。」
彼は見下ろしながら言った。
まるで、誰かが研究データを勝手に書き換えたのを指摘する研究者のように、淡々とした声だった。
「礼儀がなってないよ、劉さん。」
「そっちこそ、地下街で『出て行きたい人間』を素材扱いしている。」
劉立澄は、上へ通じる階段を一段ずつ登り始めた。
中央大階段の灯りは、一段登るごとに視界を少しずつ広げてくれる。
地下街、コンコース、駅ナカ店舗、改札――それらが層を成して重なっていく。
人の流れは、幾筋もの河のようだ。
その河の背後で、ぬるりと蠢くものがひとつ。
――それは、人の流れの軌跡に書き込まれた術式。
「僕らは、誰彼かまわずを対象にしているわけじゃない。」
スーツの男は言う。
「僕らが観測するのは、『本気で逃げ出そうと決心した人間』だけだ。」
彼は口元だけで笑ってみせた。
その笑みは、研修で覚えたような、マニュアルどおりの柔らかさを持っている。
「君もよく知っているだろう。この街には、彼らを引き留めておく力なんて、ほとんど残っていない。」
「でも、彼らの『逃走パターン』がきちんと記録できれば、今後のコントロール計画にとって――非常に価値がある。」
「誰をコントロールするつもりだ。」
「『自分で決めているつもり』でいる人間たちだよ。」
男はメガネを押し上げた。
その一瞬、シャツの袖口から覗いた手首に、薄い金属カードがバンドに挟まれているのが見えた。形は普通の交通系ICカードに似ている。だが表面には何も印字されておらず、縁を小さな光がかすかに走っている。
あれはただの入館証ではない。
ある種の「経路権限」だ。
「君の前の担当者は、伏見稲荷で狐たちを本気で怒らせた。」
劉立澄は、最後の数段を登り切り、男と同じ高さの空中回廊に立った。
空中回廊には壁がなく、透明な柵だけがある。
ガラスには無数の雨粒が張り付き、街の灯りを細かく砕いていた。
「そのまた前の担当者は、京大で人格実験をやりかけて、集団事故寸前まで行った。」
「ひとりずつ帳簿付けしてるなんて、律儀だね。」
男は小さく口笛を吹く仕草をした。
「感心するよ。」
彼は視線を下の人波へと滑らせ、次に駅構内の巨大スクリーンを見た。
スクリーンには、列車情報が延々と流れている。
発車時刻、到着時刻、遅延のアナウンス、乗り換え案内。
ひとつひとつの行の後ろに、極細の線が尾を引いていた。
それらの線は、スクリーンの裏でひとつの光点に集まり、それから上方――
この駅のはるか上空にある、かすかな裂け目へと伸びていく。
「伏見稲荷では、僕らの一つのプロダクトラインを断ち切った。」
男は続ける。
「京大では、人格コピーのテストを途中で止めてしまった。」
「だから『経路修正』を始めたわけか。」
そう言った瞬間、駅構内にアナウンスが響いた。
『……お客様にご案内いたします。線路点検のため、○○方面行き新幹線に二十分ほどの遅れが出ております。すでにご入場のお客様は、しばらくコンコースでお待ちください。』
聞こえてきた声は、ごく普通の放送だ。
だが、そのアナウンスのあとで、地下街やコンコースにいた何人かの動きが、同時に変わった。
改札を抜けようとしていた人が、突然足を止め、「もう少し何か買ってこよう」と売店に引き返す。
改札を通ったはずの人が、なぜかもう一度外へ出てきて、「ちょっと考え直そう」と引き返す。
ホームに向かっていた人が、スーツケースを持った手を緩め、ぐるりと向きを変え、人の多い方へと押し戻される。
さっきエスカレーターに乗った彼の後輩の周りでも、同じようなことが起きていた。
それは、あからさまな催眠ではない。
彼らの心の奥底にあった迷い――「本当に出て行っていいのか」「やっぱりやめた方がいいんじゃないか」――その部分に、そっと指先で圧をかけただけだ。
ただ、その「ひと押し」があればこそ、彼らの歩みは簡単に軌道から外される。
「手首をちょっと動かすだけで、放送経由で人の決心を上書きできるわけか。」
劉立澄の声は淡々としていた。
「違うね。僕らは何も変えてない。」
男は笑った。
「僕らは、もともとそこにあった想いを、少しだけ増幅しているだけさ。」
彼は手首を持ち上げ、金属カードをはめた腕を空中で軽くなぞった。
駅のスクリーンに映る路線図が、一瞬だけにじむ。
すぐに元どおりに見えるようになる。
だが劉立澄には、いくつかの線の色が変わったことがはっきり分かった。
一般向けに開かれた路線色ではない。
「内部用」の暗号色。
その路線は、駅のあらゆる出口から、じわじわと収束していった。
中央大階段の下――地下街とホームのあいだにある、細い分かれ道へと。
「誰を『ここに』留めるのかは、そこで決まる。」
男は低く言った。
次の瞬間、人の流れは微妙に偏り始める。
全員ではない。
「もしかして、出て行くのは良くないのかも」「わがままなんじゃないか」「もう一年だけ我慢すればいい」
――そういう思いが、本心のどこかに刺さっている人だけが。
見えない磁力に吸い寄せられたように、足を運ぶ。
案内板の矢印と、アナウンスと、たった二十分の遅れ情報に導かれながら、一歩ずつ、その細い分岐へと。
「ここで、どんな実験をするつもりだ。」
「単純さ。」
男は答えた。
「人間がどこまで歩けば、『もう逃げなくていい』と完全に諦めるのか――それを知りたい。」
彼は首を傾け、下の分かれ道を見下ろす。
そこは、本来なら駐車場とタクシー乗り場へと続くだけの、目立たない通路だ。照明はやや暗く、たまに忙しそうなサラリーマンが早足で通り抜けていく。
今、その通路は、術式による微調整で、そっと引き伸ばされている。
床のラインは細く伸び、天井の灯りは実際より遠く見える。
中を歩く者にとっては、一歩進むごとに時間が削られていくように感じられるだろう。
「ぼくらは、『ありふれた通勤ルート』の内側に、どれだけの制御指令を書き込めるかを試している。」
男は首をかしげ、笑みを浮かべたまま、劉立澄を見た。
「分かるかい? 『逃げようとする人間』ほど、理想的なサンプルはないんだ。」
ガラスのドームを叩く雨音が、さっきより少し強くなった。
劉立澄はそれ以上、彼を見上げなかった。
視線は、下に伸びる引き伸ばされた通路へと落ちていく。
彼の目には、その通路はもう普通の灰色の廊下には見えていない。
一筋、無理やり真っ直ぐにされた線として映っている。
駅の内部の、とある一点から伸び、街の外の、さらに大きな術式へと繋がる線。
その終端は、この街の龍脈にひび割れを入れている裂け目の一つに掛かっていた。
「時刻表を、陣の目盛りがわりに使って。」
彼は低くつぶやいた。
「人の足を、テスト変数にしている。」
男は片目を細めた。
「やっぱり、君はよく分かってる。」
心から感心しているような口ぶりだった。
「だからこそ、『上』が君に興味を持っている。」
「『上』?」
「そのうち、嫌でも目にするさ。」
男が手首を上げると、金属カードが、小さな「ピッ」という音を立てた。
次の瞬間、中央大階段の灯りが一斉に落ちた。
完全な暗闇ではないが、色温度が急に冷たく切り替わる。
駅中の電子スクリーンが一斉にちらついた。
刹那、すべての列車の発車時刻が「まもなく発車」に変わる。
0
あなたにおすすめの小説
あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜
南 鈴紀
キャラ文芸
妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。
しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。
掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。
五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。
妖×家族の心温まる和風ファンタジー。
後宮祓いの巫女は、鬼将軍に嫁ぐことになりました
由香
キャラ文芸
後宮で怪異を祓う下級巫女・紗月は、ある日突然、「鬼」と噂される将軍・玄耀の妻になれと命じられる。
それは愛のない政略結婚――
人ならざる力を持つ将軍を、巫女の力で制御するための契約だった。
後宮の思惑に翻弄されながらも、二人は「契約」ではなく「選んだ縁」として、共に生きる道を選ぶ――。
【完結】非モテアラサーですが、あやかしには溺愛されるようです
* ゆるゆ
キャラ文芸
疲れ果てた非モテアラサーが、あやかしたちに癒されて、甘やかされて、溺愛されるお話です。
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
後宮の偽花妃 国を追われた巫女見習いは宦官になる
gari@七柚カリン
キャラ文芸
旧題:国を追われた巫女見習いは、隣国の後宮で二重に花開く
☆4月上旬に書籍発売です。たくさんの応援をありがとうございました!☆ 植物を慈しむ巫女見習いの凛月には、二つの秘密がある。それは、『植物の心がわかること』『見目が変化すること』。
そんな凛月は、次期巫女を侮辱した罪を着せられ国外追放されてしまう。
心機一転、紹介状を手に向かったのは隣国の都。そこで偶然知り合ったのは、高官の峰風だった。
峰風の取次ぎで紹介先の人物との対面を果たすが、提案されたのは後宮内での二つの仕事。ある時は引きこもり後宮妃(欣怡)として巫女の務めを果たし、またある時は、少年宦官(子墨)として庭園管理の仕事をする、忙しくも楽しい二重生活が始まった。
仕事中に秘密の能力を活かし活躍したことで、子墨は女嫌いの峰風の助手に抜擢される。女であること・巫女であることを隠しつつ助手の仕事に邁進するが、これがきっかけとなり、宮廷内の様々な騒動に巻き込まれていく。
烏の王と宵の花嫁
水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。
唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。
その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。
ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。
死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。
※初出2024年7月
大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
菱沼あゆ
キャラ文芸
華族の三条家の跡取り息子、三条行正と見合い結婚することになった咲子。
だが、軍人の行正は、整いすぎた美形な上に、あまりしゃべらない。
蝋人形みたいだ……と見合いの席で怯える咲子だったが。
実は、咲子には、人の心を読めるチカラがあって――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる