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異世界編 2章
第106話 あらすじ
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……………
………
…
―― あれから
レオパルト2の仕様書を見つけてからと言うもの……
日々同じことの繰り返しだった。
朝起きては特訓へと赴き。
お昼ご飯を食べ終われば、戦車の改造作業。
休む日は無かった。
その間、クリスは一生懸命に皆の世話をしてくれた。
貞宗だけでも手間であろうに、散らかすしかできない男が二人も増えたのだ。
お手伝いをしてくれるスイの存在が、せめてもの救いであったろう。
しかし、そにスイも途中から魔法制作に加わった。
大変そうではあったが、何処となく楽しそうでもあった。
例の姉妹も、よく手伝ってくれたものだ。
シャルは毎朝、正秀と一緒に森の特訓場へと出掛けた。
シムリは初めの頃こそ、為次に纏わりついていた。
だけど、その内に飽きたのだろうか?
マヨーラの魔法制作を手伝うようになった。
魔導機関用の魔法制作は困難を極めた。
シムリの手伝いが無ければ、更に日数を要したことであろう。
それに肝心のリバースグラビティが問題であった。
車体に反重力フィールドを発生させたとこで、戦車その物が浮き上がる分けではない。
移動できる反重力場ができるだけである。
その為に、リバースグラビティは付与魔法として発動させる必要が分かった。
結局、スイもお手伝いは早々に魔法制作の仲間入りとなったのだ。
そんなレオパルト2が完成したのは、改造が終わる直前であった。
そして、ついに……
※ ※ ※ ※ ※
――30日後
「俺の名前は山崎為次《やまざきためつぐ》。一応は自衛隊員で、この物語の主人公なんだよね」
「そうね」
「ねぇー、ちゃんと聞いてる? クリスさん」
「聞いてるわ」
酔った為次は、リビングでクリスに絡んでいた。
「元々はバスの運転手さんだったけど、俺の優秀さを見込んで自衛隊にヘッドハンティングされたの。なんか赤い紙が送られて来て、翌日には自衛隊に即入隊。直後に即実戦。んま、日本は第三次世界大戦に巻き込まれてたから仕方ないよね」
「よく分からないけど、大変だったのね」
「うん」
先程まで、打ち上げパーティーをしていた。
レオパルト2Ad完成を祝っての。
「ああ、それと役職って言うのかな? ちょっとよく分かんないんだけど、自衛隊では二等陸士ってやつなの。10式戦車の運転手をやってたので、まあ結構なとこ偉い人だと思う分け。やってたってのは、今は10式じゃなくてレオパルト2って戦車の運転手だからだよ。岐阜で拾ったやつなんだけどさ」
「あの陸上艇は拾い物だったのね……」
「うん」
皆はひとしきり飲み食いすると、泥酔してしまった。
クリスを除いては。
「レオはね、10式と違って右ハンなんで乗りやすいんだよ。シートもポルシェ譲りで乗り心地バツグン! と、それはどうでもいいか」
「どうでもよくは無いわ、タメツグさんにとって大切なことなのでしょう?」
「うん、まあ」
正秀と貞宗は何故か上半身裸になると、中庭に飛び出して行った。
そこで、剣をぶつけ合っている。
時折、雷撃音と爆音が鳴り響いている。
近所迷惑も甚だしい。
そんな2人をシャルは半狂乱しながら、見学していた。
「俺には仲間がもう一人居てさ、名前は水谷正秀。自衛隊では二等陸士とか言うやつみたいね。多分、俺より下のはず。10式では砲手やってたけど、レオでは車長兼任なの」
「マサヒデさんは、優秀な方ね」
「俺程じゃないけどね」
「ふふっ」
向かいのソファーでは、スイとマヨーラが一緒に寝ている。
姉妹だからであろうか?
どことなく、似た感じが漂う。
「んで、このドイツの戦車で戦ってんだけどさ。なんか知らんけど敵の攻撃で、異世界に吹っ飛ばされちゃった。ぶっちゃけ自分でも、何言ってるのか分かんない」
「そうなの?」
シムリは一人、床で酔い潰れていた。
口元の寝ゲロ跡が、ちょっと臭う。
「だってさ、魔法とか有る世界なんだよ。しかも魔獣や野獣ってモンスターも居るし。ああ、魔獣は魔法生命体で野獣は原生生物みたいなのね。ターナ達が言ってた」
「タメツグさんは、ターナ様とも仲がいいのね」
「うん」
話し相手が居なくなった。
だから、為次はクリスに絡んでいるのだ。
「ターナってのは3バカの1人で、おっぱいが大きいお姉さん。後の2人はスレイブって切れやすいにーちゃんと、マヨーラってちっぱい。この3人が異世界で俺達を出迎えてくれたんだ。ご苦労なこってす」
「ターナ様、自ら迎えに行ったのね、凄いわ」
「まっ、当然っすわ」
「そう。ふふっ」
「でね、ターナ達にはサイクスって街に案内されて、お家も用意してもらったよ。仕事も紹介してもらって、いきなりドラゴン退治で2億円貰ったの。こっちの世界では2億ゴールドって言うのかな?1ゴールドが概ね1円らしいので2億円なのだ」
「タメツグさんは、お金持ちなのね」
「向こうの世界では、安月給だったけどね」
「あらあら」
「この大金で俺は奴隷を買っちった、てへ。スイって女の子で、可愛いし、おっぱいは適度に大きいかな。それはいいんだけど、ちょっと頭が弱いのが難点なんだよね。でも、物覚えは凄くいいから装填手やってもらってるの。しかも、付与魔法って超絶便利な魔法が使える魔法少女なんだよ」
「スイちゃんは、とてもいい子よ」
「まあね」
「お手伝いもしてくれるし、とても助かるわ」
「で、ここからがまた凄いの。生命の加護ってやつなんだけど、なんだと思う? なんと聞いてビックリ、不老なうえに特殊能力を貰えるんだよ。この特殊能力ってのは、強靭な肉体を持った戦士、魔法が使える魔道士、そして俺が貰った気の使える気功士なの」
「気功士が無能力者と、教えられなかった?」
「そうなんだよね、だから俺は気功士として生命の加護を受けた分け」
「え? どうして?」
「だって、能力が無かったら何もしなくてもいいから、楽だよ」
「ふふっ、タメツグさんらしいわ」
「あ、マサは戦士になったね。大剣が使いたいとかでさ。そんで、この加護ってのがまた曲者でね。色々と大変な問題がある分けよ。なんだと思う?」
「何かしら?」
「実は長年生きてると、頭が狂っちゃうんだよ、最悪だよね。でも、それは300年は大丈夫っぽいんだけど…… どうにも、年々と徐々に変になって行くみたい。ま、今はまだ先の話だから、気にしないようには、してるんだけどぉ」
「…………」
「そうそう、頭がおかしくなった人も居たんだよ。サーサラさんって、ギルドの受付嬢さん。アレはマジやばかったわー。死ぬかと思ったは。ピョンピョン跳ねながら人を襲って、喰いまくりとか、ありえんって。まあ、それでも? 俺の活躍で捕まえたんだけどね」
「……転生の加護、何れは私達も」
「クリスさん?」
クリスは何を思ったのだろうか?
少し悲しそうな顔をしていた……
「大丈夫…… だよ」
「タメツグさん……」
「俺がなんとかしてみせるよ、その為にレオも」
クリスは黙って為次の頭を胸に抱き寄せる。
「クリスさん……」
特に抵抗はしなかった。
おっぱいに顔を埋めても、不思議と恥ずかしい思いは無い。
暖かくて、とても気持ちがいい。
「ありがとう」
クリスはそっと為次の頭を撫でた。
「それとね、お肉も作ったよ。それから、それから…… スレイブに虐められたけどさ。返り討ちにしてやったよ。ざまあみろだよね」
「頑張ったわね」
「うん、頑張った。後は…… 何を話そう…… ああ、ここに来る途中には、でっかいトカゲと……」
「お休みなさい」
「お母さん……」
為次はいつしか、暖かい胸の中で眠っていた……
※ ※ ※ ※ ※
―― とある宙域
深淵の宇宙に一際輝く白銀の船体。
宇宙には似合わない、大きな翼を広げている。
これが戦闘艦だと言われて、誰が信じようか?
見る者を魅了する、とても美しい艦である。
高機動艦エクステンペスト。
今しがた戦闘が終了し、艦載兵器の回収が行われようとしていた。
そのブリッジでは……
「敵反応消滅。魔獣の殲滅を確認しました」
レーダー画面を見つめる彼女は言った。
「よし! エンジェル隊の収容を急げ!」
「…………」
「どうした?」
「オールロスト…… 全滅です」
「……何を言っている?」
「…………」
ブリッジ中央上段のコンソールパネルに囲われた女性が立ち上がる。
「収容しろと言っている!」
バンッ!
「何をしているんだ!」
目の前のコンソールを叩き、長い髪を振り乱して叫んでいた。
「艦長も見ていたでしょう! 最後1人の特別攻撃を!」
「っ!?」
肩の力が抜けたように、ドサリとシートに腰を落とす。
「13人だ…… 出撃時には13人居たのだぞ?」
「知っています」
と、センサーモニタから目を離さずに答える。
モニタの光が反射するその瞳からは、涙が流れていた……
「……すまない」
「いえ……」
「有機物反応は?」
「ありません」
「魔獣の残骸と思しきものが…… 最後の1名を除いて、補食されています」
「そうか…… 全艦戦闘配備解除、帰還だ……」
「了解」
シールドが解除され、エンジン出力が落ちる。
巨大な羽が畳まれると、巡行モードへと艦は姿を変える。
と、その時……
「待って下さい!」
「どうした?」
「生命反応です…… これは!?」
「なんだと!? メインモニターに映せ!」
モニターには赤色に輝く靄が漂う空間が映し出される。
その中に1人の少女が、流される姿が見えた。
見たところ、気を失っている様子だ。
「ユーナか!?」
「はい! 間違いありません、3番機ユーナです」
「よく、無事で……」
エクステンペストのメインノズルから、光の束が噴射される。
そして、その美しい巨体を少女へと近づけるのであった……
………
…
―― あれから
レオパルト2の仕様書を見つけてからと言うもの……
日々同じことの繰り返しだった。
朝起きては特訓へと赴き。
お昼ご飯を食べ終われば、戦車の改造作業。
休む日は無かった。
その間、クリスは一生懸命に皆の世話をしてくれた。
貞宗だけでも手間であろうに、散らかすしかできない男が二人も増えたのだ。
お手伝いをしてくれるスイの存在が、せめてもの救いであったろう。
しかし、そにスイも途中から魔法制作に加わった。
大変そうではあったが、何処となく楽しそうでもあった。
例の姉妹も、よく手伝ってくれたものだ。
シャルは毎朝、正秀と一緒に森の特訓場へと出掛けた。
シムリは初めの頃こそ、為次に纏わりついていた。
だけど、その内に飽きたのだろうか?
マヨーラの魔法制作を手伝うようになった。
魔導機関用の魔法制作は困難を極めた。
シムリの手伝いが無ければ、更に日数を要したことであろう。
それに肝心のリバースグラビティが問題であった。
車体に反重力フィールドを発生させたとこで、戦車その物が浮き上がる分けではない。
移動できる反重力場ができるだけである。
その為に、リバースグラビティは付与魔法として発動させる必要が分かった。
結局、スイもお手伝いは早々に魔法制作の仲間入りとなったのだ。
そんなレオパルト2が完成したのは、改造が終わる直前であった。
そして、ついに……
※ ※ ※ ※ ※
――30日後
「俺の名前は山崎為次《やまざきためつぐ》。一応は自衛隊員で、この物語の主人公なんだよね」
「そうね」
「ねぇー、ちゃんと聞いてる? クリスさん」
「聞いてるわ」
酔った為次は、リビングでクリスに絡んでいた。
「元々はバスの運転手さんだったけど、俺の優秀さを見込んで自衛隊にヘッドハンティングされたの。なんか赤い紙が送られて来て、翌日には自衛隊に即入隊。直後に即実戦。んま、日本は第三次世界大戦に巻き込まれてたから仕方ないよね」
「よく分からないけど、大変だったのね」
「うん」
先程まで、打ち上げパーティーをしていた。
レオパルト2Ad完成を祝っての。
「ああ、それと役職って言うのかな? ちょっとよく分かんないんだけど、自衛隊では二等陸士ってやつなの。10式戦車の運転手をやってたので、まあ結構なとこ偉い人だと思う分け。やってたってのは、今は10式じゃなくてレオパルト2って戦車の運転手だからだよ。岐阜で拾ったやつなんだけどさ」
「あの陸上艇は拾い物だったのね……」
「うん」
皆はひとしきり飲み食いすると、泥酔してしまった。
クリスを除いては。
「レオはね、10式と違って右ハンなんで乗りやすいんだよ。シートもポルシェ譲りで乗り心地バツグン! と、それはどうでもいいか」
「どうでもよくは無いわ、タメツグさんにとって大切なことなのでしょう?」
「うん、まあ」
正秀と貞宗は何故か上半身裸になると、中庭に飛び出して行った。
そこで、剣をぶつけ合っている。
時折、雷撃音と爆音が鳴り響いている。
近所迷惑も甚だしい。
そんな2人をシャルは半狂乱しながら、見学していた。
「俺には仲間がもう一人居てさ、名前は水谷正秀。自衛隊では二等陸士とか言うやつみたいね。多分、俺より下のはず。10式では砲手やってたけど、レオでは車長兼任なの」
「マサヒデさんは、優秀な方ね」
「俺程じゃないけどね」
「ふふっ」
向かいのソファーでは、スイとマヨーラが一緒に寝ている。
姉妹だからであろうか?
どことなく、似た感じが漂う。
「んで、このドイツの戦車で戦ってんだけどさ。なんか知らんけど敵の攻撃で、異世界に吹っ飛ばされちゃった。ぶっちゃけ自分でも、何言ってるのか分かんない」
「そうなの?」
シムリは一人、床で酔い潰れていた。
口元の寝ゲロ跡が、ちょっと臭う。
「だってさ、魔法とか有る世界なんだよ。しかも魔獣や野獣ってモンスターも居るし。ああ、魔獣は魔法生命体で野獣は原生生物みたいなのね。ターナ達が言ってた」
「タメツグさんは、ターナ様とも仲がいいのね」
「うん」
話し相手が居なくなった。
だから、為次はクリスに絡んでいるのだ。
「ターナってのは3バカの1人で、おっぱいが大きいお姉さん。後の2人はスレイブって切れやすいにーちゃんと、マヨーラってちっぱい。この3人が異世界で俺達を出迎えてくれたんだ。ご苦労なこってす」
「ターナ様、自ら迎えに行ったのね、凄いわ」
「まっ、当然っすわ」
「そう。ふふっ」
「でね、ターナ達にはサイクスって街に案内されて、お家も用意してもらったよ。仕事も紹介してもらって、いきなりドラゴン退治で2億円貰ったの。こっちの世界では2億ゴールドって言うのかな?1ゴールドが概ね1円らしいので2億円なのだ」
「タメツグさんは、お金持ちなのね」
「向こうの世界では、安月給だったけどね」
「あらあら」
「この大金で俺は奴隷を買っちった、てへ。スイって女の子で、可愛いし、おっぱいは適度に大きいかな。それはいいんだけど、ちょっと頭が弱いのが難点なんだよね。でも、物覚えは凄くいいから装填手やってもらってるの。しかも、付与魔法って超絶便利な魔法が使える魔法少女なんだよ」
「スイちゃんは、とてもいい子よ」
「まあね」
「お手伝いもしてくれるし、とても助かるわ」
「で、ここからがまた凄いの。生命の加護ってやつなんだけど、なんだと思う? なんと聞いてビックリ、不老なうえに特殊能力を貰えるんだよ。この特殊能力ってのは、強靭な肉体を持った戦士、魔法が使える魔道士、そして俺が貰った気の使える気功士なの」
「気功士が無能力者と、教えられなかった?」
「そうなんだよね、だから俺は気功士として生命の加護を受けた分け」
「え? どうして?」
「だって、能力が無かったら何もしなくてもいいから、楽だよ」
「ふふっ、タメツグさんらしいわ」
「あ、マサは戦士になったね。大剣が使いたいとかでさ。そんで、この加護ってのがまた曲者でね。色々と大変な問題がある分けよ。なんだと思う?」
「何かしら?」
「実は長年生きてると、頭が狂っちゃうんだよ、最悪だよね。でも、それは300年は大丈夫っぽいんだけど…… どうにも、年々と徐々に変になって行くみたい。ま、今はまだ先の話だから、気にしないようには、してるんだけどぉ」
「…………」
「そうそう、頭がおかしくなった人も居たんだよ。サーサラさんって、ギルドの受付嬢さん。アレはマジやばかったわー。死ぬかと思ったは。ピョンピョン跳ねながら人を襲って、喰いまくりとか、ありえんって。まあ、それでも? 俺の活躍で捕まえたんだけどね」
「……転生の加護、何れは私達も」
「クリスさん?」
クリスは何を思ったのだろうか?
少し悲しそうな顔をしていた……
「大丈夫…… だよ」
「タメツグさん……」
「俺がなんとかしてみせるよ、その為にレオも」
クリスは黙って為次の頭を胸に抱き寄せる。
「クリスさん……」
特に抵抗はしなかった。
おっぱいに顔を埋めても、不思議と恥ずかしい思いは無い。
暖かくて、とても気持ちがいい。
「ありがとう」
クリスはそっと為次の頭を撫でた。
「それとね、お肉も作ったよ。それから、それから…… スレイブに虐められたけどさ。返り討ちにしてやったよ。ざまあみろだよね」
「頑張ったわね」
「うん、頑張った。後は…… 何を話そう…… ああ、ここに来る途中には、でっかいトカゲと……」
「お休みなさい」
「お母さん……」
為次はいつしか、暖かい胸の中で眠っていた……
※ ※ ※ ※ ※
―― とある宙域
深淵の宇宙に一際輝く白銀の船体。
宇宙には似合わない、大きな翼を広げている。
これが戦闘艦だと言われて、誰が信じようか?
見る者を魅了する、とても美しい艦である。
高機動艦エクステンペスト。
今しがた戦闘が終了し、艦載兵器の回収が行われようとしていた。
そのブリッジでは……
「敵反応消滅。魔獣の殲滅を確認しました」
レーダー画面を見つめる彼女は言った。
「よし! エンジェル隊の収容を急げ!」
「…………」
「どうした?」
「オールロスト…… 全滅です」
「……何を言っている?」
「…………」
ブリッジ中央上段のコンソールパネルに囲われた女性が立ち上がる。
「収容しろと言っている!」
バンッ!
「何をしているんだ!」
目の前のコンソールを叩き、長い髪を振り乱して叫んでいた。
「艦長も見ていたでしょう! 最後1人の特別攻撃を!」
「っ!?」
肩の力が抜けたように、ドサリとシートに腰を落とす。
「13人だ…… 出撃時には13人居たのだぞ?」
「知っています」
と、センサーモニタから目を離さずに答える。
モニタの光が反射するその瞳からは、涙が流れていた……
「……すまない」
「いえ……」
「有機物反応は?」
「ありません」
「魔獣の残骸と思しきものが…… 最後の1名を除いて、補食されています」
「そうか…… 全艦戦闘配備解除、帰還だ……」
「了解」
シールドが解除され、エンジン出力が落ちる。
巨大な羽が畳まれると、巡行モードへと艦は姿を変える。
と、その時……
「待って下さい!」
「どうした?」
「生命反応です…… これは!?」
「なんだと!? メインモニターに映せ!」
モニターには赤色に輝く靄が漂う空間が映し出される。
その中に1人の少女が、流される姿が見えた。
見たところ、気を失っている様子だ。
「ユーナか!?」
「はい! 間違いありません、3番機ユーナです」
「よく、無事で……」
エクステンペストのメインノズルから、光の束が噴射される。
そして、その美しい巨体を少女へと近づけるのであった……
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