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6.王太子妃付侍女(になる為)の教育はスパルタでした
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「もっと背筋をまっすぐに!」
「はい!」
はあーい、みんなのローゼリンデだよー。正真正銘ヒロインだよー。なのになんで私がプランタ公爵家の侍女頭と礼儀の家庭教師にしぼられているのでしょうか。
答えは簡単! ヴィクトーリア様(ヴィクトール)付きの侍女になったからだね! ヴィクトーリア様は一月後には王宮入りすることになってるんだ。その時私も一緒に付いて行くことになっているから、礼儀作法などをしっかりやり直しさせられているってわけっ! よい子のみんなはわかったかなー?(さわやかな笑顔で)
誰に話してるんだろう私。
昨日あれから更にぶっちゃけた話をした。しかも何故かその間私はソファに腰掛けるヴィクトーリア様の腕の中にいた。もう何がなんだかさっぱりわからない。
混乱してしまうので、現在の女装をして超強力な幻術をかけているイケメンをヴィクトーリア様と呼ぶが、中身はヴィクトールである。本物のヴィクトーリア様はもう天国へ召されてしまった。小説「悪役令嬢でございますでございますのことよ!」では、ヴィクトーリア様が異世界転生してきたラノベ好きの女子高生だったりするのだが、こちらのヴィクトーリア様がどうだったのかはわからないという。なにせ小説の開始時期より前に身罷られてしまったからね。双子の弟であったヴィクトールは、ヴィクトーリア様の死によって自分が異世界転生した存在だと気づいたようだ。うわあ超ベタな展開だねっ。
「ローゼも転生者だろう。だが、いつ自分が転生者だと気づいたんだ?」
「……卒業記念パーティーの……王太子が手配した馬車を待っていた時ですぅ……」
「……だからあんなに取り乱していたのか」
「おなか痛いって、行けないって言ったのにいいい~~~」
泣きそうだ。よしよしと頬を撫でられた。だからなんでこんなに至近距離なのか。
「元の世界では?」
「ラノベ好きの女子大生でした……」
「マジか」
「そういうヴィクトーリア様は……?」
ヴィクトーリア様は困ったような顔をした。
「笑うなよ。私は高校生だった」
「えええええ」
笑わないけど元は高校生だったの? それなのに何この落ち着き。
「転生前も、男子だったんだよね?」
「タメ口を使うな。ローゼはボロが出やすい。私に対しては常に丁寧語を意識しろ」
へーへー言われた通りでございますよーだ。でも私は女子大生だったんだぞ。年上を敬いたまえー。
「はーい……で、どうなんです?」
「もちろん前世も男だった」
「男子でも悪役令嬢モノって読むんですね~」
「……姉に押し付けられたんだ。感想文まで書けと言われて……おかげで無駄に読み込んでしまった」
「マジか」
「丁寧語を使え」
「はい!」
だから元から私にあまり関わらないようにしていたのか。私に嫌がらせをしていたのはヴィクトーリア様の取り巻きだったけど、ヴィクトーリア様は全く知らなかったみたいだもんね。あくまで取り巻きが勝手にやったことだし、悪役令嬢が転生者じゃなかったらされるような、えげつないこととか命に関わるようなこともされなかった。卒業記念パーティーの会場で王太子がいくら騒いでも婚約破棄などできようはずもなかったのだ。
つまり、婚約を解消するかどうかも全てヴィクトーリア様の胸三寸だったわけだ。
王太子、手のひらの上で転がらせられすぎ。
「……女装をして王太子の婚約者でいることにしたのは誰の指示だったんですか?」
「公爵だ。元々公爵はヴィクトーリアを王家に嫁がせるのは反対だった。小さい頃から王太子の資質を見抜いていたんだな。私にヴィクトーリアのフリをさせたのは王太子を監視する意味合いもあったんだ」
「そうだったんですね……でも、よく私以外にバレませんでしたね?」
「かなり強力な認識阻害魔法も併用しているからな。だからローゼにバレたのは意外だった。転生者ということも関係しているのかもしれないが……」
でも卒業記念パーティーの時初めて違和感を覚えた程度なのだ。転生者でもそう簡単には見破られないと思う。
「そういえばこの世界って魔法がありますけど、王宮では魔法を阻害する結界みたいなものって張ってないんですか? もしそれに触れたら女装がバレちゃうとか、そういう心配はないんですか?」
「私を誰だと思っている」
え? なんでいきなり俺様的発言。
「プランタ公爵家は代々大魔法使いを出している家系だ。王宮の結界を張っているのは父だ。だから私が行使する魔法はどこででも使用可能だ」
うわー、職権乱用だー。なんてチートなんだー。これはもう誰も勝てないぜー。
「だから安心して、ローゼは私の側にいればいい」
両手を掴まないでほしいです。女装したイケメンの顔が至近距離でつらいです。チョロインなんですからあまり近づかないでください。
そんな経緯により、王宮に上がるまでの一か月、私は文字通りスパルタ教育をされたのだった。
あー、学校……。
「はい!」
はあーい、みんなのローゼリンデだよー。正真正銘ヒロインだよー。なのになんで私がプランタ公爵家の侍女頭と礼儀の家庭教師にしぼられているのでしょうか。
答えは簡単! ヴィクトーリア様(ヴィクトール)付きの侍女になったからだね! ヴィクトーリア様は一月後には王宮入りすることになってるんだ。その時私も一緒に付いて行くことになっているから、礼儀作法などをしっかりやり直しさせられているってわけっ! よい子のみんなはわかったかなー?(さわやかな笑顔で)
誰に話してるんだろう私。
昨日あれから更にぶっちゃけた話をした。しかも何故かその間私はソファに腰掛けるヴィクトーリア様の腕の中にいた。もう何がなんだかさっぱりわからない。
混乱してしまうので、現在の女装をして超強力な幻術をかけているイケメンをヴィクトーリア様と呼ぶが、中身はヴィクトールである。本物のヴィクトーリア様はもう天国へ召されてしまった。小説「悪役令嬢でございますでございますのことよ!」では、ヴィクトーリア様が異世界転生してきたラノベ好きの女子高生だったりするのだが、こちらのヴィクトーリア様がどうだったのかはわからないという。なにせ小説の開始時期より前に身罷られてしまったからね。双子の弟であったヴィクトールは、ヴィクトーリア様の死によって自分が異世界転生した存在だと気づいたようだ。うわあ超ベタな展開だねっ。
「ローゼも転生者だろう。だが、いつ自分が転生者だと気づいたんだ?」
「……卒業記念パーティーの……王太子が手配した馬車を待っていた時ですぅ……」
「……だからあんなに取り乱していたのか」
「おなか痛いって、行けないって言ったのにいいい~~~」
泣きそうだ。よしよしと頬を撫でられた。だからなんでこんなに至近距離なのか。
「元の世界では?」
「ラノベ好きの女子大生でした……」
「マジか」
「そういうヴィクトーリア様は……?」
ヴィクトーリア様は困ったような顔をした。
「笑うなよ。私は高校生だった」
「えええええ」
笑わないけど元は高校生だったの? それなのに何この落ち着き。
「転生前も、男子だったんだよね?」
「タメ口を使うな。ローゼはボロが出やすい。私に対しては常に丁寧語を意識しろ」
へーへー言われた通りでございますよーだ。でも私は女子大生だったんだぞ。年上を敬いたまえー。
「はーい……で、どうなんです?」
「もちろん前世も男だった」
「男子でも悪役令嬢モノって読むんですね~」
「……姉に押し付けられたんだ。感想文まで書けと言われて……おかげで無駄に読み込んでしまった」
「マジか」
「丁寧語を使え」
「はい!」
だから元から私にあまり関わらないようにしていたのか。私に嫌がらせをしていたのはヴィクトーリア様の取り巻きだったけど、ヴィクトーリア様は全く知らなかったみたいだもんね。あくまで取り巻きが勝手にやったことだし、悪役令嬢が転生者じゃなかったらされるような、えげつないこととか命に関わるようなこともされなかった。卒業記念パーティーの会場で王太子がいくら騒いでも婚約破棄などできようはずもなかったのだ。
つまり、婚約を解消するかどうかも全てヴィクトーリア様の胸三寸だったわけだ。
王太子、手のひらの上で転がらせられすぎ。
「……女装をして王太子の婚約者でいることにしたのは誰の指示だったんですか?」
「公爵だ。元々公爵はヴィクトーリアを王家に嫁がせるのは反対だった。小さい頃から王太子の資質を見抜いていたんだな。私にヴィクトーリアのフリをさせたのは王太子を監視する意味合いもあったんだ」
「そうだったんですね……でも、よく私以外にバレませんでしたね?」
「かなり強力な認識阻害魔法も併用しているからな。だからローゼにバレたのは意外だった。転生者ということも関係しているのかもしれないが……」
でも卒業記念パーティーの時初めて違和感を覚えた程度なのだ。転生者でもそう簡単には見破られないと思う。
「そういえばこの世界って魔法がありますけど、王宮では魔法を阻害する結界みたいなものって張ってないんですか? もしそれに触れたら女装がバレちゃうとか、そういう心配はないんですか?」
「私を誰だと思っている」
え? なんでいきなり俺様的発言。
「プランタ公爵家は代々大魔法使いを出している家系だ。王宮の結界を張っているのは父だ。だから私が行使する魔法はどこででも使用可能だ」
うわー、職権乱用だー。なんてチートなんだー。これはもう誰も勝てないぜー。
「だから安心して、ローゼは私の側にいればいい」
両手を掴まないでほしいです。女装したイケメンの顔が至近距離でつらいです。チョロインなんですからあまり近づかないでください。
そんな経緯により、王宮に上がるまでの一か月、私は文字通りスパルタ教育をされたのだった。
あー、学校……。
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