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2ndSEASON
鎖でつながれた楽園
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(1)
朝から人が並んでいた。
それでも冬吾と冬莉は大人しくしている。
天音は我慢できないようだった。
「たこ焼き食いたい!」
「お参り済んでからになさい!」
母さんに怒られてる。
僕達は宇佐神宮に来ていた。
綺麗な着物姿の女性もたくさんいる。
僕達は3か所のお社にお参りを済ませた。
賽銭箱の代わりに大きな箱が合ってその中にお賽銭を投げ込む。
中には一万円札が入ってるのを見る。
賽銭泥棒を考える人の気持ちが少しだけ分かる気がした。
神様の罰?
神様が何をしてくれる?
結局何もかも自分で決めて進んでいくしかないじゃないか。
日本と言う国はおかしな国だと表現する者がいたらしい。
クリスマスを祝い除夜の鐘を聞きながら神社に祈願に行く。
最近ではハロウィンを祝うようにもなったらしい。
もっとも皆ただ騒ぎたいだけという説もあるけど。
その人はこんな事も言っていた。
日本人が信じる者があるとすればそれは「学歴」だと。
学歴さえよければいい会社に勤められて、いい会社に勤められたら銀行の融資も受けやすくなる。
学歴だけで採用がきまる会社や省庁がある。
だけど最近それすらも揺らいできている。
学歴よりも資格を。
その学校でどれだけの事を学んできたか。
それが唯一形に出来てるのが資格だから。
大学生だからと言って遊んでいられない。
父さんもそれで苦労したらしい。
大学3年生で取れるはずだった資格を取り逃し社会人になって資格の勉強を必死にしたと聞いた。
結局、高卒だからとか大卒だからとか関係なしに生涯勉強をし続けなければならない。
父さんも今でも必死に勉強してる。
それは法律が変わって税制が変われば父さんの仕事の内容に大きくかかわってくるから。
銀行では一つ上の階級に上がる為には勉強をして資格を取らなければならない。
それは市役所とかも一緒だという。
医者だって日々進化する技術を学んでいかなければならない。
結局日本人にとって絶対なのは「勉強」なのだろう。
水奈の父さんでさえサッカーのコーチの資格を得る為に勉強しているのだから。
お参りが済むと「さあ、思う存分食うぞ!」と意気込む天音がいる。
そんな天音を見て僕は笑っていた。
父さん達の罠にはまったことに気付かないでいる天音を見ていた。
来るときは普通に来た。
しかし駐車している場所は裏口からの方が近い。
結論から言うと帰りは出店の出ている通りを通らない。
その事に気付いた天音は怒り出す!
「愛莉!お参り済んだら食っていいっていったじゃねーか!」
「出店で食べて良いとは言ってません」
「そういうのを屁理屈って言うんだぞ愛莉」
ある意味冬吾達より質の悪い天音。
そんな天音を見て冬吾達も笑っている。
「空もなんか言ってやれよ!食い損ねたんだぞ!?」
「来る途中にファミレスあったよ?」
「空は分かってない!こういう日に食うたこ焼きに価値があるんじゃないか!」
「僕は元旦に初詣行ったから」
「あ、ずりーぞ!」
駐車場の側に何件か出店が出ていたのでそれで我慢する天音。
その分帰りによったファミレスで目一杯昼食を食べ、そして地元に帰ると地元のバイキングでたらふく食べる。
僕達に限って言えば料金よりはるかに上回る量を食べる。
下手にファミレスによるよりも安上がりな時もある。
家に帰ると風呂に入って部屋に戻る。
まだ正月特番をやっていた。
冬休みの宿題は去年のうちに片づけてしまう。
余計なものは年を跨がない。
そんなルールが片桐家にはあった。
テレビを見終わるとラジオを聞きながら漫画を読んだりして過ごす。
そして定番の音楽が鳴りだすころ僕達は眠りにつく。
今年もまたこうした安定した日々を過ごすのだろうな。
それが一番の幸せなんだと実感していた。
(2)
「明けましておめでとうございます」
美希に挨拶をする。
2人で春肥神社に初詣に行った。
沢山の人でにぎわっていた。
お互いにお参りをしてそしてお願いをする。
今年も無事でありますように。
言葉通り何事も無ければいい。
「学は何をお祈りしていたの?」
あまりにも必死だったから気になったらしい
「いや、俺達の将来についてちょっとな……」
「え?もう考えてくれてるんだ」
ちょっと誤解を招く発言だったようだ。
「そういえば、学は将来なりたい事とかないの?」
美希が聞いてきた。
「普通に公務員とかかな」
美希に不自由ない暮らしをさせてやりたいから。
「そっか」
俺は美希と言う生涯のパートナーを中1にして既に手に入れてる。
それは神様からのせめてもの贈り物だと信じよう。
お参りが済むとおみくじとお守りを買って帰る。
御守りは何を買えばいいのか迷う時がある。
交通安全を買うべきか学業成就を買うべきか。
だけど僕らは運命の子。
この世界に命を授かりこの身を託された時から将来は決まっている。
愛を受け継ぐ者らよ。
眠りから醒めよ、私の子供達。
幼き季節、ゆりかごで眠るときは過ぎた。
覚醒せよ、運命の子供達。
その安息の時は過ぎた。
立ち上がれ。探し出せ。真実の庭に行け。
春のように生まれたての真実の庭へと。
神のご加護があらんことを子供らよ。
その日は去った。
魔女の愛を受け継ぐ者らよ、その愛を。
運命の子か……。
産まれた時から俺達は運命は決まってる。
逆を言うとその道から外れることは決してない。
約束された未来。
鎖でつながれた絆。
鎖で覆われた楽園。
自由を奪われたけどそこは楽園。
それが幸せなのかそうでないのかはその人次第だろう。
僕達はずっと運命の螺旋を受け継いでいく。
これまでも、そしてこれからも。
「今度はどうしたのですか?」
まずい、また自分の世界に入っていたようだ。
「美希は運命って信じるか?」
「え?今日はどうしたの?」
また誤解を招く発言をしたようだ。
「因果律って言葉知ってますか?」
美希が言った。
「まあ、本で読んだくらいはな……」
一切のものは何らかの原因から生じた結果であり、原因がなくては何ものも生じないという法則。
「あの日私は勇気を出して学に告白しました」
「そうだったね」
「その結果が今の幸せを生んでいる。学がいう運命というものがあるならばそれはほんの些細な勇気が生み出した奇跡の連続ではないでしょうか?」
美希はそういう。
全ての行動に意味がある。
美希の言う事も間違っていないと思う。
中学生の考える事かどうかはおいておいて。
「あれ?学じゃん」
亀梨君と麗華さんに会った。
2人とも初詣デートに来たようだ。
少し話をすると亀梨君達は神社に向かった。
僕達は街によって昼ご飯を食べて映画を観て帰ることにした。
ちょうどいい時間の映画を探していた。
昔あったアニメの復刻版。
裏社会ナンバーワンの腕を持つ主人公が依頼を受けて事件に巻き込まれるという話。
裏社会ナンバーワンか。
美希の父さんが裏社会でヘッジホッグと名を馳せた時代があったらしい。
どんな大学生活を送ってきたのだろう。
俺達の時はそんな事件を起こさない事を願うしかないな。
映画が終ると帰る。
バスで帰る。
「冬休みの宿題済んだ?」
やっと普通の話題にありつけた。
「もう少しで終わるかな?」
「そっか、じゃあ一緒に済ませてしまいませんか?」
美希が言う。
「それもいいね。じゃあ、美希を家に招待するよ」
「はい」
そんな次のデートの約束をして美希の家に着く。
「今日はありがとう。じゃあ待ってるね」
「ああ、お疲れ様」
「またね」
そして僕は家に帰る。
まだ18時前だった。
運命の子達。
誰も定めに抗う事は出来ない。
(3)
お年玉。
遠坂のおじさんにもらった。
去年も言ったけどお年玉の使い道がない。
欲しいものは買ってくれる。
服を買う時さえついて来てくれて買ってくれる。
僕達はまだ小学4年生。
2人で買い物に行くのは危険だと考えているようだ。
クリスマスプレゼントは僕は携帯ゲーム機。
茜はタブレットを買ってもらっていた。
玩具じゃない本物のタブレット。
茜は喜んでいた。
昨日の夜は遅くまで起きていたので眠くてしょうがない。
カウントダウンに参加していた為だ。
小学校4年でカウントダウンは辛い。
しかし眠気が飛ぶほどきれいだった。
チェックアウトギリギリまで寝ていた。
そう僕達はホテルに泊まっていた。
夢の国のそばのホテルで。
遠坂家は連休になると旅行に行く。
夏休みはアラスカで過ごした。
チェックアウトを済ませると東京観光に出向く。
茜の希望もあって秋葉原に向かった。
もちろんアニメが目当てじゃない。
ジャンクなPC部品を物色している。
あとは普通にランドマークタワーなんかを観光して飛行機で地元に帰る。
小学校4年生の年越しの仕方じゃない気がするんだけど。
夏休みにアラスカもそうだけど。
愛莉も同じように過ごしてきたのだろうか?
地元に帰ると片桐家に挨拶に行く。
お年玉をもらった。
義父さんからももらえた。
家に帰ると茜はSNSの編集をしている。
旅行の事を書いているんだろう。
俺はとりあえず梨々香にあけましておめでとうと送っておいた。
すぐに返事が来た。
そのあと少し眠る。
初詣は明治神宮ですませた。
起きると夕食を食べる。
その後風呂に入って部屋でゲームして過ごす。
宿題は旅行前に済ませた。
天音が来て教えてくれた。
余計なものを持って年を越さないのが片桐家のルールだそうだ。
天音の指導は分かりやすい。
寝ながら聞いてるだけでこれだけ理解できるのだから凄い。
教え方も丁寧だ。
あとはだらだらと冬休みが終るのを待つだけだった。
(4)
また子役が増えた。
一体この事務所に子役が何人いるのだろう?
皆才能があるのは認める。
だけど一度に同年齢の仕事を平等に分配するのは無理がある。
他事務所との仕事の取り合いもしなきゃならない。
それは事務所の力を利用して力づくでも奪い取ってる。
USEは設立してまだ10年ちょっとの小さな事務所。
だと、思ったら大間違い。
親会社がデカすぎた。
少々の他事務所から圧力がかかっても逆にやり返す強さがある。
具体的に言うとスポンサーに圧力をかけてその事務所に仕事を回さないようにするくらいは平然とやってのける。
テレビ会社もスポンサーがあってこその番組だ。
スポンサーには逆らえない。
この事務所に必要なのはもっと幅広い年齢層とあらゆるジャンルをこなす手札が欲しい。
ALICEは実力派歌手に転向してめきめき成長している。
最近は声優やタレント業もやってのける。
ますたーども看板番組を持つようになった。
烏丸こころも実力派女優として成長し、海外の国際映画祭の主演女優賞を取るまでに成長した。
阿南夫妻もどうようだ。
この事務所は人材には恵まれている。
恵まれてないのはスタッフだけだ。
収益が上がったので各タレントにマネージャーをつけるくらいにはなった。
しかし問題は、年齢層とジャンルだ。
ベビー役を何人も増やされても事務所内で仕事を奪い合う不毛な展開になっている。
バランスが欲しい。
でも社長には言わない。
今の数だけでもてんてこまいなのにこれ以上増やされたら俺の手だけでは負えない。
だから今マネージャーをやってる者達をディレクターに紹介して自分で仕事を取ってくるように指導している。
あと必要な事。
それはもっと東京や大阪、せめて福岡出身のタレントが欲しい。
移動時間の制限や仕事をこなす時間に支障が出る。
赤ちゃんのうちはまだいい。
彼女たちが小学校中学校に進学したらその問題は深刻化する。
ここは東京じゃない!地元なんだ。
だけど社長には言えない。
これ以上増やされたら手に負えない。色々な意味で手に負えない。
社長もUSEだけじゃない。ETCという巨大企業も経営している。
将来的にはどちらかを息子に任せるらしいが。
だけど俺はまだ知らなかった。
これから始まる地獄の始まりを。
「中村さん。専務から電話です」
俺は今東京に常駐している。
事実上東京支社の社長代理だ。
電話を取る。
「中村、また3人赤ちゃんが増えたから」
鶏が卵を産むように次々増えてきている。
勘弁してくれ。
(5)
今日もパソコンで仲間とチャットをしていた。
もちろん、壱郎とのメッセージのやり取りもしながら。
様々な情報が飛び込んでくる。
そんな中一人の少女と出逢った。
彼女の名前は「トランクウィル」
もちろん本名じゃない。
凄腕のホワイトハッカー。
普段は静かにしている。
でも適当に獲物……例えば地元銀行にハッキングを仕掛けようとしているクラッカーを見つけては、静かに捕まえて個人情報をファイル共有ソフトに垂れ流す。
そんな彼女に興味を持った私は彼女を追跡することにした。
彼女も凄腕の持ち主。
少々骨を折ったけどちゃんと彼女を見つけた。
「み~つけた」
彼女にメールを送る。
「凄い、絶対に足跡を残してないと思っていたのに」
「見事だったよ。お返しに私の情報も教えてあげる」
彼女の情報は全て網羅した。
彼女のスマホにメッセージを送る。
彼女の名前は江口真香。
同級生だった。
「はじめまして」
「茜がスカーレット?」
「そうよ」
「恐れ入ったわ」
それから真香と話をした。
知識は父親に教わったらしい。
この世界で友達を作ることは危険も伴う。
いつ裏切るか分からない。
だけど彼女とは仲良くなっていた。
接し方は違法だったけど。
それからのネットの「遊び」は彼女と組んでやっていた。
悪さはしなかった。
ちょっと悪さをする人に「お仕置き」をするだけ。
今日もそんなお遊びをしていた。
「なんか退屈だね」
そんな話をしていた。
もちろん、遊びはしていた。
外務省のホームページを改ざんしようとする韓国人の集団を全員暴いて警視庁に送りつけてやったり。
遊びのネタは尽きなかった。
仕返しに韓国の大使館のホームページに「竹島は日本の領土でしたごめんなさい」と改ざんしてやったり。
そんなしょうもない事をしながら私達は仲良くなっていった。
そしてある事実を突き止める。
愛莉と真香の伯母さんは友達だったという事。
真香の母さんも友達だったらしい。
「一度会ってみたいね」
そんな話をしていた。
私は愛莉に話をしていた。
「あら?奈留の娘さんとお友達だったのね」
愛莉はそう言った。
「でもそういう悪戯は行けませんよ」と叱られたけど。
私達は母親同伴で日曜にあった。
「初めまして」
コーヒーショップで少しお話をした。
母親同士も久しぶりに会ったらしくて話をしていた。
「じゃあまたね」
そう言って私達は家に帰る。
私達は生まれた時から運命が決まっている。
決められた鎖の中で遊んでいるだけ。
だけどその檻の広さをしらない。
どこまでも続く広い檻の中に私達の楽園はあった。
朝から人が並んでいた。
それでも冬吾と冬莉は大人しくしている。
天音は我慢できないようだった。
「たこ焼き食いたい!」
「お参り済んでからになさい!」
母さんに怒られてる。
僕達は宇佐神宮に来ていた。
綺麗な着物姿の女性もたくさんいる。
僕達は3か所のお社にお参りを済ませた。
賽銭箱の代わりに大きな箱が合ってその中にお賽銭を投げ込む。
中には一万円札が入ってるのを見る。
賽銭泥棒を考える人の気持ちが少しだけ分かる気がした。
神様の罰?
神様が何をしてくれる?
結局何もかも自分で決めて進んでいくしかないじゃないか。
日本と言う国はおかしな国だと表現する者がいたらしい。
クリスマスを祝い除夜の鐘を聞きながら神社に祈願に行く。
最近ではハロウィンを祝うようにもなったらしい。
もっとも皆ただ騒ぎたいだけという説もあるけど。
その人はこんな事も言っていた。
日本人が信じる者があるとすればそれは「学歴」だと。
学歴さえよければいい会社に勤められて、いい会社に勤められたら銀行の融資も受けやすくなる。
学歴だけで採用がきまる会社や省庁がある。
だけど最近それすらも揺らいできている。
学歴よりも資格を。
その学校でどれだけの事を学んできたか。
それが唯一形に出来てるのが資格だから。
大学生だからと言って遊んでいられない。
父さんもそれで苦労したらしい。
大学3年生で取れるはずだった資格を取り逃し社会人になって資格の勉強を必死にしたと聞いた。
結局、高卒だからとか大卒だからとか関係なしに生涯勉強をし続けなければならない。
父さんも今でも必死に勉強してる。
それは法律が変わって税制が変われば父さんの仕事の内容に大きくかかわってくるから。
銀行では一つ上の階級に上がる為には勉強をして資格を取らなければならない。
それは市役所とかも一緒だという。
医者だって日々進化する技術を学んでいかなければならない。
結局日本人にとって絶対なのは「勉強」なのだろう。
水奈の父さんでさえサッカーのコーチの資格を得る為に勉強しているのだから。
お参りが済むと「さあ、思う存分食うぞ!」と意気込む天音がいる。
そんな天音を見て僕は笑っていた。
父さん達の罠にはまったことに気付かないでいる天音を見ていた。
来るときは普通に来た。
しかし駐車している場所は裏口からの方が近い。
結論から言うと帰りは出店の出ている通りを通らない。
その事に気付いた天音は怒り出す!
「愛莉!お参り済んだら食っていいっていったじゃねーか!」
「出店で食べて良いとは言ってません」
「そういうのを屁理屈って言うんだぞ愛莉」
ある意味冬吾達より質の悪い天音。
そんな天音を見て冬吾達も笑っている。
「空もなんか言ってやれよ!食い損ねたんだぞ!?」
「来る途中にファミレスあったよ?」
「空は分かってない!こういう日に食うたこ焼きに価値があるんじゃないか!」
「僕は元旦に初詣行ったから」
「あ、ずりーぞ!」
駐車場の側に何件か出店が出ていたのでそれで我慢する天音。
その分帰りによったファミレスで目一杯昼食を食べ、そして地元に帰ると地元のバイキングでたらふく食べる。
僕達に限って言えば料金よりはるかに上回る量を食べる。
下手にファミレスによるよりも安上がりな時もある。
家に帰ると風呂に入って部屋に戻る。
まだ正月特番をやっていた。
冬休みの宿題は去年のうちに片づけてしまう。
余計なものは年を跨がない。
そんなルールが片桐家にはあった。
テレビを見終わるとラジオを聞きながら漫画を読んだりして過ごす。
そして定番の音楽が鳴りだすころ僕達は眠りにつく。
今年もまたこうした安定した日々を過ごすのだろうな。
それが一番の幸せなんだと実感していた。
(2)
「明けましておめでとうございます」
美希に挨拶をする。
2人で春肥神社に初詣に行った。
沢山の人でにぎわっていた。
お互いにお参りをしてそしてお願いをする。
今年も無事でありますように。
言葉通り何事も無ければいい。
「学は何をお祈りしていたの?」
あまりにも必死だったから気になったらしい
「いや、俺達の将来についてちょっとな……」
「え?もう考えてくれてるんだ」
ちょっと誤解を招く発言だったようだ。
「そういえば、学は将来なりたい事とかないの?」
美希が聞いてきた。
「普通に公務員とかかな」
美希に不自由ない暮らしをさせてやりたいから。
「そっか」
俺は美希と言う生涯のパートナーを中1にして既に手に入れてる。
それは神様からのせめてもの贈り物だと信じよう。
お参りが済むとおみくじとお守りを買って帰る。
御守りは何を買えばいいのか迷う時がある。
交通安全を買うべきか学業成就を買うべきか。
だけど僕らは運命の子。
この世界に命を授かりこの身を託された時から将来は決まっている。
愛を受け継ぐ者らよ。
眠りから醒めよ、私の子供達。
幼き季節、ゆりかごで眠るときは過ぎた。
覚醒せよ、運命の子供達。
その安息の時は過ぎた。
立ち上がれ。探し出せ。真実の庭に行け。
春のように生まれたての真実の庭へと。
神のご加護があらんことを子供らよ。
その日は去った。
魔女の愛を受け継ぐ者らよ、その愛を。
運命の子か……。
産まれた時から俺達は運命は決まってる。
逆を言うとその道から外れることは決してない。
約束された未来。
鎖でつながれた絆。
鎖で覆われた楽園。
自由を奪われたけどそこは楽園。
それが幸せなのかそうでないのかはその人次第だろう。
僕達はずっと運命の螺旋を受け継いでいく。
これまでも、そしてこれからも。
「今度はどうしたのですか?」
まずい、また自分の世界に入っていたようだ。
「美希は運命って信じるか?」
「え?今日はどうしたの?」
また誤解を招く発言をしたようだ。
「因果律って言葉知ってますか?」
美希が言った。
「まあ、本で読んだくらいはな……」
一切のものは何らかの原因から生じた結果であり、原因がなくては何ものも生じないという法則。
「あの日私は勇気を出して学に告白しました」
「そうだったね」
「その結果が今の幸せを生んでいる。学がいう運命というものがあるならばそれはほんの些細な勇気が生み出した奇跡の連続ではないでしょうか?」
美希はそういう。
全ての行動に意味がある。
美希の言う事も間違っていないと思う。
中学生の考える事かどうかはおいておいて。
「あれ?学じゃん」
亀梨君と麗華さんに会った。
2人とも初詣デートに来たようだ。
少し話をすると亀梨君達は神社に向かった。
僕達は街によって昼ご飯を食べて映画を観て帰ることにした。
ちょうどいい時間の映画を探していた。
昔あったアニメの復刻版。
裏社会ナンバーワンの腕を持つ主人公が依頼を受けて事件に巻き込まれるという話。
裏社会ナンバーワンか。
美希の父さんが裏社会でヘッジホッグと名を馳せた時代があったらしい。
どんな大学生活を送ってきたのだろう。
俺達の時はそんな事件を起こさない事を願うしかないな。
映画が終ると帰る。
バスで帰る。
「冬休みの宿題済んだ?」
やっと普通の話題にありつけた。
「もう少しで終わるかな?」
「そっか、じゃあ一緒に済ませてしまいませんか?」
美希が言う。
「それもいいね。じゃあ、美希を家に招待するよ」
「はい」
そんな次のデートの約束をして美希の家に着く。
「今日はありがとう。じゃあ待ってるね」
「ああ、お疲れ様」
「またね」
そして僕は家に帰る。
まだ18時前だった。
運命の子達。
誰も定めに抗う事は出来ない。
(3)
お年玉。
遠坂のおじさんにもらった。
去年も言ったけどお年玉の使い道がない。
欲しいものは買ってくれる。
服を買う時さえついて来てくれて買ってくれる。
僕達はまだ小学4年生。
2人で買い物に行くのは危険だと考えているようだ。
クリスマスプレゼントは僕は携帯ゲーム機。
茜はタブレットを買ってもらっていた。
玩具じゃない本物のタブレット。
茜は喜んでいた。
昨日の夜は遅くまで起きていたので眠くてしょうがない。
カウントダウンに参加していた為だ。
小学校4年でカウントダウンは辛い。
しかし眠気が飛ぶほどきれいだった。
チェックアウトギリギリまで寝ていた。
そう僕達はホテルに泊まっていた。
夢の国のそばのホテルで。
遠坂家は連休になると旅行に行く。
夏休みはアラスカで過ごした。
チェックアウトを済ませると東京観光に出向く。
茜の希望もあって秋葉原に向かった。
もちろんアニメが目当てじゃない。
ジャンクなPC部品を物色している。
あとは普通にランドマークタワーなんかを観光して飛行機で地元に帰る。
小学校4年生の年越しの仕方じゃない気がするんだけど。
夏休みにアラスカもそうだけど。
愛莉も同じように過ごしてきたのだろうか?
地元に帰ると片桐家に挨拶に行く。
お年玉をもらった。
義父さんからももらえた。
家に帰ると茜はSNSの編集をしている。
旅行の事を書いているんだろう。
俺はとりあえず梨々香にあけましておめでとうと送っておいた。
すぐに返事が来た。
そのあと少し眠る。
初詣は明治神宮ですませた。
起きると夕食を食べる。
その後風呂に入って部屋でゲームして過ごす。
宿題は旅行前に済ませた。
天音が来て教えてくれた。
余計なものを持って年を越さないのが片桐家のルールだそうだ。
天音の指導は分かりやすい。
寝ながら聞いてるだけでこれだけ理解できるのだから凄い。
教え方も丁寧だ。
あとはだらだらと冬休みが終るのを待つだけだった。
(4)
また子役が増えた。
一体この事務所に子役が何人いるのだろう?
皆才能があるのは認める。
だけど一度に同年齢の仕事を平等に分配するのは無理がある。
他事務所との仕事の取り合いもしなきゃならない。
それは事務所の力を利用して力づくでも奪い取ってる。
USEは設立してまだ10年ちょっとの小さな事務所。
だと、思ったら大間違い。
親会社がデカすぎた。
少々の他事務所から圧力がかかっても逆にやり返す強さがある。
具体的に言うとスポンサーに圧力をかけてその事務所に仕事を回さないようにするくらいは平然とやってのける。
テレビ会社もスポンサーがあってこその番組だ。
スポンサーには逆らえない。
この事務所に必要なのはもっと幅広い年齢層とあらゆるジャンルをこなす手札が欲しい。
ALICEは実力派歌手に転向してめきめき成長している。
最近は声優やタレント業もやってのける。
ますたーども看板番組を持つようになった。
烏丸こころも実力派女優として成長し、海外の国際映画祭の主演女優賞を取るまでに成長した。
阿南夫妻もどうようだ。
この事務所は人材には恵まれている。
恵まれてないのはスタッフだけだ。
収益が上がったので各タレントにマネージャーをつけるくらいにはなった。
しかし問題は、年齢層とジャンルだ。
ベビー役を何人も増やされても事務所内で仕事を奪い合う不毛な展開になっている。
バランスが欲しい。
でも社長には言わない。
今の数だけでもてんてこまいなのにこれ以上増やされたら俺の手だけでは負えない。
だから今マネージャーをやってる者達をディレクターに紹介して自分で仕事を取ってくるように指導している。
あと必要な事。
それはもっと東京や大阪、せめて福岡出身のタレントが欲しい。
移動時間の制限や仕事をこなす時間に支障が出る。
赤ちゃんのうちはまだいい。
彼女たちが小学校中学校に進学したらその問題は深刻化する。
ここは東京じゃない!地元なんだ。
だけど社長には言えない。
これ以上増やされたら手に負えない。色々な意味で手に負えない。
社長もUSEだけじゃない。ETCという巨大企業も経営している。
将来的にはどちらかを息子に任せるらしいが。
だけど俺はまだ知らなかった。
これから始まる地獄の始まりを。
「中村さん。専務から電話です」
俺は今東京に常駐している。
事実上東京支社の社長代理だ。
電話を取る。
「中村、また3人赤ちゃんが増えたから」
鶏が卵を産むように次々増えてきている。
勘弁してくれ。
(5)
今日もパソコンで仲間とチャットをしていた。
もちろん、壱郎とのメッセージのやり取りもしながら。
様々な情報が飛び込んでくる。
そんな中一人の少女と出逢った。
彼女の名前は「トランクウィル」
もちろん本名じゃない。
凄腕のホワイトハッカー。
普段は静かにしている。
でも適当に獲物……例えば地元銀行にハッキングを仕掛けようとしているクラッカーを見つけては、静かに捕まえて個人情報をファイル共有ソフトに垂れ流す。
そんな彼女に興味を持った私は彼女を追跡することにした。
彼女も凄腕の持ち主。
少々骨を折ったけどちゃんと彼女を見つけた。
「み~つけた」
彼女にメールを送る。
「凄い、絶対に足跡を残してないと思っていたのに」
「見事だったよ。お返しに私の情報も教えてあげる」
彼女の情報は全て網羅した。
彼女のスマホにメッセージを送る。
彼女の名前は江口真香。
同級生だった。
「はじめまして」
「茜がスカーレット?」
「そうよ」
「恐れ入ったわ」
それから真香と話をした。
知識は父親に教わったらしい。
この世界で友達を作ることは危険も伴う。
いつ裏切るか分からない。
だけど彼女とは仲良くなっていた。
接し方は違法だったけど。
それからのネットの「遊び」は彼女と組んでやっていた。
悪さはしなかった。
ちょっと悪さをする人に「お仕置き」をするだけ。
今日もそんなお遊びをしていた。
「なんか退屈だね」
そんな話をしていた。
もちろん、遊びはしていた。
外務省のホームページを改ざんしようとする韓国人の集団を全員暴いて警視庁に送りつけてやったり。
遊びのネタは尽きなかった。
仕返しに韓国の大使館のホームページに「竹島は日本の領土でしたごめんなさい」と改ざんしてやったり。
そんなしょうもない事をしながら私達は仲良くなっていった。
そしてある事実を突き止める。
愛莉と真香の伯母さんは友達だったという事。
真香の母さんも友達だったらしい。
「一度会ってみたいね」
そんな話をしていた。
私は愛莉に話をしていた。
「あら?奈留の娘さんとお友達だったのね」
愛莉はそう言った。
「でもそういう悪戯は行けませんよ」と叱られたけど。
私達は母親同伴で日曜にあった。
「初めまして」
コーヒーショップで少しお話をした。
母親同士も久しぶりに会ったらしくて話をしていた。
「じゃあまたね」
そう言って私達は家に帰る。
私達は生まれた時から運命が決まっている。
決められた鎖の中で遊んでいるだけ。
だけどその檻の広さをしらない。
どこまでも続く広い檻の中に私達の楽園はあった。
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私は私。好きに生きさせてよね。
この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。
彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。
私の人生に彩りをくれる、その人。
その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。
⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。
⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。
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