異世界で四神と結婚しろと言われました

浅葱

文字の大きさ
132 / 653
第1部 四神と結婚しろと言われました

132.そういうの気になりません? ※R13

しおりを挟む
『気になるか?』

 逆に聞き返されて香子は首を傾げた。触れられたくないことだったのだろうか。

『うーん……気にならないと言えば嘘になりますが、その……』

 そこまで言って香子は頬を染めた。
 香子は処女ではなかったが、玄武や朱雀に触れられるまであんなに感じたことはなかった。それは四神の花嫁ということもあるのかもしれなかったが、あれほどいろいろなところに触れられたこともない。
 だから長生きしているなりに経験豊富なのだろうと思ったのだ。
 玄武は香子が赤くなったのに気付いたのか、香子の身体を己に向き直らせた。
 そして夜着の中に手を差し入れ、やわやわとその胸を揉み始めた。

『玄武様……』
『あまり褒められたことではないが、貢物の中に妙齢の女性が入っていることがある。処女はすぐに送り返したが、経験豊富な女性を相手にすることはあったな』

 そう言いながら柔らかいタッチで香子の胸の尖りを摘む。

『……そう、だったんですか……』

 なんで処女はだめなのだろうかと疑問が浮かんだが、玄武の愛撫にすぐ息が上がってしまい聞くことができない。しかもなんだか質問の答えをずらされているような気もする。
 このままだと朝なのにまた抱かれてしまうかもしれないという危機感を覚えた時、表の扉が開く音がした。それに玄武が残念そうに嘆息したが、香子は助かったと思った。

『朝食を届けにきたようです』

 寝室の向こうから声をかけてきたのは朱雀だった。

『わかった』

 玄武が応え、手早く香子の身支度を整えた。そういうところも手慣れているなと香子は思う。別に過去の女性関係に妬くとかそういうことはないのだけど。
 自分で体を動かせるとは思ったが短い距離なのにやっぱり玄武に抱かれて居間に移動した。

『わぁ……』

 侍女たちがテーブルに並べていく料理に香子は感嘆の声を上げた。

猫耳朵マオアールドゥだぁ……。ワンタンもあるー』

 ここまで自分の希望を聞いてもらうのは本当に申し訳ないと思いながらもにこにこしてしまう。
 そんな香子の様子に侍女たちは顔がほころぶのを抑えるのに精いっぱいだった。基本的に身分の高い者というのは食事一つにここまで喜びを表すことがない。ただ運ばれてきた物を当り前のように淡々と食すだけである。だから香子がその都度喜んで食べるのが侍女たちも料理人たちも嬉しくてならなかった。
 香子が求めるものは珍味でも作るのにそれほど手間がかかるものでもない。市井の者がたちが食べるのよりは少しいいぐらいの料理をおいしいおいしいと食べる。宮廷の料理人としては腕の揮い甲斐がないかもしれないが、それでも香子が喜んでくれると思うと多少の我がままは聞いてくれるようだった。
 香子リクエストの春巻もあったし、他にもいろいろと用意されている。
 香子は相変わらず玄武に抱かれたまま長椅子に腰掛ける状態になった。朱雀がその横に座る。
 お茶の準備をして侍女たちが退室してから香子は両手を合わせた。

「いただきます」

 二神に甲斐甲斐しく世話を焼かれながら香子はまたいっぱい食べた。
 鶏ガラ醤油ベースの海苔のスープに入ったワンタンは肉厚で食べごたえがある。トマトと卵、チンゲンサイのスープで食べる猫耳朵も柔らかくて食べやすくいくらでも食べられてしまうかんじだった。焼きそばのように猫耳朵を炒めるという料理があったことも思い出す。

(今度は炒めてもらおう)

 もう次のごはんを考えている辺り食い意地が張っていると言わざるを得ない。胃がひとごこちついたところで、香子は先ほどの疑問を蒸し返すことにした。ベッドの中で聞くには危険だし、かといって不特定多数の人がいるところで聞くのもどうかと思ったので。
 幸い紅夏も黒月も室の外に控えているので居間にいるのは二神と香子だけだった。

『あのぅ、玄武様。先ほどのお話なのですが……』

 そう言って玄武の顔を見ると困ったような表情をされた。だが質問ぐらいはさせてほしい。

『どうして処女は抱かないのですか?』

 それを聞いた途端、朱雀がお茶を噴いた。珍しいこともあるものだと香子は目を丸くする。玄武は苦笑した。

香子シャンズ……いくら貢物とはいえ処女を抱くということは娶るということだ。我ら四神が娶るのは異世界からの花嫁のみ。他の女性を娶るわけにはいかぬ』

 それにやっと香子は納得した。そういえばこの世界では普通処女のままお嫁に行くのだった。

『……でも、処女かどうかってわかるものなのですか?』

 普通は抱いてみないとわからないものなのではないかと香子は思い、首を傾げた。

『わかる』

 朱雀がため息交じりに答えた。

『男を受け入れたことがある者とそうでない者とでは香が違うのだ。……ただ、そなたからは花嫁としての香が強いから触れるまではわからなかったが』
(香り、香りって、犬か……)
『わかりました、ありがとうございました』

 他にも聞きたいことがあったような気がしたが、また今度にするとして香子はお茶を啜った。
しおりを挟む
感想 94

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

処理中です...