乙女ゲーの王子に転生したけどヒロインはマジでお断りです

きょんきち

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波乱の学園生活

彼女の正体

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 僕がそれに気付いたのはリゲルとの一件があってから随分日が経ったある日だった。

授業終了後はいつものメンバーでテラスでお茶を楽しんでいるんだが数日前から双子のリッタロッタが姿を見せなくなっていた。

教室が同じブルが言うにはちょうど姿を見せなくなった頃から何かよそよそしい雰囲気になって授業が終わるとそそくさと教室を出て行くらしい。

それを聞いてものすごく嫌な予感がした。

「それとなく明日にでも私が声をかけてみますわ。」

僕の様子を察したキュリテにそう言われ、僕は何か引っかかりながらも任せることにした。

翌日からキュリテも姿を見せなくなった。

 授業終了後の集まりは義務じゃない。都合がつかなくて数人しか集まらないこともある。

しかしそれから10日。キュリテもリッタロッタも1度もテラスに顔を出さなくなっていた。

流石に心配になり彼女に声をかけると、

「殿下には関係のない事ですわ。私達はあの場で無駄な時間を過ごすより大事な用がございますの。

迷惑なのでお声をかけないでくださいな。では私達は平民クラスに用がございますので失礼しますわ。」

有無を言わさずそう答えられ、逃げるように去られた。

彼女の目は不機嫌そうにこちらを睨みつけていた。まるでゲーム内の彼女のように・・・・・・・・・・・・

何かがひっかかる。その後も声をかければ冷たくかえされたそんなある日。

「なんて冷たい言葉。殿下がお可哀想です。」

この日も冷たくあしらわれた僕に声をかけてくる者がいた。

「リゲル・・・」

目の前に立つ女の顔は愉悦の笑みで歪んでいた。それを見て僕は全て察した。

「リゲル、お前の仕業か?」

何をとは言わなくても彼女はそれを理解している。

「仕業なんて言われると心外ですわ。私はこの世界の正しい形を知る者として彼女達を修正したんです。

そう、ルミファンの正しい形に。悪役令嬢は悪役令嬢でなければならない。取り巻きの2人も意地悪な双子でなければならない。

殿下も協力してくださいません?私の世界の為に。あぁ、安心してください。正しくなってももう貴方達は願い下げなんで。

私はもうルージュルートで攻略するって決めたんですよ。

ですがそのためにはいくつか必須イベントこなさないといけないのに皆さんがそんなだと立つフラグも立たないから困るんですよ。」

この女は何を言ってるんだ。この女はまだこの世界をゲームの世界だと思っているのか?

「お前はこの世界をなんだと思ってる・・・ここは物語やゲームの世界じゃなく現実だぞ?」

僕の言葉に彼女は目を細め笑みを浮かべる。

「やっぱりお前は私と同じなのね?異世界からこの世界に来て私のブランシュ様に取り憑いたのね。

お前のせいで私は最愛の人と結ばれず1番好きじゃなかったキャラで攻略しなくなったのよ。

ゲームの世界を壊すようなマネしやがってこの糞偽物が!

だから壊してやった。あの小姑女も陰険双子を使って脅してやった。

私が我慢させられたんだから絶対お前も同じ目に合わせてやる!

そうだ。お前を不幸にして私は今度こそ幸せになるんだ。私は悪くない。何もやってないのに父さんも母さんも私が殺したって責めて。

私は何にもしてないのに!あいつが勝手に死んだだけなのに」

狂ったように彼女が喚き始め人だかりができる。

「そうだあいつが何もかもの元凶だ。あいつが!あい・・・あれ?あいつって誰だ?

思い出せない。なんで、ぐっ頭が・・・」

突然彼女が頭痛で苦しみだした。

「・・・こんな事ならプリンなんて頼まなきゃよかった。」

気を失う寸前彼女が呟いた言葉に僕はひっかかりを覚えた。・・・まさかね。

でもそう思うと彼女には思い当たる節が多い。

ブランシュへの偏愛、キュリテやリッタロッタに対する扱い。どれも似ている。

それを確かめるべく僕は気を失った彼女を抱えて医務室に向かった。

----------

 医務室に染み付いた薬品の匂いというのはどこの世界もそんなに変わらないもんだな。

医務官の指示に従って簡易ベッドに彼女を降ろした僕は側の椅子に座り、彼女の目覚めを待つ。

医務官が僕の王太子という立場に気をきかせてお茶を淹れてくれたので好意に甘えて時間を潰していると、お茶の匂いに誘われてかすぐに彼女は目を覚ました。

「なんで・・・」

「あの人集りができた場で倒れた君を放置したら僕がどう思われるかなんて考えたらわかるだろう?」

開口一番文句を言おうとする彼女に僕はそう言い切る。

「なんで・・・」

「君に聞きたいことがあったからね。そうそう、わかっていると思うけどここは君の言うルミファン・・・ルミナス・ファンタジアとは似て非なる現実の世界だよ。」

彼女の言いたい事を先読みして答える。

「・・・それはあなたが余計な事をしたからじゃない。」

気を失って少し頭が冷えたのかさっきよりも口調は冷静だ。まぁ忌々しそうに睨まれてるけど。

「僕がどうこうしなくてもそんなに変わらなかったさ。確かに人間関係は僕がした事で変わったと思うけど君のこの学園内での評価は対して変わらなかったよ。

君、自分が学園内の生徒や教師達になんて言われてるかちゃんと知ってる?」

僕の言葉に彼女は訝しげな顔をする。こりゃ何にも気付いてないな。

「将来が有望な貴族や商人に言いよるアバズレ平民女。」

「はぁ!?」

僕の言葉に彼女は声を荒げ問い返した。

「あらかじめ言っておくけど僕が広めたわけじゃないよ。

でもそう言われても仕方ないでしょ。休憩時間になるたびに用もなく平民が商人クラスや貴族クラスの周りをうろついて声をかけてりゃどう思われるかなんて明らかだろ。」

「それは!コミュを進めないと好感度が上がらないし必須イベントが・・・」

「何度も言うけどこの世界はゲームじゃなく現実だよ。君のやっている行動はされる側からしたら迷惑でしかない。

そんな事をされても君の言う好感度?は上がらない。むしろ下がってるんじゃないかな。」

「嘘。そんなの嘘よ。」
 
「それが現実だよ。そもそもあのゲームは現実的に考えたら都合が良すぎるんだよ。

君がしたように用もなく他クラスを彷徨くなんてこと、君は前世の学校でしたかい?」

現実を受け入れられない彼女を諭すように話す。

「そんな事をすれば君は前世でも同じような扱いをされたんじゃないかな?いや、あっちではもっと酷いイジメの対象になったかもしれないね。

それがなぜこの世界では大丈夫と思えるほうが僕は疑問だよ。」

僕の話に彼女はもう何も言えなくなっていた。

「君は僕が余計な事をしたというけど君は僕のした事の・・・こう言う言い方は嫌いだけど恩恵を受けていないかい?

僕が転生したのは5年前だ。それ以前に比べてこの国の食生活はずいぶんと良くなったと思うけど?」

僕の話に思い当たる記憶があったのだろう。彼女の顔色が一気に悪くなる。

「僕が前世の記憶を利用してしたのは主にこの国の調味料事情の改善だ。ブルやジョーンヌとの友好関係はその途上で国家間の友好関係を保とうとした結果だよ。」

まぁオプスキュリテに関しては完全に僕の私情だけどね。ただそれもこの調味料改善の一環ではある。

「君、キュリテを小姑女なんて呼んでるところを見るとキャラの見た目とかゲーム内の展開ばかり気を取られて設定資料に書かれてる裏設定とかまったく見てなかったでしょ。

キャラの外側ばっか見てなんでそうなったかの経緯を知ろうともしないから軽々しく小姑女とか言えるんだろうね。」

かつてのの姉のように。

「ブランシュが孤独の王子様?笑っちゃうよ。視野が狭い鈍感のガリ勉男じゃないか。

婚約者ほったらかしで勉強ばっかして愛想尽かされたら貴族のことを何も知らない平民にコロッと鞍替えする尻軽男だ。

ゲーム内のオプスキュリテは悪役令嬢みたいだが彼女の言ってる事は貴族として当たり前のことばっかなんだよ。

貴族が王族が自由に恋愛できると思ってる?君、ゲームの通りに公爵令嬢を蹴落として王太子と結婚したら幸せになれると本気で思ってたの?」

僕の言葉に彼女は無言で不貞腐れる。

「なれないよ。恋愛感情なんていう社会的に価値のないもので公爵令嬢を捨てたことでまず公爵派の貴族全てが王族に、国に対して不信感を持って国が荒れる。

貴族教育を全く受けていない君は理解できないまま貴族独特の平民には理解できない言い回しで皮肉を言われ続けるまさに籠の中の鳥となるだろう。

それが君の望んだ幸せかい?何度も言うけどこの世界はゲームじゃなく現実だ。

現実にゲームのようなエンディングは存在しない。存在してもそれはただの通過点に過ぎないんだ。」

途中から彼女は耳を塞ぎ聞く事を拒否していた。

「うるさいうるさいうるさいうるさい!」

そしてかき消すようにそう呟き続ける。それはが何度も見せられた彼女が現実逃避する時の癖だ。

「・・・これ以上この世界を掻き回すような真似をするなら僕も容赦はしない。

例え君が誰であろうとね。」

僕はそう言い、耳を塞ぐ彼女を置いて医務室を後にした。
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