異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

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異世界編 1章

第14話 奴隷その1

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 いったい何を思ったかのだろうか?
 正秀が異世界の武器屋に行っているその頃……

 為次はエレメンタルストーンの代金を貰いに、上級国民区画へと向かっていた。
 一人寂しそうにトボトボと歩き激しく後悔をしながら。
 
 くそっ! 何で俺は、こんなお使いを自分から言い出したんだ……
 昨日に続き、今日もお腹が空いた。
 夜にレーションを食べたっきりだよ、まったくもー。
 お金が無い…… これでは俺のエサが買えない!
 マサから金を貰うの忘れてたわ。

 などと考えながら歩く為次はお腹が空いていた。
 ご飯を買うお金が無いのだ。
 もっとも、お金があっても更なる問題がある。
 それは、どう考えても、この世界に券売機があるとは思えないのだ。
 初めて入る飲食店に券売機が無いのは、為次にとって痛恨の極みであった。

 だから為次は考えるのだ。
 ゴミのような知識をフル活用して……

 いや、待て俺よ。
 お金があったからと言って、一人でお店に入れる分けがない。
 初めて入る店で、初めて会った店員に、初めての注文を一人でできる分けがない。
 間違いない。
 そもそも、入る店を間違えたら、一人で店に入った俺をリア充どもに笑われるに決まっている!
 事前調査無しで飲食店に入るなど言語道断、万死に値する!
 こんなことなら、マサはほかっといてスレイブ達と飲みに行けばよかった……

 と、後悔ばかりが頭の中を巡っている。

 為次の言い分では、初めて飲食店に入る時には事前調査が必要らしい。
 あらかじめ、その店での注文方法を確認し、店員に注文するのか券売機で買うのかを調べるのだ。
 券売機ならば、その店の敷居は低い。
 だが、まかり間違っても券売機設置店であるにも関わらず、知らずにうっかり券を買わずに席に着くことは大変に愚かな行為である。
 その時点で、二度とその店には入れなくなってしまうからだ。

 次に、よくある店員に注文をする店だが、これはとても難易度が高い。
 最初に調べることは、そこがオシャレな店ではないことだ。
 間違ってオシャレな店に入ってしまったなら、その時点でジ・エンドである。
 これは説明の必要もないだろう。

 そして、目的の店が一般大衆的な店だと確認できれば次に調べるのが、その店での一般的な品である。
 わかりやすいのは牛丼屋である。
 牛丼屋ならば牛丼並盛と注文すれば良い。
 だが、問題は定食屋だ!
 品数が多い上に、どれが一般的な注文品なのかを見極めるが大変困難なのだ。
 目的の店のホームページがあれば、お勧め品などが記載されており、1番人気などを注文すれば概ね上手く行くものだ。
 だからチェーン店ならば、まず失敗は無い。
 しかしである! 個人店ならばどうだろうか?
 確実に難易度、危険度共にMAXである。

 などと、為次はとてもどうでもいいことを考えながら歩いていた。
 思うところは他にも沢山ある、バーガーショップでの作法や唐揚げ専門店での注文方法。
 極めつけはラーメン屋の……

 そして、考えるのを止めた。
 決して、このままでは今回の話が為次のくだらない妄想で終わってしまうからではない!
 誰かに呼び止められたからだ。

 そんなバカな為次を呼び止めたのは、2人の兵士であった。

 「おい! 貴様どこへ行く?」

 気が付けば上級国民区画への入口まで来ていたようだ。
 上級国民区画は高台になっており、目の前には幅が広く高い階段が目の前に広がっていた。
 どうやらこの2人は門番っぽい連中らしい。
 だが、門は無い。

 「あ? へ?」

 「アヘじゃない! 何者だ? 間抜け面しやがって」

 向かって右に居た兵士は言った。

 「あ、すんません変なナレーションが頭に響いていたものでして……」

 「お前は何を言っているんだ?」

 兵士達は胡散臭そうに為次を睨むと、通行を阻止しようとする。

 「まあいい、ここから先は平民は入れんぞ」
 
 「ああ、そうね…… えっとコレコレ」

 そう言いながら、入場証を渡した。

 「ガザフ邸への…… レッドドラゴン討伐……」

 「まさか、レッドドラゴンを討伐したのがお前なのか?」

 隣の兵士も入場証を覗き込んで驚いている様子だ。

 「パジャマを着てフラフラしてるコイツがか? 信じれん」

 「あ、やっぱりこの服、寝間着として売ってたのね…… どおりで、着心地がいいと思ったよ。お尻の汁が乾いてカピカピするけど」

 「かぴかぴはともかく、入場証は本物で間違いないようだな」

 兵士は入場証を確認すると為次に返した。
 それでも、もう一方の兵士は不満そうだ。

 「仕方ないから入れてはやるが、ガザフ邸以外には行くなよ。お前のような輩にウロウロされては、堪らなんからな」

 「はいはい」

 「返事は1回でよい!」

 「うい」

 「…………」

 「あのー、ところでエスカレーターは何処?」

 「えすかれいたぁ? なんだそれは?」

 「この階段、歩いて上がるの?」

 「当たり前だろ!」

 「貴様は頭がおかしいのか?」

 「正常だったら嬉しいかも」

 「とにかく訳の分からないことを言ってないで、さっさと行って来い。何処にも寄らず、すぐに戻ってくるんだぞ。分かったな?」

 「はいはい」

 「もういい、早く行けっ」

 「まったく、ふざけた野郎だ」

 為次はしぶしぶ、長い階段を歩いて上がって行くのであった……

※  ※  ※  ※  ※
 
 ガザフ邸までは迷わず来れた。
 入場証のカードと一緒に地図を貰っていたからだ。
 しかし、距離は遠かった。
 30分くらい歩いただろうか?
 2キロくらいはあったはずだ。
 ガザフ邸へ着いた頃には、為次はヘロヘロになっていた。

 「あー、やっと着いたわ。マジ勘弁」

 目の前にはレンガ作りの大きな、お屋敷がある。
 多分4階建てっぽいが、お城っぽい作りなのでよく分からないっぽいかも。
 そして、おっきい玄関前に行くとメイドさんが1人立っていた。

 「こんにちは」

 「はい、こんにちは」

 メイドさんは破壊力抜群の笑顔で迎えてくれる。

 「えっと…… あっと…… その…… あの……」

 「うふっ」

 笑顔で笑う可愛いメイドさんに、為次はたじたじだ。

 「ぬぉ(やばっ、このメイドさん超カワイイ)」

 なんて思いながら見ている。

 「いかがされました?」

 メイドさんは為次の方へと大接近して来た!

 「ちょ…… あの…… えっと、あばばば(近い、近い、近すぎる、しかもいい匂い。それに、スカート短いし胸の谷間とかヤバすぎるでしょ)」

 言葉にできない為次はモジモジしている。

 大ピンチであった。
 このままでは女性に免疫が無いことがバレてしまう。
 為次は3人姉弟きょうだいで姉が2人居た。
 勉強のできない為次は、子供の頃には姉達によくからかわれたり虐められたりしたものだ。
 そのせいか、女性とは積極的に係ることをしなくなってしまった。
 女が嫌いな分けでもなく、ホモでもない。
 エロいのは大好きである、むしろエッチだ。
 しかし、女性にあまり免疫ができていないのだ。

 そんな分けで、為次はどうしていいの分からず直立不動状態である。
 そして、またしてもメイドさんは攻撃を仕掛けてくる。

 「あら、そのお手にお持ちのは……」

 そう言うと前にかがみながら為次が手に持っていた入場証を確認する振りをして手を取った。

 「ぐはぁ!? (おい、おい、そんなに前傾姿勢をとったら胸の谷間の更に奥がぁ! しかも、なんで手を握ってるの? ねぇ、なんでぇ)」

 為次のHPはほとんど0に近かったが、メイドさんの連続攻撃は終わらない。
 手に持っている入場証を見ようして、手を握ったまま自分の方へと寄せたのだ。

 その瞬間……

 手がメイドさんのおっぱいに触れた。
 それは永遠のときかとも思えた……
 時間が止まってしまったかの錯覚すら覚える。

 「…………(ぷるん ぷるん)」

 もはや為次は言葉すら話せなくなってしまった。

 「あなたが、レッドドラゴンを討伐された勇者様なのですね?」

 「ぁふぅ~ん」

 「では、こちらへどうぞ、ご案内します」

 メイドさんはそう言うと、ようやく為次の手を放してくれた。

 そして、破壊力抜群のメイドさんから解放された為次は、魂の抜けた人形のようになりメイドさんに着いて行くのであった。

※  ※  ※  ※  ※

 メイドさんに連れられ、建物の奥へと進むと、広くて陰湿で微妙に暗い部屋へと通された。
 その部屋の更に奥には檻で囲われた闘技場みたいな場所がある。
 そして、その檻をゴージャスな椅子に座りながら眺める1人の男性が居た。

 「ご主人様、レッドドラゴン討伐の勇者様をお連れ致しました」

 椅子に座った男が振り返る。

 「ああ、分かったよ、下がっていいよ」
 
 「はい、失礼致します」

 メイドさんは一礼をすると部屋から出て行ってしまった。

 「ちょ、まっ……(写真を撮っておけば良かった)」

 と、為次はちょっと後悔をした。

 「やあよく来てくれたね、僕がガザフだよ、よろしくね」

 ガザフと名乗る人物は為次を見ると言った。
 その男性は金髪で透き通った青い目をした超絶美青年だ。

 「あ、どうも」

 「はい、どうも」

 「お金貰えると聞いて来たんですが」
 
 為次はいつの間にかギルドで渡してもらっていた設定の1枚の紙をガザフに渡した。
 それは、引換券みたいなものだ。
 今回は入場証と一緒に貰ったことにしておく。

 ガザフはその紙を確認すると。

 「うん、間違いないね。お金はすぐに用意させるよ、その間、一緒にこの余興でも見ないかい?」

 そう言うとガザフは檻の方を指した。

 「余興?」

 為次は檻の方へと近づくと中に人が居るのが見える。
 檻の中には少女と怪物が入っていた。
 少女は傷だらけになりながら、恐怖に怯えた顔で涙を流し怪物と対峙しているのであった。

 それを見た為次は、まったく関係ないことを思う。

 今回は色々とおかしい、入店の作法とか、女性に免疫が無い解説とか要らないから、マジで要らないから……

 と。
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