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「はっ。お前、ほんっとさいっこー。あー、ヤベ。いきそ……」
「オレも……。ね? 一緒、いこ? あ……、ん……イク……!」
流れる汗。ぎしぎしときしむベッド。
雅はねだるように、腕を彼の首に回した。最高潮に高まって、達しそうになった時だった。
ガチャっと部屋のドアが開いた。
「はーい、お取り込み中ごめんなさいよー」
「は……?」
招かれざる客に、雅の上で腰を振っていた男が動きを止めて、口をぽかんと開ける。
(あー、なんかものすごく間抜け)
白けた雅は、すっと男のものを自分から抜いた。侵入者に気を取られている男は、そのことに気にも留めていない様子だ。
「これと……これがおたくさんの服だよね。うちの雅ちゃんは、こんな下品なの着ないんでー。はい。悪いけど、さっさと出てって?」
ぽいぽいと床に散らばっていた服を的確に男のものだけ拾い集めて、侵入者、もとい藤馬はにっこりと男に渡す。
一応受け取ったものの、やや我に返ったらしい男は、
「お、お前いきなり来てなんなの? うちのって……つーか、誰だよ?」
「あんたにそれ説明する必要ねーから。いいから出てけ」
藤馬にぐいぐいと背中を押されて、男が部屋から追い出される。ベッドに座りこんだ雅は、全裸のままで煙草に火をつけると、手をひらひらふりながら見送った。
「なんかごめーん。また連絡するからー」
ガチャンと玄関が閉まる音がする。鍵を渡していないのだから、当然施錠されていないため、不用心極まりないが、あとで締めればいいだろう。
幼なじみで、マンションの隣同士に住んでいる藤馬は、勝手に出入りしてくる。共働きで不在がちだった雅の両親が、藤馬の両親に鍵を預けていたのを回収しそびれていたためだ。それでも用もないのに入ってくることも、致している雅の部屋に入ってきて、あまつさえ相手を追い出すなんてことはなかったのだが。
「んで?」
雅はふーっと藤馬に、タバコの煙を吹きかけた。嫌そうな顔で顔を背けた藤馬は、ばたんと部屋のドアを開け放った。換気のつもりらしい。
「オレせーっかくイイトコロだったのにさー。イケなかったじゃん。どーしてくれんの? つーか何、お前」
厭味ったらしく言ったのに、藤馬は悪びれない様子で、雅の隣に腰かける。
「僕今日で二十歳なんだよねー」
(いつまでもガキだと思ってたけど、そういやそろそろそれくらいになるかー)
なぜそんなことを言いだしたのか、唐突すぎて意味が分からない。雅は煙草の煙をくゆらしながら、
「だからなんだよ。おたんじょーびおめでとー、とでもいえばいいの? つーか、抜きて―から帰れよ。そーゆー気分でもねーけど、出そうになったもん、出さないと気持ちわりーし」
「雅ちゃんはしなくていい。僕がするから」
「は?」
意味が分からず、雅は首を傾げた。藤馬はひょい、と雅からタバコを取り上げた。
取り返そうとするが、リーチの差でできなかった。まだ長さのあるそれを灰皿にこすりつけられ、火を消される。
「あ、ちょ、こら! もったいね!」
未練がましく見つめても、消えた火は戻ることはない。恨みがましく藤馬を見つめる。
「雅はさー。ビッチのくせに変に真面目なとこあるから、わざわざ今日まで待っててやったんだよ。未成年とはやりたくないだろうから。お前が男とっかえひっかえするの、指くわえてさ?」
「……待ってた?」
ゆっくりと雅はベッドに押し倒された。肩口をぐっと押され、軽い痛みに顔をゆがませる。
「いった……」
「気づいてただろ? 僕がお前を好きなこと」
確かに雅が十歳、藤馬が六歳のときに藤馬が隣に越してきて以来、ずっとなつかれてきたとは思っている。雅自身も、藤馬を弟のようにかわいがってきたつもりだ。だが。
「そ、そういう意味で好かれてるとは思わなかったんだけど? つーかお前フツーに彼女いたじゃん! 割と途切れず! お前ゲイ? あ、バイなの!?」
突然の告白に、雅は動揺を隠せない。イケメン、長身で、勉強もスポーツもでき、かつ人当たりのよい藤馬は、モテ男の見本のような男だ。それを確証づけるように、藤馬は常にと言ってもいいほど彼女がいたと思うのだが……。
「バイとかノーマルっつーより、お前以外興味ない。今までの彼女はあっちから寄ってきたの。ずっと二十歳の誕生日に雅抱こうと思ってたから、練習がてら付き合ってただけ。そういう意味では、男と付き合ってた方がよかったんだろうけど」
「え、なんかお前最低すぎじゃね?」
彼女に対して興味がないなんて、失礼極まりない。顔を合わせたらただのお隣さんの雅にも挨拶してくれたりと、普通にいい子たちが多かっただけに。だからこそ途切れなかったものの、割と早いスパンで別れていたんだな……と雅は納得した。
「男相手は初めてだけど、手順は知ってるから」
藤馬はいきなり雅の萎えたものをつかんできた。
「い、きなりお前! てかオレは了承してないし!」
じたばたしたが、藤馬のほうが体格がいいのだ。雅が暴れたところで抜け出せそうにない。
「いきずりの名前も知らない相手ともやってんじゃん。突っ込まれりゃなんでもいいんだろ」
「ま、まあそうだけど」
先ほど抱き合っていた男だって、通り名と連絡先しか知らない。確かに雅は基本的に自分の好みに合えば誰とでも寝る。だが、幼い頃からよく知っていたお隣さんとなると別で……。
「お前と寝たら、おじさんとおばさんに顔向けできないわ!」
共働きの両親に代わり、何かと世話を焼いてくれたのは藤馬の母だ。一人息子である藤馬を、茨の道に引きずり込むのは申し訳がなさすぎる。
「雅ちゃんのせいじゃないよ。僕が勝手に好きになったんだから」
「そんな言ったってお前……」
(んー。まあ一回やらせれば気が済むだろ)
雅は面倒くさくなって、考えるのを放棄した。藤馬は外見はさわやか好青年だが、意外と我が強いところがあるのだ。
「いいぜ。やってもいいけど、その代わりオレにリードさせて」
「いいよ。雅とやれればなんでもいいから」
藤馬はあっさり了承した。雅とすることが第一で、自分がマウントをとることは大事ではないらしい。
(男初めての奴にやられんの怖いからなー。女とは違うわけだし)
「じゃ、お前仰向けに寝て」
「うん。分かった」
藤馬がベッドに仰向けになり、雅が馬乗りになるという今までと真逆の体制になる。
(そんなに鳴らす必要ないと思うけど、一応)
雅はサイドテーブルの上に転がっていたローションを、少し手のひらに出した。自らの窄まりに指を入れる。
「ん……っ」
先ほどまで男のものを入れていただけあって、まだゆとりがあって柔らかい。
「やべぇ、めちゃくちゃエロいんですけど……! 入れていい?」
「は? もう? 童貞かよ……」
「だって、好きな奴とするのは初めてなんだもん。……仕方ないじゃん」
そうやってすねたように顔を背けたのが思いのほか可愛らしくて。いくら背は雅よりデカくなったところで、まだまだ子供なんだと思った。
「ま、おにーさんに任せなさい。悪いようにはしないからさ、っと。うぉっ」
藤馬のズボンを下げると、雅は驚きの声を上げた。すでに痛そうなくらいに屹立したそれが、かなりの大きさだったからだ。今まで結構な人数を相手にしてきた雅だが、その中でも大きいほうだ。硬くてかりの張り出している形もいい。
(もしや一番かも)
雅は口でゴムの包装を破ると、藤馬のものにかぶせる。
「じゃ、いただきまーす」
舌なめずりをした雅は、藤馬のものを手で支えると、一気に自分に差し込んだ。
「あ、ん……っ。これ、やば……!」
若いだけあって、かなりの硬度のそれが、雅の快感を煽るところにちょうど当たって気持ちがいい。気を張っていないとすぐにでも達してしまいそうだ。
藤馬も気持ちがいいのか、雅の下で、顔をゆがめている。
「雅ちゃんの、やばい……。僕、動いていいの?」
(こいつより先にイっちゃうとか、プライドが許さねぇ! 絶対先にこいつイカス!)
「ざっけんな。オレにやらせるって言っただろう、っが!」
雅はベッドに両手をついて支えると、腰を大きくグラインドさせた。
藤馬がねだるように、
「ね、キスとかしたいんだけど……。僕も雅ちゃん触りたい」
「女の子じゃないからそんなんいらねー、よ!」
恋人関係ではなく、さらに言えば男同士なのだから、そんな優しい愛撫も甘い言葉もいらない。お互い出すもの出して発散するだけの関係。
雅が激しく腰を上下させると、たまらず藤馬は中に熱い飛沫を放つ。その少しののちに、雅も達した。
「あー、出したぁー」
「僕、まだいけるよ?」
ベッドに仰向けになった雅に、頬杖をついた藤馬がつやつやした笑顔を向けてくる。
「おっさんの体力なめんなよ、若者」
これ以上やると、確実に明日の仕事に支障が出る。
「四歳しか違わないし、雅ちゃんまだ二十代じゃない」
「その四歳がでけーの」
藤馬はさわやかな笑顔で、とんでもないことを言った。
「ふーん。あ、そうそう、僕以外のちんこ口とケツに入れたら殺すから♡」
「は? ちょ、待て……! オレら付き合ってもなんでもないのに」
いわゆるセフレで発散している雅はその分相手の人数が多いので、何度殺されても足りないだろう。
「じゃ、付き合って。つーかそのつもりだったし」
「オレはだれとも付き合わないぞ」
「あー、やっと雅ちゃんが僕のものかぁ。楽しみだな♡」
都合の悪い言葉は聞こえていないらしい藤馬が、にこにこと雅を眺める。
「って聞けよ!」
(ま、とりあえずはいっか。こんな理想的なブツ久々だったし―。一回だけにするのおしいわ)
「そういうわけで、今度の日曜日はデートしようか?」
「そういうわけで、ってどういうわけで……は? デート?」
雅はぽかん、と口を開けた。
「オレも……。ね? 一緒、いこ? あ……、ん……イク……!」
流れる汗。ぎしぎしときしむベッド。
雅はねだるように、腕を彼の首に回した。最高潮に高まって、達しそうになった時だった。
ガチャっと部屋のドアが開いた。
「はーい、お取り込み中ごめんなさいよー」
「は……?」
招かれざる客に、雅の上で腰を振っていた男が動きを止めて、口をぽかんと開ける。
(あー、なんかものすごく間抜け)
白けた雅は、すっと男のものを自分から抜いた。侵入者に気を取られている男は、そのことに気にも留めていない様子だ。
「これと……これがおたくさんの服だよね。うちの雅ちゃんは、こんな下品なの着ないんでー。はい。悪いけど、さっさと出てって?」
ぽいぽいと床に散らばっていた服を的確に男のものだけ拾い集めて、侵入者、もとい藤馬はにっこりと男に渡す。
一応受け取ったものの、やや我に返ったらしい男は、
「お、お前いきなり来てなんなの? うちのって……つーか、誰だよ?」
「あんたにそれ説明する必要ねーから。いいから出てけ」
藤馬にぐいぐいと背中を押されて、男が部屋から追い出される。ベッドに座りこんだ雅は、全裸のままで煙草に火をつけると、手をひらひらふりながら見送った。
「なんかごめーん。また連絡するからー」
ガチャンと玄関が閉まる音がする。鍵を渡していないのだから、当然施錠されていないため、不用心極まりないが、あとで締めればいいだろう。
幼なじみで、マンションの隣同士に住んでいる藤馬は、勝手に出入りしてくる。共働きで不在がちだった雅の両親が、藤馬の両親に鍵を預けていたのを回収しそびれていたためだ。それでも用もないのに入ってくることも、致している雅の部屋に入ってきて、あまつさえ相手を追い出すなんてことはなかったのだが。
「んで?」
雅はふーっと藤馬に、タバコの煙を吹きかけた。嫌そうな顔で顔を背けた藤馬は、ばたんと部屋のドアを開け放った。換気のつもりらしい。
「オレせーっかくイイトコロだったのにさー。イケなかったじゃん。どーしてくれんの? つーか何、お前」
厭味ったらしく言ったのに、藤馬は悪びれない様子で、雅の隣に腰かける。
「僕今日で二十歳なんだよねー」
(いつまでもガキだと思ってたけど、そういやそろそろそれくらいになるかー)
なぜそんなことを言いだしたのか、唐突すぎて意味が分からない。雅は煙草の煙をくゆらしながら、
「だからなんだよ。おたんじょーびおめでとー、とでもいえばいいの? つーか、抜きて―から帰れよ。そーゆー気分でもねーけど、出そうになったもん、出さないと気持ちわりーし」
「雅ちゃんはしなくていい。僕がするから」
「は?」
意味が分からず、雅は首を傾げた。藤馬はひょい、と雅からタバコを取り上げた。
取り返そうとするが、リーチの差でできなかった。まだ長さのあるそれを灰皿にこすりつけられ、火を消される。
「あ、ちょ、こら! もったいね!」
未練がましく見つめても、消えた火は戻ることはない。恨みがましく藤馬を見つめる。
「雅はさー。ビッチのくせに変に真面目なとこあるから、わざわざ今日まで待っててやったんだよ。未成年とはやりたくないだろうから。お前が男とっかえひっかえするの、指くわえてさ?」
「……待ってた?」
ゆっくりと雅はベッドに押し倒された。肩口をぐっと押され、軽い痛みに顔をゆがませる。
「いった……」
「気づいてただろ? 僕がお前を好きなこと」
確かに雅が十歳、藤馬が六歳のときに藤馬が隣に越してきて以来、ずっとなつかれてきたとは思っている。雅自身も、藤馬を弟のようにかわいがってきたつもりだ。だが。
「そ、そういう意味で好かれてるとは思わなかったんだけど? つーかお前フツーに彼女いたじゃん! 割と途切れず! お前ゲイ? あ、バイなの!?」
突然の告白に、雅は動揺を隠せない。イケメン、長身で、勉強もスポーツもでき、かつ人当たりのよい藤馬は、モテ男の見本のような男だ。それを確証づけるように、藤馬は常にと言ってもいいほど彼女がいたと思うのだが……。
「バイとかノーマルっつーより、お前以外興味ない。今までの彼女はあっちから寄ってきたの。ずっと二十歳の誕生日に雅抱こうと思ってたから、練習がてら付き合ってただけ。そういう意味では、男と付き合ってた方がよかったんだろうけど」
「え、なんかお前最低すぎじゃね?」
彼女に対して興味がないなんて、失礼極まりない。顔を合わせたらただのお隣さんの雅にも挨拶してくれたりと、普通にいい子たちが多かっただけに。だからこそ途切れなかったものの、割と早いスパンで別れていたんだな……と雅は納得した。
「男相手は初めてだけど、手順は知ってるから」
藤馬はいきなり雅の萎えたものをつかんできた。
「い、きなりお前! てかオレは了承してないし!」
じたばたしたが、藤馬のほうが体格がいいのだ。雅が暴れたところで抜け出せそうにない。
「いきずりの名前も知らない相手ともやってんじゃん。突っ込まれりゃなんでもいいんだろ」
「ま、まあそうだけど」
先ほど抱き合っていた男だって、通り名と連絡先しか知らない。確かに雅は基本的に自分の好みに合えば誰とでも寝る。だが、幼い頃からよく知っていたお隣さんとなると別で……。
「お前と寝たら、おじさんとおばさんに顔向けできないわ!」
共働きの両親に代わり、何かと世話を焼いてくれたのは藤馬の母だ。一人息子である藤馬を、茨の道に引きずり込むのは申し訳がなさすぎる。
「雅ちゃんのせいじゃないよ。僕が勝手に好きになったんだから」
「そんな言ったってお前……」
(んー。まあ一回やらせれば気が済むだろ)
雅は面倒くさくなって、考えるのを放棄した。藤馬は外見はさわやか好青年だが、意外と我が強いところがあるのだ。
「いいぜ。やってもいいけど、その代わりオレにリードさせて」
「いいよ。雅とやれればなんでもいいから」
藤馬はあっさり了承した。雅とすることが第一で、自分がマウントをとることは大事ではないらしい。
(男初めての奴にやられんの怖いからなー。女とは違うわけだし)
「じゃ、お前仰向けに寝て」
「うん。分かった」
藤馬がベッドに仰向けになり、雅が馬乗りになるという今までと真逆の体制になる。
(そんなに鳴らす必要ないと思うけど、一応)
雅はサイドテーブルの上に転がっていたローションを、少し手のひらに出した。自らの窄まりに指を入れる。
「ん……っ」
先ほどまで男のものを入れていただけあって、まだゆとりがあって柔らかい。
「やべぇ、めちゃくちゃエロいんですけど……! 入れていい?」
「は? もう? 童貞かよ……」
「だって、好きな奴とするのは初めてなんだもん。……仕方ないじゃん」
そうやってすねたように顔を背けたのが思いのほか可愛らしくて。いくら背は雅よりデカくなったところで、まだまだ子供なんだと思った。
「ま、おにーさんに任せなさい。悪いようにはしないからさ、っと。うぉっ」
藤馬のズボンを下げると、雅は驚きの声を上げた。すでに痛そうなくらいに屹立したそれが、かなりの大きさだったからだ。今まで結構な人数を相手にしてきた雅だが、その中でも大きいほうだ。硬くてかりの張り出している形もいい。
(もしや一番かも)
雅は口でゴムの包装を破ると、藤馬のものにかぶせる。
「じゃ、いただきまーす」
舌なめずりをした雅は、藤馬のものを手で支えると、一気に自分に差し込んだ。
「あ、ん……っ。これ、やば……!」
若いだけあって、かなりの硬度のそれが、雅の快感を煽るところにちょうど当たって気持ちがいい。気を張っていないとすぐにでも達してしまいそうだ。
藤馬も気持ちがいいのか、雅の下で、顔をゆがめている。
「雅ちゃんの、やばい……。僕、動いていいの?」
(こいつより先にイっちゃうとか、プライドが許さねぇ! 絶対先にこいつイカス!)
「ざっけんな。オレにやらせるって言っただろう、っが!」
雅はベッドに両手をついて支えると、腰を大きくグラインドさせた。
藤馬がねだるように、
「ね、キスとかしたいんだけど……。僕も雅ちゃん触りたい」
「女の子じゃないからそんなんいらねー、よ!」
恋人関係ではなく、さらに言えば男同士なのだから、そんな優しい愛撫も甘い言葉もいらない。お互い出すもの出して発散するだけの関係。
雅が激しく腰を上下させると、たまらず藤馬は中に熱い飛沫を放つ。その少しののちに、雅も達した。
「あー、出したぁー」
「僕、まだいけるよ?」
ベッドに仰向けになった雅に、頬杖をついた藤馬がつやつやした笑顔を向けてくる。
「おっさんの体力なめんなよ、若者」
これ以上やると、確実に明日の仕事に支障が出る。
「四歳しか違わないし、雅ちゃんまだ二十代じゃない」
「その四歳がでけーの」
藤馬はさわやかな笑顔で、とんでもないことを言った。
「ふーん。あ、そうそう、僕以外のちんこ口とケツに入れたら殺すから♡」
「は? ちょ、待て……! オレら付き合ってもなんでもないのに」
いわゆるセフレで発散している雅はその分相手の人数が多いので、何度殺されても足りないだろう。
「じゃ、付き合って。つーかそのつもりだったし」
「オレはだれとも付き合わないぞ」
「あー、やっと雅ちゃんが僕のものかぁ。楽しみだな♡」
都合の悪い言葉は聞こえていないらしい藤馬が、にこにこと雅を眺める。
「って聞けよ!」
(ま、とりあえずはいっか。こんな理想的なブツ久々だったし―。一回だけにするのおしいわ)
「そういうわけで、今度の日曜日はデートしようか?」
「そういうわけで、ってどういうわけで……は? デート?」
雅はぽかん、と口を開けた。
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