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テラ宙域編 4章
第21話 魔獣殲滅、そして……
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眼前に広がる光球が魔獣を飲み込む。
マジックシールドを失った魔獣に、それを防ぐ手立ては無かった。
焼かれ、砕かれ、焼失してゆく……
巨大な光の玉は更に広がり、撃ち放ったレオパルト2すらも包み込んでしまった。
「うぉい! 為次! こっちまで巻き込まれるぜ」
「大丈夫だって、核は攻撃力低いから」
「そんな分けねーだろっ!」
正秀の心配をよそに、レオパルト2は光と衝撃波に飲み込まれるだけであり、まったくの無傷であった。
核の威力は確かに凄まじいものがある。
しかし、地球で最強の核弾爆弾であるツァーリ・ボンバですら爆圧によるダメージは半径9キロ程度である。
広範囲に渡り被害を与えるのは熱であり、失われた質量によって発生するエネルギーの云わば熱線兵器なのだ。
故に、テラで標準使用されているパワーシールドによって完全に無効化されてしまう。
しかも、装甲である特殊カーボンは衝撃と熱にはめっぽう強い。
シールドのエネルギーが尽きても装甲のみで耐えれるのだ。
もっとも地球における現用戦車ですら、核の爆心地から距離を取っていれば被害半径内でも耐えれるように作ってある。
核兵器とは被害こそ広範囲に渡り放射能によって汚染されるが、爆心地以外の破壊力そのものは高くはない。
とは言え、それはある程度の装甲を持ったものへ対しての話であり、人体へは甚大な被害をもたらす。
皮膚は焼けただれ、細胞は破壊され、一瞬で命を奪い去ってゆく。
当然、魔獣でも例外ではなかった。
所詮はタンパク質でできた生物であり、硬い皮膚や鱗に覆われていようとも核の前には無力であった。
「だ、大丈夫…… なのか?」
「こっちは戦車だってば」
「おう…… だったな」
衝撃波と閃光が過ぎ去り、視界が開ける。
爆発の後には吹き飛ばされた魔獣の残骸が散らばっていた。
「殺ったのか?」
「いや、生体反応が残ってるね。3匹だねぇ」
「あれで生き残れるのかよ」
「多分、火属性の魔獣でしょ。爆心地から離れてたのは助かったみたい」
「どうする? とどめを刺すか?」
「さあね、後は俺達がやるまでもないと思うけど」
そこへ、元旗艦の艦長より通信が入る。
『アイ艦長、何をしている? 指示を出さないのか?』
「だってさ、アイちゃん」
『私…… か?』
『貴官以外に誰が居る? 旗艦なのだろう? ふふっ』
『ふっ…… そうであったな。まったくタメツグは、とんでもないことをしてくれたものだな』
「大したことはしてないよ。試験結果は上々ってとこだねぇ」
『ああ。全エンジェル隊に告ぐ。負傷者は各艦へ帰還。重傷者はエクステンペストへ運び込め。レオパルトも直ちに帰還し治療薬を作ってほしい。残りの手の空いた者は残党狩りだ! 我々はついに魔獣へ対する有効手段を手に入れることになる! 千年の長き戦いに終止符を打つのだ!!』
「りょかーい」
と、言った為次の返事は聞こえなかった。
オープンチャンネルを通して歓喜の声が響き渡る。
誰もが死を覚悟して挑んだ戦闘であった。
それが今、逆転の糸を掴み取ったのだ。
たった1輌の戦車という細い糸は、間違いなく希望へと繋ぐ糸に違いない。
「為次、戻ろうぜ」
「うい…… スイは? やけに静かだね」
「ん? ああ、寝てるぜ。ずっと寝不足だったみたいだしな」
「ああ…… うん」
エクステンペストへ向かうレオパルト2の周りには、いつしかエンジェルによる編隊が組まれていた。
中にはクルクルと回りながら踊っている者も居る。
そこにはユーナの姿もあった。
「ユーナちゃん……」
正秀は嬉しそうな彼女の姿を静かに見つめているのだった。
※ ※ ※ ※ ※
―― エクステンペスト艦内デッキ
帰還後、スイは叩き起こされヒールポーションの量産をさせられていた。
負傷者は9百人以上。
その内、緊急を有する重傷者が3百人近く居た。
また、死亡者も同じく約3百人。
戦闘は勝利に終わったが、被害者も多かった。
ついでに被害の中には為次がワープアウトで壊した戦艦が2隻も含まれる。
3百人前のヒールポーションを生産するのに、涙目になりながら呪文を唱えるのであった。
「スイちゃん大丈夫なのか……?」
「さあ?」
「お前の彼女だろ、少しは心配しろよ」
「いやいや、違うし」
野郎二人は別段やることも無いので、レオパルト2の脇でスイの作業を眺めていた。
大変そうではあるが、こればかりはどうしようない。
魔法が使えない以上は手伝えないし、何より面倒臭かった。
放ったらかしにせずデッキに一緒に残っていたのが、せめてもの優しさかも知れない。
「それにしても、ずいぶんと見た目が変わったな
正秀はレオパルト2を見上げながら言った。
「んー…… A7+ベースで改修したけど?」
「それは見れば分かるけどな…… 砲身がカッコいいぜ」
特に気になるのが砲身らしい。
それもそのはずである。
角ばっているのが、どうにも気になって仕方が無い。
「中身は同じだけどね」
「中身?」
近付いてよく見ると四角い砲身は上下に分かれていて、左右の隙間から丸い砲身が姿を覗かせている。
正秀は砲身用の装甲かカバーなのだろうか? と、正秀は思った。
分かれていてはいるが、片側3本づつの斜めになったフレームで一応は繋げてあるようだ。
それと、上の方が若干長い。
「へー、いいじゃないか」
「うん。そっからビームが出るの」
「マジかよ!? ビーム砲……」
「まだ撃てないけどね」
「なんだ、完成してないのか?」
「動かすのに魔導機関が要るから…… 魔導機関のチューブ取っちゃったし」
「へー……」
「モノリスと砲尾を接続するのに使ったの」
「ああ、あれな」
「とにかくアクアへ戻って、隊長とマヨに魔導機関の再構成を頼まなくちゃ」
「だな」
「それとさ……」
「ん?」
「…………」
「なんだよ、言いたいことがあるならハッキリ言えよ」
「まぁ…… なんつーか……」
「言い難いのか? でも今更だぜ」
「うん。帰る準備はできた。このレオさえあれば地球に辿り着ける可能性もゼロじゃない」
「そんなに凄い性能なのか?」
「まだ完全じゃないにしろ、銀河間走行はできる。俺達の3百年縛りも無くなった。もっともそれはマインドジェネレーターを搭載しているレオと一蓮托生にはなるけどね、問題は無いかも」
「へー、そいつは驚きだぜ」
「つまりね…… これ以上は無理にアクアやテラと係わる必要は無いってこと」
「…………」
「逃げるのも一つの選択肢ってね」
「……おう。分かったぜ」
「? 反対しないんだ」
「約束しただろ、安全第一だって」
「ははっ」
為次は何も答えずに笑って返した。
「これが片付いたら宇宙旅行だな」
「長い旅行になりそうだわ」
「おう、これからは俺ら三人、何処へ行くのも一緒だぜ」
などと二人は新しくなったレオパルト2やこれからについてのことを、色々と話し合うのだった。
……………
………
…
しばらくすると、ポーション作りの終わったスイがやって来た。
「やっと終わったのですぅ…… ふぇぇ」
「お疲れだったな、スイちゃん」
「スイは、いい子だねー」
「はうぅぅ」
主に褒められて嬉しくはあるが、元気は出ない。
睡眠不足に披露に魔力の消耗と疲れ果てていた。
ヨタヨタと為次に近付いてもたれ掛かる。
「ちょ、スイ」
ぐったりして摺り落ちそうなので両脇を抱えてやった。
「眠いのですー」
「ぐっ、重い」
「重くないのですー」
「しょうがないな…… レオに入れとくか」
「ぐーぐー、むにゃむにゃ」
久し振りに為次と再開して安心したのだろう、抱えられたまま眠ってしまった。
「スイちゃん、寝てしまったな」
「うん。レオに入れてよ」
「自分でやれよ」
「もー」
渋々、スイを装填手席へ押し込む為次。
いくら少女いえども人間一人は意外と重い。
なんとか砲塔へよじ登りハッチへ入れたが、途中で手が滑りドサリと車内へ落としてしまった。
「ぴぎゃっ」
「う、やべぇ」
微妙名悲鳴が聞こえたので中を覗くと、ひっくり返ってパンツが見えていた。
それでも寝ている様子なので、そっとハッチを閉めて見なかったことにするのだった。
「マサー、スイ寝たから……」
振り向いて下を見ると、いつの間に来たのだろうか?
正秀はユーナと話をしている。
「アイちゃん艦長が呼んでるのか?」
「うん。だけどマサヒデは行かなくていい」
「でも呼んでるんだろ?」
「艦長との話はタメツグだけでいい。マサヒデは私達とパーティ」
「なんだ? パーティって」
「百鬼夜行に勝ったお祝い。しばらく魔獣の発生は少なくなる。だから」
「へー、それは楽しみだぜ」
2人の話を聞いていた為次は砲塔からノソノソと降りてきた。
「俺もパーティ」
「タメツグは艦長とお話しといて」
「艦長よりパーティがいいんだけど」
「来なくても大丈夫」
「え……」
「早く行って。ブリッジに居るから」
「う、うん……」
「それじゃ、アイちゃん艦長の相手は為次に任せたぜ」
「マサだけハーレムパーティなの?」
「うん」
「悪りぃな、為次。ユーナちゃんのお誘いだし、ちょっと行ってくるぜ」
「そうだ一応タメツグにもお礼は言っておく。ありがと」
そう言い残すと、2人は何処かへ行ってしまった。
デッキに取り残される為次。
周りに沢山いた他のエンジェル達もヒールポーションの即効性が効いたのであろう。
既に姿は見えなくなっていた。
「えー…… 何処に行くのも一緒とか言ってなかったけぇ……」
トボトボと一人、ブリッジへと向かう為次であった……
マジックシールドを失った魔獣に、それを防ぐ手立ては無かった。
焼かれ、砕かれ、焼失してゆく……
巨大な光の玉は更に広がり、撃ち放ったレオパルト2すらも包み込んでしまった。
「うぉい! 為次! こっちまで巻き込まれるぜ」
「大丈夫だって、核は攻撃力低いから」
「そんな分けねーだろっ!」
正秀の心配をよそに、レオパルト2は光と衝撃波に飲み込まれるだけであり、まったくの無傷であった。
核の威力は確かに凄まじいものがある。
しかし、地球で最強の核弾爆弾であるツァーリ・ボンバですら爆圧によるダメージは半径9キロ程度である。
広範囲に渡り被害を与えるのは熱であり、失われた質量によって発生するエネルギーの云わば熱線兵器なのだ。
故に、テラで標準使用されているパワーシールドによって完全に無効化されてしまう。
しかも、装甲である特殊カーボンは衝撃と熱にはめっぽう強い。
シールドのエネルギーが尽きても装甲のみで耐えれるのだ。
もっとも地球における現用戦車ですら、核の爆心地から距離を取っていれば被害半径内でも耐えれるように作ってある。
核兵器とは被害こそ広範囲に渡り放射能によって汚染されるが、爆心地以外の破壊力そのものは高くはない。
とは言え、それはある程度の装甲を持ったものへ対しての話であり、人体へは甚大な被害をもたらす。
皮膚は焼けただれ、細胞は破壊され、一瞬で命を奪い去ってゆく。
当然、魔獣でも例外ではなかった。
所詮はタンパク質でできた生物であり、硬い皮膚や鱗に覆われていようとも核の前には無力であった。
「だ、大丈夫…… なのか?」
「こっちは戦車だってば」
「おう…… だったな」
衝撃波と閃光が過ぎ去り、視界が開ける。
爆発の後には吹き飛ばされた魔獣の残骸が散らばっていた。
「殺ったのか?」
「いや、生体反応が残ってるね。3匹だねぇ」
「あれで生き残れるのかよ」
「多分、火属性の魔獣でしょ。爆心地から離れてたのは助かったみたい」
「どうする? とどめを刺すか?」
「さあね、後は俺達がやるまでもないと思うけど」
そこへ、元旗艦の艦長より通信が入る。
『アイ艦長、何をしている? 指示を出さないのか?』
「だってさ、アイちゃん」
『私…… か?』
『貴官以外に誰が居る? 旗艦なのだろう? ふふっ』
『ふっ…… そうであったな。まったくタメツグは、とんでもないことをしてくれたものだな』
「大したことはしてないよ。試験結果は上々ってとこだねぇ」
『ああ。全エンジェル隊に告ぐ。負傷者は各艦へ帰還。重傷者はエクステンペストへ運び込め。レオパルトも直ちに帰還し治療薬を作ってほしい。残りの手の空いた者は残党狩りだ! 我々はついに魔獣へ対する有効手段を手に入れることになる! 千年の長き戦いに終止符を打つのだ!!』
「りょかーい」
と、言った為次の返事は聞こえなかった。
オープンチャンネルを通して歓喜の声が響き渡る。
誰もが死を覚悟して挑んだ戦闘であった。
それが今、逆転の糸を掴み取ったのだ。
たった1輌の戦車という細い糸は、間違いなく希望へと繋ぐ糸に違いない。
「為次、戻ろうぜ」
「うい…… スイは? やけに静かだね」
「ん? ああ、寝てるぜ。ずっと寝不足だったみたいだしな」
「ああ…… うん」
エクステンペストへ向かうレオパルト2の周りには、いつしかエンジェルによる編隊が組まれていた。
中にはクルクルと回りながら踊っている者も居る。
そこにはユーナの姿もあった。
「ユーナちゃん……」
正秀は嬉しそうな彼女の姿を静かに見つめているのだった。
※ ※ ※ ※ ※
―― エクステンペスト艦内デッキ
帰還後、スイは叩き起こされヒールポーションの量産をさせられていた。
負傷者は9百人以上。
その内、緊急を有する重傷者が3百人近く居た。
また、死亡者も同じく約3百人。
戦闘は勝利に終わったが、被害者も多かった。
ついでに被害の中には為次がワープアウトで壊した戦艦が2隻も含まれる。
3百人前のヒールポーションを生産するのに、涙目になりながら呪文を唱えるのであった。
「スイちゃん大丈夫なのか……?」
「さあ?」
「お前の彼女だろ、少しは心配しろよ」
「いやいや、違うし」
野郎二人は別段やることも無いので、レオパルト2の脇でスイの作業を眺めていた。
大変そうではあるが、こればかりはどうしようない。
魔法が使えない以上は手伝えないし、何より面倒臭かった。
放ったらかしにせずデッキに一緒に残っていたのが、せめてもの優しさかも知れない。
「それにしても、ずいぶんと見た目が変わったな
正秀はレオパルト2を見上げながら言った。
「んー…… A7+ベースで改修したけど?」
「それは見れば分かるけどな…… 砲身がカッコいいぜ」
特に気になるのが砲身らしい。
それもそのはずである。
角ばっているのが、どうにも気になって仕方が無い。
「中身は同じだけどね」
「中身?」
近付いてよく見ると四角い砲身は上下に分かれていて、左右の隙間から丸い砲身が姿を覗かせている。
正秀は砲身用の装甲かカバーなのだろうか? と、正秀は思った。
分かれていてはいるが、片側3本づつの斜めになったフレームで一応は繋げてあるようだ。
それと、上の方が若干長い。
「へー、いいじゃないか」
「うん。そっからビームが出るの」
「マジかよ!? ビーム砲……」
「まだ撃てないけどね」
「なんだ、完成してないのか?」
「動かすのに魔導機関が要るから…… 魔導機関のチューブ取っちゃったし」
「へー……」
「モノリスと砲尾を接続するのに使ったの」
「ああ、あれな」
「とにかくアクアへ戻って、隊長とマヨに魔導機関の再構成を頼まなくちゃ」
「だな」
「それとさ……」
「ん?」
「…………」
「なんだよ、言いたいことがあるならハッキリ言えよ」
「まぁ…… なんつーか……」
「言い難いのか? でも今更だぜ」
「うん。帰る準備はできた。このレオさえあれば地球に辿り着ける可能性もゼロじゃない」
「そんなに凄い性能なのか?」
「まだ完全じゃないにしろ、銀河間走行はできる。俺達の3百年縛りも無くなった。もっともそれはマインドジェネレーターを搭載しているレオと一蓮托生にはなるけどね、問題は無いかも」
「へー、そいつは驚きだぜ」
「つまりね…… これ以上は無理にアクアやテラと係わる必要は無いってこと」
「…………」
「逃げるのも一つの選択肢ってね」
「……おう。分かったぜ」
「? 反対しないんだ」
「約束しただろ、安全第一だって」
「ははっ」
為次は何も答えずに笑って返した。
「これが片付いたら宇宙旅行だな」
「長い旅行になりそうだわ」
「おう、これからは俺ら三人、何処へ行くのも一緒だぜ」
などと二人は新しくなったレオパルト2やこれからについてのことを、色々と話し合うのだった。
……………
………
…
しばらくすると、ポーション作りの終わったスイがやって来た。
「やっと終わったのですぅ…… ふぇぇ」
「お疲れだったな、スイちゃん」
「スイは、いい子だねー」
「はうぅぅ」
主に褒められて嬉しくはあるが、元気は出ない。
睡眠不足に披露に魔力の消耗と疲れ果てていた。
ヨタヨタと為次に近付いてもたれ掛かる。
「ちょ、スイ」
ぐったりして摺り落ちそうなので両脇を抱えてやった。
「眠いのですー」
「ぐっ、重い」
「重くないのですー」
「しょうがないな…… レオに入れとくか」
「ぐーぐー、むにゃむにゃ」
久し振りに為次と再開して安心したのだろう、抱えられたまま眠ってしまった。
「スイちゃん、寝てしまったな」
「うん。レオに入れてよ」
「自分でやれよ」
「もー」
渋々、スイを装填手席へ押し込む為次。
いくら少女いえども人間一人は意外と重い。
なんとか砲塔へよじ登りハッチへ入れたが、途中で手が滑りドサリと車内へ落としてしまった。
「ぴぎゃっ」
「う、やべぇ」
微妙名悲鳴が聞こえたので中を覗くと、ひっくり返ってパンツが見えていた。
それでも寝ている様子なので、そっとハッチを閉めて見なかったことにするのだった。
「マサー、スイ寝たから……」
振り向いて下を見ると、いつの間に来たのだろうか?
正秀はユーナと話をしている。
「アイちゃん艦長が呼んでるのか?」
「うん。だけどマサヒデは行かなくていい」
「でも呼んでるんだろ?」
「艦長との話はタメツグだけでいい。マサヒデは私達とパーティ」
「なんだ? パーティって」
「百鬼夜行に勝ったお祝い。しばらく魔獣の発生は少なくなる。だから」
「へー、それは楽しみだぜ」
2人の話を聞いていた為次は砲塔からノソノソと降りてきた。
「俺もパーティ」
「タメツグは艦長とお話しといて」
「艦長よりパーティがいいんだけど」
「来なくても大丈夫」
「え……」
「早く行って。ブリッジに居るから」
「う、うん……」
「それじゃ、アイちゃん艦長の相手は為次に任せたぜ」
「マサだけハーレムパーティなの?」
「うん」
「悪りぃな、為次。ユーナちゃんのお誘いだし、ちょっと行ってくるぜ」
「そうだ一応タメツグにもお礼は言っておく。ありがと」
そう言い残すと、2人は何処かへ行ってしまった。
デッキに取り残される為次。
周りに沢山いた他のエンジェル達もヒールポーションの即効性が効いたのであろう。
既に姿は見えなくなっていた。
「えー…… 何処に行くのも一緒とか言ってなかったけぇ……」
トボトボと一人、ブリッジへと向かう為次であった……
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