姉妹チート:RE

和希

文字の大きさ
93 / 138
3rdSEASON

藍だけでいいずっと

しおりを挟む
(1)

僕達はバスに乗って空港に向かっていた。
皆楽しそうだった。
今日から四泊五日の修学旅行。
北海道と東京に行く。
東京ではテーマパークに行く。
厳密に言えば千葉らしいけど、細かい事は気にしない。
空港に着いたらバスを降りて皆集合して先生がチケットを配っている。
窓際の席だった。ついてる。
富士山見えると良いな。
大きな荷物は預ける。
手荷物だけもって検査を受ける。
初めての飛行機に胸が躍る生徒もいる。
ゲートを抜けるとお土産や食事するところもあった。
空港価格というやつだ。
やたらと高いのでパスした。
札幌と言えばラーメンだろう。
楽しみにしている。
時間になると皆飛行機に乗り込む。
ポケットに入るような小物以外は席の上にある荷物入れに入れる。
CAがちゃんと閉まっていることを確認していく。
CAは綺麗だ。
やっぱり面接のときに書類選考とかあるんだろうか?
考えてみると関西の歌劇団もそうだよな。
持って生まれたものはしょうがない、諦めろと言う事なんだろうか?
僕は窓の外を眺めていた。
飛行機が動き出す。
翼を稼働させながら滑走路に向かう。
そして定位置に着くと加速を始める。
機体が浮かび上がると皆が拍手していた。
飛行機は新千歳空港まで真っ直ぐ向かう。
あれは四国かな?
そんな事を考えながら景色を眺めていた。
幸いにも今日は天気がいい。
もちろん防寒着は用意しておいた。
北海道は雪が積もってる。
そのくらい分かってる。
だってスキーをするくらいなんだ。
雪が積もってないと話にならないだろ。

「空はよく飽きもしないで外を眺めていられるな」

イヤフォンを外した学が言う。

「まあね、滅多にないことだから」

中には空を写真に収めようとしてる生徒もいるくらいだ。

「お前の中ではもう食べ物のでいっぱいなんだろうな」

学がそう言って笑う。
観光地で食べ物の事を考えない人っているのだろうか?

「空は観光したいところあるのか?」
「いや、そもそも札幌で散策する事があまり良いとは思えないんだよね」

理由は寒いから。
だから任せると学に言った。
学は皆に伝える。
僕達の班は僕と学と美希、善明と海璃、それに水島みなみさんだった。
空の旅を終え、北海道に足を踏み入れる。
預けていた荷物を手に取る
空港を出るとバスに乗り札幌に向かう。
驚いた。
雪ってこんなに積もるものなんだ。
写真を撮る生徒がいた。
バスガイドの話を聞きながら景色を眺めていた。
バスはテレビ塔の近くの駐車場に止る。
先生の説明を受けると僕達の自由行動が始まった。

(2)

自由行動が始まるととりあえずテレビ塔に行った。
理由はそこの駐車場に止っていたから。
景色を堪能するとお腹が空いてきた。
丁度イベントをやっていたみたいだ。
お店が出ている。
札幌は日没が地元よりも早い。
16時30分になると暗くなってイルミネーションが点灯する。
私達は写真を撮っていた。
学も見とれていた。
学は飛行機に乗っている時もそうだけどこういう景色が大好きだ。
放っておくと一人の世界に入り込んでしまう。
だから時々声をかけてやる。

「もうクリスマスのグッズを売っているんだな」

学が言う。

「今年のイブはどうする?」
「それは美希の家のパーティじゃないのか?」
「たまには2人でデートもいいんじゃない?」
「美希がそうしたいならそれでもいいが、大丈夫なのか?」

私から母さんに伝えておくからと言ったら、学は「わかった」と言ってくれた。
修学旅行の間だけは必要以上にいちゃつかないと私達の班は決めていた。
恋人がいない人を挙げていった方が早いうちのクラス。
でも高校が別々の者もいる。
空は水奈が高校1年生だ。
そのくらい気は使う。
これはデートじゃない。皆と遊びに来ているんだ。
だから水島さんにも声をかける。

「明日からのスキー楽しみだね」
「地元じゃ滅多に滑れないもんね」
「私は足の故障に気をつけろって言われてる」

水島さんは日本代表の選手。
U-20女子W杯の代表がもう約束されている。
調整もそれに合わせてしているらしい。
学も空と話をしていた。

「今夜はジンギスカンだってさ」
「……お前は食い物の事しか考えてないのか?」
「明日はバイキングって聞いた。お昼に海鮮丼食えるって」
「どこからそんな情報入手したんだ?」
「しおりに書いてあったよ!」

そんな風に話をしながら公園を歩いて集合場所を目指す。
足下が滑りやすいのでゆっくり歩いて行った。
それでもなんとか時間ぎりぎりに間に合った。
バスに乗ると宿泊先のスキー場に向かう。
吹雪の為バスもゆっくり走る。
着いたら部屋に荷物を置いて夕食を食べる。
ジンギスカンだ。
あまり食べない前田さんと水島さんの分は空が食べていた。
どこに吸収されているのだろう?

(3)

「空どこいった?」
「ラーメン食べてる」

そんなチャットがSHのグループで流れていた。
さっき夕食食べたばかりなのによく食べるな。
それでもあの体形を維持できるのが不思議だ。
パフェもあるそうだけど私は遠慮した。
すると海璃がスマホを見て笑ってた。

「どうしたの?」
「みなみもスマホ見たら分かるよ」

海璃に言われてスマホを見る。
SHのグループチャットみたいだ。
光太達の行動に問題があった。
光太達も北海道に修学旅行に来てるらしい。
そして札幌で自由行動があった。
よりにもよってすすきのに見学に行ったらしい。

「……どうして男子ってこうなんだろう?」
「悲しい男の性ってやつだよ」

全くないのも困りものだよ?と海璃は笑ってる。
だけど女子がいるのに中に入れるわけがない。
ただ看板見て「すげー」と写真撮ってたら店の中から男の人が来てトラブルになったらしい。
それで集合時間に間に合わず事情を白状したらこっぴどく怒られたんだとか。

「今どこにいるの?」
「ルスツのスキー場にあるホテル」

同じところだ。
スキー場は違うみたいだけど。
日程はほぼ同じみたいだ。
テーマパークで合流しようかって話もあったけど、結局やめにした。
それぞれの学校で思い出を作ればいい。
卒業旅行で一緒に行動すればいいんだから。
そんなチャットを打っていた。

「本当に男ってしょうがないね」

美希と海璃は笑っていた。

「まあ、私達が相手してあげるしかないね」

美希はそう言ってる。
もっとも学は真面目だからそういうのにまったく興味を示さないのが難点らしいけど。
皆が羨ましい。
私にはそう言う相手がいない。
そんな話をしてた。

「誰か気になる人いないの?」
「サッカーの事しか考えてこなかったから」

彼氏なんて全然考えてなかった。

「じゃあ、今回の旅行はみなみの彼氏探さないとね」

海璃がそう言ってメッセージを送っている。
あてがあるのだろうか?
明日は朝からスキーだ。
だから、それに備えて早く寝る事にした。

(4)

朝から空がバイキングの入り口で立ち止まって悩んでいる。
俺は声をかけてみた。

「どうしたんだ?」
「いや、それがさ……」

洋食にするか和食にするかで悩んでるらしい。
朝と言えば味噌汁とご飯と相場は決まってる。
だけどクロワッサンとコーンポタージュも捨てがたい。
それにサラダや飲み物を考えるとやはり洋食を選択するべきあのじゃないか?
卵料理はスクランブルエッグでも目玉焼きでもどっちでもいい。
両方選ぶという手段もある。
しかしグレープフルーツジュースでご飯を食えるか?
そんな事を延々と悩んでるそうだ。

「学、何してるの!?」

席で待っていた美希が俺がなかなか来ないので様子を見に来たらしい。
同じ事を美希に説明していた。
それを聞いた美希は至ってシンプルな回答に出た。

「両方食べればいいんじゃない?」
「でも味噌汁とクロワッサンって合うの?」
「先にクロワッサンとスープ飲んでその後また取りにくればいいじゃない」
「そうか、それもそうだね」

納得した空は料理を選び始めた。
初回から大盛りを持ってくる空。
しっかりフランスパンも追加されてあった。
空はバター派らしい。

「いや、普段はマーガリンなんだけど北海道に来たんだしバターかなと思って」

そうして空は時間ぎりぎりまで食べ続けていた。
朝食が終るとスキーウェアを貸し出してもらって着替えてブーツを合わせる。
一通り準備が済むとスキー場に行く。
そして1班ずつインストラクターがついて指導が始まった。
空は飲みこみが早かった。
空は運動神経よかったんだな。
徒競走も早いが球技をやらせるとなぜか駄目だ。
その代わり球技以外なら何でもやってのける。
俺も何とか滑れるようになっていた。
昼になると昼食をとる。
空の希望の海鮮丼だ。
美味しそうに食っていた。
あっという間に平らげる。
そして午後からも練習は続く。
空は上級者コースで見事に滑っていた。
インストラクターも「2人は自由に滑っていいよ」って言うくらいだ。
善明も負けず劣らずの上達度だったが、やはり海璃にあわせていたようだ。
海璃はともかくみなみは意外と美味く滑れずにいた。

「良かったら俺が手ほどきしようか?」
「西松君が?」
「こう見えて九重に良く滑りに行ってたんだ」

康介は口だけじゃないらしい。
教え方も丁寧だった。
その時、美希が耳元で囁く。

「2人にさせてあげて」

ああ、そう言う事か。
そんな2人に付き合って時間を潰した。
日が暮れる頃練習が終わった。
練習が終わると着替えて夕食に行く。
バイキングだ。
肉から刺身から寿司、ラーメンに蟹料理まで何でもそろっていた。
空は絶えず食い続けていた。
食ってる間だけ席について皿が空くと次を食いに行く。
時間ぎりぎりまで食べ続けて部屋に帰ると風呂を浴びる。
で、部屋に戻ると「ちょっとラーメン食べてくる」と部屋を出る。
底なしだな……。
するとメッセージが届いた。
康介がみなみに交際を申し込んだらしい。
みなみも驚いていた。

「私はサッカーの事しか考えられない。康介を置き去りにするかもしれないけどそれでもよければ」
「忘れられないようにちゃんと見てるから」

成立したらしい。
ほかにも沙耶と桐翔が付き合う事になったそうだ。
修学旅行ってそう言うノリだったな。
空も戻ってきていた。
就寝時間ぎりぎりだったみたいだ。
部屋に先生が見回りに来る。
部屋の明かりを消して布団に入った。
皆で話をする。
うちの班のインストラクターめっちゃ美人だぜ。とか。
ゲレンデにいる女性は皆そう見えるらしい。
テレビを見ている者もいたがやがて眠りにつく。
繰り返す季節が心と身体を洗ってくれる。
小さな蕾を二人で育てる藍だけでいい、ずっと。
君の手の温もりを信じてただ泣いて夢を紡いでいくだろう。
生まれ変われるその日まで。
こんな大きな世界で俺達は出逢った。歩き続ける為に。
赤い花びらよ青い羽になれ。
名もなき未来を探して強く夢を紡いでいこう。
生まれ変われるその日まで。
時は廻る。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『選ばれなかった孤児は、同じ時間を生きることを選んだ』

鷹 綾
恋愛
孤児院で育ったウェイフは、いじめられながらも山で芋を掘り、川で魚を捕り、自分の力で生き延びてきた少女。 前世の記憶を取り戻したことで、ただ耐えるだけの孤児ではなくなった彼女は、孤児院の中で静かに居場所を築いていく。 そんなある日、孤児院に寄付をしている男爵家から「養女として引き取る」という話が舞い込む。 だがそれは、三百年以上生きる“化け物公爵”の婚約者として差し出すための、身代わりだった。 厳しい令嬢教育、冷遇される日々、嘲笑する男爵の娘。 それでもウェイフは、逃げずに学び続ける。 やがて公爵邸で出会ったのは、噂とは違う、静かで誠実な青年――そして、年を取らない呪いを背負った公爵本人だった。 孤児であること。 魔法を使えること。 呪いを解く力を持ちながら、あえて使わない選択。 「選ばれる側」だった少女は、自分の人生を自分で選ぶようになる。 これは、派手な復讐ではなく、 声高な正義でもなく、 静かに“立場が逆転していく”ざまぁと、対等な愛を描いた物語。 選ばれなかった孤児が、 同じ時間を生きることを選ぶまでの、 静かで強い恋愛ファンタジー。

華やかな異世界公爵令嬢?――と思ったら地味で前世と変わらないブラックでした。 ~忠誠より確かな契約で異世界働き方改革ですわ~』

ふわふわ
恋愛
華やかなドレス。きらびやかな舞踏会。 公爵令嬢として転生した私は、ようやく優雅な人生を手に入れた―― ……はずでしたのに。 実態は、書類の山、曖昧な命令、責任の押し付け合い。 忠誠の名のもとに搾取される領地運営。 前世のブラック企業と、何も変わりませんでしたわ。 ならば。 忠誠ではなく契約を。 曖昧な命令ではなく明文化を。 感情論ではなく、再評価条項を。 「お父様、お手伝いするにあたり契約を結びましょう」 公爵家との契約から始まった小さな改革は、やがて王家を巻き込み、地方貴族を動かし、王国全体の制度を揺るがしていく――。 透明化。共有化。成果の可視化。 忠誠より確かな契約で、異世界働き方改革ですわ。 これは、玉座を奪う物語ではありません。 国家を“回る構造”に変える、公爵令嬢の改革譚。 そして最後に選ばれるのは――契約ではなく、覚悟。 ---

【完結】メルティは諦めない~立派なレディになったなら

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 レドゼンツ伯爵家の次女メルティは、水面に映る未来を見る(予言)事ができた。ある日、父親が事故に遭う事を知りそれを止めた事によって、聖女となり第二王子と婚約する事になるが、なぜか姉であるクラリサがそれらを手にする事に――。51話で完結です。

Emerald

藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。 叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。 自分にとっては完全に新しい場所。 しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。 仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。 〜main cast〜 結城美咲(Yuki Misaki) 黒瀬 悠(Kurose Haruka) ※作中の地名、団体名は架空のものです。 ※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。 ※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。 ポリン先生の作品はこちら↓ https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911 https://www.comico.jp/challenge/comic/33031

処理中です...