神を恨んで死んだ俺は神によって異世界で魔王となる

きょんきち

文字の大きさ
20 / 26
第三章『大陸掌握』

ひどい優しさ

しおりを挟む
 睨む彼女を愛しむように彼は抱きしめる。

力任せではないが有無を言わさず衣服をすべて剥ぎ取ったとたん優しさを見せる彼に彼女は戸惑った。

「どうして!やるならめちゃくちゃにしたらいいじゃない!」

訴える彼女の頭を優しく撫でながらただ抱きしめる。

「やめろ!撫でるな!優しく・・・するなぁぁ!」

何も言わずただ抱きしめる彼に彼女は泣き叫ぶ。

こんなはずじゃなかった。何もかも失ってどうでも良くなった自分を嫌がれば無理矢理尊厳もなく犯してもらえると彼女は思っていた。

しかし彼女の思惑など彼は重々承知だった。

だから全力で優しく扱う。まるで最愛の恋人に対してされているような錯覚を憶える程に優しくされる。

満たされたくない心が満たされる。何もなくして全て捨てて最後に自分の命も捨てるつもりだったのにそれを彼が許さない。

「やめて!やめてぇ!」

偽りだとわかっているのに心地よい彼の優しさ。振り解くのは簡単なはずなのに心の底から嫌だと思っているはずなのに彼女は彼を突き放せない。

まるで優しい強姦だ。そしてやはり彼は酷い男だった。彼女の思惑も想いも全部わかりながらそれを踏み躙った。

「嫌なのに!こんな事望んでないのに!満たされたくなんてないのに!

許さない!私は絶対許さない!許さないんだからァァぁ!」

泣き叫びながら彼女は果てた。最後は口で嫌がりながらも縋り付くように彼を抱きしめながらだった。

「ホント、酷い男ですわ。あんなのを見せつけられたらもっと欲しくなっちゃうじゃないですかぁ。」

あれだけ騒げば当然2人も目を覚ます。そしてあんなものを見せつけられたら彼との行為がすっかり体に馴染んだ2人は当然発情する。

しかしだからと言って彼がそれに答えるかは彼次第だ。

今回は興が乗ったらしい。彼はリーザを床に押し倒すと前戯もなく突き入れる。

そして物欲しそうにそれを見ていたイライザを彼女の上に跨らせて目の前のその尻を叩く。

さっきまでのセイラにしたような優しさに溢れたものとはまるで違う情欲にまみれたその行為を彼女はベッドの上から眺める。

この男の本当はなんなんだろうか。自分にしたような優しさに溢れた態度だろうか。

それとも今あの2人しているような荒々しいのがそうだろうか。

国を襲っている時の残虐な彼がそうだろうか。

どれも違う気がした。彼は鏡のようだ。左右が反転するように相手に合わせてその真逆の事をする。

本当の彼が全く見えない。

「ん、どうした。お前もくわわりたいのか?次は優しくしてやるかどうかわからんぞ?」

視線を感じた彼が視線も送らず尋ねる。

「ねぇ。ノワールだっけ。本物のあなたってどこにいるの?」

彼女の問いかけに彼はぴたりとその動きを停止させた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

処理中です...