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ついてない男
三
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「昇進おめでとうございます!」
それから時が経ち、彼は日頃の成績が評価されて部長へと昇進した。
すっかりとルーチン化した本の内容は彼に幸運をもたらし続けているが、それは本がもたらしたものではなく、彼の心にうまれた余裕が招いたことだと彼はもう理解している。
あの日、彼が訪れた店もあの店主も夢だったのかどうかは彼にはわからない。
ただ何度足を運んでも店を見つけることができないし、何度探しても本は見つからないという事は少なくとも彼にはもう必要ではないという事なんだろうと納得していた。
「新部長!何か一言!」
お調子者の部下に促されて彼は口を開く。
彼の身に起こった不思議な話。その突拍子のない内容に一同はポカンとした後に笑う。
誰も彼の話を本気にせず冗談だと思ったらしい。しかし彼はそれでいいと思った。
本当に必要なら彼の話をきっかけに誰かが訪ねていくかもしれない。
そうでないのなら必要としていないのだから。
-----
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商店街の一角で彼は今日もカウンターに置かれた座布団で丸くなる。
貸本屋三毛猫堂。必要とする者の前にだけ店は現れ、必要とする本を貸し出す不思議な貸本屋。
借りた本の返却は不要だ。必要じゃなくなれば自動的に本棚に返ってくるから。
契約書に必要なものは名前と母印だけ。
お代もいりません。
店主は猫。尻尾か2つに割れた猫又と呼ばれる妖です。
それから時が経ち、彼は日頃の成績が評価されて部長へと昇進した。
すっかりとルーチン化した本の内容は彼に幸運をもたらし続けているが、それは本がもたらしたものではなく、彼の心にうまれた余裕が招いたことだと彼はもう理解している。
あの日、彼が訪れた店もあの店主も夢だったのかどうかは彼にはわからない。
ただ何度足を運んでも店を見つけることができないし、何度探しても本は見つからないという事は少なくとも彼にはもう必要ではないという事なんだろうと納得していた。
「新部長!何か一言!」
お調子者の部下に促されて彼は口を開く。
彼の身に起こった不思議な話。その突拍子のない内容に一同はポカンとした後に笑う。
誰も彼の話を本気にせず冗談だと思ったらしい。しかし彼はそれでいいと思った。
本当に必要なら彼の話をきっかけに誰かが訪ねていくかもしれない。
そうでないのなら必要としていないのだから。
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商店街の一角で彼は今日もカウンターに置かれた座布団で丸くなる。
貸本屋三毛猫堂。必要とする者の前にだけ店は現れ、必要とする本を貸し出す不思議な貸本屋。
借りた本の返却は不要だ。必要じゃなくなれば自動的に本棚に返ってくるから。
契約書に必要なものは名前と母印だけ。
お代もいりません。
店主は猫。尻尾か2つに割れた猫又と呼ばれる妖です。
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