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月樹《つき》

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白珪学園編

第二十七話 体育祭⑥

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 倶利伽羅くんも、お兄様達の串刺しにするような殺気は感じでいるはずなのに、それを何でもないことのように受け流す胆力たんりょく…。
 やはり 彼は只者ではないようです…。


 お兄様達と倶利伽羅くんが無言の空中戦を行っている横で、生徒会長は…

『会長、赤組の応援席でいつまで油を売ってるんですか!!』

 と白組の副団長さんに引き戻されて行きました。
 是非とも野放しにしないで、しっかり鎖をつけて見張っていただきたいものです…。

 そうこうしているうちに、借り物競争に出場する選手の呼び出しが掛かったため、倶利伽羅君と本部裏の集合場所へと向かいました。
 まず体育祭が初めての1年生だけ先に集められ、体育委員の先輩から競技説明があります。

「え~、先輩達から聞いたことがあるかもしれませんが、初めての方にも分かるように説明しますね…」
 そう言って初心者にも優しく説明をしてくれることには…

 ①まずは5つ並んだ着替えブースのどこでも良いので好きなところに飛び込む。
 そこに置かれた衣装に着替える。
 ②着替えた衣装で中間地点に据えられたボックスまで走り、1枚くじを引く。
 そこに書かれたものを持ってゴールする。

 なるほど…つまりは2回運が試されるということですね…。

 自慢ではありませんが、の運は持っている自信があります。


 競技は女子、男子の順で行われ、私は第一走者、倶利伽羅くんは最終走者でした。
 トップバッターなので、ドキドキした状態のままアナウンスがかかり、スタート位置に並びます。
 離れていてもお兄様達の声援は脳に直接届くので聞こえます。期待には応えたいのですが…本気を出すと異世界人とバレてしまうので、スピードは半分ほどに抑えて行きましょう。

 スタートのピストルが鳴りました。

(どうか良いのに当たりますように…)

 願いを込めてと思った着替えボックスに飛び込み、置いてある衣装を手にとって思ったことは…

(はっ…?あり得ないんですけれど…)

 着るのをためらっているうちに、次々に他のクラスの走者も着替えボックスに飛び込んできます。

 他のボックスからも…

『嘘でしょ~?』

『こんなの着て走れない!!』という叫びが…。

 もう腹をくくるしかありません!!

 思い切って衣装を手に取り、素早く着替えると、タカラは次の地点に向かって走り出しました。

 ~・~・~・~・~ 

『毎年生徒会がテーマを考え衣装を用意する借り物競争は、体育祭を楽しませてくれる競技の1つですが、今年のテーマは何でしょうか?
 お~っと、1番早く着替え終わったのは赤組か?今年のテーマは…???何なのでしょう?』

 放送部の部員が何のテーマなのか悩んでいるうちに、一足先に中間地点に辿り着いたタカラは迷うことなくクジを引きました。



『次に着替え終わったのは白組。ウサギの耳のカチューシャに赤いジャケットです。
 そして3番目に着替え終わったのは青組。水色のワンピースに白いエプロン、大きなリボンのカチューシャが可愛らしいですね♡
 これは間違いなく不思議の国のアリスがテーマですね。
 ということは、先程の赤組のデッカイたまごのお化けはハンプティ・ダンプティでしょうか…?』

 放送部のアナウンスに、タカラは思わず後ろを振り返りました。

 あんなに嫌がっていたのに…
 蓋を開けて見れば、アリスやウサギ、トランプの女王、チシャ猫とみんな可愛らしい仮装で、どう見てもハズレは、デッカイたまごお化けに扮した自分だけ…。

 タカラは自分が引いたクジの紙ももう一度確認しました。


カツラを被った人ごと連れて行くのも可)】


 皆野宝…に愛された彼女は、こういう時に外さない運を持った女の子でした。



■□■□■□■□

 お読みいただきありがとうございます。

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