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第1部 四神と結婚しろと言われました
131.朝はいつもいたたまれないのです ※R13
昨日一昨日と違って痛みなど欠片もない交わりだった。
甘い熱をただひたすらに受けて快感に翻弄される。
「……はぁ……」
昨夜熱が冷めた後、気を失うようにして眠りについた。香子は自分の髪を一房手に取って色を確認した。
こうやって毎晩のように熱を与えられて髪の色が定着していくのがわかるのがとても恥ずかしい。もちろんその理由を知っているのは四神と眷族だけなのだろうが、侍女たちもうすうす感づいているだろう。ただそれはまだ髪が赤い状態だからそれほど違和感なく受け入れられるのであって、黒に戻った後だったなら奇異な目で見られたに違いない。
(見たことない人からすれば大して変わらないか……)
『……随分と悩ましいため息だな』
背後から甘いバリトンが届き、香子はふるりと身を震わせた。だからもう本当に朝からはやめてほしい。そういえば昨夜は玄武の室に連れて来られたのだったと思い出した。
『疲れてるだけです……おはようございます、玄武様』
『おはよう、香子。……体がつらいのか?』
意外そうに言われ、後ろから抱きしめられた。そのまま首筋をはまれ、香子はびくん、と身を震わせる。
『玄武様……』
『……しばしこのままで』
それは真面目な声音であったから、香子は素直に体の力を抜いた。朱雀と違い、こういうところは信頼できると思う。首筋をやわやわとはまれているうちに、腰の辺りに溜った気だるさが払拭されるのを感じた。
(こんなこと、誰に対してもできるのかしら……)
それとも香子が花嫁だからなのか判別はつかない。それでも体が楽になったのは事実だった。
『……ありがとうございます。大分楽になりました』
『礼には及ばぬ』
体が軽くなってきたように思うのに、玄武の唇は離れない。それを拒絶するすべも持たないので、香子はそのままでいた。
『……おなかすいた』
抱かれるとひどくおなかがすく。
『起きたことは伝えてある。今しばらく待て』
『はい……』
おなかがすいているせいかいろいろな食べ物が頭に浮かぶ。あれも食べたいこれも食べたいとぼんやり思った。
『猫耳朵(小麦粉で貝殻の形のように練って作った麺。パスタにも似たようなものがあるがあれほどの固さはない)が食べたいなぁ……』
『猫耳朵(猫の耳)?』
玄武の不思議そうな問いに、そのままの意味に取られてしまったことに気付く。
『猫の耳の形をした麺の一種です。食べたことありません?』
『……あまり食には興味ないのでな……』
そういえばそうだった。
『卵とトマト、チンゲンザイのスープに入ってるのがおいしいんですよ』
『ふむ……』
というかその味でしか食べたことがないのでなんともいえないのだが、そういうものがこちらの世界にもあったらいいなと思って話してみる。
『あー、そういえばワンタンも食べたいかも……海苔の鶏ガラ醤油ベースのスープのがおいしいんですよねぇ……』
食べ物の話をしているだけで顔がほころんでくる香子を、玄武は微笑ましくてならないというように見つめていた。
『猫耳朵とワンタン、他に何か食べたいものはあるか?』
『んー……毎朝春巻食べてたので春巻は絶対食べたいですね』
『そうか』
こうなってくるともう色気より食い気である。実際抱かれた翌日はとんでもない飢えにさいなまれるのだ。それはどんなに甘く抱かれても仕方のないことらしい。それこそお菓子でもなんでも摘む物を置いておいてほしいぐらいである。
そして香子を抱いた玄武や朱雀もまた食欲が湧くらしく、優雅に食べる姿を見られるのも不思議だった。
朱雀は前の花嫁を抱いたことがあるはずだが、玄武は花嫁として抱いたのは香子が初めてだという。そうは言ってももう千歳の玄武が童貞であるはずがない。現に以前そういう関係を持った相手がいると言っていた気がする。香子はふと気になったことを聞いてみることにした。
『そういえば、玄武様っていつ頃からそういう経験があるのですか?』
その問いに香子の項に顔を埋めていた玄武が顔を上げた。
甘い熱をただひたすらに受けて快感に翻弄される。
「……はぁ……」
昨夜熱が冷めた後、気を失うようにして眠りについた。香子は自分の髪を一房手に取って色を確認した。
こうやって毎晩のように熱を与えられて髪の色が定着していくのがわかるのがとても恥ずかしい。もちろんその理由を知っているのは四神と眷族だけなのだろうが、侍女たちもうすうす感づいているだろう。ただそれはまだ髪が赤い状態だからそれほど違和感なく受け入れられるのであって、黒に戻った後だったなら奇異な目で見られたに違いない。
(見たことない人からすれば大して変わらないか……)
『……随分と悩ましいため息だな』
背後から甘いバリトンが届き、香子はふるりと身を震わせた。だからもう本当に朝からはやめてほしい。そういえば昨夜は玄武の室に連れて来られたのだったと思い出した。
『疲れてるだけです……おはようございます、玄武様』
『おはよう、香子。……体がつらいのか?』
意外そうに言われ、後ろから抱きしめられた。そのまま首筋をはまれ、香子はびくん、と身を震わせる。
『玄武様……』
『……しばしこのままで』
それは真面目な声音であったから、香子は素直に体の力を抜いた。朱雀と違い、こういうところは信頼できると思う。首筋をやわやわとはまれているうちに、腰の辺りに溜った気だるさが払拭されるのを感じた。
(こんなこと、誰に対してもできるのかしら……)
それとも香子が花嫁だからなのか判別はつかない。それでも体が楽になったのは事実だった。
『……ありがとうございます。大分楽になりました』
『礼には及ばぬ』
体が軽くなってきたように思うのに、玄武の唇は離れない。それを拒絶するすべも持たないので、香子はそのままでいた。
『……おなかすいた』
抱かれるとひどくおなかがすく。
『起きたことは伝えてある。今しばらく待て』
『はい……』
おなかがすいているせいかいろいろな食べ物が頭に浮かぶ。あれも食べたいこれも食べたいとぼんやり思った。
『猫耳朵(小麦粉で貝殻の形のように練って作った麺。パスタにも似たようなものがあるがあれほどの固さはない)が食べたいなぁ……』
『猫耳朵(猫の耳)?』
玄武の不思議そうな問いに、そのままの意味に取られてしまったことに気付く。
『猫の耳の形をした麺の一種です。食べたことありません?』
『……あまり食には興味ないのでな……』
そういえばそうだった。
『卵とトマト、チンゲンザイのスープに入ってるのがおいしいんですよ』
『ふむ……』
というかその味でしか食べたことがないのでなんともいえないのだが、そういうものがこちらの世界にもあったらいいなと思って話してみる。
『あー、そういえばワンタンも食べたいかも……海苔の鶏ガラ醤油ベースのスープのがおいしいんですよねぇ……』
食べ物の話をしているだけで顔がほころんでくる香子を、玄武は微笑ましくてならないというように見つめていた。
『猫耳朵とワンタン、他に何か食べたいものはあるか?』
『んー……毎朝春巻食べてたので春巻は絶対食べたいですね』
『そうか』
こうなってくるともう色気より食い気である。実際抱かれた翌日はとんでもない飢えにさいなまれるのだ。それはどんなに甘く抱かれても仕方のないことらしい。それこそお菓子でもなんでも摘む物を置いておいてほしいぐらいである。
そして香子を抱いた玄武や朱雀もまた食欲が湧くらしく、優雅に食べる姿を見られるのも不思議だった。
朱雀は前の花嫁を抱いたことがあるはずだが、玄武は花嫁として抱いたのは香子が初めてだという。そうは言ってももう千歳の玄武が童貞であるはずがない。現に以前そういう関係を持った相手がいると言っていた気がする。香子はふと気になったことを聞いてみることにした。
『そういえば、玄武様っていつ頃からそういう経験があるのですか?』
その問いに香子の項に顔を埋めていた玄武が顔を上げた。
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