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1stSEASON
るろうに
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(1)
僕は今妹の橘茜と遠い親戚の片桐冬夜に地元まで連れられてきた。
そして片桐家のリビングにいる。
片桐家の家族が集まり会議をしている。
リビングには片桐冬夜、愛莉、片桐冬夜の両親・正人、麻耶、そして片桐冬夜の子供・翼、空、天音、冬吾、冬莉がいる。
冬吾と冬莉はまだ生後5か月くらいらしい。
愛莉の腕に抱かれて眠っている。
時計は21時半を回っていた。
僕達の今後について会議が開かれていた。
まず僕達の事について説明しよう。
僕の名前は橘純也。片桐冬夜の従妹橘亜子の次男だ。
隣に座っているのが長女の橘茜。
僕と茜は双子だ。
親はどうしたかって?
色々あったんだけど簡略すると蒸発した。
僕の兄さんだけを連れて母さんは駆け落ちして父さんは僕達の親権を放棄した。
つまり両親に捨てられた。
普通なら施設に入れられるだけの話なのだが片桐冬夜の父片桐正人が引き取った。
「どうしてそんな事をしたんですか!私達には関係ない事でしょ!」
「そうは言ってもまだ6歳だぞ。施設に入れるのは可哀そうだろ」
「そんなのお兄さんたちにさせればいいじゃない」
「そのお兄さんが拒否してるんだから仕方ないじゃないか!」
片桐正人とその妻片桐麻耶が言い争っている。
「冬夜さん、どうにかなりませんか?」
「いまだにバスケットシューズが売れてるらしいから養育費は問題ないんだけど」
片桐冬夜とその妻片桐愛莉が相談している。
「空、この子たちと部屋で遊んでなさい」
「わかった、おいで」
そう言われて僕達は空の部屋に行く。
姉妹もついてきた。
翼が僕に言う。
「父さんに任せていたらきっとなんとかなるから」
ありふれた励ましの言葉を僕達にかける。
だけどいつもは明るい茜も今回ばかりは不安に感じているらしい。
こいつらが憎かった。
お前らはぬくぬくと育ってきたんだろう。
俺とお前たちは住んでる世界が違うんだ。
「君たちスマホ持ってる?」
翼が言う。
持ってるわけないだろ?
「どんなゲームが好きなんだ?お姉ちゃんと遊ぼうぜ」
ゲーム機なんか触った事すらない。
僕達はただじっと話を聞いていた。
「翼、どうなんだ?」
天音という女が翼に言う。
「だめ、心を閉ざしていて上手く読み取れない。ノイズが酷いの」
翼がそう言って首を振る。
「空、皆を連れて降りてきなさい」
愛莉が言った。
俺達はリビングに戻る。
知らない大人が二人いた。
「遠坂佑太さんと梨衣さんだ」
片桐冬夜が言う。
結局また丸投げか。
面倒見切れないなら最初からこんな田舎に連れてくるな。
「純也君と茜ちゃんに順を追って説明するね」
片桐冬夜がそう言った。
「まず君達の苗字は当分は橘のままで行くことにした。手続きに少し時間がかかるみたいだから」
すぐに家庭裁判所に手続きに行くという。
手続き自体は親が蒸発してるんだから簡単に通るだろうと言う。
手続きが終わったら俺達は「片桐」に名前を変えるらしい。
取りあえずは住民票をこっちに移して転校手続きを急ぐという。
「次に君達の世話をしてくれる人を紹介するよ」
それがさっき言った遠坂佑太と梨衣。
「りえちゃんありがとう」
「いいのよ~念願の男の子の世話ができるんだから~」
「……うむ」
2人は喜んでいる。
「じゃあ、今日はもう遅いし早速家に案内するわね~」
梨衣に言われて2軒隣の家に行く。
「まだ茜ちゃん小さいからお兄ちゃんと一緒がいいわよね~?」
「うん!」
「ベッドは用意してあるから今夜はゆっくり休みなさい~」
「ありがとう」
「その前にお風呂に入りましょうか」
「うん!」
「これからは私達をパパとママだと思ってね~」
「は~い」
茜は梨衣と打ち解けたようだ。
その後茜と風呂に入ってそしてベッドに入った。
久しぶりのベッドでの睡眠だった
茜もリラックスできたようだ。
疲れがどっと出たのかすぐに熟睡している。
俺はまだ明日も知れぬ我が身を案じていた。
(2)
2週間後連休に入る直前になって俺達の転入が決まった。
「りえちゃんおはよう!」
「……おはようございます」
「はい、2人ともおはよう~。今日から学校だね~楽しみだね~」
「うん!」
茜はすっかりこの家に馴染んだようだ。
いつも通り朝食を食べていると俺達にスマホが渡された。
「入学祝よ~大事に使いなさい」
「ありがとう」
受け取ったは良いが初めてのスマホ。
どう扱ったらいいか分からない。
説明を梨衣から聞いていたら呼び鈴が鳴る。
「迎えに来たみたいね~」
梨衣がそう言って玄関にむかう。
俺達も買ってもらったランドセルを背負って玄関に向かう。
外には片桐翼と空、天音と……あと誰だ?
「初めまして、私多田水奈」
天音のクラスメートらしい。
「じゃ、2人の事よろしくね~」
「りえちゃん行ってきま~す!」
茜が元気に挨拶すると俺達は小学校に向かった。
天音と水奈は楽しく話をしてる。
翼と空は一言も喋らないけど心を通わせているらしい。
茜ははしゃいでいる。
小学校にはすでに下駄箱が用意されてある。
俺達は職員室に行くと担任の中山瞳美に連れられて教室に行った。
「今日から皆とお勉強することになった橘純也君と茜ちゃんです。みんな仲良くしてね」
「よろしく……」
「よろしくお願いします!」
クラスメートは大別して二つに分かれている。
黒い頭巾をしているものとそうでないもの。
黒い頭巾は何かのトレードマークか?
昼休みになると早速茜が黒頭巾をしている男に話しかける。
「どうしてみんな黒頭巾してるの?」
「かっこいいだろ?」
「うーん……微妙かな?」
「お前も興味あるのか?」
「うん!」
「じゃあ、俺達の仲間に入れてやるよ」
「ありがとう!」
この流れはヤバい気がする。
茜が足を踏み入れたらいけないと予感した。
俺は茜の腕を掴む。
「行くぞ茜」
「お兄ちゃんまだ話終わってない」
茜が抗議するが無視した。
だけど男たちが俺と茜を取り囲んでいた。
「人の話は最後まで聞けって親に言われなかったのか?」
「……親なんかいねーよ」
「は?」
こいつらにこっちの事情を話したところで時間の無駄だ。
男たちを押しのけその場を後にする。
「待てよ!」
男が肩に触れた瞬間俺は回し蹴りを食らわせていた。
男が吹き飛ぶと黒頭巾をしていた連中が全員立ち上がる。
「お前には教育が必要みたいだな」
さすがに多勢に無勢か?
せめて茜だけは守らないと。
茜は俺の背後に隠れてる。
俺は構える。
何人やれるか?
そんな事を考えていた時だった。
「そこまでだクソガキども!」
声のする方を教室にいた皆が見ていた。
片桐天音と多田水奈、他数名の上級生がいた。
「なんだお前!」
「そいつらの世話を任されている。そいつらに指一本触れてみやがれ!全員丸刈りの刑だからな!」
「そう言うと思ってちゃんと持ってきたよ。バリカン」
「ナイス祈!」
祈と呼ばれた女がバリカンを取り出すと黒頭巾の男は皆散った。
天音は教室に入ると俺の手を掴む。
「ちょっとこいよ」
そう言って天音に無理矢理手を引っ張られ廊下に連れ出された。
「りえちゃんから聞いてる。スマホ出せよ」
天音が言うと俺と茜がスマホを出した。
天音と連絡先交換する。
そしてメッセージグループに招待された。
セイクリッドハートというグループ。
天音が教室から何人か呼び出す。
皆仲間だという。
「くだらない」
「あ?」
俺が言うと天音が言った。
「僕と茜は流浪人。どうせまたどこかに流されていくんだ。仲間なんて無意味なんだよ!」
「この世に無意味な事なんかねーよ」
天音が言う。
「流浪人でいいじゃねーか。今は休まる時だ。お前は今疲れてるんだろ?少し休んでけよ」
その為の場所を提供してやる。
天音はそう言って笑った。
「言っとくがお前の為じゃねーぞ。いっしょに流れてる茜の為にも休ませてやれよ。どんな時だって茜はお前のそばにいるんだから」
それだけは唯一の真実。
茜の為にか……。
「お兄ちゃん……大丈夫だよ。この人良い人たちだよ」
茜が言う。
「それはどうかな?私ら学校の問題児らしいしな」
祈が言う。
「それもそうだな!」
天音が笑い飛ばす。
こんな世界があるんだ。
こんな世界に辿り着いたんだ。
「確かに僕も旅に疲れた。また何時何処へ流れるかわからないけどそれでいいなら……」
「よっしゃ!決まりだな!じゃ、あとよろしく、なんかあればすぐ言ってくれ。すぐに屋上から放り投げてやる」
本気で言ってるのだろうか?
天音達は自分のクラスへ去っていった。
そして俺達は翌日早速報復を受ける。
机の上には菊の花。
クラスの皆は知らぬ顔。
虐めは茜が集中的に受けた。
それでも懸命に茜は笑ってた。
「私は大丈夫だよ」
俺が反撃したら茜への攻撃が酷くなるだけ。
堪えていた。
だけどが渡辺正俊が言った。
「遠慮することはない」
正俊はそう言うとバケツに水を汲んで黒頭巾の男にぶっかける。
「床拭いとけよ」
正俊はそう言って後にする。
「手前何やってんだ!」
男が激高する。
「天音さん達から聞いてるから。SHの標的はFGだって」
男は何も言えない。
SHとやらの影響力は強大らしい。
それ以降茜への虐めも止った。
今は昼休みは皆でグラウンドでドッジボールして遊んでる。
やっとたどり着いた場所。
大切なモノへと……辿りつく場所へと……白鴉が目指す地平……あの空の向こうへ……。
(3)
「じゃあ、この書類にサインをしてもらえるかな?」
美希のお母さんが言うと私は書類にサインをした。
当然未成年の私だけでは話にならないので、愛莉もサインをする。
「これで手続きはお終い。最初は歩き方とかのレッスンするから週1……出来れば2回くらいの頻度で事務所に通って欲しいんだけど」
迎えは事務所の方で出来るけどどうする?と美希のお母さんが言った。
パパが連れて行ってくれるらしいのでいらないと言う事になった。
「本当にいいのですね?」
愛莉が念を押す。
今さら引き下がるつもりはない。
私は力強くうなずいた。
「誘っておいて言うのもなんだけど、厳しい世界よ?覚悟出来てる」
「大丈夫です」
「心配しないで、汚れ仕事は引き受けないのがうちの方針だから」
セミヌードすら許さないらしい。
「じゃ、待ってるね」
「恵美、レッスン料とか聞いてないけど」
愛莉が聞いていた。
「私が勧誘したのだから事務所の経費で落とすわよ」
そう言って美希の母さんは帰っていった。
体形の維持だけは怠ってはならない。
そう言われてる。
でもどれだけ食べても太らないのだから問題ないだろう。
それでも愛莉は私だけ別メニューにしようかというけど断った。
まずは第一段階。
徐々に計画を進めて行かないといけない。
とりあえずは……。
「愛莉、話がある」
「どうしたの?」
「空との件……白紙でいい」
「え?」
愛莉の表情が険しくなる。
あれだけ希望していたのにどうしたの?と聞いてくる。
私は事情を話した。
将来の夢、大きな希望。
それを聞いた愛莉は承諾してくれた。
パパ達が帰ってくると食事をする。
食事が済むと風呂に入るのだけど、私は今日から決めていた。
「私後で入るから」
「え?」
「へ?」
空と天音が私の顔を見る。
「どうしたんだ翼?ああ、アレか?」
「違う。もう私も6年生だし一緒に入るのは変だと思わない?」
「そんなの今さらだろ?」
空の不安そうな顔と心を見ると辛い。
でもいずれはそうなるんだから。
「ごめん、そういうわけだから」
「じゃあ、私は翼と入るかな?さすがに空と2人っきりだと大地に悪いし」
結局空は一人で入ることになった。
その後天音と2人で風呂に入る。
「いいのか?突然すぎて空のやつ困惑してたぞ」
「分かってる」
「どうしても離れ離れになるのか?」
「そうしないと浮ついた気分でなれるもんじゃないでしょ?」
「まあ、言う事は分かるけど」
風呂を出ると空の部屋に向かう。
「あ、翼。ちょっと聞きたい事が」
「その前に私も聞いて欲しい事があるんだけど、いいかな?」
「いいけど……どうしたの?」
この日空に私が空に黙っていたことを話した。
愛莉達から聞くよりはショックは少ないと思ったから。
「モデル!?」
やっぱり空は動揺していた。
「それって学校に通いながら出来るの?」
「スケジュールは調整してくれるみたい。ただレッスンは週2でいいと言ってたけど……」
私は出遅れ組だ。
少しでも追いつきたい。
学校が終ったらそのままパパに送ってもらうと告げた。
つまり、空と一緒に帰れない。
夜も遅くなる。
空が落ち込んでいるのが分かる。
辛いけど我慢だ。
この先にはまだ辛い事が待っているのだから。
そんな話をしていると22時になる。
私は部屋を出る時間だ。
部屋を出ようとすると空が呼び止めた。
「僕達ずっと一緒だよね?」
私は何も答えずに部屋を出た。
我慢していたけどやっぱり辛い。
部屋に戻るとベッドの中で一人泣いていた。
こんなんじゃダメだ。
あの日誓ったはずだ。
親の子離れとはこんな感情なんだろうか?
お婆さんに聞いてみたいと思った。
(4)
連休の間の一日だけの登校日。
「空!起きろ!!」
天音の声がする。
……あれ?
僕が目を覚ますと天音がいた。
「翼は?」
「今日は学校休んでUSEで見学だってよ」
USE。
芸能プロダクション。
翼がモデルとして所属したらしい。
翼がモデルになると言った時は驚いた。
その為、一緒にいる時間が減ると告げられた時はショックだった。
あんなに一緒だったのに。
何が翼を変えたのだろう?
そんな事を考えながら朝食を済ませて支度をする。
水奈がやってきた。
天音は純也たちを迎えに行っている。
落ち込んでる僕を見て水奈は察したらしい。
「やっぱ翼いないと寂しい?」
「まあね……」
「そっか……」
水奈は何かを考えている様だ。
そして僕に言う。
「今は真っ暗で嫌なトンネルだけどいつかは抜けるよ」
「どういう意味?」
「空に光を与える人が現れるかもしれないって事」
それは誰?
翼の代わりなんているのだろうか?
いるとしたら誰?
新学期早々暗雲が立ち込めていた。
僕は今妹の橘茜と遠い親戚の片桐冬夜に地元まで連れられてきた。
そして片桐家のリビングにいる。
片桐家の家族が集まり会議をしている。
リビングには片桐冬夜、愛莉、片桐冬夜の両親・正人、麻耶、そして片桐冬夜の子供・翼、空、天音、冬吾、冬莉がいる。
冬吾と冬莉はまだ生後5か月くらいらしい。
愛莉の腕に抱かれて眠っている。
時計は21時半を回っていた。
僕達の今後について会議が開かれていた。
まず僕達の事について説明しよう。
僕の名前は橘純也。片桐冬夜の従妹橘亜子の次男だ。
隣に座っているのが長女の橘茜。
僕と茜は双子だ。
親はどうしたかって?
色々あったんだけど簡略すると蒸発した。
僕の兄さんだけを連れて母さんは駆け落ちして父さんは僕達の親権を放棄した。
つまり両親に捨てられた。
普通なら施設に入れられるだけの話なのだが片桐冬夜の父片桐正人が引き取った。
「どうしてそんな事をしたんですか!私達には関係ない事でしょ!」
「そうは言ってもまだ6歳だぞ。施設に入れるのは可哀そうだろ」
「そんなのお兄さんたちにさせればいいじゃない」
「そのお兄さんが拒否してるんだから仕方ないじゃないか!」
片桐正人とその妻片桐麻耶が言い争っている。
「冬夜さん、どうにかなりませんか?」
「いまだにバスケットシューズが売れてるらしいから養育費は問題ないんだけど」
片桐冬夜とその妻片桐愛莉が相談している。
「空、この子たちと部屋で遊んでなさい」
「わかった、おいで」
そう言われて僕達は空の部屋に行く。
姉妹もついてきた。
翼が僕に言う。
「父さんに任せていたらきっとなんとかなるから」
ありふれた励ましの言葉を僕達にかける。
だけどいつもは明るい茜も今回ばかりは不安に感じているらしい。
こいつらが憎かった。
お前らはぬくぬくと育ってきたんだろう。
俺とお前たちは住んでる世界が違うんだ。
「君たちスマホ持ってる?」
翼が言う。
持ってるわけないだろ?
「どんなゲームが好きなんだ?お姉ちゃんと遊ぼうぜ」
ゲーム機なんか触った事すらない。
僕達はただじっと話を聞いていた。
「翼、どうなんだ?」
天音という女が翼に言う。
「だめ、心を閉ざしていて上手く読み取れない。ノイズが酷いの」
翼がそう言って首を振る。
「空、皆を連れて降りてきなさい」
愛莉が言った。
俺達はリビングに戻る。
知らない大人が二人いた。
「遠坂佑太さんと梨衣さんだ」
片桐冬夜が言う。
結局また丸投げか。
面倒見切れないなら最初からこんな田舎に連れてくるな。
「純也君と茜ちゃんに順を追って説明するね」
片桐冬夜がそう言った。
「まず君達の苗字は当分は橘のままで行くことにした。手続きに少し時間がかかるみたいだから」
すぐに家庭裁判所に手続きに行くという。
手続き自体は親が蒸発してるんだから簡単に通るだろうと言う。
手続きが終わったら俺達は「片桐」に名前を変えるらしい。
取りあえずは住民票をこっちに移して転校手続きを急ぐという。
「次に君達の世話をしてくれる人を紹介するよ」
それがさっき言った遠坂佑太と梨衣。
「りえちゃんありがとう」
「いいのよ~念願の男の子の世話ができるんだから~」
「……うむ」
2人は喜んでいる。
「じゃあ、今日はもう遅いし早速家に案内するわね~」
梨衣に言われて2軒隣の家に行く。
「まだ茜ちゃん小さいからお兄ちゃんと一緒がいいわよね~?」
「うん!」
「ベッドは用意してあるから今夜はゆっくり休みなさい~」
「ありがとう」
「その前にお風呂に入りましょうか」
「うん!」
「これからは私達をパパとママだと思ってね~」
「は~い」
茜は梨衣と打ち解けたようだ。
その後茜と風呂に入ってそしてベッドに入った。
久しぶりのベッドでの睡眠だった
茜もリラックスできたようだ。
疲れがどっと出たのかすぐに熟睡している。
俺はまだ明日も知れぬ我が身を案じていた。
(2)
2週間後連休に入る直前になって俺達の転入が決まった。
「りえちゃんおはよう!」
「……おはようございます」
「はい、2人ともおはよう~。今日から学校だね~楽しみだね~」
「うん!」
茜はすっかりこの家に馴染んだようだ。
いつも通り朝食を食べていると俺達にスマホが渡された。
「入学祝よ~大事に使いなさい」
「ありがとう」
受け取ったは良いが初めてのスマホ。
どう扱ったらいいか分からない。
説明を梨衣から聞いていたら呼び鈴が鳴る。
「迎えに来たみたいね~」
梨衣がそう言って玄関にむかう。
俺達も買ってもらったランドセルを背負って玄関に向かう。
外には片桐翼と空、天音と……あと誰だ?
「初めまして、私多田水奈」
天音のクラスメートらしい。
「じゃ、2人の事よろしくね~」
「りえちゃん行ってきま~す!」
茜が元気に挨拶すると俺達は小学校に向かった。
天音と水奈は楽しく話をしてる。
翼と空は一言も喋らないけど心を通わせているらしい。
茜ははしゃいでいる。
小学校にはすでに下駄箱が用意されてある。
俺達は職員室に行くと担任の中山瞳美に連れられて教室に行った。
「今日から皆とお勉強することになった橘純也君と茜ちゃんです。みんな仲良くしてね」
「よろしく……」
「よろしくお願いします!」
クラスメートは大別して二つに分かれている。
黒い頭巾をしているものとそうでないもの。
黒い頭巾は何かのトレードマークか?
昼休みになると早速茜が黒頭巾をしている男に話しかける。
「どうしてみんな黒頭巾してるの?」
「かっこいいだろ?」
「うーん……微妙かな?」
「お前も興味あるのか?」
「うん!」
「じゃあ、俺達の仲間に入れてやるよ」
「ありがとう!」
この流れはヤバい気がする。
茜が足を踏み入れたらいけないと予感した。
俺は茜の腕を掴む。
「行くぞ茜」
「お兄ちゃんまだ話終わってない」
茜が抗議するが無視した。
だけど男たちが俺と茜を取り囲んでいた。
「人の話は最後まで聞けって親に言われなかったのか?」
「……親なんかいねーよ」
「は?」
こいつらにこっちの事情を話したところで時間の無駄だ。
男たちを押しのけその場を後にする。
「待てよ!」
男が肩に触れた瞬間俺は回し蹴りを食らわせていた。
男が吹き飛ぶと黒頭巾をしていた連中が全員立ち上がる。
「お前には教育が必要みたいだな」
さすがに多勢に無勢か?
せめて茜だけは守らないと。
茜は俺の背後に隠れてる。
俺は構える。
何人やれるか?
そんな事を考えていた時だった。
「そこまでだクソガキども!」
声のする方を教室にいた皆が見ていた。
片桐天音と多田水奈、他数名の上級生がいた。
「なんだお前!」
「そいつらの世話を任されている。そいつらに指一本触れてみやがれ!全員丸刈りの刑だからな!」
「そう言うと思ってちゃんと持ってきたよ。バリカン」
「ナイス祈!」
祈と呼ばれた女がバリカンを取り出すと黒頭巾の男は皆散った。
天音は教室に入ると俺の手を掴む。
「ちょっとこいよ」
そう言って天音に無理矢理手を引っ張られ廊下に連れ出された。
「りえちゃんから聞いてる。スマホ出せよ」
天音が言うと俺と茜がスマホを出した。
天音と連絡先交換する。
そしてメッセージグループに招待された。
セイクリッドハートというグループ。
天音が教室から何人か呼び出す。
皆仲間だという。
「くだらない」
「あ?」
俺が言うと天音が言った。
「僕と茜は流浪人。どうせまたどこかに流されていくんだ。仲間なんて無意味なんだよ!」
「この世に無意味な事なんかねーよ」
天音が言う。
「流浪人でいいじゃねーか。今は休まる時だ。お前は今疲れてるんだろ?少し休んでけよ」
その為の場所を提供してやる。
天音はそう言って笑った。
「言っとくがお前の為じゃねーぞ。いっしょに流れてる茜の為にも休ませてやれよ。どんな時だって茜はお前のそばにいるんだから」
それだけは唯一の真実。
茜の為にか……。
「お兄ちゃん……大丈夫だよ。この人良い人たちだよ」
茜が言う。
「それはどうかな?私ら学校の問題児らしいしな」
祈が言う。
「それもそうだな!」
天音が笑い飛ばす。
こんな世界があるんだ。
こんな世界に辿り着いたんだ。
「確かに僕も旅に疲れた。また何時何処へ流れるかわからないけどそれでいいなら……」
「よっしゃ!決まりだな!じゃ、あとよろしく、なんかあればすぐ言ってくれ。すぐに屋上から放り投げてやる」
本気で言ってるのだろうか?
天音達は自分のクラスへ去っていった。
そして俺達は翌日早速報復を受ける。
机の上には菊の花。
クラスの皆は知らぬ顔。
虐めは茜が集中的に受けた。
それでも懸命に茜は笑ってた。
「私は大丈夫だよ」
俺が反撃したら茜への攻撃が酷くなるだけ。
堪えていた。
だけどが渡辺正俊が言った。
「遠慮することはない」
正俊はそう言うとバケツに水を汲んで黒頭巾の男にぶっかける。
「床拭いとけよ」
正俊はそう言って後にする。
「手前何やってんだ!」
男が激高する。
「天音さん達から聞いてるから。SHの標的はFGだって」
男は何も言えない。
SHとやらの影響力は強大らしい。
それ以降茜への虐めも止った。
今は昼休みは皆でグラウンドでドッジボールして遊んでる。
やっとたどり着いた場所。
大切なモノへと……辿りつく場所へと……白鴉が目指す地平……あの空の向こうへ……。
(3)
「じゃあ、この書類にサインをしてもらえるかな?」
美希のお母さんが言うと私は書類にサインをした。
当然未成年の私だけでは話にならないので、愛莉もサインをする。
「これで手続きはお終い。最初は歩き方とかのレッスンするから週1……出来れば2回くらいの頻度で事務所に通って欲しいんだけど」
迎えは事務所の方で出来るけどどうする?と美希のお母さんが言った。
パパが連れて行ってくれるらしいのでいらないと言う事になった。
「本当にいいのですね?」
愛莉が念を押す。
今さら引き下がるつもりはない。
私は力強くうなずいた。
「誘っておいて言うのもなんだけど、厳しい世界よ?覚悟出来てる」
「大丈夫です」
「心配しないで、汚れ仕事は引き受けないのがうちの方針だから」
セミヌードすら許さないらしい。
「じゃ、待ってるね」
「恵美、レッスン料とか聞いてないけど」
愛莉が聞いていた。
「私が勧誘したのだから事務所の経費で落とすわよ」
そう言って美希の母さんは帰っていった。
体形の維持だけは怠ってはならない。
そう言われてる。
でもどれだけ食べても太らないのだから問題ないだろう。
それでも愛莉は私だけ別メニューにしようかというけど断った。
まずは第一段階。
徐々に計画を進めて行かないといけない。
とりあえずは……。
「愛莉、話がある」
「どうしたの?」
「空との件……白紙でいい」
「え?」
愛莉の表情が険しくなる。
あれだけ希望していたのにどうしたの?と聞いてくる。
私は事情を話した。
将来の夢、大きな希望。
それを聞いた愛莉は承諾してくれた。
パパ達が帰ってくると食事をする。
食事が済むと風呂に入るのだけど、私は今日から決めていた。
「私後で入るから」
「え?」
「へ?」
空と天音が私の顔を見る。
「どうしたんだ翼?ああ、アレか?」
「違う。もう私も6年生だし一緒に入るのは変だと思わない?」
「そんなの今さらだろ?」
空の不安そうな顔と心を見ると辛い。
でもいずれはそうなるんだから。
「ごめん、そういうわけだから」
「じゃあ、私は翼と入るかな?さすがに空と2人っきりだと大地に悪いし」
結局空は一人で入ることになった。
その後天音と2人で風呂に入る。
「いいのか?突然すぎて空のやつ困惑してたぞ」
「分かってる」
「どうしても離れ離れになるのか?」
「そうしないと浮ついた気分でなれるもんじゃないでしょ?」
「まあ、言う事は分かるけど」
風呂を出ると空の部屋に向かう。
「あ、翼。ちょっと聞きたい事が」
「その前に私も聞いて欲しい事があるんだけど、いいかな?」
「いいけど……どうしたの?」
この日空に私が空に黙っていたことを話した。
愛莉達から聞くよりはショックは少ないと思ったから。
「モデル!?」
やっぱり空は動揺していた。
「それって学校に通いながら出来るの?」
「スケジュールは調整してくれるみたい。ただレッスンは週2でいいと言ってたけど……」
私は出遅れ組だ。
少しでも追いつきたい。
学校が終ったらそのままパパに送ってもらうと告げた。
つまり、空と一緒に帰れない。
夜も遅くなる。
空が落ち込んでいるのが分かる。
辛いけど我慢だ。
この先にはまだ辛い事が待っているのだから。
そんな話をしていると22時になる。
私は部屋を出る時間だ。
部屋を出ようとすると空が呼び止めた。
「僕達ずっと一緒だよね?」
私は何も答えずに部屋を出た。
我慢していたけどやっぱり辛い。
部屋に戻るとベッドの中で一人泣いていた。
こんなんじゃダメだ。
あの日誓ったはずだ。
親の子離れとはこんな感情なんだろうか?
お婆さんに聞いてみたいと思った。
(4)
連休の間の一日だけの登校日。
「空!起きろ!!」
天音の声がする。
……あれ?
僕が目を覚ますと天音がいた。
「翼は?」
「今日は学校休んでUSEで見学だってよ」
USE。
芸能プロダクション。
翼がモデルとして所属したらしい。
翼がモデルになると言った時は驚いた。
その為、一緒にいる時間が減ると告げられた時はショックだった。
あんなに一緒だったのに。
何が翼を変えたのだろう?
そんな事を考えながら朝食を済ませて支度をする。
水奈がやってきた。
天音は純也たちを迎えに行っている。
落ち込んでる僕を見て水奈は察したらしい。
「やっぱ翼いないと寂しい?」
「まあね……」
「そっか……」
水奈は何かを考えている様だ。
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私は私。好きに生きさせてよね。
この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。
彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。
私の人生に彩りをくれる、その人。
その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。
⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。
⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。
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