私の恋人はイケメン妖なので、あなた達とは次元が違います!

つきの

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姫という女

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律 sideー


なんだ?外が騒がしいな。
サスケの声がするが、もう戻ってきたのか?


サスケは人間観察が好きらしい。
今日も遊びに行くと張り切っていた。
まぁ、何もする事ないし、好きに遊ばせている。

俺はサスケがいつも遊びから戻ってきたら羽を休めている社の御神木へと向かった。



そうして、あの女に出会ったんだ。



「っしょ、あとちょい。」


女は短いスカートから足を曝け出しながら木に登っていた。そして案の定、羽を休めていたサスケへと手を伸ばしている。

あの女、何やってるんだ?


「っやった!」

なんだあいつ、
小鳥がそんなに珍しいのか?


「野生の鳥がこんなに大人しいなんて…。」


「ふふ、あなたとても綺麗な色をしてるね。」

そんな事を思って見ていると、女はとても綺麗に笑った。

…何考えてるんだ俺は。
思わず見惚みとれてしまったが、サスケは俺の使役獣だ。くれてやる訳にはいかない。


「おい。」


「っ⁈」

俺が女に声をかけると、驚いたのか高い木の上でバランスを崩す。


「チッ、」

なんなんだこの鈍臭い女は!
突然声かけた俺も悪いが、何で落ちてくる!?
そう思いながらも助けない訳にはいかない。

咄嗟に受け止めたその女は長く美しい黒髪を持ち、体も華奢で弱々しかった。落ちてたら体折れてたんじゃねぇか?


それにしても軽いな、なんて思っていると、ギュッと目を瞑っていた女がゆっくりと目を開く。そして現れたその瞳は、クリクリとしていて小動物を連想させるものだった。
顔立ちもりんご色の頰をしていて、可愛らしい…


「…っ!?」


?なんだ…?
この俺が助けてやったんだぞ。礼ならまだしも、何を驚く?
…その驚いた顔も可愛らしいが…いやいや、何考えてるんだ俺は。

思わず目を逸らした。


「…お前、人間か?そいつは俺の連れなんだが。」


「え?」


「…そいつ、俺の使役獣なんだよ。」


「あ、この鳥さんですか。」
女は何故か呆れたように俺とサスケを見る。


なんだその呆れを含んだ目は。

すると女の手の中にいたサスケがパタパタと羽をばたつかせて『痛い』と訴えかけてきた。

「え、何?」


「どうした?…あぁ、紐が絡まったのか。
全くお前は一体何処で…。ちょっと待て。」

このままでは紐も解けまい。
俺はその場に座って木の幹にもたれかかり、女は見ないようにしてサスケの紐を解きにかかる。


「えぇっ!?」

…なんだ?


「…じっとしてろ。動くと取りづらい。」
女の声にサスケが驚き動く。


「あの、助けてくれてありがとうございました。私退きますからその、」
何やら女が言ってるが無視だ。


「だから動くなと言ってるだろう。」


「いえ、ですから…。」


「チッ、動くなっつってんだろ!サスケ!」

俺は尚もバタつくサスケに向かって怒鳴った。


「さ、サスケ?…ってさっきからこの鳥に話しかけてたの⁈」


「…なんだ、お前まだいたのか。いつまで俺の膝にいる気だ。」

さっさと退けばいいものを。


俺はそこでまともに女と目を合わせた。


「っなんでよ!あなたが離してくれなかったからでしょ!」

…退こうと思えば退けられただろう。


「ふん。」
うるさい女だ。

「いたっ!ちょっとっ、女の子には優しくしなさいよね!いくらイケメンだからって!」

おい、放り投げたのは俺だが、それにしてもそのスカート短すぎだろ。
白かよ、俺は黒が好きだ。


「…うるさい女だな。お前人間だろ?何でここにいる。」


「また人間人間って、あなたいい加減に…。
学校だからに決まって…、え?」

女はブツブツ言いながら周囲を見回すが、その途端に固まった。


「え?何これ…?」


その驚きようを見て確信した。

「お前あの入り口を通ったな?」


「え、え?ここどこ?」
混乱しているのか俺の話は無視してやがる。
…おい、泣くなよ面倒だ。


「…ここは俺の住処すみかだ。」


「え?住処…。」


「あの学校の校舎裏にここへの入り口を繋いでんだよ。こいつが良くあの周辺にも遊びに行くから、すぐ迎えに行けるようにってな。」

そう言い己の肩にいるサスケを指差した。


「そんな設定まで考えてるんだ、もうすごいね。」


「設定?何言ってんだお前。」


「ねぇ、あなたは誰なの?」

首を傾げて見上げるな。可愛いだろ…いやいや、だからしっかりしろ、俺!!


「…お前が先に名乗れ。それが礼儀だろう。」

俺は社の前の階段に座ると、女を見下ろした。

そして女は俯くと小さな声で呟くように答える。

「私は、桃原…姫。」


「あ?姫?」


「…何よ。」


「いや。おい、ちょっとこっちに来い。」
姫とは大それた名前だな。
俺は女の顎に手をやり、自分の方へと向かせる。

「っ!なに、」

しばらくジッと女を見つめる。


「ふーん、まぁそこそこだな。」
やっぱり可愛いな。だが、この俺がそう簡単に見惚れたなんて思われてたまるか。


「そっ⁈失礼な奴ね!!」


「怒るなよ。この俺がそこそこだって言ってんだ。お前は人間にしては可愛いと思うぜ?」


「んなっ⁈」

そうだ人間としてはな。お、赤くなった。


「…なんだ、このくらいで照れてるのか?ガキか。」

「が…っ!私は子供じゃない!というか、あなたは誰なのよ⁈」



「俺は仙狐だ。どうだ?すげぇだろ人間。」


「せんこ?何それ名前?変なの。何処が凄いのよ。」


「おい、変とは失礼な奴だな。
お前だって名前で色々と思う所があるんじゃないのか?」

こいつ、失礼にも俺を変だといいやがった。


「っあ、ごめんなさい。変だなんて。」


「…ふん。それに仙狐ってのは種族の名前みたいなもんだ。俺の名前は 律 。」


「律…。良い名前ね。
…ねぇ、何で私が名前で悩んでるってこと分かったの?」


「ただ名前言うのにあんなに萎縮してたらな。お前、姫らしくねぇし、人間は心無い事も平気で言うだろ?」

もう今や姫なんて言われて持てはやされる時代じゃなくなったし、例えいたとしてもそれはつまらん女なんだろう。

だが、この女は違う気がする。そんな女ではなさそうだ。興味が湧く程度にはな。


「…っ。」

…どうした?
俺が興味を持ったってのに、突然女は黙ってその場を立ち去ろうとした。

咄嗟にその細い腕を掴んでしまう。
何故そんなに傷ついた表情かおをしている…?

そんなに気にくわない事を言ったか?


「どこに行く?」


「離して。帰る。」


「勘違いすんなよ、俺は別にお前にその名が似合ってないとは言ってない。」


「…姫らしくないのに?」


「お前は『お淑やかでつまらん姫』らしくありたいと思うのか?俺は明るくて陽気な姫の方が好きだがな。」


「す、すき…っ⁈」


「おい、お前の事じゃねぇぞ。俺はただ好みを言ってるだけだ。」


「そ、そんなの分かってる!」

そう言いながらも頰を染めて俯く女は可愛らしかった。

「…こいつも戻ってきたし、お前も早くあっちに戻れ。」
サスケを肩へと乗せる。


「うん、ありがとう。なんか嬉しかった。」


「嬉しい?何が?」


「ふふ、いいの。ねぇ、その鳥サスケって言うの?使役獣とか、仙狐とかよく分からないこと言ってたけど…。結局なんなの?」


「だから仙狐だって言ったろ。俺は狐の妖だ。
俺はもう900年は生きてる。お前より断然大人だし、偉い。力も強いぜ?」

流石にすげぇだろ?


「あやかし…?」
しかし女は俺を疑わしげに見つめる。


「おい、なんだその目は。」


「だって妖なんて、そんなの…嘘。」


「じゃあ、お前の学校を燃やし尽くしてやろうか?俺の狐火はよく燃えるぞ。」

そうニヤリと笑い、手に狐火を灯してやった。 この炎はどこまでも燃やし尽くすぞ。


「なっ⁈だ、だめ!」


「ま、俺は善狐だからな。冗談だ。」


「ぜんこ?またよく分からないことを…。
じゃあその耳を触らせてよ!本物なんでしょ?」


「耳…まぁ、少しなら触ってみてもいい。」


「え、いいの?じゃあ触ってみたい!尻尾は?」


「…女が尻尾を触りたいなんて恐ろしいな、お前。耳だけだ。痛ぇんだから、子供みたいに無遠慮に触るなよ。」

尻尾は敏感な部分だ。だから意中の者にしか触らせないもの。

俺はその場に屈み、女を見上げた。


「…!」
女の顔がまた赤くなった。なんでだ。


「おい、早くしろ。」


「う、うん。」
そっと俺の耳に触れてくる。


フニフニーー

「っ柔らかーい!何これ気持ちぃ!!」


フニフニフニーー


つか、引っ張るな!

「おい、少しだっつっただろ。」
いつまで触る気だこの女!


「ごめんごめん。…本当に妖なんだね。」


「だからそう言ってんだろ?」


「ねぇ、律!またここに来てもいい?」


「別に、俺には関係ないし…お前の好きにしろ。」

…初めて名前で呼ばれたな。まぁ、嫌な気はしないし、特別に許してやろう。


「やったぁ!」


女はそう言い飛び上がると、嬉しそうに帰って行った。


何だったんだ…。
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