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――悪くない。
だが、キージェは迫り来る女の汗の香りを嗅ぎながら予想した技を軽々かわす。
クローレの炎が空を切り、彼女の銀髪が熱風に舞う。
すぐに体を反転し、レイムクロウを振り上げ、炎の刃を乱舞させる
炎の刃が幾重にも重なり、火炎の嵐がキージェを襲う。
だが、キージェは剣を当てることすらせず、すべてをかわしてしまう。
余裕が伝わるのか、クローレの表情に焦りがにじみ始めた。
動きが止まる。
荒い息で顔をしかめつつも、クローレの眼光はまだキージェを射抜いている。
ためた気迫で再び地面を蹴る。
ゴゥワッっと空気が裂けるような衝撃音とともに繰り出された渾身の一撃に、ストームブレイドを合わせ、いなした流れでキージェはクローレの首筋に刃を当てた。
黒ずんだ刃が、まるで血の記憶を宿しているかのように不気味に輝いている。
「ここまでだ」
キージェの声は静かだが、剣よりも鋭く絶対的な威圧感を放つ。
クローレは膝から崩れ落ち、手をついた。
「ちょっと待ってよ」
「おまえさんは死んだんだ。あきらめろ」
肩で息をしながら、クローレは乱れた銀髪をかき上げた。
「今の師匠の動きって、私の技を全部見切ってたの?」
キージェは剣を鞘に収め、淡々と答える。
「拡嵐心眼と疾風幽影だ」
「ということは、予想して動くってことと、動きを読まれないようにすることを同時にやってたってこと?」
――ほう。
「そういうことだ」
――理解が早いな。
だが、それを自分のものにできるかどうかは別問題だがな。
「師匠くらいのレベルになると、私なんか、止まってるように見えちゃうの?」
「まあ、かなりそれに近いかな」
キージェは小さく笑い、鼻の頭をかく。
「ああもう悔しい。私も結構使えると思ってたのに」
「冒険者ランクっていうのは、倒したモンスターの数が多ければ自然に上がるものだからな。おまえさんみたいに筋が良ければ三、四年でSランクになるだろうし、凡庸なやつでも地味に十年も続けりゃ、積み上がった経験値だけでAくらいにはなるからな。それを剣の技術と勘違いすることもある」
「あたし、勘違い野郎だったんだ」
――まあ、野郎じゃねえけどな。
自分の間違いに気づくってえのは大事なことだ。
長生きの秘訣だからな。
「ねえ、師匠、今度は私の防御を見てよ」
「俺は本気で行くぞ」
「はい、お願いします!」
「俺は真っ直ぐ突っ込んでいくからな。まずはしっかり受けろ。そこからの展開は任せる」
「わかりました」
「行くぞ!」
風を切る踏み込みにかろうじて合わせたものの、圧倒される剣圧にひるんだ表情を見せるクローレ。
キージェはいったん引いて水平に円弧を描き、剣を振る。
フレイムクロウを立てたクローレが炎気障壁を展開。
赤い魔力が壁となり、泉の水面を紅く染める。
だが、その盾はキージェが剣先を振るっただけですぐに揺らいだ。
「弱いぞ。ただの飾りかっ」
キージェの罵倒に、クローレは悔しそうに唇を噛むが、すぐに目を輝かせる。
「もう一回お願いします!」
「手加減しねえぞ」
「はいっ!」
だが、キージェは迫り来る女の汗の香りを嗅ぎながら予想した技を軽々かわす。
クローレの炎が空を切り、彼女の銀髪が熱風に舞う。
すぐに体を反転し、レイムクロウを振り上げ、炎の刃を乱舞させる
炎の刃が幾重にも重なり、火炎の嵐がキージェを襲う。
だが、キージェは剣を当てることすらせず、すべてをかわしてしまう。
余裕が伝わるのか、クローレの表情に焦りがにじみ始めた。
動きが止まる。
荒い息で顔をしかめつつも、クローレの眼光はまだキージェを射抜いている。
ためた気迫で再び地面を蹴る。
ゴゥワッっと空気が裂けるような衝撃音とともに繰り出された渾身の一撃に、ストームブレイドを合わせ、いなした流れでキージェはクローレの首筋に刃を当てた。
黒ずんだ刃が、まるで血の記憶を宿しているかのように不気味に輝いている。
「ここまでだ」
キージェの声は静かだが、剣よりも鋭く絶対的な威圧感を放つ。
クローレは膝から崩れ落ち、手をついた。
「ちょっと待ってよ」
「おまえさんは死んだんだ。あきらめろ」
肩で息をしながら、クローレは乱れた銀髪をかき上げた。
「今の師匠の動きって、私の技を全部見切ってたの?」
キージェは剣を鞘に収め、淡々と答える。
「拡嵐心眼と疾風幽影だ」
「ということは、予想して動くってことと、動きを読まれないようにすることを同時にやってたってこと?」
――ほう。
「そういうことだ」
――理解が早いな。
だが、それを自分のものにできるかどうかは別問題だがな。
「師匠くらいのレベルになると、私なんか、止まってるように見えちゃうの?」
「まあ、かなりそれに近いかな」
キージェは小さく笑い、鼻の頭をかく。
「ああもう悔しい。私も結構使えると思ってたのに」
「冒険者ランクっていうのは、倒したモンスターの数が多ければ自然に上がるものだからな。おまえさんみたいに筋が良ければ三、四年でSランクになるだろうし、凡庸なやつでも地味に十年も続けりゃ、積み上がった経験値だけでAくらいにはなるからな。それを剣の技術と勘違いすることもある」
「あたし、勘違い野郎だったんだ」
――まあ、野郎じゃねえけどな。
自分の間違いに気づくってえのは大事なことだ。
長生きの秘訣だからな。
「ねえ、師匠、今度は私の防御を見てよ」
「俺は本気で行くぞ」
「はい、お願いします!」
「俺は真っ直ぐ突っ込んでいくからな。まずはしっかり受けろ。そこからの展開は任せる」
「わかりました」
「行くぞ!」
風を切る踏み込みにかろうじて合わせたものの、圧倒される剣圧にひるんだ表情を見せるクローレ。
キージェはいったん引いて水平に円弧を描き、剣を振る。
フレイムクロウを立てたクローレが炎気障壁を展開。
赤い魔力が壁となり、泉の水面を紅く染める。
だが、その盾はキージェが剣先を振るっただけですぐに揺らいだ。
「弱いぞ。ただの飾りかっ」
キージェの罵倒に、クローレは悔しそうに唇を噛むが、すぐに目を輝かせる。
「もう一回お願いします!」
「手加減しねえぞ」
「はいっ!」
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