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海 1
しおりを挟む「律~!夏休みだよー!海行こー!」
「俺には夏休みなんてものは無い。」
「えー、何言ってんの。年中休みみたいなものでしょう?」
「おい、酷い言い草だな。」
「うちの学校って夏休みはバイトオッケーだからさ、友達の親戚が経営してる海の家を手伝う事になって。
せっかくだし、律も行こうよ!1泊2日のお泊り!2日で結構お給金貰えるみたいだよ!」
「…仕方ないな。」
「やったぁ!!」
遡る事3日前ーー
「やっと明日から夏休みだよ~!」
「なぁ、桃はあの彼氏と上手くいってんの?」
「優希…。ま、まぁ。それなりに?」
「ねぇ、姫ちゃん!彼氏さんも含めてみんなでどこか遊びに行こうよ!」
「いいね!でも律来るかなぁ?」
「それは説得しといてよ!で、どこ行く?」
「あ、それなら私、親戚がやってる海の家を手伝う事になってるんだけど一緒にどう?お給金も貰えるし、午前の手伝いが終わったら午後は自由だし!!宿代も食事代もいらないよ!」
そう提案してきたのは同じクラスの日高 茉由実。
ちなみに最初の子は垣本 優希。最近は何かと一緒のこの4人。
「うっそマジで?お金も入るなんて最高じゃん。行こうよ桃!」
「私も行きたいなぁ、姫ちゃんはどう?」
「うーん、一応律に聞いてみるね。私も皆と遊びたいし。」
という訳でのお誘いだった。
❇︎❇︎❇︎
そうして、当日。
目的の海の家がある町までは電車を使ってじゃないと行けない程には遠かった。
メンバーは私と律、香奈、茉由実に優希。
今日は駅の前で皆と待ち合わせだ。
「んふふー!その服もカッコいいね律!」
相変わらず色気を振りまいてるけど、カッコいいものは仕方ない。
「変な笑い方はやめろ。」
「酷い!だって嬉しいんだもん。また律と出かけられて。しかも今回は海だよ!」
「まぁそうだな。俺もお前と一緒にいれるのは嬉しいぞ。」
「そ、そう。えへへ。」
それにしても皆はまだかなぁ。約束の時間を10分過ぎたけど、大丈夫かな?
あ、来た。
「ごめーん!待った⁈」
香奈は2人と来たんだね。
「香奈、優希、茉由実おはよう。全然大丈夫だよ。」
「嘘だ、30分待った。」
「な、律シーッ!!」
「ホントごめんね、準備に手間取っちゃって。」
「大丈夫だから。電車の時間も余裕あるしね。
律、今回誘ってくれたのがこの子で、」
「茉由実って言います。私が誘ったのに遅れてすみませんでした。」
「あぁ。もういい。」
「それで隣の子が優希。2人ともいつも仲良くしてくれてるの。」
「よろしく律さん。」
「よろしくお願いします!」
「あぁ。いつも姫といてくれてありがとな。」
「律くん、姫ちゃん。今日は楽しみだね!昨日は眠れなかったよー!」
「りつくん…。」
「あ、ダメだったかな?」
「…別にどうでもいい。」
「ふふ、ありがとう。今日も律くんはカッコいいね!」
それから私達5人は予定していた電車に乗れたんだけど、思ってた以上に混んでいた。
しかも今は吊革も手すりも無いところで電車の揺れに耐えている状況だ。
これ、辛い…!体幹弱いから転びそう!
香奈達も必死そうだ。
「…姫、辛ければ俺に捕まっとけ。」
「え?」
見上げると、律はこの高身長だから普通は握るためにあるんじゃない吊革を吊るすためのパイプを握っていた。
「ありがと。ほんと大きいよね律。こういう時は羨ましいよ。」
お言葉に甘えて律の腰元を掴む。
香奈達は大丈夫かな?
「ふん、チビは大変だな。」
「チビ⁈」
その言葉に反論しようと顔を上げた時、電車がカーブにかかったのか、大きく揺れた。
私は咄嗟に律に抱きつく事で難を逃れたが…
「っきゃあ!」
「っと。…大丈夫か?」
「!う、うん。ありがとう律さん。」
転びそうになった茉由実の腕を咄嗟に掴んでくれたみたい。
「おぉ、反射神経すご。カッコいいな律さん。」
「ねー。律くん頼りになるー!」
「ねぇ律、人が空くまでは皆で律に捕まってちゃだめ?このままじゃ危ないよ。」
律は190㎝もあるから掴むところあるけど、私達は150㎝代のチビ組だ。
ちなみに私は先日160㎝から159㎝へ降格した。
優希も159㎝、茉由実は155㎝。
香奈に至っては150㎝だ。吊革にすら届かない。
「いいぞ。」
「ありがとう!ほら、皆転んじゃう前に律に捕まって!」
「じゃあ遠慮なく~」
「し、失礼します!」
「わーい!これなら安心だね~」
そして、バンザイする律を中心に4人の女の子がピタリと囲むという不思議な光景が生まれた。
ーー何だよあれ、ハーレムかよ。
ーークソ羨ましいっ!!見せつけんな!
不本意にも律は周りの男達から眺望と嫉妬の目で見られる羽目となったのだった。
それからもしばらく電車に揺られ、
やっと目的の町へと着く。
そして、目の前に広がるのは…
そう、海!!!
「わぁ~!海だぁーー!」
久しぶりの海!テンション上がるー!
「「海だーー!」」
優希も茉由実も上がってる。
「海ーー!」
香奈も同じく。
「…だからなんだ。」
そこで下がるなよ!
「もぅ、律ったら協調性大事だよ?」
「今日の目的は海だから来たんだ。別に叫ばなくても分かってる。」
「まぁまぁ、律さん!楽しみましょう!」
❇︎❇︎❇︎
それから私達は海の家を経営している茉由実の親戚のおばさんに挨拶をした。
午前中はしっかりとお手伝いをして、お給金と午後からの律との思い出作りのために頑張らなきゃ!
そして肝心のお手伝いの内容は、接客と客引きだって。
そこで、接客は私達が請け負うことにした。だって律は苦手そうだしね。
そう思って律には店の前で客引きをお願いしたんだけど…
全然お客さん来ないじゃん!
おかしいなー、律に引き寄せられてたくさん来ると思ったのに…
そう不思議に思って店の外に出てみると、
そこにはたくさんの女の人がいた。律を囲んで。
ちょっと!店に入って来ないんじゃ意味ないよ!
「ねぇ、お兄さん!この後一緒に海で泳がない?」
「えー、私と行こうよー?」
「俺にかまうな。お前達が行くべきはあっちだ。」
律はちゃんと仕事をこなそうとしてるみたいだけど。
「じゃあお兄さんが一緒に来てくれたら行ってあげるー。」
「俺はここを任されたから行けない。分かったら早く店に行け。」
…あんな客引でも女の人は寄ってくるんだね。流石、律。
「ねぇいいの姫ちゃん、律くんモテモテだよ?」
「んー、私は別に大丈夫だけど、律が女の子達にキレないかが心配かな。」
「そりゃ大丈夫じゃない?律さん大人でしょ。」
…そうだといいけど。
でも流石にこれ以上はお店に迷惑かけるだろうし、どうしよう。
…なんて思っていたら、おばさんが店の奥から出てきた。
「ほらほら、あんた達!何してんだい。ウチに用が無いならさっさと海で遊んでおいで!」
「えー、私はお兄さんに用があるんだけどー。」
「私もー。」
「この子はウチの雇い人だよ。営業妨害はやめとくれ。」
「もうなんなの、おばさんに用なんて無いの!」
「俺もお前達に用は無い。」
「そんな事言わないで、ねぇあっちで楽しも?」
「ここよりもっと楽しいよ?」
…にしてもしつこいお姉さん達だなぁ。
私の彼氏なんだけど…!
ここまでしつこいといい加減ムカムカしてきた。
そんな雰囲気を感じ取ったのか、
「…姫、こっち来い。」
「なに…」
「私の事⁈やだぁ!お姫様だなんてっ、お兄さんもその気なんじゃなーい!」
「何言ってんの!私を見て言ってたでしょ⁈」
ちょっと!どう見ても律は私を見てたじゃん⁈どこに目ぇつけてんの⁈
「お前達じゃない。姫早く来い。」
「う、うん。」
お姉さん達の前に出るのは嫌だけど…仕方ないなぁ。まぁ、私彼女だし!
私は律に急かされ駆け寄った。
「…何この子。もしかして姫ってこの子?」
「子供なんて呼んでないの。あっちで大人しくお手伝いしてて?」
お姉さん達は律の前だからかニコニコ笑ってはいるけど、目は怖い。
「えっと、律?」
この状況どうしたら…
「こいつが俺の女で、お前達じゃない。分かるか?可愛いだろ?これで分かったよな?」
そう言い切ってくれたのは嬉しいけど、大勢の前で抱き寄せられると恥ずかしいんですが…。
「この子供が?」
「お兄さんの?」
ちょっと、今私の胸を見たでしょう!
そんなに子供に見える!?確かにCカップしか無いけど!
お姉さん達みたいな爆乳じゃないけど!
「そうだ。お前達とは雲泥の差だろう。」
「そうね。雲泥の差だわ。」
だから胸を見るな!
「悪かったわね!胸が小さくて!!」
「は?」
「あ。」
「「……」」
「…俺が言いたいのはそこじゃない。」
「…分かってる、ごめんなさい。」
もう、なんで私だけ恥ずかしい思いしなきゃなんないの⁈
「なぁにー、本当に恋人なの?
なんだ、残念。」
「でもお兄さんもうちょっとボリュームある子を選んだ方がいいんじゃない?私みたいな。じゃあねぇ、さよなら~。」
「「……」」
「酷い。」
「…大丈夫だ。俺はお前の全てが好きだぞ。」
「うん。ありがと…。」
他の人達も、私が出てきたからか律目当ての子達はブツブツ言いながらも引いていった。
「ぷふ、見てて面白かったよ、2人とも。」
「面白くない!小さい言われたのに!優希はいいよね、Eカップもあって。」
「ちょっと、そんな事デカイ声で言わないでよ!」
「「ふ、いいよね2人とも…。」」
「「あ。」」
香奈と茉由実は…可愛いよ。うんホントに。
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