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第三章『大陸掌握』
死を望んだ者の末路
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乾いた風の感触に彼女は目を覚ました。
少し崩れた天井からは星空が覗いている。
申し訳程度のオイルランプが置かれた粗末な部屋。寝かされていたベッドも粗末なものだ。
「起きたか。」
声をかけられ、彼女がその方向に目を向けると月明かりに照らされる中彼が立っていた。
ローブで見えなかったその体は彼女が思っていたよりもずいぶん華奢だった。
口ぶりから年上に感じたその外見はまだ成人して間もない感じのものだ。
それは彼がこの世界に転移した際に神達によって万全な肉体へ変換されただけで従来は彼女が想像していた通りのものである。
「何故?」
彼女は謁見の間で自分の頭に埋め尽くされていた言葉で問いかける。
「お前が望んだから。」
何のこともないと言う雰囲気で彼は答える。
「俺はこの世界を終わらせる為に、女神に復讐する為にここに来た。
全てを破壊する。人も魔物も自然も建物も街も国も大地も海も。
例外なく全て破壊する。邪魔をするものは全て破壊する。
立ち塞がるものは全て破壊する。踏み躙る。想いも尊厳もプライドも愛情も希望も。
お前は死を望んだ。俺に求めた。だから踏み躙った。
望んだから逆に生かした。自分で死にたいなら好きにすればいいが俺に求めるなら踏み躙る。
俺がこの世界を壊し尽くすまでにお前が死にたくないと心の底から思えたなら殺してやるよ。」
彼の言葉に彼女は怒りを覚える。なんて傲岸な男だ。
「だから彼女たちも殺さないのですか?」
裸で平然に立つ彼の足元でだらしなく全裸で身を投げ出す2人の女達をみて彼女はそう尋ねた。
「これはこの世界に何も望んでないからな。
この世界の真実を知って、自分の本質を知って、この世界の全てを諦めた。
何も望まないのなら何もしない。まぁたまに暇潰しに気まぐれに抱いて楽しむこともあるけどな。」
やはり彼は無礼なやつだと彼女は思った。
彼にとっては彼のそばにいる2人は暇を潰す玩具のような物でしかない。
気まぐれに使って壊れたり飽きたら捨てるのだろう。
彼女が睨みつけて押し黙っていると彼はふぅとため息を1つ漏らした。
「お前の父親と思われる男は死んだぞ。
城の地下の隠し部屋みたいなところに隠れ潜んでいたが崩れた瓦礫の下敷きなった。」
彼の言葉に彼女の心にはしかし特に何の感慨も抱かなかった。
なんだ自分を身代わりにして逃げたくせにあっさりと死んだのか。
身代わりにした自分はこうして生きているというのに。
ザマアミロとも思わない。興味がもう無いのだ。
「で、どうする。さっきも言ったがお前が心の底から死にたくないって思わない限り俺はお前を殺さないぞ?」
彼にそう尋ねられて彼女は困った。なんというか、もうどうでも良くなっていた。
王族だったがもう彼女の国は無くなった。
守るべき民はもういない。生きる理由もない。かと言ってあえて死のうと思う気概もない。
戸惑う彼女を見て彼は吹き出した。
「お前も一緒に来るか?俺の側でこの世界が破壊され尽くす様子を見るか?
その様子だとお前ももうこの世界に何も期待なんてしていないんだろ?ならこの世界が壊れていく様を楽しんだらいい。」
彼の言葉にそれもありかもしれないと納得する。
「なんなら、お前も俺に抱かれてみるか?気晴らしになるかもしれんぞ?」
揶揄うようにそう言い彼が手を差し出すが彼女はそれを叩いた。
「調子に乗らないでください。確かに私はもうこの世界に何も望んでません。
ですがあなたが嫌いなことも変わりありません。」
睨みつけながらそう宣言する彼女に彼は楽しそうに笑みを浮かべる。
「わかってないな。言ってるだろう?俺はお前の望みを何も叶えない。
そうやって嫌がると逆効果だぞ?」
言いながら彼は彼女をベッドに押し倒す。
「それともそうされたくてわざとそんな態度を取ったのか?
まぁどうでもいいがな。この世界に何も望んでいないお前の都合なんてどうでもいいんだよ。
俺から離れないってんなら俺に使われるのも諦めるんだな。」
やはりこの男はひどい男だ。覆い被さる彼を睨みつけながら彼女は再度そう認識した。
少し崩れた天井からは星空が覗いている。
申し訳程度のオイルランプが置かれた粗末な部屋。寝かされていたベッドも粗末なものだ。
「起きたか。」
声をかけられ、彼女がその方向に目を向けると月明かりに照らされる中彼が立っていた。
ローブで見えなかったその体は彼女が思っていたよりもずいぶん華奢だった。
口ぶりから年上に感じたその外見はまだ成人して間もない感じのものだ。
それは彼がこの世界に転移した際に神達によって万全な肉体へ変換されただけで従来は彼女が想像していた通りのものである。
「何故?」
彼女は謁見の間で自分の頭に埋め尽くされていた言葉で問いかける。
「お前が望んだから。」
何のこともないと言う雰囲気で彼は答える。
「俺はこの世界を終わらせる為に、女神に復讐する為にここに来た。
全てを破壊する。人も魔物も自然も建物も街も国も大地も海も。
例外なく全て破壊する。邪魔をするものは全て破壊する。
立ち塞がるものは全て破壊する。踏み躙る。想いも尊厳もプライドも愛情も希望も。
お前は死を望んだ。俺に求めた。だから踏み躙った。
望んだから逆に生かした。自分で死にたいなら好きにすればいいが俺に求めるなら踏み躙る。
俺がこの世界を壊し尽くすまでにお前が死にたくないと心の底から思えたなら殺してやるよ。」
彼の言葉に彼女は怒りを覚える。なんて傲岸な男だ。
「だから彼女たちも殺さないのですか?」
裸で平然に立つ彼の足元でだらしなく全裸で身を投げ出す2人の女達をみて彼女はそう尋ねた。
「これはこの世界に何も望んでないからな。
この世界の真実を知って、自分の本質を知って、この世界の全てを諦めた。
何も望まないのなら何もしない。まぁたまに暇潰しに気まぐれに抱いて楽しむこともあるけどな。」
やはり彼は無礼なやつだと彼女は思った。
彼にとっては彼のそばにいる2人は暇を潰す玩具のような物でしかない。
気まぐれに使って壊れたり飽きたら捨てるのだろう。
彼女が睨みつけて押し黙っていると彼はふぅとため息を1つ漏らした。
「お前の父親と思われる男は死んだぞ。
城の地下の隠し部屋みたいなところに隠れ潜んでいたが崩れた瓦礫の下敷きなった。」
彼の言葉に彼女の心にはしかし特に何の感慨も抱かなかった。
なんだ自分を身代わりにして逃げたくせにあっさりと死んだのか。
身代わりにした自分はこうして生きているというのに。
ザマアミロとも思わない。興味がもう無いのだ。
「で、どうする。さっきも言ったがお前が心の底から死にたくないって思わない限り俺はお前を殺さないぞ?」
彼にそう尋ねられて彼女は困った。なんというか、もうどうでも良くなっていた。
王族だったがもう彼女の国は無くなった。
守るべき民はもういない。生きる理由もない。かと言ってあえて死のうと思う気概もない。
戸惑う彼女を見て彼は吹き出した。
「お前も一緒に来るか?俺の側でこの世界が破壊され尽くす様子を見るか?
その様子だとお前ももうこの世界に何も期待なんてしていないんだろ?ならこの世界が壊れていく様を楽しんだらいい。」
彼の言葉にそれもありかもしれないと納得する。
「なんなら、お前も俺に抱かれてみるか?気晴らしになるかもしれんぞ?」
揶揄うようにそう言い彼が手を差し出すが彼女はそれを叩いた。
「調子に乗らないでください。確かに私はもうこの世界に何も望んでません。
ですがあなたが嫌いなことも変わりありません。」
睨みつけながらそう宣言する彼女に彼は楽しそうに笑みを浮かべる。
「わかってないな。言ってるだろう?俺はお前の望みを何も叶えない。
そうやって嫌がると逆効果だぞ?」
言いながら彼は彼女をベッドに押し倒す。
「それともそうされたくてわざとそんな態度を取ったのか?
まぁどうでもいいがな。この世界に何も望んでいないお前の都合なんてどうでもいいんだよ。
俺から離れないってんなら俺に使われるのも諦めるんだな。」
やはりこの男はひどい男だ。覆い被さる彼を睨みつけながら彼女は再度そう認識した。
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