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王宮に向かう馬車の中でクロードはソフィアを強く抱きしめ、黙ったままだった。ソフィアとフランソワも極度の疲労と助け出された安心感から口を開く気になれなかった。
王宮に到着し、馬車を降りてからやっとクロードがぽつりと口を開く。
「殺した者がいたのははやりすぎたな」
「私たちを助けるために、申し訳ありません」
事情が事情なので罪に問われるとは思えないが、事情聴取などすべきだっただろうからクロードも反省しているのだろう。
どんな相手だったとしても、誰かが命を落としたということは悲しい。基本的に相手は武装していなかったようだが、あの状況では少しでもためらった方が負けてしまっただろうが。
「私の自制心が足りなかっただけだ。
……一枚ずつ爪をはぎ、ありとあらゆる拷問を与え、生まれたことを後悔させるほどの苦しみを与えるべきだったのに、簡単に殺してしまうなど……!」
ぎり、と歯ぎしりが聞こえるほどクロードは悔しがっている。ソフィアの想像とはちがう意味で後悔しているようだ。
「姉上!」
居ても立っても居られなかったのだろう。外でずっと待っていたらしい、ジャンがソフィアの姿を認めて駆け寄ってくる。使用人たちも数人外で待っていて、ソフィアたちを見てほっとした顔を見せる。騒ぎを聞きつけて、王宮の中からも続々と人が出てきた。
「ジャン!どうしたの?」
ソフィアはジャンの頭を撫でた。子ども扱いされるのを嫌がるジャンがされるがままになっている。
「……姉上が休みになったら来るようにおっしゃったのに、おられないので待っていました。おいしいマカロンをごちそうしていただけるということだったので」
「……そうだったわね。待たせてごめんなさい、ジャン。あとで一緒に買いに行きましょう」
そういえば今日は学校が休みの日だった。
優しくジャンを見つめるソフィアとソフィアにしがみつくジャンをしばらくは見ていたクロードだが、
「すまないがお前の姉上は疲労している。お茶会は休ませてからだ。マカロンは他の者に買いに行かせる」
とソフィアを抱き上げた。
「とりあえずソフィアは湯あみさせて食事させるが、ジャンはソフィアの部屋で待っているか?」
「はい。そうします」
「マリアも一緒に入ればいいだろう。歩けるか?」
「もちろんです」
「クロード……!私も歩けます、歩けますから!」
ソフィアとフランソワを案じていた人々が次々集まってくるのに恥ずかしい。
必死に抗議するが、クロードはどこ吹く風でそのまま部屋まで連れていかれる。部屋に着いてからもソファに腰かけたクロードの膝の上に降ろされる。ジャンも動じることなくその隣に座る。
「ソフィア様のお部屋に入るのも久しぶりですね。
今日はお部屋から出られることはないでしょうからドレスじゃなくてもいいでしょう」
フランソワは慣れた様子でソフィアのワンピースやタオルを取り出す。
「私の着替えは後で取りに行くのでとりあえず先にソフィア様から湯あみいたしますね」
「マリアさえよければ私の服を使って。今日は仕事お休みするでしょう?」
「そうだな。ソフィアと一緒にソフィアの部屋で休めばよいだろう」
「では失礼してお借りします、ソフィア様」
クロードにも促され、フランソワはもう一つワンピースとタオルを取り出した。
「では行きましょう、ソフィア様」
ソフィアとフランソワは浴室に入った。
いつもしてもらっていたことだが、クロードの姉であり、王女のフランソワに湯あみさせるなど恥ずかしいやら申し訳ないやらでいたたまれない。
「あの、フランソワ様。私、自分で」
「ここは王宮です。ソフィア様」
フランソワはにこやかにソフィアの口に人差し指をあてた。
「時が来るまでは、私はソフィア様のメイドのマリアです。しばらくは、私とソフィア様の秘密です」
王宮に到着し、馬車を降りてからやっとクロードがぽつりと口を開く。
「殺した者がいたのははやりすぎたな」
「私たちを助けるために、申し訳ありません」
事情が事情なので罪に問われるとは思えないが、事情聴取などすべきだっただろうからクロードも反省しているのだろう。
どんな相手だったとしても、誰かが命を落としたということは悲しい。基本的に相手は武装していなかったようだが、あの状況では少しでもためらった方が負けてしまっただろうが。
「私の自制心が足りなかっただけだ。
……一枚ずつ爪をはぎ、ありとあらゆる拷問を与え、生まれたことを後悔させるほどの苦しみを与えるべきだったのに、簡単に殺してしまうなど……!」
ぎり、と歯ぎしりが聞こえるほどクロードは悔しがっている。ソフィアの想像とはちがう意味で後悔しているようだ。
「姉上!」
居ても立っても居られなかったのだろう。外でずっと待っていたらしい、ジャンがソフィアの姿を認めて駆け寄ってくる。使用人たちも数人外で待っていて、ソフィアたちを見てほっとした顔を見せる。騒ぎを聞きつけて、王宮の中からも続々と人が出てきた。
「ジャン!どうしたの?」
ソフィアはジャンの頭を撫でた。子ども扱いされるのを嫌がるジャンがされるがままになっている。
「……姉上が休みになったら来るようにおっしゃったのに、おられないので待っていました。おいしいマカロンをごちそうしていただけるということだったので」
「……そうだったわね。待たせてごめんなさい、ジャン。あとで一緒に買いに行きましょう」
そういえば今日は学校が休みの日だった。
優しくジャンを見つめるソフィアとソフィアにしがみつくジャンをしばらくは見ていたクロードだが、
「すまないがお前の姉上は疲労している。お茶会は休ませてからだ。マカロンは他の者に買いに行かせる」
とソフィアを抱き上げた。
「とりあえずソフィアは湯あみさせて食事させるが、ジャンはソフィアの部屋で待っているか?」
「はい。そうします」
「マリアも一緒に入ればいいだろう。歩けるか?」
「もちろんです」
「クロード……!私も歩けます、歩けますから!」
ソフィアとフランソワを案じていた人々が次々集まってくるのに恥ずかしい。
必死に抗議するが、クロードはどこ吹く風でそのまま部屋まで連れていかれる。部屋に着いてからもソファに腰かけたクロードの膝の上に降ろされる。ジャンも動じることなくその隣に座る。
「ソフィア様のお部屋に入るのも久しぶりですね。
今日はお部屋から出られることはないでしょうからドレスじゃなくてもいいでしょう」
フランソワは慣れた様子でソフィアのワンピースやタオルを取り出す。
「私の着替えは後で取りに行くのでとりあえず先にソフィア様から湯あみいたしますね」
「マリアさえよければ私の服を使って。今日は仕事お休みするでしょう?」
「そうだな。ソフィアと一緒にソフィアの部屋で休めばよいだろう」
「では失礼してお借りします、ソフィア様」
クロードにも促され、フランソワはもう一つワンピースとタオルを取り出した。
「では行きましょう、ソフィア様」
ソフィアとフランソワは浴室に入った。
いつもしてもらっていたことだが、クロードの姉であり、王女のフランソワに湯あみさせるなど恥ずかしいやら申し訳ないやらでいたたまれない。
「あの、フランソワ様。私、自分で」
「ここは王宮です。ソフィア様」
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