異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら恐怖の触手怪人現る

おっぱいもみもみ怪人

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第44話 作戦失敗からの結果オーライ

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 為次は大統領に作戦の説明を始めていた。

 得意気とくいげに話す内容は至って単純である。

 これより官邸の警備隊がここへ突入して来る。
 そこへタイミング良くピーチエールが元の姿を顕したアブベーン大統領とブチ切れ気味の赤鬼を討伐するのだ。
 もちろん討伐といえども、あくまで演技であり殺られた振りをしてくれればいい。
 あとは、もりもり博士率いる怪人軍団も魔法少女の仲間であるのを見せ付け、最後にもりもり博士の指示によりレオパルト2で侵略に来た宇宙人を追放するという筋書きであった。

 「ざけんじゃねぇ!! なんで俺様がクソ雑魚どもに殺られなきゃなんねーんだよっ!! いますぐ全員皆殺しにやるぜ!!」

 赤鬼の怒りはもっともであったが国防長官である彼は気が付いていた。
 警備隊が来ないのである。
 これだけ騒ぎを起こせば真っ先に駆けつけて来る筈なのだが……
 まったく来る気配も無ければ連絡も取れない。

 「バキバキよ。ここはそやつに従っておいたほうが身のためじゃぞ」

 もりもり博士は為次を指しながら言った。

 しかし、赤鬼は聞く耳を持たない。
 赤い皮膚を更に赤くして叫ぶ!

 「うるせぇぇぇっ!! 怪人軍団の博士かなんだか知らねーが、俺様に指図すんじゃねーぞっ!!」

 「そう焦るではない。官邸警備隊は来ぬぞ」

 「なん…… だとぉ……」

 「タメツグよ。説明してやったらどうじゃ?」

 「あー、うん。えっとねぇこの部屋はシールドで隔離してあるから誰も入れないよ」

 「はぁ? シールドだぁ?」

 「でも、ま。すぐに解除してあげるよ。スイ、ついでにマサも呼んどいて」

 為次がレオパルト2を振り向きながら言うと、廊下の方からガヤガヤと騒がしい声が聞こえて来た。
 少しすると官邸警備隊の面々が執務室へとなだれ込む。

 「大統領! ご無事ですか! 見えない壁に阻まれてしまい……」

 真っ先に入って来た厳つい男が大統領へと駆け寄る。

 「ああ、大丈夫ですよ」

 「コイツらは何者なのですか?」

 と、厳つい男は為次を睨みつけた。

 「あー…… 俺たち? 俺達はねぇ…… いや…… 俺達も宇宙人だよ」

 「宇宙人だと?」

 「にしても不思議だねぇ。目の前にどう見ても怪しい鬼が居るってのに、なんで俺達なワケ?」

 為次の疑問は当然である。
 部屋には人外の怪物が居るのに何故か一番に怪しまれたのは為次であったのだ。

 しかし、答えは既に知っていた。
 突入前に官邸は全てスキャン済だった。
 官邸警備隊の半数はアブベーンに寄生されているのだ。

 「これは怪しいのう。もしやお主らは赤鬼と知り合いかの?」

 もりもり博士も知っていながら、わざとらしく言った。

 「隊長、こいつら……」

 「ああ、生かして帰す分けにはゆかんな」

 隊員の呟きに頷く隊長と呼ばれた厳つい男はレーザーライフルを為次に向ける。
 それに合わせる様に各隊員も一斉にライフルを構えた。

 「へぇ…… 大統領さん。どうすんの?」

 為次の問に答える大統領。

 「ああ、君達には協力してもらいますよ。簡単なことです。そこの小型宇宙船を私達に譲ってもらいましょうか」

 仲間が来たことによってであろう、余裕を見せる大統領を見て為次は呆れかえった。

 「馬鹿だねぇ……」

 「はて? 馬鹿はどちらでしょうか? 警備隊に赤鬼が居る以上はあなた方に勝ち目はありませんよ。はははっ」

 こうして為次のナイスな作戦はあっさりと失敗に終わった。
 敵が協力してくれないと意味の無い作戦など始めから無理な話である。
 もりもり博士とピーチエールも為次に呆れ気味だ。

 「ダメツグよどうするのじゃ?」

 「触手の人…… あなたはいったい何がしたいのですか……」

 「どうもこうもないよ…… はぁーい、ミズタニマソぉ」

 と、面倒臭そうに為次が片言で正秀を呼ぶと……

 ドッこぉぉぉぉぉンっ!!

 窓から真っ赤な全身タイツに機械の翼を装着し、手には大剣を持った変な人が猛烈な勢いで飛び込んで来た!
 変な人は変なポーズをとりながら変なセリフを叫ぶ!

 「水谷マソじゃないぜ……! 俺の名は…… 俺は大剣マスター水谷マン!! 愛と正義のヒーロー只今参上!! ジャスティスプリンスがみんなの笑顔を守るんだぜ!! ッ」

 ジェットヘルメット越しに見える唇がニヤリと笑う。
 本人は今の登場がキマったと自画自賛であるのだ!

 「マサヒデさん……」

 「おう、モモちゃん。無事みたいだな。俺が来たからにはもう安心だぜ」

 「次から次へとなんなんだっ!!」

 赤鬼は既に我慢の限界であった。
 今にも水谷マンに飛び掛かりそうである。

 「じゃ、ヨロ」

 と、為次が言うと……

 「おう」

 ドカッ! バキッ! ドコッ!

 ……………
 ………
 …

 ―― 3分後

 「悪は成敗だぜ! 正義は必ず勝つ!」

 大統領と赤鬼もろ共、水谷マンは警備隊を一瞬でのしてしまった。
 人間に寄生していたタコみたいな生物は全て引き摺り出されシールドの檻に閉じ込めた。
 バキバキもグチャグチャになった赤鬼から上半身を覗かせのびている始末だ。

 「始めからこうしておけば良かったのう」

 「いやいや爺さん、アブベーンの目的と船の在処ありかが分かったのは大収穫だよ」

 「ふむ……」

 「なぁ為次。俺の活躍だけ適当すぎないか?」

 正秀は戦闘描写に不満を漏らすが為次は無視して話を続ける。

 「さて…… 国家警備隊の方は寄生されて無いっぽいし、アイツらに現状を把握させようか」

 「国家警備隊にですか?」

 と、ピーチエールは訊いた。

 「見ての通り大統領は寄生された時点で脳を喰われて死んでるし、主な政府関係者も寄生されてる。しばらくは軍による暫定政府で行くしかないでしょ」

 「は、はい…… そう…… ですか…… では、私が連絡して来ます」

 そう言うと、チラリと倒れている大統領を見るピーチエール。
 中身の無い空洞となった頭部に嫌悪感を覚える。
 近くには正秀にボコられたタコが触手を伸ばして気を失っていた。
 そして為次と正秀に視線を移すと、軽くお辞儀をしてから部屋から出て行くのであった。

 そんな彼女を見送る正秀は、まだ不満げだった……

 ……………
 ………
 …

 ―― 翌朝

 皆はもりもり博士の地下研究室に集まっていた。
 朝食も済ませコーヒーを飲んでいる所である。
 何故かモモも一緒に居た。

 「怪人軍団の皆さん。昨日はお疲れ様でした」

 昨日はアレから国家警備隊へ宇宙人による政府乗っ取りの説明で翻弄された。
 誰だってタコ星人が脳みそを食べて寄生しているなど信じられる筈もない。
 それでも床で転がる政府のお偉いさんの死体に謎の生物を目の当たりにすれば、只事ではないのは理解できる。
 更にはスキャンによって暴かれた寄生済みの面々を呼び集め、国家警備隊の前で頭をかち割ったのだ。
 当然、信用しきれない人に止めようとされたが、有無を言わさず無理矢理にアブベーンを取り出してやった。

 「モモちゃん、もう怪我は大丈夫なのか?」

 「はい。マサヒデさん…… 怪人軍団の方に頂いた薬のおかげです」

 「そいつは良かったぜ」

 「皆さんには色々とお世話になりました。本当に…… 触手の人にも色々と……」

 そう言いながら為次を睨むモモ。

 「あ…… いや…… えーっと…… あははは……」

 色々の意味を理解している為次は笑って誤魔化すしかなかった。
 一応、モモへの誤解は解けたが酷いことをしてしまったのは事実だ。
 触手怪人に変身できるようになって調子に乗り過ぎていた。

 「まあ、いいです。それで、バキバキはどうなったのですか?」

 「なんだ? バキバキって? 為次。知ってるか?」

 「さぁ?」

 「赤鬼の中の人です。私の両親の仇です……」

 「ああ、モモちゃんの親を襲ったって奴か。どうしたんだ? 為次」

 「あー…… アイツねぇ…… 喰われちゃった……」

 捕まえたアブベーン星人と赤鬼はシールドの檻に閉じ込めたまま、地下施設上にある公園に一晩置きっぱなしにしておいた。
 さすがにレオパルト2から照射するシールドは距離に限界がある。
 元々、車両の周囲に展開して使うもので、単に流用して檻にしているだけなのだ。
 戦車を大統領官邸に置きっぱなしする分けにもゆかないので檻ごと持って帰った次第である。

 「喰われた…… とは?」

 「タコの一匹が脳みそ喰って寄生してた」

 「お、おう……」

 「馬鹿な奴じゃのう……」

 と、呟くもりもり博士はどことなく悲しそうであったが、皆は気が付かなかった。

 「ま、何にせよこれで一件落着だな」

 正秀に至ってはお気楽気分である。
 まだまだ後処理は残っているのだが、タンククルーにとっては関係の無いことなのだ。
 だから為次とスイも同意見であった。

 「じゃあ爺さん、約束通り3トン分の食料を貰おうかな。レオに入る分は生鮮食品でよろ」

 「やりました。これでしばらくは美味しいご飯が宇宙でも食べれるのです」

 「そうだねー」

 「怪人軍団の皆さんは本当に宇宙人だったのですね……」

 「悪りぃなモモちゃん。寂しいだろうがずっと一緒には居てやれないんだぜ」

 「そ、そうですね。ははっ」

 モモは困った表情で苦笑いをするしかなかった。
 そんなやり取りを横目に、もりもり博士は監視モニターを見ながら言う。

 「心配するでないタメツグよ。約束は守る。儂はこれから官邸に行き、国警の奴らと会議がある。そこでお主らに融通が効くよう進言しておこう。なーに、嫌とは言わせぬ」

 政府の要人は全員アブベーンに寄生されていた。
 当然ながら全てのタコを引き摺り出したので、後にはとっくの前に殺された人間の死骸が残るだけである。
 つまりこの国は今、無政府状態なのだが、それでは困るので為次が言ったように国家警備隊が暫定政府となっている。
 そんな中、もりもり博士が呼び出されたのは何も不思議なことではない。
 いち早くアブベーンの存在に気が付き、別の宇宙人と協力し侵略の危機から国を守った…… そう、いわば英雄なのであるから。

 「嫌って言いそうなら期待してもいいよ。戦力」

 食料に関しては第一の思考を持つ為次はそう言い放った。

 「スイもお手伝いするです。ご飯の為なのです!」

 「おう! 俺だって飯と酒の為なら全力でいくぜ!」

 スイと正秀も同意見だが、モモはわざと困った顔をしながら言う。

 「マサヒデさん。暴れるのは程々にして下さい……」

 「お主らに頼ると街ごと破壊されそうじゃわい。ふぉ、ふぉ、ふぉ」

 「へへっ」

 「いやマサ。褒められてないから……」

 何故か得意気な顔をする正秀に、為次は一応ツッコんでおいた。

 こうして最後のモーニングタイム兼ブリーフィングが終わる。

 「では、行くとするかの。モモよ」

 「はい」

 「なんだ? モモちゃんも行くのか?」

 「ええ、これでも一応は当事者なのですから……」

 「おう……」

 もりもり博士とモモが部屋を出て行くと、むにゅりんは何も言わずに付いて行く。

 と、すれ違いざまに量産型怪人が入って来た。
 そして、まだ飲みかけの冷めたコーヒーを片付け始めるのであった……
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