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四二、発生什么事(何が起きているのか)
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後宮内はそこに住んでいる妾妃の為に一つ一つ部屋が区切られている。いつもなら扉が開いている部屋もあるが、今日は全て閉じているようだった。皇帝の妻たちが沢山いるはずなのに、今日はやけに静かだと明玲は思った。
芳妃の部屋は後宮の中ほどにあった。これが序列を表しているのかどうか明玲にはわからない。ただ芳妃の部屋は明妃の部屋と近いのでたびたび訪ねることはあった。
「明玲娘娘をお連れしました」
「下がりなさい」
芳妃が女官長にひらひらと手を振る。女官長は逡巡した。
「……ですが……」
「……お前妾に逆らうのかえ? 明玲はこちらで預かるわ。異論があるのなら皇上を連れていらっしゃい」
「……諾(はい)……」
女官長と言っても芳妃には力及ばないようだった。いったい哥の母はどれほどの権力を持っているのだろう。明玲は内心身震いした。
「明玲、いらっしゃい」
「芳妃娘娘、明妃娘娘、この度は……」
「堅苦しい挨拶は不要よ。素直に明妃に甘えなさい」
「……ありがとうございます」
明玲は優しく微笑んでいる明妃の胸に飛び込んだ。母は優しく明玲を抱きしめ、背中をぽんぽんと軽く叩いた。
「明玲、よくがんばったわね」
「いえ……私などは何も……」
「蘇王は優しくしてくださってる?」
「はい……私、哥に甘えてばかりで……」
「バカな子ね」
明妃がコロコロと笑った。
「貴女はいっぱい蘇王に甘えればいいのよ。その方が蘇王も喜ぶはずだわ」
「そうなのでしょうか……」
イマイチよくわからないと明玲は思う。できるだけ哥の足を引っ張らないよう努めているつもりだが、何ができているとも言い難い。
「そうよ、偉仁は貴女が好きで好きでたまらないの。きっとできることなら館から一歩も出させたくないはずだわ」
当然のように芳妃に言われ、明玲は赤面した。そこまで哥に独占欲があるだろうか。趙山琴や妾妃に対して、哥がそのような様子を見せたことはただの一度もなかったように思う。
「そんな……」
本当にそうだったらいいのにと明玲は思った。芳妃は哥の母だから哥のことをよく理解しているのかもしれないが、それでもこういう子だと思い込んでいるところもあるのではないだろうか。明玲は自分が否定したいのか肯定したいのかよくわからなかった。
明玲は哥の物だということを自覚している。哥だから身体に触れるのも許しているし、他に妃がいることもどうにか耐えている。何より偉仁の妃はみな明玲をよく可愛がってくれる。嫉妬にかられている暇などないのだ。
(でも、哥が私だけの物だったらいいのに……)
叶わない願いをぼんやりと思い浮かべた時、部屋の外からキャーーーーー!! という絹を引き裂くような女性たちの悲鳴が届いた。何事かと明玲は扉の方を見る。
「芳妃娘娘、皆様は部屋の奥へ!!」
女官たちと周梨が芳妃たちを守るように前へ出た。彼女たちは武官ではないが、ある程度武術の心得はある。芳妃は素早く明妃と明玲の手を取ると、寝室に入った。侍女が怯えたように寝室の扉の前に立つ。
何が起きているのだろう。
悲鳴は断続的に聞こえ、多くの足音まで聞こえてきた。芳妃は厳しい顔で寝室の扉を睨んでいる。
「……は保護せよ!」
「ここは違うか……」
何故扉を開ける音が響いているのか、何故男性の怒鳴るような声がしているのか。ここは皇帝以外の男性は立ち入り禁止のはずである。聞こえてくるのは女性の悲鳴と多くの男性の声。明妃は明玲を守るようにきつく抱きしめた。明玲もまた明妃を抱きしめ返す。
とんでもないことが起きている。
(偉仁哥……)
いつだって明玲を守ってくれる哥の顔が浮かんだ。
(哥……お願い……芳妃娘娘、明妃娘娘を守って……!!)
やがて男たちの足音が芳妃の部屋の前で止まった―ような気がした。
芳妃の部屋は後宮の中ほどにあった。これが序列を表しているのかどうか明玲にはわからない。ただ芳妃の部屋は明妃の部屋と近いのでたびたび訪ねることはあった。
「明玲娘娘をお連れしました」
「下がりなさい」
芳妃が女官長にひらひらと手を振る。女官長は逡巡した。
「……ですが……」
「……お前妾に逆らうのかえ? 明玲はこちらで預かるわ。異論があるのなら皇上を連れていらっしゃい」
「……諾(はい)……」
女官長と言っても芳妃には力及ばないようだった。いったい哥の母はどれほどの権力を持っているのだろう。明玲は内心身震いした。
「明玲、いらっしゃい」
「芳妃娘娘、明妃娘娘、この度は……」
「堅苦しい挨拶は不要よ。素直に明妃に甘えなさい」
「……ありがとうございます」
明玲は優しく微笑んでいる明妃の胸に飛び込んだ。母は優しく明玲を抱きしめ、背中をぽんぽんと軽く叩いた。
「明玲、よくがんばったわね」
「いえ……私などは何も……」
「蘇王は優しくしてくださってる?」
「はい……私、哥に甘えてばかりで……」
「バカな子ね」
明妃がコロコロと笑った。
「貴女はいっぱい蘇王に甘えればいいのよ。その方が蘇王も喜ぶはずだわ」
「そうなのでしょうか……」
イマイチよくわからないと明玲は思う。できるだけ哥の足を引っ張らないよう努めているつもりだが、何ができているとも言い難い。
「そうよ、偉仁は貴女が好きで好きでたまらないの。きっとできることなら館から一歩も出させたくないはずだわ」
当然のように芳妃に言われ、明玲は赤面した。そこまで哥に独占欲があるだろうか。趙山琴や妾妃に対して、哥がそのような様子を見せたことはただの一度もなかったように思う。
「そんな……」
本当にそうだったらいいのにと明玲は思った。芳妃は哥の母だから哥のことをよく理解しているのかもしれないが、それでもこういう子だと思い込んでいるところもあるのではないだろうか。明玲は自分が否定したいのか肯定したいのかよくわからなかった。
明玲は哥の物だということを自覚している。哥だから身体に触れるのも許しているし、他に妃がいることもどうにか耐えている。何より偉仁の妃はみな明玲をよく可愛がってくれる。嫉妬にかられている暇などないのだ。
(でも、哥が私だけの物だったらいいのに……)
叶わない願いをぼんやりと思い浮かべた時、部屋の外からキャーーーーー!! という絹を引き裂くような女性たちの悲鳴が届いた。何事かと明玲は扉の方を見る。
「芳妃娘娘、皆様は部屋の奥へ!!」
女官たちと周梨が芳妃たちを守るように前へ出た。彼女たちは武官ではないが、ある程度武術の心得はある。芳妃は素早く明妃と明玲の手を取ると、寝室に入った。侍女が怯えたように寝室の扉の前に立つ。
何が起きているのだろう。
悲鳴は断続的に聞こえ、多くの足音まで聞こえてきた。芳妃は厳しい顔で寝室の扉を睨んでいる。
「……は保護せよ!」
「ここは違うか……」
何故扉を開ける音が響いているのか、何故男性の怒鳴るような声がしているのか。ここは皇帝以外の男性は立ち入り禁止のはずである。聞こえてくるのは女性の悲鳴と多くの男性の声。明妃は明玲を守るようにきつく抱きしめた。明玲もまた明妃を抱きしめ返す。
とんでもないことが起きている。
(偉仁哥……)
いつだって明玲を守ってくれる哥の顔が浮かんだ。
(哥……お願い……芳妃娘娘、明妃娘娘を守って……!!)
やがて男たちの足音が芳妃の部屋の前で止まった―ような気がした。
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