45 / 60
台風一過 2
しおりを挟む
ひとしきりヴィオレットに愚痴ると、屋敷に戻ったエミリエンヌはノアの用意した客室で、眠ってしまった。家出をしたので疲れたらしい。
そのすきにヴィオレットはドミニクに映話することにした。そろそろエミリエンヌがいないことが分かっただろうから、心配しているだろう。
仕事中かもしれないと思ったが、ちょうど休憩中だったらしくつながった。
「てことで、エミリエンヌはうちにいるから安心してね。大体事情は分かったけど、落ち着いたら迎えに来てあげて」
ドミニクは、はぁとため息をついた。
「やっぱりヴィオレットのとこ行くと思ってたわ。悪いな、迷惑かけて」
「いいよ。エミリエンヌと久しぶりに会って楽しかったし」
驚いたものの、それは本当だ。アーノルドと結婚してからエミリエンヌに以前ほど頻繁に会えなくなって寂しい。
ドミニクが身を乗り出す。
「で、話聞いたんだよな!? ドレス何度も着替えたいだの世界一周したいだの、どう考えてもあいつが悪いよな!? あいつどこの大富豪と結婚したと思ってんだよ」
「うーんと……。そうだね……一般的には……」
どう考えてもドミニクのほうが正しいと思うが、はっきりと肩を持つのもはばかられて、ヴィオレットは答えに窮する。
「なんだよ、煮え切らねーなー」
「あはは。ごめんね。でも、ドミニクの味方すると、エミリエンヌが余計怒りそうな気がするから」
「はぁ、それもそうだな。仕事立て込んでて、しばらく迎えに行けそうにないわ。悪いな」
「分かった。来られるようになったら連絡して」
「おー。じゃあ、よろしく。ヴィオレット」
「てことで、急なんだけど、エミリエンヌをしばらく泊めてあげてもいいかなぁ?」
玄関ホールでアーノルドを出迎えたヴィオレットは、手短に説明した。後ろからエミリエンヌがにこにこと顔を出す。
ヴィオレットの予想通り、アーノルドはすぐに快諾してくれた。
「……オレは別にかまわない。日中オレが相手してあげられないから、ちょうどいいかもね」
「さすがアーノルドさま。できるだけご迷惑おかけしないようにしますのでー。お会いするの結婚式以来でしたよね? あの時はご紹介いただいてありがとうございますー」
ぐいぐい来るエミリエンヌが、アーノルドは少し苦手なようだ。若干後ずさりながら、
「……どういたしまして。残念ながら、あいつらとは縁がなかったようだね」
「わたしは残念でしたが、でも他の子と上手くいっているみたいなので」
「……そ、そうか。じゃあオレ部屋で着替えてくるから」
「はーい。後ほど食堂でご一緒しましょうねー」
手を振って見送られながら、ヴィオレットとアーノルドは私室に向かった。
アーノルドが少し疲れた顔をしている。
見かねたヴィオレットはアーノルドの手を握る。
「アル、アル大丈夫?」
「……う、うん。ちょっと勢いが強すぎて疲れた。あの子、元気だね」
「性格は違うんだけど、一番仲がいいんだ」
「……久しぶりに友達に会えて嬉しいだろう。よかったね。でも」
アーノルドがヴィオレットを強く抱きしめてきた。
腰をかがめたアーノルドにくいっとあごを持ち上げられると、お互いの顔が近くなって、ヴィオレットは頬を赤らめた。
「……友達が来ていても、二人の時間だけは君を独占させてね?」
アーノルドはそうささやいて、ヴィオレットが返事をする前に唇をふさいだ。
そのすきにヴィオレットはドミニクに映話することにした。そろそろエミリエンヌがいないことが分かっただろうから、心配しているだろう。
仕事中かもしれないと思ったが、ちょうど休憩中だったらしくつながった。
「てことで、エミリエンヌはうちにいるから安心してね。大体事情は分かったけど、落ち着いたら迎えに来てあげて」
ドミニクは、はぁとため息をついた。
「やっぱりヴィオレットのとこ行くと思ってたわ。悪いな、迷惑かけて」
「いいよ。エミリエンヌと久しぶりに会って楽しかったし」
驚いたものの、それは本当だ。アーノルドと結婚してからエミリエンヌに以前ほど頻繁に会えなくなって寂しい。
ドミニクが身を乗り出す。
「で、話聞いたんだよな!? ドレス何度も着替えたいだの世界一周したいだの、どう考えてもあいつが悪いよな!? あいつどこの大富豪と結婚したと思ってんだよ」
「うーんと……。そうだね……一般的には……」
どう考えてもドミニクのほうが正しいと思うが、はっきりと肩を持つのもはばかられて、ヴィオレットは答えに窮する。
「なんだよ、煮え切らねーなー」
「あはは。ごめんね。でも、ドミニクの味方すると、エミリエンヌが余計怒りそうな気がするから」
「はぁ、それもそうだな。仕事立て込んでて、しばらく迎えに行けそうにないわ。悪いな」
「分かった。来られるようになったら連絡して」
「おー。じゃあ、よろしく。ヴィオレット」
「てことで、急なんだけど、エミリエンヌをしばらく泊めてあげてもいいかなぁ?」
玄関ホールでアーノルドを出迎えたヴィオレットは、手短に説明した。後ろからエミリエンヌがにこにこと顔を出す。
ヴィオレットの予想通り、アーノルドはすぐに快諾してくれた。
「……オレは別にかまわない。日中オレが相手してあげられないから、ちょうどいいかもね」
「さすがアーノルドさま。できるだけご迷惑おかけしないようにしますのでー。お会いするの結婚式以来でしたよね? あの時はご紹介いただいてありがとうございますー」
ぐいぐい来るエミリエンヌが、アーノルドは少し苦手なようだ。若干後ずさりながら、
「……どういたしまして。残念ながら、あいつらとは縁がなかったようだね」
「わたしは残念でしたが、でも他の子と上手くいっているみたいなので」
「……そ、そうか。じゃあオレ部屋で着替えてくるから」
「はーい。後ほど食堂でご一緒しましょうねー」
手を振って見送られながら、ヴィオレットとアーノルドは私室に向かった。
アーノルドが少し疲れた顔をしている。
見かねたヴィオレットはアーノルドの手を握る。
「アル、アル大丈夫?」
「……う、うん。ちょっと勢いが強すぎて疲れた。あの子、元気だね」
「性格は違うんだけど、一番仲がいいんだ」
「……久しぶりに友達に会えて嬉しいだろう。よかったね。でも」
アーノルドがヴィオレットを強く抱きしめてきた。
腰をかがめたアーノルドにくいっとあごを持ち上げられると、お互いの顔が近くなって、ヴィオレットは頬を赤らめた。
「……友達が来ていても、二人の時間だけは君を独占させてね?」
アーノルドはそうささやいて、ヴィオレットが返事をする前に唇をふさいだ。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
殿下、側妃とお幸せに! 正妃をやめたら溺愛されました
まるねこ
恋愛
旧題:お飾り妃になってしまいました
第15回アルファポリス恋愛大賞で奨励賞を頂きました⭐︎読者の皆様お読み頂きありがとうございます!
結婚式1月前に突然告白される。相手は男爵令嬢ですか、婚約破棄ですね。分かりました。えっ?違うの?嫌です。お飾り妃なんてなりたくありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる