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24.フラグなんて立てない。立てないったらない。
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昨日と同じようにして移動して夕方にはミンユエ村に着いた。
この村にはギルドがあると聞いていたので、宿屋を決めてからギルドに向かおうと思ったら宿屋のおばさんに呼び止められた。
「アンタたち明日には発っちまうんだろう? だったら湖畔にでも行っておいでよ」
「湖畔?」
首を傾げるとおばさんは笑った。
「おやおや、いつも通り過ぎてるだけなのかい? この村が避暑地だって知らないわけじゃないだろう?」
この村に来るのは初めてなのだが、それを言うとどこの出身かという話になってしまうだろうと思い、俺は曖昧な笑みを浮かべてごまかした。
「彼女に恥をかかすんじゃないよ。今ならまだ夕焼けが見られるだろうから行ってきな!」
おばさんに背中をバシンと叩かれミンメイと共に送り出される。俺はミンメイと顔を見合わせた。ミンメイが困ったような顔をしている。どうやら恋人同士だと思われたらしかった。
「……避暑地って言われるからには風光明媚なところなのかな。ギルドは遅くまでやってるみたいだし……湖に行ってみようか」
「え、いいんですか?」
「鳥も宿屋に預けたし、行ってみよう」
「はい」
ミンメイの頬が少し赤くなっているように見えたが俺は気づいていないフリをした。きっと恋人同士に見られて恥ずかしかったのだろう。そうだそうに違いない。
〈罪作りな男じゃのう〉
〈何言ってんだよ、猫紙さま〉
〈フラグじゃフラグ〉
〈……どこでそういう言葉覚えてくるんだよ……〉
頭の中で話しかけられたのでこっそり会話する。ミンメイが俺に惚れるとかないわー、ないない。ないったらない。
ちなみに道中捕ってきた鳥は全て宿屋に回収された。二人部屋をロハにしてもらっただけでなく夕飯と朝食を豪華にしてくれ、なんと風呂まで使わせてくれるという。どこの村でもそうだが、俺が持ち込んだ鳥は本当に捕りにくいらしい。とても信じられない話だ。つか、捕まえにくいからあんなに我が物顔で飛んでるのかと少しだけ納得した。せいぜい俺たちの飯の種になってもらうとしよう。
湖には15分ほどで着いた。
「おお……」
「……きれい」
太陽がゆっくりと山の向こうに沈んでいく。山の手前には森が、そしてその手前には俺たちがいる湖がある。山、森、湖が赤く照らされ、なんとも幻想的な風景になっていた。ふと周りを見れば少し離れたところにカップルらしき姿がちらほらある。ここはいわゆるデートスポットなのだろう。目を輝かせて光景を見つめているミンメイが満足するまで、俺もその場にしばし佇んだ。
やがて太陽が山の向こうに沈み、残光だけになるとミンメイは俺の方を見た。その頬は西日の影響だけでなくほんのりと赤く染まっているようだったが俺は見なかったフリをした。
「すごくきれいでした。ありがとうございます」
「もういいのか?」
「はい」
「じゃ、行くか」
冒険者ギルドは宿屋へ戻る途中、一本奥に入ったところにあった。鳥は全て宿屋で回収されてしまった為行かなくてもよかったのだが、道中で摘んできた薬草や食べられる草はある。そしてまたギルドに着く前に鳥を一羽捕っていた。なんというかもう鳥専門の猟師のようである。
ギルドの中は清潔そうだった。避暑地というのを意識しているのか受付のお姉さんもにこやかである。薬草や食べられる草は常時依頼がある為それを掲示板で確認して卸せるだけ卸した。(読むのは猫紙任せである)
また来ることはないかもしれないがこの村で観光できそうなところがないかどうか聞く。遠目に見るだけにはなるが王の別荘もこの村にあるらしい。明日には王都に向かうので見る価値があるのかどうかはわからなかった。
宿屋に戻り豪華な夕飯に舌鼓を打つ。やっぱりこの世界は中国風だと思う。
風呂は貸切で混浴だと言われた。いくらなんでもミンメイの裸を見るわけにはいかないので先に入ってもらった。
〈少女の後に入るとはやるのぅ〉
〈は?〉
〈この湯の中にはの、ミンメイのエキスが……〉
〈猫紙さま? もしかして中身オヤジか?〉
もうなんというかひどすぎる。
とてもミンメイには聞かせられないようなことを頭の中で言い合いながら風呂を出た。明日はやっと王都に着けるかもしれない。そう思ったら美鈴の顔が浮かんだ。
無事でいてほしいと願った。
この村にはギルドがあると聞いていたので、宿屋を決めてからギルドに向かおうと思ったら宿屋のおばさんに呼び止められた。
「アンタたち明日には発っちまうんだろう? だったら湖畔にでも行っておいでよ」
「湖畔?」
首を傾げるとおばさんは笑った。
「おやおや、いつも通り過ぎてるだけなのかい? この村が避暑地だって知らないわけじゃないだろう?」
この村に来るのは初めてなのだが、それを言うとどこの出身かという話になってしまうだろうと思い、俺は曖昧な笑みを浮かべてごまかした。
「彼女に恥をかかすんじゃないよ。今ならまだ夕焼けが見られるだろうから行ってきな!」
おばさんに背中をバシンと叩かれミンメイと共に送り出される。俺はミンメイと顔を見合わせた。ミンメイが困ったような顔をしている。どうやら恋人同士だと思われたらしかった。
「……避暑地って言われるからには風光明媚なところなのかな。ギルドは遅くまでやってるみたいだし……湖に行ってみようか」
「え、いいんですか?」
「鳥も宿屋に預けたし、行ってみよう」
「はい」
ミンメイの頬が少し赤くなっているように見えたが俺は気づいていないフリをした。きっと恋人同士に見られて恥ずかしかったのだろう。そうだそうに違いない。
〈罪作りな男じゃのう〉
〈何言ってんだよ、猫紙さま〉
〈フラグじゃフラグ〉
〈……どこでそういう言葉覚えてくるんだよ……〉
頭の中で話しかけられたのでこっそり会話する。ミンメイが俺に惚れるとかないわー、ないない。ないったらない。
ちなみに道中捕ってきた鳥は全て宿屋に回収された。二人部屋をロハにしてもらっただけでなく夕飯と朝食を豪華にしてくれ、なんと風呂まで使わせてくれるという。どこの村でもそうだが、俺が持ち込んだ鳥は本当に捕りにくいらしい。とても信じられない話だ。つか、捕まえにくいからあんなに我が物顔で飛んでるのかと少しだけ納得した。せいぜい俺たちの飯の種になってもらうとしよう。
湖には15分ほどで着いた。
「おお……」
「……きれい」
太陽がゆっくりと山の向こうに沈んでいく。山の手前には森が、そしてその手前には俺たちがいる湖がある。山、森、湖が赤く照らされ、なんとも幻想的な風景になっていた。ふと周りを見れば少し離れたところにカップルらしき姿がちらほらある。ここはいわゆるデートスポットなのだろう。目を輝かせて光景を見つめているミンメイが満足するまで、俺もその場にしばし佇んだ。
やがて太陽が山の向こうに沈み、残光だけになるとミンメイは俺の方を見た。その頬は西日の影響だけでなくほんのりと赤く染まっているようだったが俺は見なかったフリをした。
「すごくきれいでした。ありがとうございます」
「もういいのか?」
「はい」
「じゃ、行くか」
冒険者ギルドは宿屋へ戻る途中、一本奥に入ったところにあった。鳥は全て宿屋で回収されてしまった為行かなくてもよかったのだが、道中で摘んできた薬草や食べられる草はある。そしてまたギルドに着く前に鳥を一羽捕っていた。なんというかもう鳥専門の猟師のようである。
ギルドの中は清潔そうだった。避暑地というのを意識しているのか受付のお姉さんもにこやかである。薬草や食べられる草は常時依頼がある為それを掲示板で確認して卸せるだけ卸した。(読むのは猫紙任せである)
また来ることはないかもしれないがこの村で観光できそうなところがないかどうか聞く。遠目に見るだけにはなるが王の別荘もこの村にあるらしい。明日には王都に向かうので見る価値があるのかどうかはわからなかった。
宿屋に戻り豪華な夕飯に舌鼓を打つ。やっぱりこの世界は中国風だと思う。
風呂は貸切で混浴だと言われた。いくらなんでもミンメイの裸を見るわけにはいかないので先に入ってもらった。
〈少女の後に入るとはやるのぅ〉
〈は?〉
〈この湯の中にはの、ミンメイのエキスが……〉
〈猫紙さま? もしかして中身オヤジか?〉
もうなんというかひどすぎる。
とてもミンメイには聞かせられないようなことを頭の中で言い合いながら風呂を出た。明日はやっと王都に着けるかもしれない。そう思ったら美鈴の顔が浮かんだ。
無事でいてほしいと願った。
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