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異世界編 2章
第116話 雪山
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ちゅちゅん ちゅんちゅん ちゅーん
何処からか激しいスズメの鳴き声が聴こえる。
為次は目を覚ますと、そこは森の手前であった。
起き上がり、周囲を見渡すと近くにはレオパルト2がその巨体を静かに鎮座させている。
少し離れた所には、正秀が寝言を言いながらまだ寝ていた。
傍らには水谷マンセットが綺麗に折り畳んで置いてある。
「うーん、もう呑めないんだぜぇ」
「…………」
「ああっ、エルフちゃんそんなとこまでぇ、だけど俺には…… はぅ」
大剣を抱きし締めながら悶えている。
どうやら、悩ましい夢でも見ているのだろう。
「……? 夢?」
今度はスズメの鳴き声のする方を見てみる。
木の上にはスズメサイズのニワトリが数匹「ちゅんちゅん」と鳴いていた。
「ニワトリかよ……」
とりあえず正秀を起こそうかと思うが、それよりも戦車の心配が先だ。
確認しに近付こうと歩き出した時だった。
コツン
何かが足元に当たる。
見ると白く綺麗な箱と、その横には赤紫色のエレメンタルストーンらしき物が落ちていた。
「なんだろ?」
箱を拾い上げ中身を覗くと、そこには紫色をした結晶石と木の実が入っている。
思い返すとリリーナが報酬だと見せてくれた石だったような気がする。
「夢…… じゃなかった?」
もう一つのエレメンタルストーンも拾ってみる。
こちらは意外と大きいので重い。
「おもっ、とりあえずレオに入れとくか」
適当に車内へ放り込むと、自分も搭乗し腕時計と車内の時計を比べてみる。
「良かった、ズレは無いみたい」
神の世界などと怪しい場所へ連れて行かれてしまい、また場所や時間の流れが違えば堪ったものではない。
一応その心配は無さそうで、一安心。
もっとも時間的には、まる一日が過ぎていた。
「エンジンも無事かな?」
タタンッ! タンタンッ!
エンジンを始動させると、軽油とは違った乾いた音が軽快に鳴り響く。
「よしゃ、大丈夫だね」
けたたましいエンジン音に、正秀も目が覚めたようだ。
驚きながら辺りをキョロキョロしている。
「うお、なんだ? なんだ?」
「マサ、おっきした?」
「お? 為次」
ハッチから頭だけ出す為次に気が付くと、正秀は運転席に近づいて来た。
「なあ、俺のエルフちゃん達はどうしたんだ?」
「知らんがな」
「……ここは?」
「元の場所みたい」
「……夢? だったのか?」
「夢心地なんだけど、夢じゃないっぽい」
「ん?」
「ほら、これ」
為次が木の実を差し出すと、正秀はそれを一つ摘みながら怪訝そうに見てみる。
「食えるのか?」
「多分」
「…………」
ひょいと口に放り込んだ。
「もぐもぐ……」
「どう? ねぇどう?」
「甘くて美味いぜ、為次も食べてみろよ」
「うん…… もぐもぐ」
為次も木の実を食べながら、結晶石を取り出す。
箱の底には葉っぱが1枚あった。
「ん? ありがとう?」
「どうかしたのか?」
「これ」
葉っぱを正秀に渡す。
そこには、拙い平仮名で『ありがとう』と書かれていた。
「ミミィちゃん…… か?」
「さあね」
「ふっ、お前が持っときな」
「別に要らないけど」
興味が無いフリをしながらも受け取ると、その手には柔らかな感触が甦る。
ミミィの甘い吐息を思い出し、思わず赤面しまった。
「……ミミィちゃんと、なんかあったのか?」
「はぁ!? ななな、何言ってんの!? なんにも無いよ! 無いってば」
まったく持って、要らないとこばかり感の鋭い男だ。
「何、焦ってんだよ」
「焦ってないし! 焦ってないから!」
「分かった、分かった、そうムキになるなよ」
「ぬぅ……」
もっと為次をからかおうと思うが、自分もエルフちゃん達と遊んでいた身。
やっぱり、深く追求するのは止めた。
「なあ、で、どうするんだ?」
「ど、どどど、どうするって!? どうもしないよ!」
「……そうじゃなくて、今からだぜ」
「うぐっ」
「もういいだろ、夢だったんだよ」
「…………」
「じゃなきゃ、ミミィちゃんが平仮名なんて書ける分けないだろ」
「……うん。確かに……」
「行くか」
「ちょっと待って」
「どうした? まだ何かあるのか?」
赤紫色と紫色のエレメンタルストーンを正秀に見せる。
「報酬」
「へぇ」
「赤紫がエキドナ、紫が神様」
「は? 神様?」
「うん」
「どうするんだ? それ」
「神様をレオのエレメンタルストーンと替えてみる」
「大丈夫なのか?」
「多分」
「まあ…… お前がいいなら」
為次はエンジンを止め降車すると、車体後方に回り込み元々APUのあった場所を開ける。
中にはチューブに繋がれたブルーストーンが入っている。
魔導機関のコアとなる物だ。
早速、チューブを外して紫色の結晶石と入れ替えてみる。
エレメンタルストーンは中には押し込んであっただけだし、チューブもペタペタと貼り付けてあるだけなので作業は直ぐに終わった。
「おけ」
「動くのか?」
「大丈夫でしょ、多分。乗ってよ」
「お、おう」
正秀と為次は搭乗すると、再びエンジンを始動させてみる。
軽快にエンジンは動き出しながら、ブルーストーンと同様の唸りを上げる。
特に変わった様子は無いようだ。
「お、ちゃんと動くじゃないか」
「モノ自体はエレメンタルストーンらしいからね」
「ゴッドストーンってか」
「まあ、なんでもいいよ」
「んじゃ、行こうぜ」
「りょかーい、山も近いし上から見てみるかぁ」
「おう」
魔法を発動させ、戦車は再び大空へと舞い上がる。
眼下には、先程まで居た森が広がっている。
見た目には、なんの変哲もない森だ。
結界だと言っていた、白い霧も見当たらない。
「なんだったんだろうな……」
「さあ」
「ま、考えても仕方がないか」
「うん」
「とにかく前進だな」
為次はミミィのことを思い返しながら、コンスクを弄る。
「ミミィ……(お礼を言うのは俺の方かな…… ありがとう)」
力強く空を走るレオパルト2。
進路を雪山へと取るのであった。
※ ※ ※ ※ ※
目の前には巨大な雪山が、そびえ立つ。
近付くに連れて、その山体が歪な形をしているのが良く分かる。
「だいたい、着いた」
「おう、ヘンテコな山なんだぜ」
「リリーナなも言ってたけど、この山は宇宙船と魔獣の残骸だってさ」
「ええっ!? マジかよ!」
「ガザフも同じようなこと言ってたじゃない」
「お? そうだっけな」
「にしても、山全部が宇宙船ってことはないと思うけど」
「これ全部だと、調査とか無理だぜ」
「うん、とりあえず上空から見ますか」
「だな」
しばらくの間、山の周囲を飛行しながら観察することにした。
どうやら、全体が残骸や死骸と言うわけではないようだ。
山頂付近に激突し、そのまま山の一部となってしまった感じがする。
それでもかなりの大きさなのが見受けられた。
目測でも優に10キロメートル以上はあるかも知れない。
「あっちの方からずっと船っぽいね」
「ああ。こりゃぁ、かなりのデカさだぜ」
「ナノマシンを作るだけの技術を持った連中だしね……」
「ナノマシンか…… それで山と一体化してるかもな」
「うん、修復の為に侵食したかも」
「流石に、完全には直らなかったみたいだぜ」
「そうね」
「どうする? 降りてみるか?」
「いや、止めとこう」
「なんだ、お前こう言うの好きじゃないのか?」
「興味はあるけどね、こっちは鉄の塊だし侵食されたらかなわんよ」
「確かにな……」
「ま、エキドナ討伐でじゅうぶんでしょ。エレメンタルストーンも2個あるし」
「お土産はどうするんだ?」
「お土産って?」
「マヨーラがしつこく言ってただろ」
「うーん? そうだっけ?」
「聞いてなかったのかよ」
「んじゃ、この木の実でいいでしょ」
「そんなのでいいのか?」
「知らんって」
「まあいいか」
「じゃあ、帰るよ」
「おう」
結局、雪山調査は諦めて帰ることにした。
帰る頃にには昼も過ぎているだろうし、為次はスイのことも気になっていた。
「ああ、そういやスイ……(怒ってなきゃいいけど)」
レオパルト2は河伝いにポンタへと向かう。
調査は残念であったが、変なリスクは避けたいので仕方がない。
しかし、二人の剣士としての成長は中々のものであろう。
事実、実戦を通して二人は自らの強さを実感していた。
「為次」
「ん?」
「今回、結構頑張ったな」
「何が?」
「エキドナ戦だよ」
「別に…… 散々な結果だったし」
「それでも、お前が落しといてくれたから殺れたんだぜ」
「はいはい、そーですか水谷マンさん」
「…………」
お互いの欠点は特訓中に分かっていた。
為次は気力の消費量が何かと多い。
特に身体能力を上げる際の消費が著しい。
しかも、気力切れる時にはリチウム電池並に唐突だから困ったものである。
逆に正秀は安定性もパワーも申し分ないが、身体能力の強化ができない。
理由は分からないが、貞宗が推測するに戦士の能力が邪魔をしているかも知れないと言っていた。
レオパルト2の飛行試験に置いては、安定性を除けばじゅぶんであった。
可能であればフライ・バイ・ワイヤがあればいいのだが、それは贅沢なのかも知れない。
戦車を飛ばすこと自体がトンデモナイのだ。
電子機器の無いこの世界で、ここまでできれば上出来と言ってもいいだろう。
否、電子機器以上の物はあった。
生命の加護を受ける装置も然り、食物プラントに置いてもだ。
だが、使い方以外の技術は失われているのが現状だ。
果たして、空に浮かぶモノポールリングには何があるのだろうか?
試験も終わり、いよいよ宇宙を目指す。
遠目には見慣れたポンタの街が見えて来るのであった……
何処からか激しいスズメの鳴き声が聴こえる。
為次は目を覚ますと、そこは森の手前であった。
起き上がり、周囲を見渡すと近くにはレオパルト2がその巨体を静かに鎮座させている。
少し離れた所には、正秀が寝言を言いながらまだ寝ていた。
傍らには水谷マンセットが綺麗に折り畳んで置いてある。
「うーん、もう呑めないんだぜぇ」
「…………」
「ああっ、エルフちゃんそんなとこまでぇ、だけど俺には…… はぅ」
大剣を抱きし締めながら悶えている。
どうやら、悩ましい夢でも見ているのだろう。
「……? 夢?」
今度はスズメの鳴き声のする方を見てみる。
木の上にはスズメサイズのニワトリが数匹「ちゅんちゅん」と鳴いていた。
「ニワトリかよ……」
とりあえず正秀を起こそうかと思うが、それよりも戦車の心配が先だ。
確認しに近付こうと歩き出した時だった。
コツン
何かが足元に当たる。
見ると白く綺麗な箱と、その横には赤紫色のエレメンタルストーンらしき物が落ちていた。
「なんだろ?」
箱を拾い上げ中身を覗くと、そこには紫色をした結晶石と木の実が入っている。
思い返すとリリーナが報酬だと見せてくれた石だったような気がする。
「夢…… じゃなかった?」
もう一つのエレメンタルストーンも拾ってみる。
こちらは意外と大きいので重い。
「おもっ、とりあえずレオに入れとくか」
適当に車内へ放り込むと、自分も搭乗し腕時計と車内の時計を比べてみる。
「良かった、ズレは無いみたい」
神の世界などと怪しい場所へ連れて行かれてしまい、また場所や時間の流れが違えば堪ったものではない。
一応その心配は無さそうで、一安心。
もっとも時間的には、まる一日が過ぎていた。
「エンジンも無事かな?」
タタンッ! タンタンッ!
エンジンを始動させると、軽油とは違った乾いた音が軽快に鳴り響く。
「よしゃ、大丈夫だね」
けたたましいエンジン音に、正秀も目が覚めたようだ。
驚きながら辺りをキョロキョロしている。
「うお、なんだ? なんだ?」
「マサ、おっきした?」
「お? 為次」
ハッチから頭だけ出す為次に気が付くと、正秀は運転席に近づいて来た。
「なあ、俺のエルフちゃん達はどうしたんだ?」
「知らんがな」
「……ここは?」
「元の場所みたい」
「……夢? だったのか?」
「夢心地なんだけど、夢じゃないっぽい」
「ん?」
「ほら、これ」
為次が木の実を差し出すと、正秀はそれを一つ摘みながら怪訝そうに見てみる。
「食えるのか?」
「多分」
「…………」
ひょいと口に放り込んだ。
「もぐもぐ……」
「どう? ねぇどう?」
「甘くて美味いぜ、為次も食べてみろよ」
「うん…… もぐもぐ」
為次も木の実を食べながら、結晶石を取り出す。
箱の底には葉っぱが1枚あった。
「ん? ありがとう?」
「どうかしたのか?」
「これ」
葉っぱを正秀に渡す。
そこには、拙い平仮名で『ありがとう』と書かれていた。
「ミミィちゃん…… か?」
「さあね」
「ふっ、お前が持っときな」
「別に要らないけど」
興味が無いフリをしながらも受け取ると、その手には柔らかな感触が甦る。
ミミィの甘い吐息を思い出し、思わず赤面しまった。
「……ミミィちゃんと、なんかあったのか?」
「はぁ!? ななな、何言ってんの!? なんにも無いよ! 無いってば」
まったく持って、要らないとこばかり感の鋭い男だ。
「何、焦ってんだよ」
「焦ってないし! 焦ってないから!」
「分かった、分かった、そうムキになるなよ」
「ぬぅ……」
もっと為次をからかおうと思うが、自分もエルフちゃん達と遊んでいた身。
やっぱり、深く追求するのは止めた。
「なあ、で、どうするんだ?」
「ど、どどど、どうするって!? どうもしないよ!」
「……そうじゃなくて、今からだぜ」
「うぐっ」
「もういいだろ、夢だったんだよ」
「…………」
「じゃなきゃ、ミミィちゃんが平仮名なんて書ける分けないだろ」
「……うん。確かに……」
「行くか」
「ちょっと待って」
「どうした? まだ何かあるのか?」
赤紫色と紫色のエレメンタルストーンを正秀に見せる。
「報酬」
「へぇ」
「赤紫がエキドナ、紫が神様」
「は? 神様?」
「うん」
「どうするんだ? それ」
「神様をレオのエレメンタルストーンと替えてみる」
「大丈夫なのか?」
「多分」
「まあ…… お前がいいなら」
為次はエンジンを止め降車すると、車体後方に回り込み元々APUのあった場所を開ける。
中にはチューブに繋がれたブルーストーンが入っている。
魔導機関のコアとなる物だ。
早速、チューブを外して紫色の結晶石と入れ替えてみる。
エレメンタルストーンは中には押し込んであっただけだし、チューブもペタペタと貼り付けてあるだけなので作業は直ぐに終わった。
「おけ」
「動くのか?」
「大丈夫でしょ、多分。乗ってよ」
「お、おう」
正秀と為次は搭乗すると、再びエンジンを始動させてみる。
軽快にエンジンは動き出しながら、ブルーストーンと同様の唸りを上げる。
特に変わった様子は無いようだ。
「お、ちゃんと動くじゃないか」
「モノ自体はエレメンタルストーンらしいからね」
「ゴッドストーンってか」
「まあ、なんでもいいよ」
「んじゃ、行こうぜ」
「りょかーい、山も近いし上から見てみるかぁ」
「おう」
魔法を発動させ、戦車は再び大空へと舞い上がる。
眼下には、先程まで居た森が広がっている。
見た目には、なんの変哲もない森だ。
結界だと言っていた、白い霧も見当たらない。
「なんだったんだろうな……」
「さあ」
「ま、考えても仕方がないか」
「うん」
「とにかく前進だな」
為次はミミィのことを思い返しながら、コンスクを弄る。
「ミミィ……(お礼を言うのは俺の方かな…… ありがとう)」
力強く空を走るレオパルト2。
進路を雪山へと取るのであった。
※ ※ ※ ※ ※
目の前には巨大な雪山が、そびえ立つ。
近付くに連れて、その山体が歪な形をしているのが良く分かる。
「だいたい、着いた」
「おう、ヘンテコな山なんだぜ」
「リリーナなも言ってたけど、この山は宇宙船と魔獣の残骸だってさ」
「ええっ!? マジかよ!」
「ガザフも同じようなこと言ってたじゃない」
「お? そうだっけな」
「にしても、山全部が宇宙船ってことはないと思うけど」
「これ全部だと、調査とか無理だぜ」
「うん、とりあえず上空から見ますか」
「だな」
しばらくの間、山の周囲を飛行しながら観察することにした。
どうやら、全体が残骸や死骸と言うわけではないようだ。
山頂付近に激突し、そのまま山の一部となってしまった感じがする。
それでもかなりの大きさなのが見受けられた。
目測でも優に10キロメートル以上はあるかも知れない。
「あっちの方からずっと船っぽいね」
「ああ。こりゃぁ、かなりのデカさだぜ」
「ナノマシンを作るだけの技術を持った連中だしね……」
「ナノマシンか…… それで山と一体化してるかもな」
「うん、修復の為に侵食したかも」
「流石に、完全には直らなかったみたいだぜ」
「そうね」
「どうする? 降りてみるか?」
「いや、止めとこう」
「なんだ、お前こう言うの好きじゃないのか?」
「興味はあるけどね、こっちは鉄の塊だし侵食されたらかなわんよ」
「確かにな……」
「ま、エキドナ討伐でじゅうぶんでしょ。エレメンタルストーンも2個あるし」
「お土産はどうするんだ?」
「お土産って?」
「マヨーラがしつこく言ってただろ」
「うーん? そうだっけ?」
「聞いてなかったのかよ」
「んじゃ、この木の実でいいでしょ」
「そんなのでいいのか?」
「知らんって」
「まあいいか」
「じゃあ、帰るよ」
「おう」
結局、雪山調査は諦めて帰ることにした。
帰る頃にには昼も過ぎているだろうし、為次はスイのことも気になっていた。
「ああ、そういやスイ……(怒ってなきゃいいけど)」
レオパルト2は河伝いにポンタへと向かう。
調査は残念であったが、変なリスクは避けたいので仕方がない。
しかし、二人の剣士としての成長は中々のものであろう。
事実、実戦を通して二人は自らの強さを実感していた。
「為次」
「ん?」
「今回、結構頑張ったな」
「何が?」
「エキドナ戦だよ」
「別に…… 散々な結果だったし」
「それでも、お前が落しといてくれたから殺れたんだぜ」
「はいはい、そーですか水谷マンさん」
「…………」
お互いの欠点は特訓中に分かっていた。
為次は気力の消費量が何かと多い。
特に身体能力を上げる際の消費が著しい。
しかも、気力切れる時にはリチウム電池並に唐突だから困ったものである。
逆に正秀は安定性もパワーも申し分ないが、身体能力の強化ができない。
理由は分からないが、貞宗が推測するに戦士の能力が邪魔をしているかも知れないと言っていた。
レオパルト2の飛行試験に置いては、安定性を除けばじゅぶんであった。
可能であればフライ・バイ・ワイヤがあればいいのだが、それは贅沢なのかも知れない。
戦車を飛ばすこと自体がトンデモナイのだ。
電子機器の無いこの世界で、ここまでできれば上出来と言ってもいいだろう。
否、電子機器以上の物はあった。
生命の加護を受ける装置も然り、食物プラントに置いてもだ。
だが、使い方以外の技術は失われているのが現状だ。
果たして、空に浮かぶモノポールリングには何があるのだろうか?
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遠目には見慣れたポンタの街が見えて来るのであった……
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