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5.公爵家からお迎えがきました
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二日後、本当にプランタ公爵家からお迎えの馬車がきました。
やっぱりよくわかりません。
ヴィクトーリア様に送ってもらったその日から、男爵家の館での侍女の仕事は免除されることになった。どうやら私はヴィクトーリア様付きの侍女になるらしい。私の手にはあかぎれがあったので、それを治す為と男爵夫人はお高いハンドクリームをすぐに取り寄せて私の手に塗った。
「あの……夫人……」
「ローゼ、夫人じゃないでしょう? お母様と呼びなさい!」
「あ、はい。お母様……」
私の実母は貴女ではないのですが! って言えないけど。
それにしても男爵夫人の手のひら返しのすごかったこと。人ってここまで対応を変えられるんだということを学びました。大人なんか嫌いだ。
しかもなんとヴィクトーリア様は私の実母共々引き取ってくださるというではあーりませんか。
「私たちとっても仲が良かったわよね? って夫人に言われたのよ」
と実の母が苦笑していた。男爵夫人のお下がりだけどとドレスももらったと言っていた。なんか私の母に持参金を持たせてどこかに嫁がせるような勢いだった。そんなことないよね?
母を追い出さなかったこと、私に教育を受けさせてくれたことへの恩義はあったので、王太子から贈られたドレスは男爵夫人に進呈した。もうこんなドレス見るのも嫌だ。体のいい厄介払いである。男爵夫人はそれはそれは喜んで、外に着ていくことはできないけれどもサイズなどの調整をしてから館で着るという。いやー、喜んでいただけてよかったなー(棒)
んで、母と共にプランタ公爵家からお迎えの馬車に乗り、ドナドナされたのだった。
公爵家に着き、公爵様に挨拶をするのかと思ったら必要ないという。そうだよね、だって私ヴィクトーリア様付きの侍女になるんだもんね。
まずヴィクトーリア様に着任の挨拶はした。
「ローゼリンデ、よく来てくれたわね。部屋を用意させたからそこでお母様と暮らしてちょうだい。本格的な教育は明日からでいいわね?」
「はい……ありがとうございます」
そのまま下がっていいのかと思ったら、私は残るように言われた。小さな声で「しっかりやるのよ」と母に言われたが、何をどうしっかりやれというのか。母のことは館の侍女が部屋に案内してくれるらしい。母が部屋を辞してから、ヴィクトーリア様は人払いをした。
「ねえローゼリンデ、もうわかっているんでしょう?」
「え? な、何を、でございますか……?」
優雅に椅子に腰かけていたヴィクトーリア様が立ち上がった。あれ? こんなにヴィクトーリア様って背が高かったっけ?
「私が男だって……ヴィクトーリアの双子の弟のヴィクトールだってことを」
そう言いながらどんどん近づいてきた。私は後ずさり、すぐに壁ドンされてしまった。
こんな美形に壁ドンされたら一瞬で恋に落ちてしまいそうだが、私は混乱していた。確かにヴィクトールの可能性も考えていた。小説の中だとヴィクトールは病弱だったが、物語の最後ではプランタ公爵の後を継ぐ。でも目の前にいるのがヴィクトールだとしたら、ヴィクトーリアはいったいどこにいるんだろう?
「あ、ああああのっ! ヴィクトール様ではないかとは思ってました。でもそうしたらヴィクトーリア様は……?」
「……流行り病で三年前に亡くなったよ。あっけなかった。おかげで当時姉と瓜二つだった私に白羽の矢が立った。王立学園を卒業するまでヴィクトーリアのフリをすることになったんだ」
「えええええ」
情報量が多すぎて頭がパンクしそうです。小説の中では二人とも死ななかったはずだ。なのになんで悪役令嬢が先に退散してるわけ?
「そ、卒業したらどうするおつもりで……」
「それに関係してくるのが先日の卒業記念パーティーだよ。あの時予定としてはローゼにスケープゴートになってもらって、私はもう王太子なんか信じられないと言って失意のうちに婚約破棄を受け入れるつもりだったんだ。それなのに」
「あああ!」
小説通りなら確かにそうなったはずだ。そしてプランタ公爵家の後ろ盾を得る為王家は必死になってご機嫌取りをするはめになり、ヴィクトーリア様はプランタ公爵領に有利な方向で話を進め、弟を公爵に据える為領地経営をして更に公爵領を発展させていく。その間に素敵な出会いがあり……といけないいけない。
「わ、私もしかして……」
「ローゼのおかげで私は最低一年あの王太子と結婚しなければならなくなってしまった。まぁ一年過ぎたら私ではきっと子どもが産めないのです、とでもなんとでも言って離婚するつもりだが」
「も、申し訳ありません……」
「だから、ローゼにはその埋め合わせをしてもらわないといけない。言っていることはわかるな?」
「は、はいいいい……」
ヴィクトールと言われてみればそうなのかもと思う。もうヴィクトーリア様が女装しているイケメンにしか見えなくなった。
「私は来月には王宮に上がり、二か月後には王太子と結婚する。その際は、私付きの侍女として是非着いてきてくれるね?」
「はい……」
でもそんなことをしたら王太子に手を出されてしまうかもしれないじゃないか。
「王太子には指一本触れさせない。王太子とは結婚もしたくないし妾にもなりたくないんだろう?」
「はい! もちろんです!」
私は即答した。
「……面白い女だ。気に入ったよローゼリンデ。二枚目の穏やかに暮らしていきたいという願いも私が叶えてやろう。だがそれは私が王太子と離縁してからだ。わかったな?」
「……はい」
私にはもう選択肢なんてなかった。
あの、イケメンすぎるんでもう少し離れていただいてもいいですか?
やっぱりよくわかりません。
ヴィクトーリア様に送ってもらったその日から、男爵家の館での侍女の仕事は免除されることになった。どうやら私はヴィクトーリア様付きの侍女になるらしい。私の手にはあかぎれがあったので、それを治す為と男爵夫人はお高いハンドクリームをすぐに取り寄せて私の手に塗った。
「あの……夫人……」
「ローゼ、夫人じゃないでしょう? お母様と呼びなさい!」
「あ、はい。お母様……」
私の実母は貴女ではないのですが! って言えないけど。
それにしても男爵夫人の手のひら返しのすごかったこと。人ってここまで対応を変えられるんだということを学びました。大人なんか嫌いだ。
しかもなんとヴィクトーリア様は私の実母共々引き取ってくださるというではあーりませんか。
「私たちとっても仲が良かったわよね? って夫人に言われたのよ」
と実の母が苦笑していた。男爵夫人のお下がりだけどとドレスももらったと言っていた。なんか私の母に持参金を持たせてどこかに嫁がせるような勢いだった。そんなことないよね?
母を追い出さなかったこと、私に教育を受けさせてくれたことへの恩義はあったので、王太子から贈られたドレスは男爵夫人に進呈した。もうこんなドレス見るのも嫌だ。体のいい厄介払いである。男爵夫人はそれはそれは喜んで、外に着ていくことはできないけれどもサイズなどの調整をしてから館で着るという。いやー、喜んでいただけてよかったなー(棒)
んで、母と共にプランタ公爵家からお迎えの馬車に乗り、ドナドナされたのだった。
公爵家に着き、公爵様に挨拶をするのかと思ったら必要ないという。そうだよね、だって私ヴィクトーリア様付きの侍女になるんだもんね。
まずヴィクトーリア様に着任の挨拶はした。
「ローゼリンデ、よく来てくれたわね。部屋を用意させたからそこでお母様と暮らしてちょうだい。本格的な教育は明日からでいいわね?」
「はい……ありがとうございます」
そのまま下がっていいのかと思ったら、私は残るように言われた。小さな声で「しっかりやるのよ」と母に言われたが、何をどうしっかりやれというのか。母のことは館の侍女が部屋に案内してくれるらしい。母が部屋を辞してから、ヴィクトーリア様は人払いをした。
「ねえローゼリンデ、もうわかっているんでしょう?」
「え? な、何を、でございますか……?」
優雅に椅子に腰かけていたヴィクトーリア様が立ち上がった。あれ? こんなにヴィクトーリア様って背が高かったっけ?
「私が男だって……ヴィクトーリアの双子の弟のヴィクトールだってことを」
そう言いながらどんどん近づいてきた。私は後ずさり、すぐに壁ドンされてしまった。
こんな美形に壁ドンされたら一瞬で恋に落ちてしまいそうだが、私は混乱していた。確かにヴィクトールの可能性も考えていた。小説の中だとヴィクトールは病弱だったが、物語の最後ではプランタ公爵の後を継ぐ。でも目の前にいるのがヴィクトールだとしたら、ヴィクトーリアはいったいどこにいるんだろう?
「あ、ああああのっ! ヴィクトール様ではないかとは思ってました。でもそうしたらヴィクトーリア様は……?」
「……流行り病で三年前に亡くなったよ。あっけなかった。おかげで当時姉と瓜二つだった私に白羽の矢が立った。王立学園を卒業するまでヴィクトーリアのフリをすることになったんだ」
「えええええ」
情報量が多すぎて頭がパンクしそうです。小説の中では二人とも死ななかったはずだ。なのになんで悪役令嬢が先に退散してるわけ?
「そ、卒業したらどうするおつもりで……」
「それに関係してくるのが先日の卒業記念パーティーだよ。あの時予定としてはローゼにスケープゴートになってもらって、私はもう王太子なんか信じられないと言って失意のうちに婚約破棄を受け入れるつもりだったんだ。それなのに」
「あああ!」
小説通りなら確かにそうなったはずだ。そしてプランタ公爵家の後ろ盾を得る為王家は必死になってご機嫌取りをするはめになり、ヴィクトーリア様はプランタ公爵領に有利な方向で話を進め、弟を公爵に据える為領地経営をして更に公爵領を発展させていく。その間に素敵な出会いがあり……といけないいけない。
「わ、私もしかして……」
「ローゼのおかげで私は最低一年あの王太子と結婚しなければならなくなってしまった。まぁ一年過ぎたら私ではきっと子どもが産めないのです、とでもなんとでも言って離婚するつもりだが」
「も、申し訳ありません……」
「だから、ローゼにはその埋め合わせをしてもらわないといけない。言っていることはわかるな?」
「は、はいいいい……」
ヴィクトールと言われてみればそうなのかもと思う。もうヴィクトーリア様が女装しているイケメンにしか見えなくなった。
「私は来月には王宮に上がり、二か月後には王太子と結婚する。その際は、私付きの侍女として是非着いてきてくれるね?」
「はい……」
でもそんなことをしたら王太子に手を出されてしまうかもしれないじゃないか。
「王太子には指一本触れさせない。王太子とは結婚もしたくないし妾にもなりたくないんだろう?」
「はい! もちろんです!」
私は即答した。
「……面白い女だ。気に入ったよローゼリンデ。二枚目の穏やかに暮らしていきたいという願いも私が叶えてやろう。だがそれは私が王太子と離縁してからだ。わかったな?」
「……はい」
私にはもう選択肢なんてなかった。
あの、イケメンすぎるんでもう少し離れていただいてもいいですか?
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