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第1部 四神と結婚しろと言われました
61.勉強した甲斐があったというものです
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それにしても相手は神様なので香子の言うこと(どんな言語であっても)が理解できるというのはなんとなく納得してしまうのだが、一体どういうメカニズムなのだろうかとは考えてしまう。
『私が日本語で話しても理解できるというのはわかりましたが、どういう風に聞こえるものなのですか?』
聞くと青龍は難しい表情をした。どう答えたらいいのかわからないのだろう。
『うーんと、私がこうやって話しているのはそのまま聞こえて理解できますよね? でも日本語で話すと言語が違うからどういう風に理解しているのかなーって……』
香子が考えながら言葉を紡ぐと、青龍は香子の髪を撫でた。
『そうだな……なんといっていいのかわからないのだが、我らは人の声を聞く時表面の音だけでなく頭の中から言っていることを聞いているのだ』
(……え……?)
やっぱりよくわからない。
それは言語中枢というより心を読んでいる、という状態なのだろうか。
『えーと、それってもしかして人の心を読んでるってことですかね?』
『そうだな、それに一番近いかもしれぬ』
さらっと言われてなんだか気が遠くなりそうである。読まれている方はたまったものではないが、青龍は大したことではないように答えた。
『だが、そなたの考えまでは読めぬ』
「……え……?」
それはいったいどういうことだろうか。香子は青龍の顔を窺った。
『人の考えというのは透けて見えるが、そなたの考えはわからぬ。唯一そなたが元の言葉を紡ぐ時は一瞬だけ垣間見えるが、何故かそなたがこちらの言葉を使っている時はまるで霧がかかったようにその内心までは読めぬのだ』
それは、香子の中国語はあくまで外国語に過ぎないということだろうか。香子は難しい顔をした。
『だが、本来花嫁の思考は我らにはわからぬものだと玄武兄や朱雀兄は言う。そしてそれは我らに与えられた試練なのだと』
『試練?』
香子はいぶかしげに聞き返した。
『そうだ。我らには人の考えていることがわかる。そなたの考えまでわかってしまったらそなたの望むように行動をすることも可能だ。それでは意味がないということだろう』
それはそれで一理あると香子も思う。
『でも私が日本語を使っている時は見える、んですよね?』
『その時だけだが。おそらくは意志の疎通に必要な情報を引き出す必要があるのだろう』
ようは自動翻訳みたいなものか、と香子は自分なりに理解する。
『……しつこいようですけど、私が中国語を使っている時は見えない、んですか?』
『時と場合による。おそらくそなたにとって言いづらいことや複雑な会話をする時には見えることもある』
ということは。
香子は頭をフル回転させる。
『確か他国の者が参った時、自分の言語からこの国の言語に頭の中で訳して話すということを聞いたことがある。だがそなたにはそれがほとんどない』
香子は青龍の言葉に確信した。
(日本語から中国語に訳しながら話してる時は見えるけど、中国語を中国語で考えて話してる時は見えないのかもしれない)
あまり会話で使用しない単語は確かに思い出しながら話している気がするので、その際には日本語で文章の構築をしているのだろう。
ということは大体中国語で物を考えて話せているということだ。
香子は嬉しくなった。
大学卒業まで勉強した甲斐があったというものである。
『大体わかりました、ありがとうございます』
香子は口元に笑みを浮かべた。それに青龍も柔らかい笑みを浮かべる。
(ってことは会話しててもおかしなものを感じたってことだよね?)
頭の中が見えたり見えなかったりするというのはなんとも落ち着かない気がする。
まだ若い青龍が香子をして得体がしれないものと断じるには十分だったわけだ。
そんなことを考えていると再び青龍に抱き込まれた。
『まだ早い。もう少し寝ていよう』
そう言って青龍は香子の目尻に口づける。
どんなに得体がしれなくても香子を花嫁だと確信した今、青龍を押し止めるものはないということに彼女はまだ気づいていなかった。
『私が日本語で話しても理解できるというのはわかりましたが、どういう風に聞こえるものなのですか?』
聞くと青龍は難しい表情をした。どう答えたらいいのかわからないのだろう。
『うーんと、私がこうやって話しているのはそのまま聞こえて理解できますよね? でも日本語で話すと言語が違うからどういう風に理解しているのかなーって……』
香子が考えながら言葉を紡ぐと、青龍は香子の髪を撫でた。
『そうだな……なんといっていいのかわからないのだが、我らは人の声を聞く時表面の音だけでなく頭の中から言っていることを聞いているのだ』
(……え……?)
やっぱりよくわからない。
それは言語中枢というより心を読んでいる、という状態なのだろうか。
『えーと、それってもしかして人の心を読んでるってことですかね?』
『そうだな、それに一番近いかもしれぬ』
さらっと言われてなんだか気が遠くなりそうである。読まれている方はたまったものではないが、青龍は大したことではないように答えた。
『だが、そなたの考えまでは読めぬ』
「……え……?」
それはいったいどういうことだろうか。香子は青龍の顔を窺った。
『人の考えというのは透けて見えるが、そなたの考えはわからぬ。唯一そなたが元の言葉を紡ぐ時は一瞬だけ垣間見えるが、何故かそなたがこちらの言葉を使っている時はまるで霧がかかったようにその内心までは読めぬのだ』
それは、香子の中国語はあくまで外国語に過ぎないということだろうか。香子は難しい顔をした。
『だが、本来花嫁の思考は我らにはわからぬものだと玄武兄や朱雀兄は言う。そしてそれは我らに与えられた試練なのだと』
『試練?』
香子はいぶかしげに聞き返した。
『そうだ。我らには人の考えていることがわかる。そなたの考えまでわかってしまったらそなたの望むように行動をすることも可能だ。それでは意味がないということだろう』
それはそれで一理あると香子も思う。
『でも私が日本語を使っている時は見える、んですよね?』
『その時だけだが。おそらくは意志の疎通に必要な情報を引き出す必要があるのだろう』
ようは自動翻訳みたいなものか、と香子は自分なりに理解する。
『……しつこいようですけど、私が中国語を使っている時は見えない、んですか?』
『時と場合による。おそらくそなたにとって言いづらいことや複雑な会話をする時には見えることもある』
ということは。
香子は頭をフル回転させる。
『確か他国の者が参った時、自分の言語からこの国の言語に頭の中で訳して話すということを聞いたことがある。だがそなたにはそれがほとんどない』
香子は青龍の言葉に確信した。
(日本語から中国語に訳しながら話してる時は見えるけど、中国語を中国語で考えて話してる時は見えないのかもしれない)
あまり会話で使用しない単語は確かに思い出しながら話している気がするので、その際には日本語で文章の構築をしているのだろう。
ということは大体中国語で物を考えて話せているということだ。
香子は嬉しくなった。
大学卒業まで勉強した甲斐があったというものである。
『大体わかりました、ありがとうございます』
香子は口元に笑みを浮かべた。それに青龍も柔らかい笑みを浮かべる。
(ってことは会話しててもおかしなものを感じたってことだよね?)
頭の中が見えたり見えなかったりするというのはなんとも落ち着かない気がする。
まだ若い青龍が香子をして得体がしれないものと断じるには十分だったわけだ。
そんなことを考えていると再び青龍に抱き込まれた。
『まだ早い。もう少し寝ていよう』
そう言って青龍は香子の目尻に口づける。
どんなに得体がしれなくても香子を花嫁だと確信した今、青龍を押し止めるものはないということに彼女はまだ気づいていなかった。
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