昔助けた王子様に求婚されて外堀を埋められています

水無瀬雨音

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 クロードの周りにいるのは婚約者が決まっているとはいえあわよくば愛人の座に落ち着こうと、下は幼児から上は適齢期まで媚を売ってくる娘ばかりだったので、純粋に慕ってくれるソフィアの存在は安らいだ。王子だと知っていたとしてもソフィアの態度には変わりがない気がした。
 ソフィアに会いたいのはやまやまだったが、王子たるクロードが用事もなく、一介の男爵家に出入りすることはできなかった。肩入れしていると見なされるからだ。婚約者がいる身でソフィアと親しくすることで、ソフィアの身に危険が及ぶ懸念もあった。
 それでもクロードはソフィアとのつながりを持っていたくてマリアを送り込み、男爵と手紙のやりとりを続けた。クロードに会いたがるソフィアにはうれしいながらも心が痛んだ。そばにいる男爵とマリアはなおさらだっただろう。
 クロードはソフィアを簡単に清めると、寝間着を着せてやった。
 乱れた髪も簡単に整えてやる。
 一度の絶頂で気絶してしまうなんて残念ではあったが、初めての快感に満たされたのだから仕方のないことかもしれない。

(もう手を離したりはしない)

 クロードはすやすやと眠るソフィアの頬をそっと撫でた。



 目が覚めると、愛おしそうに見つめるクロードと目が合った。
「おはよう、ソフィア」
「おはようございます、クロード様……」
 昨日の痴態を思い出し、顔を合わせるのが恥ずかしくて、ソフィアは上掛けで顔を隠した。
 クロードは優しく上掛けからはみ出ているソフィアの頭をなでる。
「そろそろクロード、と昔のように呼んでほしいものだがな」
 すねるようなクロードの口調に、ソフィアは上掛けで顔を隠したまま、くすくすと笑って答えた。
「はい、クロード」
 「朝食はここに運ばせるからゆっくり休むといい。私はもう行く」
「こんなに早い時間から公務がおありなのですか……?」
 おずおずとソフィアが顔をのぞかせる。
「そんな目で見るな。行く気がそがれる」
 クロードはソフィアの薔薇色の唇に口づけた。
 当然のようにぬるりとした舌が入り込んで来る。
「あ……んんぅ……」
 強引ではあるが、昨夜よりもいくぶんか優しい口づけだ。絡みつく舌がとろけるように甘い。
「んんぅ……んっ」
 存分に味わいつくしたところで、クロードが唇を離した。
 二人の唇をつなぐ銀の糸を舌で切る。
「公務がなければ可愛がりたいところなのだがな。夜まで待ってくれ」
「そういうつもりで申し上げたのではありません!」
 また顔を隠してしまったソフィアの頭を優しくなで、クロードは出て行ってしまった。


 
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