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二四、晩餐会
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「皇上万歳万歳万々歳! 皇后娘娘千歳千歳千々歳!」
「平身(なおれ)」
「謝皇上!(陛下、ありがとうございます)」
みな立ち上がって皇帝と皇后に挨拶する。まるでそれは示し合わせたかのようで、一斉の大音声であった。明玲は内心顔をしかめた。偉仁がこういった挨拶を省略させていることが正しいことのように思えた。
清明節である。皇帝は今日陵墓へ参拝した皇族たちにねぎらいの言葉をかけ、これからもこの国が発展していくことを先祖に祈ったと語った。
「みな今宵は心行くまで飲み、食べ、楽しんでいってほしい」
「謝皇上恩典!」
前半の言葉はいろいろ修飾詞がついていて、なんとも言っていることがわかりづらかったが、だいたいこのようなことを言っていたのだろうと明玲は自分なりに解釈した。やがて広間の中央に綺麗な女性たちが現れた。これまたいつ準備をしていたのか、楽器を持った音楽隊が演奏を始めると女性たちは舞い始めた。ひらひらとした布がまるで天女のようである。明玲はしばし彼女たちの舞に見惚れた。
すると、箸でつままれた食べ物が明玲の口元に差し出された。
「?」
顔をそちらに向ければ、偉仁が笑んでいる。これを食べろということなのだろうか。明玲はためらいながらもパクリと食べた。明玲の好物だったのだ。
もぐもぐと咀嚼し、飲み込む。
「偉仁哥、ありがとうございます……その……」
「もっと食べるか?」
「いえ、その……」
次々と偉仁は明玲の好きな食べ物を口元に運び、食べさせた。これはいったいなんの儀式なのかと明玲は混乱しながらも、素直に口を開けた。
頭に大量の?を浮かべながら給餌され、胃が落ち着いたところで立つよう促された。
「皇上に挨拶に行くぞ」
「……はい」
言われてみれば確かに、皇族の一部に動きがあったようである。第六皇子が挨拶を終えた後、偉仁は山琴と明玲を伴って皇帝の前で拱手した。皇帝は偉仁を睨みつけた。
「おお、偉仁。此度はよくもやってくれたのぅ」
「父皇、私にはなんのことだかわかりかねます」
「ふん、これではもう”父皇”と呼んでもらえぬではないか!」
「はい、これはもう私の妻ですから」
「忌々しい。行け! とっとと行ってしまえ!」
「父皇、ありがとうございます」
挨拶に行ったというのに偉仁はこんな不穏な会話を皇帝とし、明玲をはらはらさせた。
「あー、確か……明玲と言ったか」
「は、はい!」
「偉仁を好いておるのか?」
「……はい! 大好きです!」
「……そうか。よい、もう行け」
「皇上、ありがとうございます」
去り際に声をかけられて明玲は心臓が止まるのではないかと思った。まさか皇帝が自分の名前を覚えているとは思ってもみなかった。もしかしたら近くにいる宦官に聞いたのかもしれなかったが、名前を読んでくれたことはほんの少しだけ嬉しかった。
先ほどと同じ席に戻り、お開きの合図があるまで明玲は料理に舌鼓を打った。もう偉仁は餌付けをしてこなかったことから、あれはみなに見せる為にわざとしたことなのだと思うことにした。それにしても宮中で出される食事はなんとも豪華である。内陸のはずだが魚介をふんだんに使った料理もあり、明玲は最後までご機嫌で食べていた。
乾焼明蝦という辛い殻付きの海老の料理を食べすぎたせいか唇が少し痛くなった。これは南の方の料理だと明玲は聞いた。
おいしい料理が沢山食べられたが、やはり皇城にいるのは疲れる。あまり意識しないようにしてはいたが、あちこちから注がれる視線が明玲は嫌だった。
(早く帰りたい)
明玲は蘇王領の館を思った。
「平身(なおれ)」
「謝皇上!(陛下、ありがとうございます)」
みな立ち上がって皇帝と皇后に挨拶する。まるでそれは示し合わせたかのようで、一斉の大音声であった。明玲は内心顔をしかめた。偉仁がこういった挨拶を省略させていることが正しいことのように思えた。
清明節である。皇帝は今日陵墓へ参拝した皇族たちにねぎらいの言葉をかけ、これからもこの国が発展していくことを先祖に祈ったと語った。
「みな今宵は心行くまで飲み、食べ、楽しんでいってほしい」
「謝皇上恩典!」
前半の言葉はいろいろ修飾詞がついていて、なんとも言っていることがわかりづらかったが、だいたいこのようなことを言っていたのだろうと明玲は自分なりに解釈した。やがて広間の中央に綺麗な女性たちが現れた。これまたいつ準備をしていたのか、楽器を持った音楽隊が演奏を始めると女性たちは舞い始めた。ひらひらとした布がまるで天女のようである。明玲はしばし彼女たちの舞に見惚れた。
すると、箸でつままれた食べ物が明玲の口元に差し出された。
「?」
顔をそちらに向ければ、偉仁が笑んでいる。これを食べろということなのだろうか。明玲はためらいながらもパクリと食べた。明玲の好物だったのだ。
もぐもぐと咀嚼し、飲み込む。
「偉仁哥、ありがとうございます……その……」
「もっと食べるか?」
「いえ、その……」
次々と偉仁は明玲の好きな食べ物を口元に運び、食べさせた。これはいったいなんの儀式なのかと明玲は混乱しながらも、素直に口を開けた。
頭に大量の?を浮かべながら給餌され、胃が落ち着いたところで立つよう促された。
「皇上に挨拶に行くぞ」
「……はい」
言われてみれば確かに、皇族の一部に動きがあったようである。第六皇子が挨拶を終えた後、偉仁は山琴と明玲を伴って皇帝の前で拱手した。皇帝は偉仁を睨みつけた。
「おお、偉仁。此度はよくもやってくれたのぅ」
「父皇、私にはなんのことだかわかりかねます」
「ふん、これではもう”父皇”と呼んでもらえぬではないか!」
「はい、これはもう私の妻ですから」
「忌々しい。行け! とっとと行ってしまえ!」
「父皇、ありがとうございます」
挨拶に行ったというのに偉仁はこんな不穏な会話を皇帝とし、明玲をはらはらさせた。
「あー、確か……明玲と言ったか」
「は、はい!」
「偉仁を好いておるのか?」
「……はい! 大好きです!」
「……そうか。よい、もう行け」
「皇上、ありがとうございます」
去り際に声をかけられて明玲は心臓が止まるのではないかと思った。まさか皇帝が自分の名前を覚えているとは思ってもみなかった。もしかしたら近くにいる宦官に聞いたのかもしれなかったが、名前を読んでくれたことはほんの少しだけ嬉しかった。
先ほどと同じ席に戻り、お開きの合図があるまで明玲は料理に舌鼓を打った。もう偉仁は餌付けをしてこなかったことから、あれはみなに見せる為にわざとしたことなのだと思うことにした。それにしても宮中で出される食事はなんとも豪華である。内陸のはずだが魚介をふんだんに使った料理もあり、明玲は最後までご機嫌で食べていた。
乾焼明蝦という辛い殻付きの海老の料理を食べすぎたせいか唇が少し痛くなった。これは南の方の料理だと明玲は聞いた。
おいしい料理が沢山食べられたが、やはり皇城にいるのは疲れる。あまり意識しないようにしてはいたが、あちこちから注がれる視線が明玲は嫌だった。
(早く帰りたい)
明玲は蘇王領の館を思った。
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