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20.後始末を任せて帰ったら
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リックは俺を抱えたまま、酒場の扉を開けた。そして通行人に騎士団の詰め所へ連絡してくれと頼んだ。メモと、心付けももちろん渡して。騎士団の仲間たちが来るまでリックは無言だった。酒場の中はマスターを除いてみんな倒れていた。
リックはマスターにああ言った後、襲ってきた北の森勤務の騎士たちを全員返り討ちにしたのだ。足と、魔法で。俺は身体がうまく動かないからリックの腕の中でそれを見ていることしかできなかった。もうなんていうか、淡々と倒していくのがすごくカッコよくて、どきどきが抑えられなかった。なんだよリック、カッコよすぎかよ。うっかりときめいちゃったじゃないか。どうしてくれるんだ。
「……ふむ。それで襲われそうになったから返り討ちにしたと」
やってきたのは騎士団の副団長、他六名だった。副団長は冷たい目で倒れている奴らを睥睨した。
「はい。現にカイエは薬を使われて首から下が動きません」
「その薬はどれぐらいで抜けるんだ?」
「一晩寝れば抜けるかと」
「ならいいか。リックご苦労だった。今夜はカイエを連れて戻れ。明日は事情聴取をするからどちらかの部屋にいるように。明日の仕事は休んでいい」
「ありがとうございます」
「……副団長、ありがとうございます」
酒場の裏口から出て、俺たちはこっそり寮に戻った。俺? リックに抱き上げられて、だよ。あー情けない……。
リックはまっすぐ俺の部屋に向かった。俺をベッドに下ろして、
「着替えさせるから」
そう言って淡々と作業した。俺は部屋着に着替えさせられ、シーツをかけられた。なんかいつもと違ってどぎまぎした。
「お、おい……リック……」
「何?」
「お前、ここで寝るんじゃないのか?」
毎晩リックはここで寝ているのに、今日はなんだか様子が違った。だって騎士の制服を脱いでいないのだ。
「んー……僕、カイエのこと大好きなんだよ」
「う、うん……」
顔が熱くなる。
「だからさ、あんまりこういうのにつけこむのはいけないと思うんだよね」
「?」
「だって今カイエ、僕のことカッコいいって少しは思ってるでしょ?」
顔が更に熱くなった。なんなんだいったい。
「そ、そんな、ことは……」
俺はぷい、と横を向いた。
「えー、そんなー」
ぶーとリックが不満をあらわにする。よかった、いつものリックだって思った。
「カイエにカッコいいって思ってもらえるようにがんばるもんね。それはともかく、今カイエの身体って動かないじゃん」
「ああ……」
「今僕がカイエを襲おうと思えば簡単に襲えるんだよ。わかる? カイエが泣いて嫌がったって、カイエのかわいいお尻に僕のイチモツを入れてぐちょぐちょに犯しちゃうこともできるんだよ?」
露骨な言い方に、俺はぱくぱくと口を動かすことしかできなかった。
「そんなのやでしょ? だから今夜は戻るね」
「なん、で……」
だからって俺を一人にする必要はないと思った。
「もー、カイエ! 僕はカイエが好きで、愛してるから抱きたくてしょうがないの! カイエのかわいいお尻に僕のを突っ込んでめちゃくちゃに犯したいんだよっ! いいかげんわかってよっ!」
「……う……」
「薬は朝には抜けてるはずだから、もう寝て? また明日から口説かせてもらうから……」
リックの見かけに寄らず強いところとか、俺を気遣うところとか、もうなんていうか胸のきゅんきゅんが止まらない。
「……やだ」
「カイエ!?」
「抱いても……犯してもいいから……」
リックはさっきの俺みたいにぱくぱくと口を動かした。そして自分の頭をがしがし掻いた。
「もーーっ! 僕がこんなに我慢してるのにっ! カイエのばかっ! カイエ、今僕に抱かれるならお嫁さんになってもらうよ! 毎晩僕のイチモツを受け入れてあんあん啼くんだよ? 僕の子も孕んで産むんだよ? もちろん子育ては二人でするけど。その覚悟がないんだったら簡単にそんなこと言わないでよ!」
「リック……」
俺を口説いて落とそうとしているのはリックの方なのに、なんで俺が責められなきゃならないんだろう。
「……そんな約束しない」
「ほら、無理なんじゃん」
リックが拗ねている。なんだかそれが可愛く見えた。
「だって、俺まだリックに抱かれてないし……」
「それは……そうだけど」
リックの顎がしゃくれている。そんな顔久しぶりに見たなって思った。
「リックに抱かれたら、即リックのお嫁さんになるとかないだろ? だってほら、身体の相性もあるし」
「……そうだね」
リックがしゅんとなった。本当にコイツは俺が好きみたいだ。
「だから、さ……」
口の中がカラカラに乾いているのを感じた。
「俺がお嫁さんになってもいいと思うぐらい、俺を夢中にさせてくれよ……」
「カイエ、それってっ!」
俺はあまりの恥ずかしさに顔を横に向けた。リックの顔なんてとても見られない。
「うん、カイエがもっとしてっておねだりするぐらい啼かせてあげるから……抱かせて……」
耳元で囁かれてぞくぞくした。
男に抱かれるなんてとんでもないと思っていたけど、リックならいいかもって。だって物語で憧れた騎士みたいに俺を救ってくれたから……。
これは恥ずかしくて言えないけど。
俺は肯定するように、そっと目を閉じた。
リックはマスターにああ言った後、襲ってきた北の森勤務の騎士たちを全員返り討ちにしたのだ。足と、魔法で。俺は身体がうまく動かないからリックの腕の中でそれを見ていることしかできなかった。もうなんていうか、淡々と倒していくのがすごくカッコよくて、どきどきが抑えられなかった。なんだよリック、カッコよすぎかよ。うっかりときめいちゃったじゃないか。どうしてくれるんだ。
「……ふむ。それで襲われそうになったから返り討ちにしたと」
やってきたのは騎士団の副団長、他六名だった。副団長は冷たい目で倒れている奴らを睥睨した。
「はい。現にカイエは薬を使われて首から下が動きません」
「その薬はどれぐらいで抜けるんだ?」
「一晩寝れば抜けるかと」
「ならいいか。リックご苦労だった。今夜はカイエを連れて戻れ。明日は事情聴取をするからどちらかの部屋にいるように。明日の仕事は休んでいい」
「ありがとうございます」
「……副団長、ありがとうございます」
酒場の裏口から出て、俺たちはこっそり寮に戻った。俺? リックに抱き上げられて、だよ。あー情けない……。
リックはまっすぐ俺の部屋に向かった。俺をベッドに下ろして、
「着替えさせるから」
そう言って淡々と作業した。俺は部屋着に着替えさせられ、シーツをかけられた。なんかいつもと違ってどぎまぎした。
「お、おい……リック……」
「何?」
「お前、ここで寝るんじゃないのか?」
毎晩リックはここで寝ているのに、今日はなんだか様子が違った。だって騎士の制服を脱いでいないのだ。
「んー……僕、カイエのこと大好きなんだよ」
「う、うん……」
顔が熱くなる。
「だからさ、あんまりこういうのにつけこむのはいけないと思うんだよね」
「?」
「だって今カイエ、僕のことカッコいいって少しは思ってるでしょ?」
顔が更に熱くなった。なんなんだいったい。
「そ、そんな、ことは……」
俺はぷい、と横を向いた。
「えー、そんなー」
ぶーとリックが不満をあらわにする。よかった、いつものリックだって思った。
「カイエにカッコいいって思ってもらえるようにがんばるもんね。それはともかく、今カイエの身体って動かないじゃん」
「ああ……」
「今僕がカイエを襲おうと思えば簡単に襲えるんだよ。わかる? カイエが泣いて嫌がったって、カイエのかわいいお尻に僕のイチモツを入れてぐちょぐちょに犯しちゃうこともできるんだよ?」
露骨な言い方に、俺はぱくぱくと口を動かすことしかできなかった。
「そんなのやでしょ? だから今夜は戻るね」
「なん、で……」
だからって俺を一人にする必要はないと思った。
「もー、カイエ! 僕はカイエが好きで、愛してるから抱きたくてしょうがないの! カイエのかわいいお尻に僕のを突っ込んでめちゃくちゃに犯したいんだよっ! いいかげんわかってよっ!」
「……う……」
「薬は朝には抜けてるはずだから、もう寝て? また明日から口説かせてもらうから……」
リックの見かけに寄らず強いところとか、俺を気遣うところとか、もうなんていうか胸のきゅんきゅんが止まらない。
「……やだ」
「カイエ!?」
「抱いても……犯してもいいから……」
リックはさっきの俺みたいにぱくぱくと口を動かした。そして自分の頭をがしがし掻いた。
「もーーっ! 僕がこんなに我慢してるのにっ! カイエのばかっ! カイエ、今僕に抱かれるならお嫁さんになってもらうよ! 毎晩僕のイチモツを受け入れてあんあん啼くんだよ? 僕の子も孕んで産むんだよ? もちろん子育ては二人でするけど。その覚悟がないんだったら簡単にそんなこと言わないでよ!」
「リック……」
俺を口説いて落とそうとしているのはリックの方なのに、なんで俺が責められなきゃならないんだろう。
「……そんな約束しない」
「ほら、無理なんじゃん」
リックが拗ねている。なんだかそれが可愛く見えた。
「だって、俺まだリックに抱かれてないし……」
「それは……そうだけど」
リックの顎がしゃくれている。そんな顔久しぶりに見たなって思った。
「リックに抱かれたら、即リックのお嫁さんになるとかないだろ? だってほら、身体の相性もあるし」
「……そうだね」
リックがしゅんとなった。本当にコイツは俺が好きみたいだ。
「だから、さ……」
口の中がカラカラに乾いているのを感じた。
「俺がお嫁さんになってもいいと思うぐらい、俺を夢中にさせてくれよ……」
「カイエ、それってっ!」
俺はあまりの恥ずかしさに顔を横に向けた。リックの顔なんてとても見られない。
「うん、カイエがもっとしてっておねだりするぐらい啼かせてあげるから……抱かせて……」
耳元で囁かれてぞくぞくした。
男に抱かれるなんてとんでもないと思っていたけど、リックならいいかもって。だって物語で憧れた騎士みたいに俺を救ってくれたから……。
これは恥ずかしくて言えないけど。
俺は肯定するように、そっと目を閉じた。
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