47 / 138
2ndSEASON
鎖でつながれた楽園
しおりを挟む
(1)
朝から人が並んでいた。
それでも冬吾と冬莉は大人しくしている。
天音は我慢できないようだった。
「たこ焼き食いたい!」
「お参り済んでからになさい!」
母さんに怒られてる。
僕達は宇佐神宮に来ていた。
綺麗な着物姿の女性もたくさんいる。
僕達は3か所のお社にお参りを済ませた。
賽銭箱の代わりに大きな箱が合ってその中にお賽銭を投げ込む。
中には一万円札が入ってるのを見る。
賽銭泥棒を考える人の気持ちが少しだけ分かる気がした。
神様の罰?
神様が何をしてくれる?
結局何もかも自分で決めて進んでいくしかないじゃないか。
日本と言う国はおかしな国だと表現する者がいたらしい。
クリスマスを祝い除夜の鐘を聞きながら神社に祈願に行く。
最近ではハロウィンを祝うようにもなったらしい。
もっとも皆ただ騒ぎたいだけという説もあるけど。
その人はこんな事も言っていた。
日本人が信じる者があるとすればそれは「学歴」だと。
学歴さえよければいい会社に勤められて、いい会社に勤められたら銀行の融資も受けやすくなる。
学歴だけで採用がきまる会社や省庁がある。
だけど最近それすらも揺らいできている。
学歴よりも資格を。
その学校でどれだけの事を学んできたか。
それが唯一形に出来てるのが資格だから。
大学生だからと言って遊んでいられない。
父さんもそれで苦労したらしい。
大学3年生で取れるはずだった資格を取り逃し社会人になって資格の勉強を必死にしたと聞いた。
結局、高卒だからとか大卒だからとか関係なしに生涯勉強をし続けなければならない。
父さんも今でも必死に勉強してる。
それは法律が変わって税制が変われば父さんの仕事の内容に大きくかかわってくるから。
銀行では一つ上の階級に上がる為には勉強をして資格を取らなければならない。
それは市役所とかも一緒だという。
医者だって日々進化する技術を学んでいかなければならない。
結局日本人にとって絶対なのは「勉強」なのだろう。
水奈の父さんでさえサッカーのコーチの資格を得る為に勉強しているのだから。
お参りが済むと「さあ、思う存分食うぞ!」と意気込む天音がいる。
そんな天音を見て僕は笑っていた。
父さん達の罠にはまったことに気付かないでいる天音を見ていた。
来るときは普通に来た。
しかし駐車している場所は裏口からの方が近い。
結論から言うと帰りは出店の出ている通りを通らない。
その事に気付いた天音は怒り出す!
「愛莉!お参り済んだら食っていいっていったじゃねーか!」
「出店で食べて良いとは言ってません」
「そういうのを屁理屈って言うんだぞ愛莉」
ある意味冬吾達より質の悪い天音。
そんな天音を見て冬吾達も笑っている。
「空もなんか言ってやれよ!食い損ねたんだぞ!?」
「来る途中にファミレスあったよ?」
「空は分かってない!こういう日に食うたこ焼きに価値があるんじゃないか!」
「僕は元旦に初詣行ったから」
「あ、ずりーぞ!」
駐車場の側に何件か出店が出ていたのでそれで我慢する天音。
その分帰りによったファミレスで目一杯昼食を食べ、そして地元に帰ると地元のバイキングでたらふく食べる。
僕達に限って言えば料金よりはるかに上回る量を食べる。
下手にファミレスによるよりも安上がりな時もある。
家に帰ると風呂に入って部屋に戻る。
まだ正月特番をやっていた。
冬休みの宿題は去年のうちに片づけてしまう。
余計なものは年を跨がない。
そんなルールが片桐家にはあった。
テレビを見終わるとラジオを聞きながら漫画を読んだりして過ごす。
そして定番の音楽が鳴りだすころ僕達は眠りにつく。
今年もまたこうした安定した日々を過ごすのだろうな。
それが一番の幸せなんだと実感していた。
(2)
「明けましておめでとうございます」
美希に挨拶をする。
2人で春肥神社に初詣に行った。
沢山の人でにぎわっていた。
お互いにお参りをしてそしてお願いをする。
今年も無事でありますように。
言葉通り何事も無ければいい。
「学は何をお祈りしていたの?」
あまりにも必死だったから気になったらしい
「いや、俺達の将来についてちょっとな……」
「え?もう考えてくれてるんだ」
ちょっと誤解を招く発言だったようだ。
「そういえば、学は将来なりたい事とかないの?」
美希が聞いてきた。
「普通に公務員とかかな」
美希に不自由ない暮らしをさせてやりたいから。
「そっか」
俺は美希と言う生涯のパートナーを中1にして既に手に入れてる。
それは神様からのせめてもの贈り物だと信じよう。
お参りが済むとおみくじとお守りを買って帰る。
御守りは何を買えばいいのか迷う時がある。
交通安全を買うべきか学業成就を買うべきか。
だけど僕らは運命の子。
この世界に命を授かりこの身を託された時から将来は決まっている。
愛を受け継ぐ者らよ。
眠りから醒めよ、私の子供達。
幼き季節、ゆりかごで眠るときは過ぎた。
覚醒せよ、運命の子供達。
その安息の時は過ぎた。
立ち上がれ。探し出せ。真実の庭に行け。
春のように生まれたての真実の庭へと。
神のご加護があらんことを子供らよ。
その日は去った。
魔女の愛を受け継ぐ者らよ、その愛を。
運命の子か……。
産まれた時から俺達は運命は決まってる。
逆を言うとその道から外れることは決してない。
約束された未来。
鎖でつながれた絆。
鎖で覆われた楽園。
自由を奪われたけどそこは楽園。
それが幸せなのかそうでないのかはその人次第だろう。
僕達はずっと運命の螺旋を受け継いでいく。
これまでも、そしてこれからも。
「今度はどうしたのですか?」
まずい、また自分の世界に入っていたようだ。
「美希は運命って信じるか?」
「え?今日はどうしたの?」
また誤解を招く発言をしたようだ。
「因果律って言葉知ってますか?」
美希が言った。
「まあ、本で読んだくらいはな……」
一切のものは何らかの原因から生じた結果であり、原因がなくては何ものも生じないという法則。
「あの日私は勇気を出して学に告白しました」
「そうだったね」
「その結果が今の幸せを生んでいる。学がいう運命というものがあるならばそれはほんの些細な勇気が生み出した奇跡の連続ではないでしょうか?」
美希はそういう。
全ての行動に意味がある。
美希の言う事も間違っていないと思う。
中学生の考える事かどうかはおいておいて。
「あれ?学じゃん」
亀梨君と麗華さんに会った。
2人とも初詣デートに来たようだ。
少し話をすると亀梨君達は神社に向かった。
僕達は街によって昼ご飯を食べて映画を観て帰ることにした。
ちょうどいい時間の映画を探していた。
昔あったアニメの復刻版。
裏社会ナンバーワンの腕を持つ主人公が依頼を受けて事件に巻き込まれるという話。
裏社会ナンバーワンか。
美希の父さんが裏社会でヘッジホッグと名を馳せた時代があったらしい。
どんな大学生活を送ってきたのだろう。
俺達の時はそんな事件を起こさない事を願うしかないな。
映画が終ると帰る。
バスで帰る。
「冬休みの宿題済んだ?」
やっと普通の話題にありつけた。
「もう少しで終わるかな?」
「そっか、じゃあ一緒に済ませてしまいませんか?」
美希が言う。
「それもいいね。じゃあ、美希を家に招待するよ」
「はい」
そんな次のデートの約束をして美希の家に着く。
「今日はありがとう。じゃあ待ってるね」
「ああ、お疲れ様」
「またね」
そして僕は家に帰る。
まだ18時前だった。
運命の子達。
誰も定めに抗う事は出来ない。
(3)
お年玉。
遠坂のおじさんにもらった。
去年も言ったけどお年玉の使い道がない。
欲しいものは買ってくれる。
服を買う時さえついて来てくれて買ってくれる。
僕達はまだ小学4年生。
2人で買い物に行くのは危険だと考えているようだ。
クリスマスプレゼントは僕は携帯ゲーム機。
茜はタブレットを買ってもらっていた。
玩具じゃない本物のタブレット。
茜は喜んでいた。
昨日の夜は遅くまで起きていたので眠くてしょうがない。
カウントダウンに参加していた為だ。
小学校4年でカウントダウンは辛い。
しかし眠気が飛ぶほどきれいだった。
チェックアウトギリギリまで寝ていた。
そう僕達はホテルに泊まっていた。
夢の国のそばのホテルで。
遠坂家は連休になると旅行に行く。
夏休みはアラスカで過ごした。
チェックアウトを済ませると東京観光に出向く。
茜の希望もあって秋葉原に向かった。
もちろんアニメが目当てじゃない。
ジャンクなPC部品を物色している。
あとは普通にランドマークタワーなんかを観光して飛行機で地元に帰る。
小学校4年生の年越しの仕方じゃない気がするんだけど。
夏休みにアラスカもそうだけど。
愛莉も同じように過ごしてきたのだろうか?
地元に帰ると片桐家に挨拶に行く。
お年玉をもらった。
義父さんからももらえた。
家に帰ると茜はSNSの編集をしている。
旅行の事を書いているんだろう。
俺はとりあえず梨々香にあけましておめでとうと送っておいた。
すぐに返事が来た。
そのあと少し眠る。
初詣は明治神宮ですませた。
起きると夕食を食べる。
その後風呂に入って部屋でゲームして過ごす。
宿題は旅行前に済ませた。
天音が来て教えてくれた。
余計なものを持って年を越さないのが片桐家のルールだそうだ。
天音の指導は分かりやすい。
寝ながら聞いてるだけでこれだけ理解できるのだから凄い。
教え方も丁寧だ。
あとはだらだらと冬休みが終るのを待つだけだった。
(4)
また子役が増えた。
一体この事務所に子役が何人いるのだろう?
皆才能があるのは認める。
だけど一度に同年齢の仕事を平等に分配するのは無理がある。
他事務所との仕事の取り合いもしなきゃならない。
それは事務所の力を利用して力づくでも奪い取ってる。
USEは設立してまだ10年ちょっとの小さな事務所。
だと、思ったら大間違い。
親会社がデカすぎた。
少々の他事務所から圧力がかかっても逆にやり返す強さがある。
具体的に言うとスポンサーに圧力をかけてその事務所に仕事を回さないようにするくらいは平然とやってのける。
テレビ会社もスポンサーがあってこその番組だ。
スポンサーには逆らえない。
この事務所に必要なのはもっと幅広い年齢層とあらゆるジャンルをこなす手札が欲しい。
ALICEは実力派歌手に転向してめきめき成長している。
最近は声優やタレント業もやってのける。
ますたーども看板番組を持つようになった。
烏丸こころも実力派女優として成長し、海外の国際映画祭の主演女優賞を取るまでに成長した。
阿南夫妻もどうようだ。
この事務所は人材には恵まれている。
恵まれてないのはスタッフだけだ。
収益が上がったので各タレントにマネージャーをつけるくらいにはなった。
しかし問題は、年齢層とジャンルだ。
ベビー役を何人も増やされても事務所内で仕事を奪い合う不毛な展開になっている。
バランスが欲しい。
でも社長には言わない。
今の数だけでもてんてこまいなのにこれ以上増やされたら俺の手だけでは負えない。
だから今マネージャーをやってる者達をディレクターに紹介して自分で仕事を取ってくるように指導している。
あと必要な事。
それはもっと東京や大阪、せめて福岡出身のタレントが欲しい。
移動時間の制限や仕事をこなす時間に支障が出る。
赤ちゃんのうちはまだいい。
彼女たちが小学校中学校に進学したらその問題は深刻化する。
ここは東京じゃない!地元なんだ。
だけど社長には言えない。
これ以上増やされたら手に負えない。色々な意味で手に負えない。
社長もUSEだけじゃない。ETCという巨大企業も経営している。
将来的にはどちらかを息子に任せるらしいが。
だけど俺はまだ知らなかった。
これから始まる地獄の始まりを。
「中村さん。専務から電話です」
俺は今東京に常駐している。
事実上東京支社の社長代理だ。
電話を取る。
「中村、また3人赤ちゃんが増えたから」
鶏が卵を産むように次々増えてきている。
勘弁してくれ。
(5)
今日もパソコンで仲間とチャットをしていた。
もちろん、壱郎とのメッセージのやり取りもしながら。
様々な情報が飛び込んでくる。
そんな中一人の少女と出逢った。
彼女の名前は「トランクウィル」
もちろん本名じゃない。
凄腕のホワイトハッカー。
普段は静かにしている。
でも適当に獲物……例えば地元銀行にハッキングを仕掛けようとしているクラッカーを見つけては、静かに捕まえて個人情報をファイル共有ソフトに垂れ流す。
そんな彼女に興味を持った私は彼女を追跡することにした。
彼女も凄腕の持ち主。
少々骨を折ったけどちゃんと彼女を見つけた。
「み~つけた」
彼女にメールを送る。
「凄い、絶対に足跡を残してないと思っていたのに」
「見事だったよ。お返しに私の情報も教えてあげる」
彼女の情報は全て網羅した。
彼女のスマホにメッセージを送る。
彼女の名前は江口真香。
同級生だった。
「はじめまして」
「茜がスカーレット?」
「そうよ」
「恐れ入ったわ」
それから真香と話をした。
知識は父親に教わったらしい。
この世界で友達を作ることは危険も伴う。
いつ裏切るか分からない。
だけど彼女とは仲良くなっていた。
接し方は違法だったけど。
それからのネットの「遊び」は彼女と組んでやっていた。
悪さはしなかった。
ちょっと悪さをする人に「お仕置き」をするだけ。
今日もそんなお遊びをしていた。
「なんか退屈だね」
そんな話をしていた。
もちろん、遊びはしていた。
外務省のホームページを改ざんしようとする韓国人の集団を全員暴いて警視庁に送りつけてやったり。
遊びのネタは尽きなかった。
仕返しに韓国の大使館のホームページに「竹島は日本の領土でしたごめんなさい」と改ざんしてやったり。
そんなしょうもない事をしながら私達は仲良くなっていった。
そしてある事実を突き止める。
愛莉と真香の伯母さんは友達だったという事。
真香の母さんも友達だったらしい。
「一度会ってみたいね」
そんな話をしていた。
私は愛莉に話をしていた。
「あら?奈留の娘さんとお友達だったのね」
愛莉はそう言った。
「でもそういう悪戯は行けませんよ」と叱られたけど。
私達は母親同伴で日曜にあった。
「初めまして」
コーヒーショップで少しお話をした。
母親同士も久しぶりに会ったらしくて話をしていた。
「じゃあまたね」
そう言って私達は家に帰る。
私達は生まれた時から運命が決まっている。
決められた鎖の中で遊んでいるだけ。
だけどその檻の広さをしらない。
どこまでも続く広い檻の中に私達の楽園はあった。
朝から人が並んでいた。
それでも冬吾と冬莉は大人しくしている。
天音は我慢できないようだった。
「たこ焼き食いたい!」
「お参り済んでからになさい!」
母さんに怒られてる。
僕達は宇佐神宮に来ていた。
綺麗な着物姿の女性もたくさんいる。
僕達は3か所のお社にお参りを済ませた。
賽銭箱の代わりに大きな箱が合ってその中にお賽銭を投げ込む。
中には一万円札が入ってるのを見る。
賽銭泥棒を考える人の気持ちが少しだけ分かる気がした。
神様の罰?
神様が何をしてくれる?
結局何もかも自分で決めて進んでいくしかないじゃないか。
日本と言う国はおかしな国だと表現する者がいたらしい。
クリスマスを祝い除夜の鐘を聞きながら神社に祈願に行く。
最近ではハロウィンを祝うようにもなったらしい。
もっとも皆ただ騒ぎたいだけという説もあるけど。
その人はこんな事も言っていた。
日本人が信じる者があるとすればそれは「学歴」だと。
学歴さえよければいい会社に勤められて、いい会社に勤められたら銀行の融資も受けやすくなる。
学歴だけで採用がきまる会社や省庁がある。
だけど最近それすらも揺らいできている。
学歴よりも資格を。
その学校でどれだけの事を学んできたか。
それが唯一形に出来てるのが資格だから。
大学生だからと言って遊んでいられない。
父さんもそれで苦労したらしい。
大学3年生で取れるはずだった資格を取り逃し社会人になって資格の勉強を必死にしたと聞いた。
結局、高卒だからとか大卒だからとか関係なしに生涯勉強をし続けなければならない。
父さんも今でも必死に勉強してる。
それは法律が変わって税制が変われば父さんの仕事の内容に大きくかかわってくるから。
銀行では一つ上の階級に上がる為には勉強をして資格を取らなければならない。
それは市役所とかも一緒だという。
医者だって日々進化する技術を学んでいかなければならない。
結局日本人にとって絶対なのは「勉強」なのだろう。
水奈の父さんでさえサッカーのコーチの資格を得る為に勉強しているのだから。
お参りが済むと「さあ、思う存分食うぞ!」と意気込む天音がいる。
そんな天音を見て僕は笑っていた。
父さん達の罠にはまったことに気付かないでいる天音を見ていた。
来るときは普通に来た。
しかし駐車している場所は裏口からの方が近い。
結論から言うと帰りは出店の出ている通りを通らない。
その事に気付いた天音は怒り出す!
「愛莉!お参り済んだら食っていいっていったじゃねーか!」
「出店で食べて良いとは言ってません」
「そういうのを屁理屈って言うんだぞ愛莉」
ある意味冬吾達より質の悪い天音。
そんな天音を見て冬吾達も笑っている。
「空もなんか言ってやれよ!食い損ねたんだぞ!?」
「来る途中にファミレスあったよ?」
「空は分かってない!こういう日に食うたこ焼きに価値があるんじゃないか!」
「僕は元旦に初詣行ったから」
「あ、ずりーぞ!」
駐車場の側に何件か出店が出ていたのでそれで我慢する天音。
その分帰りによったファミレスで目一杯昼食を食べ、そして地元に帰ると地元のバイキングでたらふく食べる。
僕達に限って言えば料金よりはるかに上回る量を食べる。
下手にファミレスによるよりも安上がりな時もある。
家に帰ると風呂に入って部屋に戻る。
まだ正月特番をやっていた。
冬休みの宿題は去年のうちに片づけてしまう。
余計なものは年を跨がない。
そんなルールが片桐家にはあった。
テレビを見終わるとラジオを聞きながら漫画を読んだりして過ごす。
そして定番の音楽が鳴りだすころ僕達は眠りにつく。
今年もまたこうした安定した日々を過ごすのだろうな。
それが一番の幸せなんだと実感していた。
(2)
「明けましておめでとうございます」
美希に挨拶をする。
2人で春肥神社に初詣に行った。
沢山の人でにぎわっていた。
お互いにお参りをしてそしてお願いをする。
今年も無事でありますように。
言葉通り何事も無ければいい。
「学は何をお祈りしていたの?」
あまりにも必死だったから気になったらしい
「いや、俺達の将来についてちょっとな……」
「え?もう考えてくれてるんだ」
ちょっと誤解を招く発言だったようだ。
「そういえば、学は将来なりたい事とかないの?」
美希が聞いてきた。
「普通に公務員とかかな」
美希に不自由ない暮らしをさせてやりたいから。
「そっか」
俺は美希と言う生涯のパートナーを中1にして既に手に入れてる。
それは神様からのせめてもの贈り物だと信じよう。
お参りが済むとおみくじとお守りを買って帰る。
御守りは何を買えばいいのか迷う時がある。
交通安全を買うべきか学業成就を買うべきか。
だけど僕らは運命の子。
この世界に命を授かりこの身を託された時から将来は決まっている。
愛を受け継ぐ者らよ。
眠りから醒めよ、私の子供達。
幼き季節、ゆりかごで眠るときは過ぎた。
覚醒せよ、運命の子供達。
その安息の時は過ぎた。
立ち上がれ。探し出せ。真実の庭に行け。
春のように生まれたての真実の庭へと。
神のご加護があらんことを子供らよ。
その日は去った。
魔女の愛を受け継ぐ者らよ、その愛を。
運命の子か……。
産まれた時から俺達は運命は決まってる。
逆を言うとその道から外れることは決してない。
約束された未来。
鎖でつながれた絆。
鎖で覆われた楽園。
自由を奪われたけどそこは楽園。
それが幸せなのかそうでないのかはその人次第だろう。
僕達はずっと運命の螺旋を受け継いでいく。
これまでも、そしてこれからも。
「今度はどうしたのですか?」
まずい、また自分の世界に入っていたようだ。
「美希は運命って信じるか?」
「え?今日はどうしたの?」
また誤解を招く発言をしたようだ。
「因果律って言葉知ってますか?」
美希が言った。
「まあ、本で読んだくらいはな……」
一切のものは何らかの原因から生じた結果であり、原因がなくては何ものも生じないという法則。
「あの日私は勇気を出して学に告白しました」
「そうだったね」
「その結果が今の幸せを生んでいる。学がいう運命というものがあるならばそれはほんの些細な勇気が生み出した奇跡の連続ではないでしょうか?」
美希はそういう。
全ての行動に意味がある。
美希の言う事も間違っていないと思う。
中学生の考える事かどうかはおいておいて。
「あれ?学じゃん」
亀梨君と麗華さんに会った。
2人とも初詣デートに来たようだ。
少し話をすると亀梨君達は神社に向かった。
僕達は街によって昼ご飯を食べて映画を観て帰ることにした。
ちょうどいい時間の映画を探していた。
昔あったアニメの復刻版。
裏社会ナンバーワンの腕を持つ主人公が依頼を受けて事件に巻き込まれるという話。
裏社会ナンバーワンか。
美希の父さんが裏社会でヘッジホッグと名を馳せた時代があったらしい。
どんな大学生活を送ってきたのだろう。
俺達の時はそんな事件を起こさない事を願うしかないな。
映画が終ると帰る。
バスで帰る。
「冬休みの宿題済んだ?」
やっと普通の話題にありつけた。
「もう少しで終わるかな?」
「そっか、じゃあ一緒に済ませてしまいませんか?」
美希が言う。
「それもいいね。じゃあ、美希を家に招待するよ」
「はい」
そんな次のデートの約束をして美希の家に着く。
「今日はありがとう。じゃあ待ってるね」
「ああ、お疲れ様」
「またね」
そして僕は家に帰る。
まだ18時前だった。
運命の子達。
誰も定めに抗う事は出来ない。
(3)
お年玉。
遠坂のおじさんにもらった。
去年も言ったけどお年玉の使い道がない。
欲しいものは買ってくれる。
服を買う時さえついて来てくれて買ってくれる。
僕達はまだ小学4年生。
2人で買い物に行くのは危険だと考えているようだ。
クリスマスプレゼントは僕は携帯ゲーム機。
茜はタブレットを買ってもらっていた。
玩具じゃない本物のタブレット。
茜は喜んでいた。
昨日の夜は遅くまで起きていたので眠くてしょうがない。
カウントダウンに参加していた為だ。
小学校4年でカウントダウンは辛い。
しかし眠気が飛ぶほどきれいだった。
チェックアウトギリギリまで寝ていた。
そう僕達はホテルに泊まっていた。
夢の国のそばのホテルで。
遠坂家は連休になると旅行に行く。
夏休みはアラスカで過ごした。
チェックアウトを済ませると東京観光に出向く。
茜の希望もあって秋葉原に向かった。
もちろんアニメが目当てじゃない。
ジャンクなPC部品を物色している。
あとは普通にランドマークタワーなんかを観光して飛行機で地元に帰る。
小学校4年生の年越しの仕方じゃない気がするんだけど。
夏休みにアラスカもそうだけど。
愛莉も同じように過ごしてきたのだろうか?
地元に帰ると片桐家に挨拶に行く。
お年玉をもらった。
義父さんからももらえた。
家に帰ると茜はSNSの編集をしている。
旅行の事を書いているんだろう。
俺はとりあえず梨々香にあけましておめでとうと送っておいた。
すぐに返事が来た。
そのあと少し眠る。
初詣は明治神宮ですませた。
起きると夕食を食べる。
その後風呂に入って部屋でゲームして過ごす。
宿題は旅行前に済ませた。
天音が来て教えてくれた。
余計なものを持って年を越さないのが片桐家のルールだそうだ。
天音の指導は分かりやすい。
寝ながら聞いてるだけでこれだけ理解できるのだから凄い。
教え方も丁寧だ。
あとはだらだらと冬休みが終るのを待つだけだった。
(4)
また子役が増えた。
一体この事務所に子役が何人いるのだろう?
皆才能があるのは認める。
だけど一度に同年齢の仕事を平等に分配するのは無理がある。
他事務所との仕事の取り合いもしなきゃならない。
それは事務所の力を利用して力づくでも奪い取ってる。
USEは設立してまだ10年ちょっとの小さな事務所。
だと、思ったら大間違い。
親会社がデカすぎた。
少々の他事務所から圧力がかかっても逆にやり返す強さがある。
具体的に言うとスポンサーに圧力をかけてその事務所に仕事を回さないようにするくらいは平然とやってのける。
テレビ会社もスポンサーがあってこその番組だ。
スポンサーには逆らえない。
この事務所に必要なのはもっと幅広い年齢層とあらゆるジャンルをこなす手札が欲しい。
ALICEは実力派歌手に転向してめきめき成長している。
最近は声優やタレント業もやってのける。
ますたーども看板番組を持つようになった。
烏丸こころも実力派女優として成長し、海外の国際映画祭の主演女優賞を取るまでに成長した。
阿南夫妻もどうようだ。
この事務所は人材には恵まれている。
恵まれてないのはスタッフだけだ。
収益が上がったので各タレントにマネージャーをつけるくらいにはなった。
しかし問題は、年齢層とジャンルだ。
ベビー役を何人も増やされても事務所内で仕事を奪い合う不毛な展開になっている。
バランスが欲しい。
でも社長には言わない。
今の数だけでもてんてこまいなのにこれ以上増やされたら俺の手だけでは負えない。
だから今マネージャーをやってる者達をディレクターに紹介して自分で仕事を取ってくるように指導している。
あと必要な事。
それはもっと東京や大阪、せめて福岡出身のタレントが欲しい。
移動時間の制限や仕事をこなす時間に支障が出る。
赤ちゃんのうちはまだいい。
彼女たちが小学校中学校に進学したらその問題は深刻化する。
ここは東京じゃない!地元なんだ。
だけど社長には言えない。
これ以上増やされたら手に負えない。色々な意味で手に負えない。
社長もUSEだけじゃない。ETCという巨大企業も経営している。
将来的にはどちらかを息子に任せるらしいが。
だけど俺はまだ知らなかった。
これから始まる地獄の始まりを。
「中村さん。専務から電話です」
俺は今東京に常駐している。
事実上東京支社の社長代理だ。
電話を取る。
「中村、また3人赤ちゃんが増えたから」
鶏が卵を産むように次々増えてきている。
勘弁してくれ。
(5)
今日もパソコンで仲間とチャットをしていた。
もちろん、壱郎とのメッセージのやり取りもしながら。
様々な情報が飛び込んでくる。
そんな中一人の少女と出逢った。
彼女の名前は「トランクウィル」
もちろん本名じゃない。
凄腕のホワイトハッカー。
普段は静かにしている。
でも適当に獲物……例えば地元銀行にハッキングを仕掛けようとしているクラッカーを見つけては、静かに捕まえて個人情報をファイル共有ソフトに垂れ流す。
そんな彼女に興味を持った私は彼女を追跡することにした。
彼女も凄腕の持ち主。
少々骨を折ったけどちゃんと彼女を見つけた。
「み~つけた」
彼女にメールを送る。
「凄い、絶対に足跡を残してないと思っていたのに」
「見事だったよ。お返しに私の情報も教えてあげる」
彼女の情報は全て網羅した。
彼女のスマホにメッセージを送る。
彼女の名前は江口真香。
同級生だった。
「はじめまして」
「茜がスカーレット?」
「そうよ」
「恐れ入ったわ」
それから真香と話をした。
知識は父親に教わったらしい。
この世界で友達を作ることは危険も伴う。
いつ裏切るか分からない。
だけど彼女とは仲良くなっていた。
接し方は違法だったけど。
それからのネットの「遊び」は彼女と組んでやっていた。
悪さはしなかった。
ちょっと悪さをする人に「お仕置き」をするだけ。
今日もそんなお遊びをしていた。
「なんか退屈だね」
そんな話をしていた。
もちろん、遊びはしていた。
外務省のホームページを改ざんしようとする韓国人の集団を全員暴いて警視庁に送りつけてやったり。
遊びのネタは尽きなかった。
仕返しに韓国の大使館のホームページに「竹島は日本の領土でしたごめんなさい」と改ざんしてやったり。
そんなしょうもない事をしながら私達は仲良くなっていった。
そしてある事実を突き止める。
愛莉と真香の伯母さんは友達だったという事。
真香の母さんも友達だったらしい。
「一度会ってみたいね」
そんな話をしていた。
私は愛莉に話をしていた。
「あら?奈留の娘さんとお友達だったのね」
愛莉はそう言った。
「でもそういう悪戯は行けませんよ」と叱られたけど。
私達は母親同伴で日曜にあった。
「初めまして」
コーヒーショップで少しお話をした。
母親同士も久しぶりに会ったらしくて話をしていた。
「じゃあまたね」
そう言って私達は家に帰る。
私達は生まれた時から運命が決まっている。
決められた鎖の中で遊んでいるだけ。
だけどその檻の広さをしらない。
どこまでも続く広い檻の中に私達の楽園はあった。
0
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
【完結】メルティは諦めない~立派なレディになったなら
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
レドゼンツ伯爵家の次女メルティは、水面に映る未来を見る(予言)事ができた。ある日、父親が事故に遭う事を知りそれを止めた事によって、聖女となり第二王子と婚約する事になるが、なぜか姉であるクラリサがそれらを手にする事に――。51話で完結です。
職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります
チャビューヘ
ファンタジー
いいね、ブックマークで応援いつもありがとうございます!
ある日突然、クラス全員が異世界に召喚された。
この世界では「職業ガチャ」で与えられた職業がすべてを決める。勇者、魔法使い、騎士――次々と強職を引き当てるクラスメイトたち。だが俺、蒼井拓海が引いたのは「情報分析官」。幼馴染の白石美咲は「清掃員」。
戦闘力ゼロ。
「お前らは足手まといだ」「誰もお荷物を抱えたくない」
親友にすら見捨てられ、パーティ編成から弾かれた俺たちは、たった二人で最低難易度ダンジョンに挑むしかなかった。案の定、モンスターに追われ、逃げ惑い――挙句、偶然遭遇したクラスメイトには囮として利用された。
「感謝するぜ、囮として」
嘲笑と共に去っていく彼ら。絶望の中、俺たちは偶然ダンジョンの最深部へ転落する。
そこで出会ったのは、銀髪の美少女ダンジョン主・リリア。
「あなたたち……私のダンジョンで働かない?」
情報分析でダンジョン構造を最適化し、清掃で魔力循環を改善する。気づけば生産効率は30%向上し、俺たちは魔王軍の特別顧問にまで成り上がっていた。
かつて俺たちを見下したクラスメイトたちは、ダンジョン攻略で消耗し、苦しんでいる。
見ろ、これが「外れ職」の本当の力だ――逆転と成り上がり、そして痛快なざまぁ劇が、今始まる。
イケメン副社長のターゲットは私!?~彼と秘密のルームシェア~
美和優希
恋愛
木下紗和は、務めていた会社を解雇されてから、再就職先が見つからずにいる。
貯蓄も底をつく中、兄の社宅に転がり込んでいたものの、頼りにしていた兄が突然転勤になり住む場所も失ってしまう。
そんな時、大手お菓子メーカーの副社長に救いの手を差しのべられた。
紗和は、副社長の秘書として働けることになったのだ。
そして不安一杯の中、提供された新しい住まいはなんと、副社長の自宅で……!?
突然始まった秘密のルームシェア。
日頃は優しくて紳士的なのに、時々意地悪にからかってくる副社長に気づいたときには惹かれていて──。
初回公開・完結*2017.12.21(他サイト)
アルファポリスでの公開日*2020.02.16
*表紙画像は写真AC(かずなり777様)のフリー素材を使わせていただいてます。
【完結】雨の日に会えるあなたに恋をした。 第7回ほっこりじんわり大賞奨励賞受賞
衿乃 光希
恋愛
同僚と合わず3年勤めた仕事を退職した彩綺(さいき)。縁があって私設植物園に併設されている喫茶店でアルバイトを始める。そこに雨の日にだけやってくる男性がいた。彼はスタッフの間で『雨の君』と呼ばれているようで、彩綺はミステリアスな彼が気になって・・・。初めての恋に戸惑いながら、本をきっかけに彼との距離を縮めていく。初恋のどきどきをお楽しみください。 第7回ほっこり・じんわり大賞奨励賞を頂きました。応援ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる