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白珪学園編
第十七話 肝試し大会②
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『第10回来栖家恒例肝試し大会』
旧校舎の正面玄関には、書道師範の腕前の学園長が書いた横断幕が、堂々と飾られています。
「学園長、師範免許持ってたんですね…」
私が驚きの眼差しで看板を見上げると…
『あの人、資格マニアだから…無駄に色んな資格持っているよ。
危険物取扱者資格とか、小型船舶操縦士とか、ドローンの一等無人航空機操縦士とか…』
と文雄様が教えてくれました。
学園長…何を目指しているのかしら…?
『彼の精密なドローン操縦技術は、この肝試し大会でも活かされてるから…』
文雄様からのいらない豆情報。
うん…才能の無駄遣いだと思います…。
~・~・~・~・~
夏は日が暮れるのも遅いものですから、参加者の集合時間は午後8時ちょっきり…。
【8時だよ全員集合!!】という感じでしょうか…。
今回の参加者は下は小学六年生から、上は高校二年生まで…。
実はその上には、学園長の大学三年生になる息子さんもいるのですが…
何度文雄様が枕元でイタズラしても気付かない…全く見えない人だったので、諦めたそうです…。
確かに来栖家の血筋は見える人が多いのですが、親が見えたからといって、その子が見えるわけでもないそうです。
「よくみんな、こんな怪しい肝試し大会になんて集まりますね…」
倶利伽羅くんが呆れたように呟くと…
「一応来栖家の者は、号令が出たら全員参加の決まりなんだ。
結構いい額のバイト代も出るしね…。僕なんか、ちょうど買いたい物があったから、そのバイト代に釣られて参加したばかりに…」
学園長…後悔とは、後になって悔やむから、後悔と言うのですよ…
~・~・~・~・~
私達は所定の場所にスタンバイしないといけないので、参加者に会うことはなく、この肝試し大会のルールは学園長から説明されます。
そのため事前にターゲットの情報は写真付きのエントリーシートで確認済みです。
エントリーNo.1
来栖 政明17才
海星志學館高等部2年生
超難関進学校在学。頭脳明晰。科学部部長。
非現実的なものを認めない。
写真の中の男性は、いかにも真面目という感じ…。
でも大道寺先輩とは違い、エリート感がすごい…。
きっと将来は優秀な科学者となることでしょう…。
エントリーNo.2
来栖 尚明15才
白珪学園中等部3年生。
何とうちの学校の生徒会長でした…。
白珪学園は中高一貫で受験がないから、3年生なのに呑気に肝試し大会なんて参加しているのかしら…?
と思ったら、彼も高等部からは海星志學館を目指しているらしい…
白珪学園に彼の求めるものは無かったそうです。
生徒会長で、成績優秀で、サッカー部部長で、イケメン…
何だか肩書だけ聞いていると、イラッとしますわね…。
エントリーNo.3
鈴木 千明12才
市立第五小学校6年生。
何と彼女は、自分から立候補でこの肝試し大会に参加してくれた期待の新人です。
学園長の妹さんの娘で、姪にあたります。
この度、母から肝試し大会の話を聞いて、『面白そう!!私も参加したい』と立候補してくれたそう…。
元々、誰でも彼でも広めると怪しまれるから来栖家内で探しているだけで、他家の人間でも守秘義務が守れて、幽霊が見える者なら大歓迎なのです。
写真には、ショートカットが凛々しい綺麗な女の子の姿が写っていました。
~・~・~・~・~
肝試しのルールは割と普通で…
①目的地には10分違いで、1人ずつ行くこと。
②正面玄関で渡された木札と指示書を持って、折り返し地点の理科室に向かう。
そして、理科室にある箱の中に木札を入れて、また正面玄関に戻る。
②理科室までは、各ポイントにある指示に従って進む。
それだけの簡単なルール。
まずスタート地点では、三人に同じ指示書と木札が渡されます。
最初の指示は…
『三階にある3年6組の教室を目指せ』
「では、年長者ということで、私が最初に行きましょう」
そう言い出したのは、候補者最年長の来栖政明。
懐中電灯と木札、指示書を持つとさっさと校舎の中に姿を消しました。
「君は先か後か、どちらが良い?」
さすが人望熱い生徒会長の尚明は、最年少の女の子の千明に好きな方を選ばせてくれます。
「じゃあ、私はゆっくり行きたいから、一番最後で…」
千明の希望に頷き、10分後、尚明も懐中電灯、木札、指示書を持って校舎へと向かいました。
「千明ちゃん、本当に大丈夫かい?何なら叔父さんも一緒に行こうか?」
と大会の趣旨をすっかり忘れている叔父に…
「私は1人で大丈夫。叔父さん、ありがとう」
と微笑む小学六年生の姪の方が、余程しっかりしています…。
こうして、候補者の三人とも、予定通り肝試し大会の行われる旧校舎へと入って行きました。
□■□■□■□■□
お読みいただきありがとうございます。
きずな児童書大賞、応援していただき投票していただいた皆様、本当にありがとうございました。
ちょっと頑張りましたが、ストック切れのため、またしばらくゆっくり投稿に戻ります。
旧校舎の正面玄関には、書道師範の腕前の学園長が書いた横断幕が、堂々と飾られています。
「学園長、師範免許持ってたんですね…」
私が驚きの眼差しで看板を見上げると…
『あの人、資格マニアだから…無駄に色んな資格持っているよ。
危険物取扱者資格とか、小型船舶操縦士とか、ドローンの一等無人航空機操縦士とか…』
と文雄様が教えてくれました。
学園長…何を目指しているのかしら…?
『彼の精密なドローン操縦技術は、この肝試し大会でも活かされてるから…』
文雄様からのいらない豆情報。
うん…才能の無駄遣いだと思います…。
~・~・~・~・~
夏は日が暮れるのも遅いものですから、参加者の集合時間は午後8時ちょっきり…。
【8時だよ全員集合!!】という感じでしょうか…。
今回の参加者は下は小学六年生から、上は高校二年生まで…。
実はその上には、学園長の大学三年生になる息子さんもいるのですが…
何度文雄様が枕元でイタズラしても気付かない…全く見えない人だったので、諦めたそうです…。
確かに来栖家の血筋は見える人が多いのですが、親が見えたからといって、その子が見えるわけでもないそうです。
「よくみんな、こんな怪しい肝試し大会になんて集まりますね…」
倶利伽羅くんが呆れたように呟くと…
「一応来栖家の者は、号令が出たら全員参加の決まりなんだ。
結構いい額のバイト代も出るしね…。僕なんか、ちょうど買いたい物があったから、そのバイト代に釣られて参加したばかりに…」
学園長…後悔とは、後になって悔やむから、後悔と言うのですよ…
~・~・~・~・~
私達は所定の場所にスタンバイしないといけないので、参加者に会うことはなく、この肝試し大会のルールは学園長から説明されます。
そのため事前にターゲットの情報は写真付きのエントリーシートで確認済みです。
エントリーNo.1
来栖 政明17才
海星志學館高等部2年生
超難関進学校在学。頭脳明晰。科学部部長。
非現実的なものを認めない。
写真の中の男性は、いかにも真面目という感じ…。
でも大道寺先輩とは違い、エリート感がすごい…。
きっと将来は優秀な科学者となることでしょう…。
エントリーNo.2
来栖 尚明15才
白珪学園中等部3年生。
何とうちの学校の生徒会長でした…。
白珪学園は中高一貫で受験がないから、3年生なのに呑気に肝試し大会なんて参加しているのかしら…?
と思ったら、彼も高等部からは海星志學館を目指しているらしい…
白珪学園に彼の求めるものは無かったそうです。
生徒会長で、成績優秀で、サッカー部部長で、イケメン…
何だか肩書だけ聞いていると、イラッとしますわね…。
エントリーNo.3
鈴木 千明12才
市立第五小学校6年生。
何と彼女は、自分から立候補でこの肝試し大会に参加してくれた期待の新人です。
学園長の妹さんの娘で、姪にあたります。
この度、母から肝試し大会の話を聞いて、『面白そう!!私も参加したい』と立候補してくれたそう…。
元々、誰でも彼でも広めると怪しまれるから来栖家内で探しているだけで、他家の人間でも守秘義務が守れて、幽霊が見える者なら大歓迎なのです。
写真には、ショートカットが凛々しい綺麗な女の子の姿が写っていました。
~・~・~・~・~
肝試しのルールは割と普通で…
①目的地には10分違いで、1人ずつ行くこと。
②正面玄関で渡された木札と指示書を持って、折り返し地点の理科室に向かう。
そして、理科室にある箱の中に木札を入れて、また正面玄関に戻る。
②理科室までは、各ポイントにある指示に従って進む。
それだけの簡単なルール。
まずスタート地点では、三人に同じ指示書と木札が渡されます。
最初の指示は…
『三階にある3年6組の教室を目指せ』
「では、年長者ということで、私が最初に行きましょう」
そう言い出したのは、候補者最年長の来栖政明。
懐中電灯と木札、指示書を持つとさっさと校舎の中に姿を消しました。
「君は先か後か、どちらが良い?」
さすが人望熱い生徒会長の尚明は、最年少の女の子の千明に好きな方を選ばせてくれます。
「じゃあ、私はゆっくり行きたいから、一番最後で…」
千明の希望に頷き、10分後、尚明も懐中電灯、木札、指示書を持って校舎へと向かいました。
「千明ちゃん、本当に大丈夫かい?何なら叔父さんも一緒に行こうか?」
と大会の趣旨をすっかり忘れている叔父に…
「私は1人で大丈夫。叔父さん、ありがとう」
と微笑む小学六年生の姪の方が、余程しっかりしています…。
こうして、候補者の三人とも、予定通り肝試し大会の行われる旧校舎へと入って行きました。
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きずな児童書大賞、応援していただき投票していただいた皆様、本当にありがとうございました。
ちょっと頑張りましたが、ストック切れのため、またしばらくゆっくり投稿に戻ります。
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