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本編
100.渗透
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その夜も紅児は紅夏に抱かれた。
”熱”を受けながら紅夏を受け入れるのは正直つらい。その時は何がなんだかわからなくなってしまうのに、目覚めれば何故か全てがありありと思い出されてしまうから。
恥ずかしくて被子(掛け布団)を頭から被り丸くなる紅児を紅夏は微笑ましいというように見つめている。その余裕に満ちた表情にもなんだかむっとしてしまう。起きて体が動かないとかだるいとかいうことはないが、とにかくいたたまれない。
「エリーザ……確認をさせてくれまいか?」
何を? と紅児は被子の下で首を傾げる。そのまま出ていくのはまだ恥ずかしいので手だけ出して紅夏の腕にそっと触れた。
「?」
びくり、とする。なにか違う感じがした。
静電気とは違う。うまく言えないのだけれど、紅夏に触れただけでひどく安心する。
紅児は意志をもって紅夏の腕を掴んだ。これはとても大事な物だと思った。
「ほぼ馴染んだな……」
満足そうな声に紅児ははっとした。馴染んだというのは、つまり。
「これならば村との往復も耐えられるだろう」
〈あ……〉
紅児は赤くなった。こんなにも紅夏は己のことを考えてくれている。なのに自分はどうだろう。
しかし”馴染んだ”とはいったい何が馴染んでいるのだろう? 紅児は被子の中で再び首を傾げた。
〈あの……”馴染んだ”って何が、ですか?〉
まだ恥ずかしいので心の中で質問する。
〈ああ……そなたを抱いた時”熱”と”精”を与えているだろう。それが体に馴染みはじめているのだ〉
”熱”はわかる。でも”精”とは……。
そこで紅児は紅夏に抱かれている情景を思い出し、真っ赤になった。
(もしかして、もしかして、もしかしてっっ!?)
今更なのだが紅夏がどうやら避妊してくれていないことに気付く。
「紅、紅夏様っっ! あ、あああの赤ちゃん、赤ちゃんできちゃいますっ……!!」
避妊という言葉がわからなくてぐるぐる回る頭の中わかりそうな言葉を選んで叫んだ。すると被子の中からするりと引っ張り出された。
(はぅっ!? はわわわわわわっっ!)
軽々と抱き起され、至近距離に紅夏の顔が迫る。その表情はいかにも楽し気だった。
「子どもができたら困るのか?」
「い、いえ、でもまだ心の準備というか……まだその出会って日も浅いですし……」
紅児は自分でも何を言っているのかよくわからなかった。動揺しすぎてもう何がなんだかというやつである。
「それはまだ我としばらく二人で愛し合いたいということでいいのだな?」
「え……あ、はい。……そういうこと、なのかしら……?」
反射的に応えてしまったが、それが正解なのかはやっぱりよくわからなかった。
「エリーザ……」
途端二人の間に甘い空気が漂う。
「紅、紅夏さま……っ!?」
「最後まではせぬ。……だが、そなたを味わいたい」
紅児は真っ赤になり口を開けたり閉めたりすることしかできなかった。
そしてまた床に押し倒され、朝から甘く啼かされてしまったのである。
解放されたのは昼前だった。それも紅児が「おなか……すきましたっ……」と訴えてようやくである。
紅夏と結婚したことは後悔していないがこれでは気持ちも体も持ちそうにない。
(体は……でもなんともないのよね……)
変に耳年増な紅児は、そういう行為をした後体がつらいものだと思っていた。けれど現実にはものすごく恥ずかしい思いはしているが、かえって抱かれると心も体も充実しているのがわかるのだ。
(でもそんなこと……紅夏様に聞けないし……)
抱かれても体がなんともないのは何故ですか? なんて。
そんなことを聞いたらなんだかとんでもないことになりそうな気がする。
紅児はわからないがなんとなく本能で悟っていた。もし紅夏にそんなことを聞こうものならまた実践されてしまうことは確定である。
朝食を終えてまた二人は紅夏の室に戻った。
当たり前のように床に連れ込まれてしまうのに紅児は頬を染める。けれど体が紅夏に馴染んできているせいか、くっついているだけでひどく安心するのもまた確かだった。
(これは”つがい”だからなのかしら……)
紅夏の腕の中に囚われたまま、紅児はうっとりと目を閉じた。
けれどそうのんびりもしていられないことは確かで。
「……朱雀様がお呼びだ」
やわやわと紅児の胸を揉んでいた手が止まり、残念そうな色を隠さずに紅夏が告げる。
「はい」
おそらく叔父から連絡が来たのだろう。
「叔父ですか?」
「それもある」
紅夏は素早く紅児の衣服を整えると、彼女を伴って室を出た。
甘い時間は終りだった。
渗透 中国語で「浸透する」の意味。馴染む、を調べたら親密と出てしまいました。紅夏の言った馴染む、は浸透しているということです。
”熱”を受けながら紅夏を受け入れるのは正直つらい。その時は何がなんだかわからなくなってしまうのに、目覚めれば何故か全てがありありと思い出されてしまうから。
恥ずかしくて被子(掛け布団)を頭から被り丸くなる紅児を紅夏は微笑ましいというように見つめている。その余裕に満ちた表情にもなんだかむっとしてしまう。起きて体が動かないとかだるいとかいうことはないが、とにかくいたたまれない。
「エリーザ……確認をさせてくれまいか?」
何を? と紅児は被子の下で首を傾げる。そのまま出ていくのはまだ恥ずかしいので手だけ出して紅夏の腕にそっと触れた。
「?」
びくり、とする。なにか違う感じがした。
静電気とは違う。うまく言えないのだけれど、紅夏に触れただけでひどく安心する。
紅児は意志をもって紅夏の腕を掴んだ。これはとても大事な物だと思った。
「ほぼ馴染んだな……」
満足そうな声に紅児ははっとした。馴染んだというのは、つまり。
「これならば村との往復も耐えられるだろう」
〈あ……〉
紅児は赤くなった。こんなにも紅夏は己のことを考えてくれている。なのに自分はどうだろう。
しかし”馴染んだ”とはいったい何が馴染んでいるのだろう? 紅児は被子の中で再び首を傾げた。
〈あの……”馴染んだ”って何が、ですか?〉
まだ恥ずかしいので心の中で質問する。
〈ああ……そなたを抱いた時”熱”と”精”を与えているだろう。それが体に馴染みはじめているのだ〉
”熱”はわかる。でも”精”とは……。
そこで紅児は紅夏に抱かれている情景を思い出し、真っ赤になった。
(もしかして、もしかして、もしかしてっっ!?)
今更なのだが紅夏がどうやら避妊してくれていないことに気付く。
「紅、紅夏様っっ! あ、あああの赤ちゃん、赤ちゃんできちゃいますっ……!!」
避妊という言葉がわからなくてぐるぐる回る頭の中わかりそうな言葉を選んで叫んだ。すると被子の中からするりと引っ張り出された。
(はぅっ!? はわわわわわわっっ!)
軽々と抱き起され、至近距離に紅夏の顔が迫る。その表情はいかにも楽し気だった。
「子どもができたら困るのか?」
「い、いえ、でもまだ心の準備というか……まだその出会って日も浅いですし……」
紅児は自分でも何を言っているのかよくわからなかった。動揺しすぎてもう何がなんだかというやつである。
「それはまだ我としばらく二人で愛し合いたいということでいいのだな?」
「え……あ、はい。……そういうこと、なのかしら……?」
反射的に応えてしまったが、それが正解なのかはやっぱりよくわからなかった。
「エリーザ……」
途端二人の間に甘い空気が漂う。
「紅、紅夏さま……っ!?」
「最後まではせぬ。……だが、そなたを味わいたい」
紅児は真っ赤になり口を開けたり閉めたりすることしかできなかった。
そしてまた床に押し倒され、朝から甘く啼かされてしまったのである。
解放されたのは昼前だった。それも紅児が「おなか……すきましたっ……」と訴えてようやくである。
紅夏と結婚したことは後悔していないがこれでは気持ちも体も持ちそうにない。
(体は……でもなんともないのよね……)
変に耳年増な紅児は、そういう行為をした後体がつらいものだと思っていた。けれど現実にはものすごく恥ずかしい思いはしているが、かえって抱かれると心も体も充実しているのがわかるのだ。
(でもそんなこと……紅夏様に聞けないし……)
抱かれても体がなんともないのは何故ですか? なんて。
そんなことを聞いたらなんだかとんでもないことになりそうな気がする。
紅児はわからないがなんとなく本能で悟っていた。もし紅夏にそんなことを聞こうものならまた実践されてしまうことは確定である。
朝食を終えてまた二人は紅夏の室に戻った。
当たり前のように床に連れ込まれてしまうのに紅児は頬を染める。けれど体が紅夏に馴染んできているせいか、くっついているだけでひどく安心するのもまた確かだった。
(これは”つがい”だからなのかしら……)
紅夏の腕の中に囚われたまま、紅児はうっとりと目を閉じた。
けれどそうのんびりもしていられないことは確かで。
「……朱雀様がお呼びだ」
やわやわと紅児の胸を揉んでいた手が止まり、残念そうな色を隠さずに紅夏が告げる。
「はい」
おそらく叔父から連絡が来たのだろう。
「叔父ですか?」
「それもある」
紅夏は素早く紅児の衣服を整えると、彼女を伴って室を出た。
甘い時間は終りだった。
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