義兄皇子に囚われて溺愛されてます

浅葱

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一、無法実現的愛恋(叶わぬ恋)

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(私はいつ、どなたに嫁ぐのかしら?)

 朱明玲ジュミンリンは十四の歳を数えた。来年には成人する。なのに未だ婚約者もおらず、腹違いの兄の元に身を寄せているのみである。
 兄の正妃である趙山琴ジャオシャンチンはその美貌に柔和な笑みを浮かべ、

「そのうちわかるわ」

 と言ってくれたが、明玲としては気が気ではなかった。

(私はいつまでここにいられるのかしら……)

 嫁ぐ相手が決まればもうここにはいられない。花嫁修業の為母の元へ戻らなければならないだろう。
 年始の挨拶に皇城を訪れた際は、明玲の母もそのようなことは言っていなかった。ただ母と仲の良い兄の母である芳妃ファンフェイには両手を取られ、

「これからも息子をよろしくね」

 と言われてしまった。それには明玲も「はい」としか答えられなかった。芳妃の目がとても怖かったからである。彼女は母にその理由を聞きたかったが母たちは皇帝の妃である。後宮にそれほどいられるはずもなく、「公主、お時間です」と女官に促されてしまえば席を立つしかなかった。


 それから一月が経ち、春の訪れを感じるようになったがまだ明玲は何も聞かされていなかった。
 兄は今上皇帝の第七皇子で、それほど広くはないが領地を賜っている。春の訪れと共に王領の視察に向かうことが多くなり、ただでさえ接触が少ないのに更に会えなくなっていた。居候しているだけの明玲がそれに文句を言えるわけもなく、今日も教師について立ち居振る舞いや歴史の勉強をしていた。

趙姐ジャオジエ(趙姉さま)、そのう……兄に尋ねてはいけないのでしょうか?」

 館の庭で兄の妻である山琴とお茶をしている時、明玲はおそるおそる聞いてみた。山琴は眉を上げた。

「明玲、なんの話かしら?」
「その……私は来年には成人しますし……でも嫁ぎ先がまだ……」

 山琴ははーっと嘆息した。

「……偉仁ウェイレンも罪な男ね。いいわよ、次に帰ってきた時にでもお聞きなさいな。そうね、できれば食事の席がいいわ」
「食事の席、ですか……」

 偉仁とは明玲の兄の名前である。山琴は楽しそうに許可をしたが、明玲は困惑した。食事の席には兄と山琴だけでなく兄の妾妃も日替わりで何人か同席するのだ。そんな中で自分の嫁ぎ先を尋ねるというのは勇気がいった。

「それができないのなら待っていればいいわ。大丈夫よ、きっと偉仁がよいようにしてくれるから」
「いえ、聞いてみようと、思います……」
「そう? なら、何が起こっても文句は言わないでね?」
「文句なんて言うはずがありません!」
「ならかまわないわ」

 にこにこしながら言う山琴は今日も美しかった。兄への想いだけなら誰にも負けないと明玲は思っているが、山琴には別の意味でかなわないとも思っている。
 明玲がこの世に生を受けた時、兄が側にいた。七歳になる前に兄は後宮を出たが、成人する前に明玲を引き取ってくれた。腹違いとはいえ血の繋がった兄を想い続けるのは不毛だ。明玲は早く引導を渡してほしかった。



ーーーーー
注:明玲の兄は親王で蘇王に封じられています。蘇という土地が王領です。
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