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33.後輩の性癖

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 朝食後のコーヒーを啜りながら、俺たちは居間でこれからの話をすることにした。
 岡は週三日ないし四日俺を独占し、安田は週に二日俺とすることで合意した。何故かそこに俺の意見は全く反映されていない。

「特に予定がなければ、土日のどちらかまた三人でしましょう」
「えええ?」
「お、いいのか?」
「先輩が安田さんにヤられてるところ、すごく可愛いので」

 心なしか安田が嬉しそうに見える。恋人公認のセフレって一体なんなのだろう。

「お、おお俺はヤだぞ!」

 岡が不思議そうな顔をする。

「昨夜、気持ちよくありませんでした?」
「え……う……その……」

 すごく気持ちよかったけど! 乳首をいじられながら尻穴ぐっちゃぐちゃに犯されるの最高だったけど! でもさすがに倫理ってものが……。

とも、難しく考えることないだろ? 俺は智がほしいし、岡も俺と智がヤッてるところも見たいって言うんだし」
「そ、そういう問題じゃ……」

 岡は哀しそうな顔をした。

「先輩、だめ、ですか?」

 そんな顔して俺の手を取って口付けするとか反則だろう。だが全ての元凶は俺だ。岡が望むならそれでいいのかもしれない。

「だめ、じゃない……」

 Hなんて誰かに見られながらするものではないと俺は思う。でも昨夜のあれは……。
 俺は顔がカッと熱くなるのを感じた。

「その……俺、淫乱でごめんな……」

 岡はきっと俺に合わせてくれているのだと思う。先週まで恋人ではなかったとはいえ、岡とあれだけ濃厚な夜を過ごしたのに安田ともしてしまった。そんな状態で今更倫理がどうのなんて言えない。
 けれど岡はとんでもないと首を振った。

「違います! 先輩が淫乱かそうじゃないかなんて全く関係ないんです!」
「……え?」

 どういうことなのだろう。俺は首を傾げた。岡は困ったように笑み、搾り出すようにこう言った。

「僕は……性癖が特殊なのです」

 そうして話してくれた内容は、好奇心からアナニーをしていた俺でもなんとも言えないものだった。
 簡単に言うと、”好きな人が感じている姿を見るのが好き”なのだとか。それは自分の腕の中でなくてもよく、できれば目の前で誰かの手によってあられもなく感じている姿が見たいのだという。

「先輩が安田さんのでめちゃくちゃに感じてる姿に興奮しました。もちろん僕に抱かれてわけがわからなくなってる先輩もかわいいですけど」
「それって……昔からそうなのか?」

 安田はすでに聞いていたらしく驚いた様子は見せなかった。

「昔から、というか気づかされたというのが正しいですね」
「気づかされた?」
「はい。僕のがでかすぎてなかなか受け入れてくれる人がいないという話はしましたよね?」
「うん」

 以前岡には恋人がいたらしい。その恋人といざいたそうとした時、岡のがでかすぎて恋人はひどく痛がり、結局入らなかった。お互いのをしごき合うだけで十分だと岡は思ったのだが、恋人は割り切れなかったらしい。自分の穴がどうしたら広げられるかと恋人は知り合いに相談したのだという。
 その相談相手はネコ(ゲイの受役の子)にはとても親切だったが、それにはもちろん下心があった。
「じゃあ彼氏のが入るように俺と練習しようよ。大丈夫、練習だから浮気にはならないよ」と言葉巧みに岡の恋人を誘い、わざわざ岡に連絡までしてその恋人を抱いた。

「あの子俺の腕の中ですっごくイイ声で啼いたよ」

 挑発するように言われた岡もまたおかしくなっていた。相談相手と恋人がしているところを見せてくれと言い、二人がまた練習と称して睦み合っているところを見に行った。恋人は真っ青になったが、他の男に抱かれて啼いている恋人を見て、岡はとても愛しいと感じたらしい。それで、岡は恋人が気持ちよくなるなら相手は自分でなくてもいいということに気づいた。でもそれはしているところを見ることが前提だという。
 そんな岡の考えを恋人が理解できるわけもなく、結局別れてしまった。元恋人には気にしなくてもいいと言ったがもしかしたらまだ気にしているかもしれない。悪いことをしたと岡は寂しそうに語った。

「……そっか」

 コミュニケーション不足だろうなと俺は思った。でもそれを今言ってもしかたがない。岡の中では終わったことだし、今の恋人は俺だ。

「先輩が僕のを受け入れて感じてくれるのはすごく嬉しいんです。でも、先輩が安田さんに抱かれている姿を見るのも僕は好きで……こんなのおかしいですよね」

 岡が自嘲するように言う。

「俺としては智を抱けるから大歓迎だけどな」

 安田があっけらかんと言った。頭軽くて羨ましい。俺は頭を掻いた。

「んーと……なんか俺にとっても都合よすぎて困るんだけど……」
「はい」
「岡がそれでいいなら、俺は嬉しい」
「本当ですか!?」

 安田に恋愛感情があるかと聞かれれば否だが、親友としてずっと側にいてほしいとは思っている。岡という恋人がいるのに俺は欲張りだ。

「でも、さすがに二人とするのは体力が持たないから……ほどほどにお願いするよ」
「先輩、愛してます!」

 岡が感極まって俺に口付ける。その手は何故かバスローブの中に入ってきて……。

「んんっ!?」

 くにくにと乳首をいじるのをやめてほしい。反対側から安田の手も伸びてきて俺自身を握る。
 お前ら人の話を全く聞いてないだろう。
 せめて尻穴の中を洗わせてほしいと俺は思った。
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