虐げられし陰の皇女ですが、生贄嫁いだ隣国で「蛮王」に甘く愛され、飯テロ&内政チートで国を救うことになりました

紅葉山参

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飯テロと溺愛の加速、そして王妃への道のり

乾燥野菜工場の稼働と、宰相の静かなる協調

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 スーザンが立案した「乾燥野菜工場」の設立は、ロキニアス王の全面的な支援の下、秘密裏に、しかし驚異的な速度で進められた。

 場所は、王都の郊外にある、かつて貴族の倉庫だった広大な土地。ロキニアスは、その土地を王室直轄地とし、スーザンに全権を与えた。貧困街の失業者たちが募集され、彼らはスーザンが設計した、トロイセンの乾燥した気候を最大限に利用した巨大な乾燥棚の制作と、衛生的な加工場の建設に従事した。

 スーザンの神眼は、この作業工程でもチート級の力を発揮した。

 彼女は、廃棄される運命にあったカボチャ、根菜、そして豆類を大量に買い取り、それを貧困街の住民たちに、洗浄、カット、乾燥という単純な作業に割り振った。彼女の指導のもと、すべての工程は前世の食品工場で培った衛生基準に準じて行われた。

 そして、乾燥野菜工場が稼働してからわずか一ヶ月後、その成果は目覚ましいものとなった。

 工場では、大量の廃棄食材が、栄養価を凝縮した**「干し飯の具(保存食)」と「干物(兵糧用タンパク源)」**へと生まれ変わった。この加工品は安価に貧困街の市場にも流通し、冬の備えがない貧しい人々に、安定した栄養源を提供し始めた。さらに、工場で働いた人々には安定した賃金が支払われ、貧困街には活気と、かすかながら希望の光が戻りつつあった。

 この成功は、王宮内の保守派貴族の間でも無視できないものとなった。特に、宰相のグスタフ・リーベンは、王妃スーザンに対する警戒心を募らせていた。

「異国の娘の気まぐれな慈善事業に、王が多額の資金を投じるなど……」

 グスタフはそう豪語していたが、彼自身の領地でも貧困層の減少と治安の改善が報告され始め、その現実に直面せざるを得なかった。

 ある午後、スーザンが乾燥野菜工場の収支報告書をまとめていると、執務室の扉がノックされた。そこに立っていたのは、他でもないグスタフ宰相だった。

「王妃殿下、お時間をいただき恐縮です」

 グスタフの態度は、依然として形式的で冷たいが、以前のようなあからさまな敵意は薄れていた。

「宰相殿。乾燥野菜工場の件でしょうか? 収支報告書はご覧になりましたか」

「ええ。驚くべき収益性と、廃棄物を利益に変える手腕には、正直、舌を巻きました」

 グスタフは、王の健康を第一に考える現実主義者だ。スーザンの改革が、王の体力回復だけでなく、国庫の負担軽減にも繋がっている以上、彼は反論の余地がないことを理解した。

「王妃殿下。私はこれまで、貴殿が帝国の間諜ではないかと疑っておりました。しかし、これほどまでにトロイセンの民と国益を考える者は、この王宮の誰にもいません」

 グスタフは深く息を吐き、静かに頭を下げた。

「無礼の数々、深くお詫び申し上げます。私は、トロイセンの伝統を守る保守派のトップとして、貴殿の改革を支持し、可能な限りの協力を約束いたします」

 それは、スーザンにとって最大の勝利だった。保守派のトップである宰相の支持を得たことで、彼女の改革は、王の寵愛による「一時的なもの」ではなく、**「国の正式な施策」**として認められたことになる。

「ありがとうございます、宰相殿。わたくしは、このトロイセンを、誰も飢えることのない、強靭な国にしたいと心から願っています」

 スーザンの真摯な言葉に、グスタフの目にはわずかな感動の色が浮かんだ。彼は、王妃の持つ優しさと、その裏にある芯の強さを理解したのだ。

 その夜、スーザンは寝台の上で、王妃としての公務の成果をロキニアス王に報告した。特に、グスタフ宰相が協力を申し出たことを伝えると、ロキニアスは満足そうに笑った。

「あの堅物が、貴様に頭を下げたか。見事だ、スーザン」

 ロキニアスは、スーザンの髪を優しく撫で、そのまま彼女を抱きしめた。

「これで、貴様は王宮内のすべての障害を取り除いた。貴様は、私にとって、戦場よりも頼りになる存在となった」

 彼の抱擁は、以前よりもずっと優しく、温かい。スーザンは、彼の胸に顔を埋めながら、そっと尋ねた。

「王よ。わたくしの改革が成功すれば、トロイセンはさらに強くなり、周辺国との緊張が再び高まるかもしれません」

 ロキニアスは、スーザンの体を起こし、その額に優しく口づけをした。

「強くなったトロイセンの目的は、侵略ではない。平和だ。私が戦い続けるのは、この国を、貴様が守ろうとしているすべてのものを、二度と誰にも脅かされない場所にするためだ」

 彼の言葉には、王としての明確な決意と、スーザンという「希望の光」を守りたいという、一人の男の熱い思いが込められていた。トロイセンの内政改革は、王妃スーザンと、蛮王ロキニアスの二人三脚で、さらに加速していく。
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