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その後13.やっぱファンタジーなんだな
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この世界に魔法があることは知っている。身体や衣類を主にキレイにする洗浄魔法はあるし、転移魔法だってある。だから偽装魔法のようなものもあるのだろうとは想像できた。
俺の戸惑っているような表情にロイは何かを察したようだった。ロイはエインに小声で耳打ちした。
「あそこにいるの、ファンに見える?」
と。それでエインも察したのか、俺をぎゅうっと抱きしめた。
「天使さまは不安なの? いっぱい感じさせてあげるね」
ロイは壁際で椅子に腰かけている青年に聞かせるように声を上げると、俺に口づけた。後ろからエインが乳首をくにくにといじり始める。そして耳たぶを甘噛みした。
「……申し訳ありません。確かに別人のようです」
「んっ、んんっ……」
俺は精いっぱい感じている声を出す。実際気持ちいいから演技ではないが、ここまで大きな音を出すことはなかった。
「……偽装魔法だけど、精度はよくないみたいだね」
「あっ……」
口づけの合間に囁かれて、青年の魔法は疑われると解けてしまうものだということがわかった。
「天使さま、かわいい……」
ロイがしみじみ言う。
青年は憎々し気にロイを睨んでいた。いったい何が目的なのだろう。それがわからないのがなんとも不安だった。
「天使さまのおちんちんいじってもいい? ……飲みたい」
「……あっ……」
「そ、それは僕が……」
ロイに小さな俺自身をにぎにぎされる。昨日の今日だがやっぱりいじられれば気持ちいい。青年がたまらなくなったのかがたん、と立ち上がった。
「なあに? 君の出番はないよ」
「そんな……!」
「お待たせしました!」
部屋の扉が勢いよく開き、ケンがファンを連れて入ってきた。
「ハレ! お前に天使さまのお世話をする権限はない! とっとと出ていけ!」
「……もうバレたのか。完璧だと思ったのに……」
青年が忌々しそうにケンとファンを睨む。俺はロイに抱き着いた。
「……天使さま、泣いてたじゃないですか。これからどうなってしまうんだろうって。なのにそんな連中に抱かれて喜んでるなんて……」
「……え……?」
どこかで青年と会ったことがあるのだろうか。会ったとしたら王城でだけど、ファンのように護衛の任にでもついていたのだろうか。
「……申し訳ありません。ハレは自分の弟なのです」
ファンはケンと青年を取り押さえると、深く頭を下げた。
「ふうん? 王城に勤めてたの? 天使さまの護衛かなんかだった?」
「はい。主に自分と交替で天使さまの部屋の前におりました。天使さまが送還の儀に望まれるということで任を解かれたのですが、自分と弟は天使さまを諦めることができなくて……」
ファンはバツが悪そうな顔をした。
「ジーゲン村に天使さまがいるのではないかという噂が流れてきたので、矢も楯もたまらずこちらに来たのです」
「その弟も一緒に?」
「ええ、その……自分たちは同志でもありましたから……」
「でも君になりすましてやってくるなんて尋常じゃないよ。さすがに君たちに天使さまを預けるわけにはいかないかなぁ」
「そんな……っ!」
「とりあえずその弟クンは椅子に縛り付けておいて。……逃げようとしたら、わかってるよね」
「……はい」
もう青年は脱力していて逃げるつもりもないようだった。ただ視線だけが俺を追っているように見えてなんか落ち着かない。
ロイが俺の頭を撫でてエインに預けた。
「で、弟クンは何がしたかったの?」
「……天使さまは大事に保護するべきだ。こんなところで童貞相手に毎日奉仕するなんてとんでもない。精が必要なら僕たちが毎日だって抱くのに……」
「攫うつもりだったわけ?」
ロイの声が低くなった。とても怒っている気がする。俺は思わずエインに抱き着いた。
「すぐに決行するつもりはなかった」
「攫うつもりだったわけだね?」
ロイは確認するように再度言うと、振り返った。顔は笑っているのだが目が笑っていない。とても怖い。
「ちょっと教育的指導をしてくるね。エインは天使さまを優しく抱いてあげてて」
青年は顔を俯かせているからどんな表情をしているのかはわからない。ファンとケンが蒼褪めているが印象的だった。
「ケン、ファン、この子このまま運んで」
「はい」
「……はい」
パタン、と扉が閉まる。俺はエインと顔を見合わせた。そうして少しもしないうちに、叫び声が聞こえ始めた。
「え……あれって……」
「天使さま……」
「え……あっ、あんっ……」
エインが俺を宥めるようにベッドに改めて押し倒す。それから、これ以上ないってぐらい甘く抱かれた。遠くで誰かの悲鳴が聞こえてきていたが、俺はエインの与える快感に集中することにした。
俺の戸惑っているような表情にロイは何かを察したようだった。ロイはエインに小声で耳打ちした。
「あそこにいるの、ファンに見える?」
と。それでエインも察したのか、俺をぎゅうっと抱きしめた。
「天使さまは不安なの? いっぱい感じさせてあげるね」
ロイは壁際で椅子に腰かけている青年に聞かせるように声を上げると、俺に口づけた。後ろからエインが乳首をくにくにといじり始める。そして耳たぶを甘噛みした。
「……申し訳ありません。確かに別人のようです」
「んっ、んんっ……」
俺は精いっぱい感じている声を出す。実際気持ちいいから演技ではないが、ここまで大きな音を出すことはなかった。
「……偽装魔法だけど、精度はよくないみたいだね」
「あっ……」
口づけの合間に囁かれて、青年の魔法は疑われると解けてしまうものだということがわかった。
「天使さま、かわいい……」
ロイがしみじみ言う。
青年は憎々し気にロイを睨んでいた。いったい何が目的なのだろう。それがわからないのがなんとも不安だった。
「天使さまのおちんちんいじってもいい? ……飲みたい」
「……あっ……」
「そ、それは僕が……」
ロイに小さな俺自身をにぎにぎされる。昨日の今日だがやっぱりいじられれば気持ちいい。青年がたまらなくなったのかがたん、と立ち上がった。
「なあに? 君の出番はないよ」
「そんな……!」
「お待たせしました!」
部屋の扉が勢いよく開き、ケンがファンを連れて入ってきた。
「ハレ! お前に天使さまのお世話をする権限はない! とっとと出ていけ!」
「……もうバレたのか。完璧だと思ったのに……」
青年が忌々しそうにケンとファンを睨む。俺はロイに抱き着いた。
「……天使さま、泣いてたじゃないですか。これからどうなってしまうんだろうって。なのにそんな連中に抱かれて喜んでるなんて……」
「……え……?」
どこかで青年と会ったことがあるのだろうか。会ったとしたら王城でだけど、ファンのように護衛の任にでもついていたのだろうか。
「……申し訳ありません。ハレは自分の弟なのです」
ファンはケンと青年を取り押さえると、深く頭を下げた。
「ふうん? 王城に勤めてたの? 天使さまの護衛かなんかだった?」
「はい。主に自分と交替で天使さまの部屋の前におりました。天使さまが送還の儀に望まれるということで任を解かれたのですが、自分と弟は天使さまを諦めることができなくて……」
ファンはバツが悪そうな顔をした。
「ジーゲン村に天使さまがいるのではないかという噂が流れてきたので、矢も楯もたまらずこちらに来たのです」
「その弟も一緒に?」
「ええ、その……自分たちは同志でもありましたから……」
「でも君になりすましてやってくるなんて尋常じゃないよ。さすがに君たちに天使さまを預けるわけにはいかないかなぁ」
「そんな……っ!」
「とりあえずその弟クンは椅子に縛り付けておいて。……逃げようとしたら、わかってるよね」
「……はい」
もう青年は脱力していて逃げるつもりもないようだった。ただ視線だけが俺を追っているように見えてなんか落ち着かない。
ロイが俺の頭を撫でてエインに預けた。
「で、弟クンは何がしたかったの?」
「……天使さまは大事に保護するべきだ。こんなところで童貞相手に毎日奉仕するなんてとんでもない。精が必要なら僕たちが毎日だって抱くのに……」
「攫うつもりだったわけ?」
ロイの声が低くなった。とても怒っている気がする。俺は思わずエインに抱き着いた。
「すぐに決行するつもりはなかった」
「攫うつもりだったわけだね?」
ロイは確認するように再度言うと、振り返った。顔は笑っているのだが目が笑っていない。とても怖い。
「ちょっと教育的指導をしてくるね。エインは天使さまを優しく抱いてあげてて」
青年は顔を俯かせているからどんな表情をしているのかはわからない。ファンとケンが蒼褪めているが印象的だった。
「ケン、ファン、この子このまま運んで」
「はい」
「……はい」
パタン、と扉が閉まる。俺はエインと顔を見合わせた。そうして少しもしないうちに、叫び声が聞こえ始めた。
「え……あれって……」
「天使さま……」
「え……あっ、あんっ……」
エインが俺を宥めるようにベッドに改めて押し倒す。それから、これ以上ないってぐらい甘く抱かれた。遠くで誰かの悲鳴が聞こえてきていたが、俺はエインの与える快感に集中することにした。
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