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両片思い?⑤
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「え、取りに来る?」
美作は、伝言を伝えにきた事務員をまじまじと見た。その様子から、伝言の内容がまったくの予想外であることがうかがえる。
林としては、この事務員が健生に気のある『佐々木さん』でなくて良かった。
今の健生に、付け入ったところで普段以上の塩対応が返ってくるだけだ。
「はい・・・向こうの営業の方が・・・。」
「もしかして、『金井さん』!!!?」
反応したのは林だ。
「そうですけど・・・。でも、工場に行かないと○○✕-○はないし、やっぱり、こっちが届けに行くしかないですよね?」
事務員の肯定の返事を聞き、林は打ち震えた。
ちゃんといたんだ!!金井さん!!!
『金井』という人間の存在を健生以外から、初めて聞いた。信じていなかったわけではないが、ちゃんと『あおば食品』に『金井』という営業担当は存在したのだということに、現状の問題を忘れる程の感銘を受けた。
「待って、ちょっと俺から金井君に確認するから。」
美作はスマホを取り出すと離れたところに移動しながら電話をかけはじる。
その姿を、健生は真顔で見送る。
「健生っ!!健生っ!!金井さんいたんだなっ!!」
「はっ!?何言ってんだ?」
『金井君』等と親しげに呼んでいた美作に敵意をいだき始めていた健生だが、林の声で現実に戻ってきた。
美作と金井は営業同士なうえに、健生の入社前からの付き合いだ。
ある程度の親しさは当然といえた。
「だって、存在してんのか不思議な人だった!!来てもらおうぜ!!俺、自分の目で確認したい!!」
「存在してるに決まってんだろっ!!名刺見せただろうがっ!!」
事務員の女性は、いなくなっていた。
年の瀬は忙しい。今回のミスが起きなくても仕事は詰まっている。
林の言動も理解出来ないだろうし。
「ごめん、辻君!!やっぱり、さっき言った通り工場に行ってから『あおば食品』行って!!」
「えーっ!!金井さん来ないんすかっっ!!?」
林としては、本当にあと少しだった。前々から謎に満ち溢れた健生の想い人を、一目見るだけで満足だったというのに・・・。
「さっきのは、こっちがすぐ行けないなら取りに来るっていう話だから。今から辻君行ってくれるし、何よりこっちのミスだからね。やっぱり、こっちが行かないと!」
「俺、すぐ出ます!!」
「俺、金井さんに会いたかったす・・・。」
「え、金井君に?なにがあったか知らないけど、金井君なら毎年、年末の挨拶と来年のカレンダー持ってきてくれるから、タイミング合えば会えるよ?それ以外でも、たまに仕事で来てるし。」
「「金井さん、うち来てたんすかっっ!!!?」」
林と健生、二人の言葉が綺麗に重なった。
既に席を立ち、一秒でも早く『あおば食品』に向かおうとしていた健生も思わず足をとめる。
「うん、たまにだけど。新しく必要になった段ボールが出来たときとか、オリジナルの化粧箱の相談でも来てるよ?金井君が、どうかした?」
「・・・健生から、話聞いて会ってみたいっていうか?美作さん、金井さんの歳知ってます?」
「歳?あっ、辻君、悪いけど急いで!!工場の方には伝えてるからっ!!」
好きな人の窮地は何としても救いたい。しかし、目の前でめちゃくちゃ大事な情報の公開が始まってる。
聞きたい!!めっちゃ聞きたい!!
「行って来いよ!後でちゃんと教えるから!!」
「絶対だぞっっ!!」
優先すべきは、段ボールを届けることだ。この役目を誰かと変わるなんてことはあり得ない。
本人にも会えるかもしれない。
今は林を信じて頼るしかない。
「えっ!?えっ!?金井君の話?ほんと何?」
美作は、伝言を伝えにきた事務員をまじまじと見た。その様子から、伝言の内容がまったくの予想外であることがうかがえる。
林としては、この事務員が健生に気のある『佐々木さん』でなくて良かった。
今の健生に、付け入ったところで普段以上の塩対応が返ってくるだけだ。
「はい・・・向こうの営業の方が・・・。」
「もしかして、『金井さん』!!!?」
反応したのは林だ。
「そうですけど・・・。でも、工場に行かないと○○✕-○はないし、やっぱり、こっちが届けに行くしかないですよね?」
事務員の肯定の返事を聞き、林は打ち震えた。
ちゃんといたんだ!!金井さん!!!
『金井』という人間の存在を健生以外から、初めて聞いた。信じていなかったわけではないが、ちゃんと『あおば食品』に『金井』という営業担当は存在したのだということに、現状の問題を忘れる程の感銘を受けた。
「待って、ちょっと俺から金井君に確認するから。」
美作はスマホを取り出すと離れたところに移動しながら電話をかけはじる。
その姿を、健生は真顔で見送る。
「健生っ!!健生っ!!金井さんいたんだなっ!!」
「はっ!?何言ってんだ?」
『金井君』等と親しげに呼んでいた美作に敵意をいだき始めていた健生だが、林の声で現実に戻ってきた。
美作と金井は営業同士なうえに、健生の入社前からの付き合いだ。
ある程度の親しさは当然といえた。
「だって、存在してんのか不思議な人だった!!来てもらおうぜ!!俺、自分の目で確認したい!!」
「存在してるに決まってんだろっ!!名刺見せただろうがっ!!」
事務員の女性は、いなくなっていた。
年の瀬は忙しい。今回のミスが起きなくても仕事は詰まっている。
林の言動も理解出来ないだろうし。
「ごめん、辻君!!やっぱり、さっき言った通り工場に行ってから『あおば食品』行って!!」
「えーっ!!金井さん来ないんすかっっ!!?」
林としては、本当にあと少しだった。前々から謎に満ち溢れた健生の想い人を、一目見るだけで満足だったというのに・・・。
「さっきのは、こっちがすぐ行けないなら取りに来るっていう話だから。今から辻君行ってくれるし、何よりこっちのミスだからね。やっぱり、こっちが行かないと!」
「俺、すぐ出ます!!」
「俺、金井さんに会いたかったす・・・。」
「え、金井君に?なにがあったか知らないけど、金井君なら毎年、年末の挨拶と来年のカレンダー持ってきてくれるから、タイミング合えば会えるよ?それ以外でも、たまに仕事で来てるし。」
「「金井さん、うち来てたんすかっっ!!!?」」
林と健生、二人の言葉が綺麗に重なった。
既に席を立ち、一秒でも早く『あおば食品』に向かおうとしていた健生も思わず足をとめる。
「うん、たまにだけど。新しく必要になった段ボールが出来たときとか、オリジナルの化粧箱の相談でも来てるよ?金井君が、どうかした?」
「・・・健生から、話聞いて会ってみたいっていうか?美作さん、金井さんの歳知ってます?」
「歳?あっ、辻君、悪いけど急いで!!工場の方には伝えてるからっ!!」
好きな人の窮地は何としても救いたい。しかし、目の前でめちゃくちゃ大事な情報の公開が始まってる。
聞きたい!!めっちゃ聞きたい!!
「行って来いよ!後でちゃんと教えるから!!」
「絶対だぞっっ!!」
優先すべきは、段ボールを届けることだ。この役目を誰かと変わるなんてことはあり得ない。
本人にも会えるかもしれない。
今は林を信じて頼るしかない。
「えっ!?えっ!?金井君の話?ほんと何?」
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