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異世界編 2章
第100話 魔法
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異世界編 第31話 魔法
マヨーラはレオパルト2を改修する為の魔法を作っていた。
それを邪魔して、ケチまで付ける暇な為次。
そんな二人は、正秀と貞宗がお風呂から上がるのを待っているのであった。
「ねぇ、マヨ」
「何よ」
「その変な文字みたいなの何?」
マヨーラが何か書いている紙を見ながら訊いてみた。
「変じゃないわ、魔法言語よ」
「魔法言語? 言語?」
「ええ」
「じゃあ、ターナは読めないの?」
「読めるに決まってるでしょ、何を言ってるの?」
「でも、俺は読めないよ?」
「当たり前でしょ、魔法が使えないんだから」
為次は不思議に思った。
確か、トランスレーションの魔法は術者の知っている言葉を相手に教えるはずである。
しかし、魔法言語とやらの文字は自分には読めない。
術者であるターナが読めるならば、それはおかしいはずだ。
「トランスレーションの魔法じゃ読めないってこと?」
「そういえば、あんた達って魔法のことは全然知らないんだったわね」
「うん、魔法なんて空想の力だったから」
「……仕方ないわねぇ」
仕方ないと言いつつも、マヨーラは得意げに解説してくれるのだ。
「いい? ちゃんと聞くのよ」
「あ、はい」
マヨーラの解説によると、こうであった……
まず魔法言語だが、これは言葉を発しようとしても、言葉で発音はできない。
文字を書いても、文字としては読み取れないそうだ。
すべてをイメージのような感じとして認識するらしい。
魔法言語で書かれた文字や魔法陣は、頭で考えるものではない。
それらを心で感じ取って理解するとのことだ。
魔法を使う時には、まず魔法言語で描かれた目的の呪文を感じ理解する。
そして、その魔法を具現化する為に自らの魔力を、その呪文に込めるのだ。
最終的には魔法を発動するのには、発音しエーテルに作用させる。
しかし、魔法言語は発音することはできない。
代わりに人間の言葉に、魔法言語の言葉を融合させて発音する。
基本的には使用する魔法のイメージに合った言葉を使うのが一般的だ。
イメージさえ合えば、スイのように適当な言葉でも発動は可能となる。
「と、まあ、そんな感じで魔法は使うのよ」
はっきり言って、為次には理解不能な説明である。
だが、魔法言語に関しては何となく分からなくもない。
「俺達には理解できない言葉…… か」
そう…… 例えるなら機械語である。
0と1の羅列で書かれた機械語は人間には理解できない。
理解しようと思えばディスアセンブルをする必要がる。
しかも、分かったところで、その言葉は人間にとって意味を成さない。
コンピューターという媒体があってこそ、初めて意味を成すのだ。
マヨーラは魔法言語でプログラムを作っている。
そして、魔導士はそれを実行可能な存在なのかも知れない。
それはつまり魔法言語とは、言葉のように自分の気持ちを相手に伝える道具ではない。
魔導士にとって、必要不可欠な知識なのだと。
為次は、そんな風に考えた……
「へぇ」
「あんた、分かったの?」
「マヨの書いてるのが読めないのは、なんとなくね」
「そう…… まぁ、魔法の使えない、あんた達には関係ないわね」
「そだねー」
「でも、気が使えるんじゃないの? 気功士さんは」
「えっ…… あ!?」
その言葉に為次は再び考える……
魔法が意思の力ならば、気とはいったい?
精神を集中すれば使うことができる。
魔法とは別の力ではあるが、人の持つ意思の現れだとすれば根本的な部分は同じかも知れない。
だが、何かが違う……
この世界とは違う世界からやって来た自分達だけが使える力。
魔法も気も、ナノマシンによる脳の覚醒だとすれば、精神エネルギーの違いによるもの。
肉体ではない、魂とでもいうべきだろうか?
生まれた星が違えば、脳の構造も違うからと考えられる。
普通に考えればそうかも知れない。
だけど……
もっと小さな世界での僅かな差。
原子や素粒子よりも、もっと…… ずっと……
それによって起こる、能力の違いだとしたら?
そこで考えるのをやめた……
それ以上考えるのは、「二度と帰ることはできない」と。
そう自分に言い聞かせるようなものだから。
「なーに、バカ面してんのよっ」
「っ!?」
どんな顔をして考えていたのだろうか……?
為次は、マヨーラの呼びかけで我に返った。
「あ…… いや、別に……」
「……そう」
「それにしても、隊長も考えてくれてたんだなぁ」
「何をよ?」
「レオの改造」
「あぁ」
「殺そうとしたくせに……」
「え!? ほんとに?」
「だからボロボロになってたの」
「そうなのね……」
もっとも、為次の骨折はシャルに投げ飛ばされたからだ。
流石におっぱいを揉んだから全身の骨を折られたなどと言えずに、それは黙っておくのだった。
そんなこんなしている内に、正秀と貞宗がお風呂から上がったようだ。
首からタオルを掛けて、上半身裸でリビングに入って来る。
「おっ為次、お手伝いはもう済んだのか?」
「んぁ、まあね」
「ちょっと、なんてカッコしてるのよ」
マヨーラは正秀から目を逸らしながらも、チラチラ見ている。
心なしか、嬉しそうでもある。
「いやぁ、悪りぃ、悪りぃ」
「これでも気を使って、下は履いてるんだぞ」
気を使ってると言う割には、貞宗に至っては褌一丁だ。
「もぅ……」
「どっこいしょ」
マヨーラの正面に座ると、両手を広げ中途半端に足を組む。
しかも、褌のヒラヒラを手で上げたり下げたりとパタパタさせる。
殆ど、セクハラおやじ状態だ。
青年の姿でなければ、逮捕待ったなしである。
「ふー、さっぱりしたぞ、マヨーラも入って来たらどうだ?」
「あんたの後じゃ、お湯を張り替えないとね」
「マサの後は嫌なんだ」
「えっ! ち、違うわよっ! サダムネよ!」
「それより、魔法はできたのか?」
「ああ、それなんだけど……」
「どうした?」
「タメツグがケチを付けるのよ」
「ん? 山崎がか?」
「別にケチって分けじゃないんスけどー」
「お前に魔法が分かるのか?」
「魔法は分かんないけど、ちょっと問題が」
「なんだ? 言ってみろ」
「あ、はい」
為次が言うには、エンジンをエクスプロージョンで駆動させるのが問題らしい。
否、方法自体は問題無いのだが、前に貞宗が言っていたエクスプロージョンは水素と酸素を発生させて爆発を起こすのがダメだと言う。
水素を使うと言うことは、つまり水素燃料エンジンに改造するようなものだ。
鋼材が水素に晒されると、水素脆化を起こす可能性がある。
これは鋼材の内部に水素が吸収されると、強度が著しく低下する現象なのだ。
しかも高温高圧のシリンダー内が常に水素に晒されてしまえば、水素脆化が起こる可能性は高い。
流石に、エンジンの信頼度を極端に落とすのには賛成できない。
それが、言い分であった。
「と、まあ、そんなとこね」
「確かに水素脆性による破壊は問題だな」
正秀は納得した様子だが、当然マヨーラは分からない。
「何を言ってるのか、さっぱりだわ」
「うむ、マヨーラの嬢ちゃんに賛成だ」
貞宗も分からないらしいので、簡単に正秀が説明する。
「つまり隊長、水素はマズいってことですよ」
「ふむ、だがエクスプロージョンが水素爆発と決まった分けじゃないぞ?」
「可能性があるなら問題っスよ」
「そうは言うが山崎よ、10式は普通に動くぞ?」
「どのくらい動かしてるのですか?」
正秀は訊いた。
「……最後に動かしたのは、確か砲弾が残り少なくなってからだな」
「いつです?」
「うむ…… もう20年以上前か……」
「そうですか……」
「どうにか、ならんのかねぇ」
為次は困った。
そんな大昔のことを言われても、現状がどうなっているのか分からない。
下手すれば1気筒くらい死んでる可能性だってある。
「簡単なことよ」
「え? マジマヨ?」
「ええ、マジックシールドの中で爆発させればいいんじゃないの?」
「おお! そんなことできるの?」
「できるわ。でも連続で使用するんでしょ? 結構なマナが必要ね」
「魔法のことは、よー分からんな」
「仕方ない、ブルーストーンを使えばどうだ? マヨーラの嬢ちゃんよ」
「それならじゅうぶんね、勿体ないけど」
「ターナだって、そのつもりでブルーストーンを寄こしたんだろ? 違うか?」
「新しい魔道艇に使うんじゃなかったの?」
「どうだろうな、なんにせよ戦力強化が目的だろう」
「それで、大丈夫なんですか?」
正秀は大切な石をレオパルト2に使っていいのか? という意味で訊いた。
しかし、貞宗はマヨーラの案で大丈夫なのか? と、捉えたらしい。
「ああ、魔法の方はいいと思うが、山崎はそれでどうだ?」
結果、正秀の質問は激しくスルーされた。
「確かに、マジックシー…… バリアで防げるならいいかも」
「よし! それで決まりだな、頼んだぞマヨーラの嬢ちゃん」
「それはいいんだけど、何処に使うか見ないと、正確な魔法の発動ができないわよ?」
「なんだと……」
「当たり前でしょ、どんだけ精密な魔法を使うと思ってるのよ」
「仕方ねぇな、エンジンをバラすか。いいか山崎?」
「まあ、それしか方法無さそうだし」
「ついでにレオのオーバーホールもしようぜ、為次」
「うん」
こうして、レオパルト2強化プランの第一弾が決まった。
今日は2度も複雑骨折を体験した為次だが、大切な戦車がまだまだ運用できそうなので今夜はちょっぴりウキウキ気分だ。
なので、早く改装に取り掛かりたいと思うのだが……
「それじゃ、作業は明日の午後からだ」
貞宗は言った。
「朝からでもいいよ、早起きするよ」
為次はやる気満々であった。
「ほう、特訓の為に早起きとは、良い心がけだな」
「いっ!?」
「はははっ、頑張れよ為次」
「マジ勘弁だは……」
……………
………
…
夜も更け、また一日が終わる。
明日からは本格的に、特訓と戦車の改装が始まるのだ。
あての無い帰還を目指して……
異世界編 第31話 魔法
マヨーラはレオパルト2を改修する為の魔法を作っていた。
それを邪魔して、ケチまで付ける暇な為次。
そんな二人は、正秀と貞宗がお風呂から上がるのを待っているのであった。
「ねぇ、マヨ」
「何よ」
「その変な文字みたいなの何?」
マヨーラが何か書いている紙を見ながら訊いてみた。
「変じゃないわ、魔法言語よ」
「魔法言語? 言語?」
「ええ」
「じゃあ、ターナは読めないの?」
「読めるに決まってるでしょ、何を言ってるの?」
「でも、俺は読めないよ?」
「当たり前でしょ、魔法が使えないんだから」
為次は不思議に思った。
確か、トランスレーションの魔法は術者の知っている言葉を相手に教えるはずである。
しかし、魔法言語とやらの文字は自分には読めない。
術者であるターナが読めるならば、それはおかしいはずだ。
「トランスレーションの魔法じゃ読めないってこと?」
「そういえば、あんた達って魔法のことは全然知らないんだったわね」
「うん、魔法なんて空想の力だったから」
「……仕方ないわねぇ」
仕方ないと言いつつも、マヨーラは得意げに解説してくれるのだ。
「いい? ちゃんと聞くのよ」
「あ、はい」
マヨーラの解説によると、こうであった……
まず魔法言語だが、これは言葉を発しようとしても、言葉で発音はできない。
文字を書いても、文字としては読み取れないそうだ。
すべてをイメージのような感じとして認識するらしい。
魔法言語で書かれた文字や魔法陣は、頭で考えるものではない。
それらを心で感じ取って理解するとのことだ。
魔法を使う時には、まず魔法言語で描かれた目的の呪文を感じ理解する。
そして、その魔法を具現化する為に自らの魔力を、その呪文に込めるのだ。
最終的には魔法を発動するのには、発音しエーテルに作用させる。
しかし、魔法言語は発音することはできない。
代わりに人間の言葉に、魔法言語の言葉を融合させて発音する。
基本的には使用する魔法のイメージに合った言葉を使うのが一般的だ。
イメージさえ合えば、スイのように適当な言葉でも発動は可能となる。
「と、まあ、そんな感じで魔法は使うのよ」
はっきり言って、為次には理解不能な説明である。
だが、魔法言語に関しては何となく分からなくもない。
「俺達には理解できない言葉…… か」
そう…… 例えるなら機械語である。
0と1の羅列で書かれた機械語は人間には理解できない。
理解しようと思えばディスアセンブルをする必要がる。
しかも、分かったところで、その言葉は人間にとって意味を成さない。
コンピューターという媒体があってこそ、初めて意味を成すのだ。
マヨーラは魔法言語でプログラムを作っている。
そして、魔導士はそれを実行可能な存在なのかも知れない。
それはつまり魔法言語とは、言葉のように自分の気持ちを相手に伝える道具ではない。
魔導士にとって、必要不可欠な知識なのだと。
為次は、そんな風に考えた……
「へぇ」
「あんた、分かったの?」
「マヨの書いてるのが読めないのは、なんとなくね」
「そう…… まぁ、魔法の使えない、あんた達には関係ないわね」
「そだねー」
「でも、気が使えるんじゃないの? 気功士さんは」
「えっ…… あ!?」
その言葉に為次は再び考える……
魔法が意思の力ならば、気とはいったい?
精神を集中すれば使うことができる。
魔法とは別の力ではあるが、人の持つ意思の現れだとすれば根本的な部分は同じかも知れない。
だが、何かが違う……
この世界とは違う世界からやって来た自分達だけが使える力。
魔法も気も、ナノマシンによる脳の覚醒だとすれば、精神エネルギーの違いによるもの。
肉体ではない、魂とでもいうべきだろうか?
生まれた星が違えば、脳の構造も違うからと考えられる。
普通に考えればそうかも知れない。
だけど……
もっと小さな世界での僅かな差。
原子や素粒子よりも、もっと…… ずっと……
それによって起こる、能力の違いだとしたら?
そこで考えるのをやめた……
それ以上考えるのは、「二度と帰ることはできない」と。
そう自分に言い聞かせるようなものだから。
「なーに、バカ面してんのよっ」
「っ!?」
どんな顔をして考えていたのだろうか……?
為次は、マヨーラの呼びかけで我に返った。
「あ…… いや、別に……」
「……そう」
「それにしても、隊長も考えてくれてたんだなぁ」
「何をよ?」
「レオの改造」
「あぁ」
「殺そうとしたくせに……」
「え!? ほんとに?」
「だからボロボロになってたの」
「そうなのね……」
もっとも、為次の骨折はシャルに投げ飛ばされたからだ。
流石におっぱいを揉んだから全身の骨を折られたなどと言えずに、それは黙っておくのだった。
そんなこんなしている内に、正秀と貞宗がお風呂から上がったようだ。
首からタオルを掛けて、上半身裸でリビングに入って来る。
「おっ為次、お手伝いはもう済んだのか?」
「んぁ、まあね」
「ちょっと、なんてカッコしてるのよ」
マヨーラは正秀から目を逸らしながらも、チラチラ見ている。
心なしか、嬉しそうでもある。
「いやぁ、悪りぃ、悪りぃ」
「これでも気を使って、下は履いてるんだぞ」
気を使ってると言う割には、貞宗に至っては褌一丁だ。
「もぅ……」
「どっこいしょ」
マヨーラの正面に座ると、両手を広げ中途半端に足を組む。
しかも、褌のヒラヒラを手で上げたり下げたりとパタパタさせる。
殆ど、セクハラおやじ状態だ。
青年の姿でなければ、逮捕待ったなしである。
「ふー、さっぱりしたぞ、マヨーラも入って来たらどうだ?」
「あんたの後じゃ、お湯を張り替えないとね」
「マサの後は嫌なんだ」
「えっ! ち、違うわよっ! サダムネよ!」
「それより、魔法はできたのか?」
「ああ、それなんだけど……」
「どうした?」
「タメツグがケチを付けるのよ」
「ん? 山崎がか?」
「別にケチって分けじゃないんスけどー」
「お前に魔法が分かるのか?」
「魔法は分かんないけど、ちょっと問題が」
「なんだ? 言ってみろ」
「あ、はい」
為次が言うには、エンジンをエクスプロージョンで駆動させるのが問題らしい。
否、方法自体は問題無いのだが、前に貞宗が言っていたエクスプロージョンは水素と酸素を発生させて爆発を起こすのがダメだと言う。
水素を使うと言うことは、つまり水素燃料エンジンに改造するようなものだ。
鋼材が水素に晒されると、水素脆化を起こす可能性がある。
これは鋼材の内部に水素が吸収されると、強度が著しく低下する現象なのだ。
しかも高温高圧のシリンダー内が常に水素に晒されてしまえば、水素脆化が起こる可能性は高い。
流石に、エンジンの信頼度を極端に落とすのには賛成できない。
それが、言い分であった。
「と、まあ、そんなとこね」
「確かに水素脆性による破壊は問題だな」
正秀は納得した様子だが、当然マヨーラは分からない。
「何を言ってるのか、さっぱりだわ」
「うむ、マヨーラの嬢ちゃんに賛成だ」
貞宗も分からないらしいので、簡単に正秀が説明する。
「つまり隊長、水素はマズいってことですよ」
「ふむ、だがエクスプロージョンが水素爆発と決まった分けじゃないぞ?」
「可能性があるなら問題っスよ」
「そうは言うが山崎よ、10式は普通に動くぞ?」
「どのくらい動かしてるのですか?」
正秀は訊いた。
「……最後に動かしたのは、確か砲弾が残り少なくなってからだな」
「いつです?」
「うむ…… もう20年以上前か……」
「そうですか……」
「どうにか、ならんのかねぇ」
為次は困った。
そんな大昔のことを言われても、現状がどうなっているのか分からない。
下手すれば1気筒くらい死んでる可能性だってある。
「簡単なことよ」
「え? マジマヨ?」
「ええ、マジックシールドの中で爆発させればいいんじゃないの?」
「おお! そんなことできるの?」
「できるわ。でも連続で使用するんでしょ? 結構なマナが必要ね」
「魔法のことは、よー分からんな」
「仕方ない、ブルーストーンを使えばどうだ? マヨーラの嬢ちゃんよ」
「それならじゅうぶんね、勿体ないけど」
「ターナだって、そのつもりでブルーストーンを寄こしたんだろ? 違うか?」
「新しい魔道艇に使うんじゃなかったの?」
「どうだろうな、なんにせよ戦力強化が目的だろう」
「それで、大丈夫なんですか?」
正秀は大切な石をレオパルト2に使っていいのか? という意味で訊いた。
しかし、貞宗はマヨーラの案で大丈夫なのか? と、捉えたらしい。
「ああ、魔法の方はいいと思うが、山崎はそれでどうだ?」
結果、正秀の質問は激しくスルーされた。
「確かに、マジックシー…… バリアで防げるならいいかも」
「よし! それで決まりだな、頼んだぞマヨーラの嬢ちゃん」
「それはいいんだけど、何処に使うか見ないと、正確な魔法の発動ができないわよ?」
「なんだと……」
「当たり前でしょ、どんだけ精密な魔法を使うと思ってるのよ」
「仕方ねぇな、エンジンをバラすか。いいか山崎?」
「まあ、それしか方法無さそうだし」
「ついでにレオのオーバーホールもしようぜ、為次」
「うん」
こうして、レオパルト2強化プランの第一弾が決まった。
今日は2度も複雑骨折を体験した為次だが、大切な戦車がまだまだ運用できそうなので今夜はちょっぴりウキウキ気分だ。
なので、早く改装に取り掛かりたいと思うのだが……
「それじゃ、作業は明日の午後からだ」
貞宗は言った。
「朝からでもいいよ、早起きするよ」
為次はやる気満々であった。
「ほう、特訓の為に早起きとは、良い心がけだな」
「いっ!?」
「はははっ、頑張れよ為次」
「マジ勘弁だは……」
……………
………
…
夜も更け、また一日が終わる。
明日からは本格的に、特訓と戦車の改装が始まるのだ。
あての無い帰還を目指して……
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