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3rdSEASON
夢幻の翅模様
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(1)
朝食に悩むことは無かった。
普通の旅館のような和食だった。
ご飯に吸い物に焼き魚に海苔に和え物等。
そして生卵と醤油がついてる。
「おかわりはいくらでもどうぞ」
僕を止める者はいない。
そして「おかわり!」
2杯目は海苔を食べながらおかずも食べる。
朝食を食べると部屋に戻って準備をする。
女子は眠そうだった。
夜遅くまで悩んだそうだ。
夢の国にするか海にするか。
悩んだ末夢の国に行くことになったそうだ。
男子の意見は聞いてなかった。
男子は「どっちでもいい」と言ってたから。
準備が済むと部屋を出て1階に降りる。
テーマパークに着くと先生から説明を受ける。
そして夢の国に乗り込む。
色々なアトラクションに乗る。
乗り物系のアトラクションだけじゃない。
見て回る物もある。
それらをゆっくり回っているとお昼になる。
ハンバーグとオムライスを食べた。
園内の飲食店にしては良心価格だったと思う。
昼食を済ませるとお土産屋さんを見て回る。
美希や海璃達女子は色々悩んでるみたいだ。
男子はあまり興味を示さなかった。
もちろん、女性陣を放って店の外で待ってるなんてことはしない。
善明は海璃のお土産選びに付き合っていた。
僕は北海道でお土産を買ったから特に買うものは無かった。
だから僕は店の外で待機をしていた。
のんびり選びなよ。
僕がいたら何かと気を使うだろうから。
そう言って外で待っていた。
後は地元に帰るだけか。
水奈は元気にしてるかな?
寂しがってないかな?
水奈は修学旅行で楽しんでる僕に遠慮してるのか、あまりメッセージを送ってこなかった。
だから僕からたまにメッセージを送っていた。
北海道の風景なんかを画像添付して送っておいた。
学校に帰ったらクリスマスイブがあってクリスマスがあって渡辺班の忘年会があって年を越す。
美希たちが店から出てきた。
時計を見るとそろそろ時間だ。
集合場所に集まると、皆が揃ったのを確認してバスに乗る。
羽田空港に着くと飛行機の時間を待つ。
ここでさらにお土産を買って荷物を増やす生徒もいた。
そして時間になると皆飛行機に搭乗する。
いよいよ地元に帰る時が来た。
(2)
飛行機に乗ると外を見てる。
飛行機が離陸し空を飛ぶ。
楽しかった5日間。
皆は疲れ果てて眠っていた。
僕達はこれが最後の修学旅行になる。
大学には修学旅行が無い。
そういえば高校はともかく大学の卒業旅行は光太達はどうするつもりなんだろう。
「それは心配ないと思うよ。志水建設に就職するんでしょ。母さんが無理にでも休ませるよ」
善明が言ってた。
行きの飛行機では見れなかったもの。
それは夜空。
星に近いからいっぱい見れるのかなと思ったけどそんなに変わりは無かった。
地上から見る星とそんなに変わらない。
藍に染まる恋し繭玉。
やがて揚羽の蝶になる。
空を包む夢幻の翅模様。
命が輝くように。
月を見る。
悲しみを映さずに世の揺らぎを見つめて嘆かず飛んでいる。
翅に月を映し揚羽の蝶になる。
揺らいでいる夜に生まれし銀河を渡る蝶が命を輝かせる。
月は満ちて息づく翼。
愛おしい横顔。
おぼろな星、大地には銀の涙。
繭たる僕達は七度身を変える。
やがて見えてくる夜の海に浮かぶ滑走路のビーコン。
着陸すると皆立ち上がって扉が開くのを待っている。
僕は最後に出る事にした。
どうせ閊えて進めないんだ。
少しでもゆっくりしていよう。
空港を出るとバスが待っている。
バスに乗り込んで高校まで帰る。
話声は全く聞こえなかった。
みんなの眠りの邪魔になると悪いので景色を見ていた。。
高校に着くとみんなの両親が迎えに来ていた。
母さんも来ていた。
荷物を車に積み込むと車に乗って家に帰る。
「今夜さっそく蟹パーティだからね」
札幌から送った蟹が届いていたらしい。
天音も冬吾も僕達が帰ってくるのを待っていたらしい。
家に帰ると荷物を整理してダイニングに行く。
鍋の中にある蟹。
冬吾と冬莉も自分で殻をむいて食べていた。
食べ終わると風呂に入って部屋に戻る。
しばらく留守にしていた部屋。
たった5日間空けていただけなのに懐かしく思える。
懐かしいで思い出した。
「帰ったよ。電話してもいい?」
水奈にメッセージを送るとスマホが鳴った。
「おかえり。疲れただろうから明日でもよかったのに」
「僕がいない間大丈夫だった?」
「一週間くらいなんてことないよ」
セリフとは裏腹に嬉しそうな声。
水奈に土産話を聞かせる。
来年は水奈達がいくんだと楽しそうに聞いてくれた。
2時間ほど話をして「疲れてるだろうし早く寝ろよ。私はどこにもいかないから」と水奈が言うので電話を切る。
疲れていたみたいだ。
ベッドに入るとすぐに眠れた。
おぼろに揺らめく星たち。
藍に染まる恋し繭玉。
いつか僕達は夢幻の翅模様を持った蝶に身を変えるのだろう。
(3)
今年はちょうど大会の歳だった。
4年に一度行われるクラブワールドカップ。
世界のトッププレイヤーが集まる大会。
サッカーは何が起こるか分からない。
魔物が潜んでいると言われている。
アディショナルタイムになっても試合終了のホイッスルが鳴るまで分からない。
それは見る方も同じ。
一瞬でも気が抜けない。
何が起こるか分からないのだから。
世界のトップクラスのフォワードを見ていた。
それは僕と同じポジションだから。
肉体は鍛えてある。
だけど身長差はどうにもならない。
ポストプレイは出来ないことはないけど高久君に任せてある。
ペナルティエリア内に侵入するその技術を見ていた。
本当に世界の選手たちはすごい。
想像できないドリブルやフェイントを見せてくれる。
こういう試合は僕にとって貴重な教材になる。
もちろん父さんに頼んでハードディスクに録画してもらってる。
何度でも見れるように。
本当はあまり必要ないんだけど。
だって一度見たプレイは脳裏に焼き付けているから。
試合が終わると母さんに「まだそんなに夜更かしをしてはいけません」と叱られる。
「ちゃんと録画してあるから休みの日にじっくり見なさい」
「は~い」
母さんに返事すると、僕は部屋に戻る。
本当は今からでも練習したいくらいだけど寝る事にした。
夜だから照明がないとボールが見えない?
夏休みの夜父さんと公園で遊んだことがある。
闇の中をボールを蹴って遊んでいた。
ボールは見えない。
だけど父さんは正確にボールを捕らえて僕に蹴り返してくる。
何度かやってるうちに僕も出来るようになった。
それからボールの位置は感覚で蹴るようになった。
試したいテクニックがある。
試したいプレイがある。
だけどプレイは僕一人じゃ出来ない。
次の練習の時に手伝ってもらおう。
早く明日にならないかなとか考えながら眠っていた。
練習日。
女子達が見に来てくれた。
相変わらずフィールドの外でボールを蹴ったりしてたけど。
「たまには1対1やってみね?」
誠司が言うと皆賛成した。
僕の相手は誠司がしてくれた。
誠司がボールを奪う側。
僕は誠司を抜く側。
僕のドリブルはいきなりトップスピードに入る。
誠司もその事を知っている。
一定の距離を置いて待ち構える。
誠司は僕が左足しか使わないのを知っている。
だから左足を執拗に狙ってくる。
早速テレビで見た技を試してみる。
トップスピードからの直角ターン。
あっさりと誠司を抜き去る。
追いかけてくる誠司を待って誠司が背後に迫るとフェイントをかける。
他にもシザースやマルセイユルーレットと呼ばれるフェイント等をいくつか試してみた。
誠司が疲れて降参する。
他の皆もプレイを止めて僕を見ていた。
女子も歓声を上げている。
「どこの世界にトップスピードでクライフターンする小学生がいるんだよ!」
誠司が抗議する。
「お前だけいいかっこさせねーぞ!攻守交替しようぜ!俺だってドリブルには自信があるんだ!」
そう言って誠司が僕を抜いた試しは一度もない。
父さんは言ってた。
「ドリブルで抜くよと宣言してる時点で攻める方は不利なんだよ」と。
誠司だってドリブルは上手い。
だけどどこを抜いてくるか何となくわかるから取れないはずがない。
そんな事をして遊んでると上級生が絡んできた。
「かっこつけてんじゃねーよ!女子にキャーキャー言われたいのかもしれないけど練習の邪魔なんだよ」
ちなみに練習は休憩時間に入ってコーチたちは何か相談していた。
「別にそんなつもりでやってたわけじゃないんだけど?」
ただ遊んでただけなんだけどな。
「お前ちょっと上手いからって天狗になってるんじゃないのか!」
「気に障ったならあやまります。ごめんなさい」
面倒事はおこしたくない。
しかし上級生の不満がここぞとばかりに爆発した。
様々な不満をぶつけてくる。
すると監督が言った。
「年末だしな。そろそろ慣れておくのもいいかもしれない」
僕達とレギュラーで試合をしよう。
ただし接触プレイは認めない。
確認した時点で即中止にする。
僕達にビブスが渡される。
ただのビブスだけど10番を渡された時は嬉しかった。
そして準備に入ろうとフィールドに入ると監督が言った。
「冬吾、お前は控えだ。ベンチに座ってみてろ。劉也。お前が入れ」
10番をつけて控えか。
なんか悔しいけど仕方ない。
上級生のストレス解消に僕達を利用してるのか?
僕達に上級生の凄さを体感させたいのか?
単に試合形式というものを体験させたいのか分からないけどゲームは始まった。
恐らく監督の予想外だったのかもしれない。
まだサッカーの練習を始めて1年も経たない僕達が優位に試合運びをしていた。
激しい削りはないものの、ボールを保持する誠司にチェックは入る。
それをものともせず誠司はじっくりとスペースを探す。
そしてスペースを見つけると素早くボールを送り込む。
江崎劉也君や高久隼人が飛び込んでシュートを決める。
ディフェンスも圧倒的だった。
しっかりプレスを決めてボールを奪うと誠司に渡すか村木兄弟を使って両サイドから攻めるか水野君や白岡君が即時に判断する。
守備がしっかり連係を取れてるのはゴールキーパーの江本君の的確な指示もあった。
もちろんロングシュートも打ってくる。
だけどペナルティエリア外からのシュートは絶対決めさせないと自負する江本君の守備は的確だった。
上級生は劣勢になると自陣のペナルティエリアを固めだす。
いくら高久君や江崎君が背が高いといってもやはり6年生の方が高い。
ポストプレイを上手く決められずに攻めあぐねていた。
すると監督が動いた。
「冬吾。今からゲームに参加する準備をしなさい」
監督に言われると、僕はベンチから立ち上がり軽く体を温める。
それをみた誠司がボールをわざと外に出す。
僕は江崎君と交代した。
ゲームが再開されると僕はフィールドをウロウロする。
全くプレイに関係ない所もくまなくチェックする。
上級生はそれを見て笑っていた。
「あいつびびってプレイに参加しようとしないぜ」
そんな罵声を浴びていた。
ゲームが止まると誠司が近づいてきた。
「どうだ?」
「もういいよ」
それが僕と誠司の合図だった。
誠司のパスは的確だ。
ここだと思った位置に正確にタイミングも合わせてくる。
僕はそのタイミングに合わせて飛び込むだけでいい。
ボールをゴールに向かってける。
僕もキックには自信があった。
正確に針に糸を通すようにしっかりボールが通る隙間を通す。
キーパーが取りずらい場所をめがけて飛んでいく。
江本君が「ペナルティエリア外からのシュートは絶対に捕る」というなら僕は「狙ったシュートは絶対に枠から外さない」自信があった。
ゴールの端っこギリギリの位置で決める。
中に固まってるから外から打つのは容易だった。
やがて中に固まっていたディフェンスが広がってくる。
僕にマークがついた。
それでも誠司はスペースとタイミングを狙って僕にパスを送り続ける。
僕も相手の守備を嘲笑うようにシュートを打つ。
片手でキャッチやパンチングを試みても通用しない。
両手でしっかりつかまないと僕の「ブレ玉」はとれない。
そして僕の打つシュートは無回転だけじゃない。
エンドラインからシュートを打つときは若干回転をかける。
ボールはゴールに吸い込まれるように入る。
もちろんサッカーは一人でやれるスポーツじゃない。
僕のマークが増えると僕は踵でボールを後ろに蹴る。
後には誰もいない。
そんな事いちいち見なくても分かってる。
僕が放ったボールはフィールドの小石に当たって向きを変えてバウンドする。
その先で高久君が待ち構えていた。
フリーになりキーパーからは敵のディフェンスが壁になって見えない高久君は利き足で触るだけでいい。
なんで小石があるのを知ってたのか?
さっきフィールドを見てたから。
把握できている。
そうやってまともに点をつけていたら心が折れていたかもしれないゲームは続いた。
僕は楽しめた。
誠司や高久君、水野君をつかってテレビで見たあのプレイを再現できないか試すことができたから。
やがて点をつけてなくても上級生の心は折れた。
プレイが適当になっていくのが分かる。
それは監督にもわかったようだ。
終了の合図が告げられた。
何も言えない上級生をよそにコーチが僕達に聞いてくる。
「スタミナ配分は出来てた?」
「冬吾が独り舞台してたから冬吾に聞いてやってください」
誠司がそう言った。
「冬吾。どうなんだ?」
「まだいけます!」
すると上級生が叫んだ。
「やってられるか!こんなチーム止めてやる!学校でやってた方がましだ」
監督は言う。
「そんな心がまえでやってたら学校でも通用しないぞ。強豪校を相手に負けを認めるのか?」
「だったら俺達にどうしろっていうんですか?」
「今の悔しさを忘れるな。いつかこいつらを越えてやる。そのくらいの気持ちで練習しろ」
そのためには今までのような適当な心構えで練習してたらだめだ。
「……もう一ついいですか?なんでこいつらをレギュラーにしないんです?」
上級生が聞いていた。
「こいつらにはさらに上に行って欲しいからだ」
それは上級生を踏み台にして上に上がれと言うのではない。
既に小学生高学年では相手にならない技術と体力を持っている僕達にここで慢心させてはいけない。
もっと高い位置を常に見るように敢えて試合には使わない。
「冬吾達は将来このチームを出る。このチームを支えるのはお前達しかいない」
監督が言うと上級生は何も言わなかった。
その後黙々と練習する上級生たち。
そして僕達もボールを蹴って遊んだり走り込みしたりしてた。
そして練習が終わり母さん達が迎えに来ると家に帰る。
家に帰ると夕食を食べてお風呂に入るとリビングでおじいさんと飲んでいる父さんに質問していた。
「僕達が目指す場所ってどこなんだろう?」
父さんは笑って答えた。
「それを聞いてどうするの?冬吾はまだ基礎を固める段階だ。基礎を疎かにして高さを求めても足下から崩れるだけだよ」
「そっか……」
「今日の練習何かあったの?」
父さんが聞くと僕は今日あったことを話した。
「なるほどね……」
父さんは考えている。
「冬吾。自分でもう見つけてるじゃないか」
「え?」
「冬吾の目標はこの前見てた試合のプレイの再現なんだろ?とりあえずそれを目標にしたらどうだ?」
なるほど。
でもそれは一人では無理だ。
「そうだ。冬吾一人では無理だ。だからチーム皆を引っ張ってやりなさい。焦ったらダメだよ」
「分かった!」
「今日はもう疲れたろうから休みなさい」
父さんにいわれると僕は自分の部屋に戻るとベッドに入る。
今日の練習は楽しかった。
フィールドの中を駆け回り自分の思い描くプレイを実現できた。
もっと素敵な場面を描ける。
それはまるで夢幻の翅模様の様に。
朝食に悩むことは無かった。
普通の旅館のような和食だった。
ご飯に吸い物に焼き魚に海苔に和え物等。
そして生卵と醤油がついてる。
「おかわりはいくらでもどうぞ」
僕を止める者はいない。
そして「おかわり!」
2杯目は海苔を食べながらおかずも食べる。
朝食を食べると部屋に戻って準備をする。
女子は眠そうだった。
夜遅くまで悩んだそうだ。
夢の国にするか海にするか。
悩んだ末夢の国に行くことになったそうだ。
男子の意見は聞いてなかった。
男子は「どっちでもいい」と言ってたから。
準備が済むと部屋を出て1階に降りる。
テーマパークに着くと先生から説明を受ける。
そして夢の国に乗り込む。
色々なアトラクションに乗る。
乗り物系のアトラクションだけじゃない。
見て回る物もある。
それらをゆっくり回っているとお昼になる。
ハンバーグとオムライスを食べた。
園内の飲食店にしては良心価格だったと思う。
昼食を済ませるとお土産屋さんを見て回る。
美希や海璃達女子は色々悩んでるみたいだ。
男子はあまり興味を示さなかった。
もちろん、女性陣を放って店の外で待ってるなんてことはしない。
善明は海璃のお土産選びに付き合っていた。
僕は北海道でお土産を買ったから特に買うものは無かった。
だから僕は店の外で待機をしていた。
のんびり選びなよ。
僕がいたら何かと気を使うだろうから。
そう言って外で待っていた。
後は地元に帰るだけか。
水奈は元気にしてるかな?
寂しがってないかな?
水奈は修学旅行で楽しんでる僕に遠慮してるのか、あまりメッセージを送ってこなかった。
だから僕からたまにメッセージを送っていた。
北海道の風景なんかを画像添付して送っておいた。
学校に帰ったらクリスマスイブがあってクリスマスがあって渡辺班の忘年会があって年を越す。
美希たちが店から出てきた。
時計を見るとそろそろ時間だ。
集合場所に集まると、皆が揃ったのを確認してバスに乗る。
羽田空港に着くと飛行機の時間を待つ。
ここでさらにお土産を買って荷物を増やす生徒もいた。
そして時間になると皆飛行機に搭乗する。
いよいよ地元に帰る時が来た。
(2)
飛行機に乗ると外を見てる。
飛行機が離陸し空を飛ぶ。
楽しかった5日間。
皆は疲れ果てて眠っていた。
僕達はこれが最後の修学旅行になる。
大学には修学旅行が無い。
そういえば高校はともかく大学の卒業旅行は光太達はどうするつもりなんだろう。
「それは心配ないと思うよ。志水建設に就職するんでしょ。母さんが無理にでも休ませるよ」
善明が言ってた。
行きの飛行機では見れなかったもの。
それは夜空。
星に近いからいっぱい見れるのかなと思ったけどそんなに変わりは無かった。
地上から見る星とそんなに変わらない。
藍に染まる恋し繭玉。
やがて揚羽の蝶になる。
空を包む夢幻の翅模様。
命が輝くように。
月を見る。
悲しみを映さずに世の揺らぎを見つめて嘆かず飛んでいる。
翅に月を映し揚羽の蝶になる。
揺らいでいる夜に生まれし銀河を渡る蝶が命を輝かせる。
月は満ちて息づく翼。
愛おしい横顔。
おぼろな星、大地には銀の涙。
繭たる僕達は七度身を変える。
やがて見えてくる夜の海に浮かぶ滑走路のビーコン。
着陸すると皆立ち上がって扉が開くのを待っている。
僕は最後に出る事にした。
どうせ閊えて進めないんだ。
少しでもゆっくりしていよう。
空港を出るとバスが待っている。
バスに乗り込んで高校まで帰る。
話声は全く聞こえなかった。
みんなの眠りの邪魔になると悪いので景色を見ていた。。
高校に着くとみんなの両親が迎えに来ていた。
母さんも来ていた。
荷物を車に積み込むと車に乗って家に帰る。
「今夜さっそく蟹パーティだからね」
札幌から送った蟹が届いていたらしい。
天音も冬吾も僕達が帰ってくるのを待っていたらしい。
家に帰ると荷物を整理してダイニングに行く。
鍋の中にある蟹。
冬吾と冬莉も自分で殻をむいて食べていた。
食べ終わると風呂に入って部屋に戻る。
しばらく留守にしていた部屋。
たった5日間空けていただけなのに懐かしく思える。
懐かしいで思い出した。
「帰ったよ。電話してもいい?」
水奈にメッセージを送るとスマホが鳴った。
「おかえり。疲れただろうから明日でもよかったのに」
「僕がいない間大丈夫だった?」
「一週間くらいなんてことないよ」
セリフとは裏腹に嬉しそうな声。
水奈に土産話を聞かせる。
来年は水奈達がいくんだと楽しそうに聞いてくれた。
2時間ほど話をして「疲れてるだろうし早く寝ろよ。私はどこにもいかないから」と水奈が言うので電話を切る。
疲れていたみたいだ。
ベッドに入るとすぐに眠れた。
おぼろに揺らめく星たち。
藍に染まる恋し繭玉。
いつか僕達は夢幻の翅模様を持った蝶に身を変えるのだろう。
(3)
今年はちょうど大会の歳だった。
4年に一度行われるクラブワールドカップ。
世界のトッププレイヤーが集まる大会。
サッカーは何が起こるか分からない。
魔物が潜んでいると言われている。
アディショナルタイムになっても試合終了のホイッスルが鳴るまで分からない。
それは見る方も同じ。
一瞬でも気が抜けない。
何が起こるか分からないのだから。
世界のトップクラスのフォワードを見ていた。
それは僕と同じポジションだから。
肉体は鍛えてある。
だけど身長差はどうにもならない。
ポストプレイは出来ないことはないけど高久君に任せてある。
ペナルティエリア内に侵入するその技術を見ていた。
本当に世界の選手たちはすごい。
想像できないドリブルやフェイントを見せてくれる。
こういう試合は僕にとって貴重な教材になる。
もちろん父さんに頼んでハードディスクに録画してもらってる。
何度でも見れるように。
本当はあまり必要ないんだけど。
だって一度見たプレイは脳裏に焼き付けているから。
試合が終わると母さんに「まだそんなに夜更かしをしてはいけません」と叱られる。
「ちゃんと録画してあるから休みの日にじっくり見なさい」
「は~い」
母さんに返事すると、僕は部屋に戻る。
本当は今からでも練習したいくらいだけど寝る事にした。
夜だから照明がないとボールが見えない?
夏休みの夜父さんと公園で遊んだことがある。
闇の中をボールを蹴って遊んでいた。
ボールは見えない。
だけど父さんは正確にボールを捕らえて僕に蹴り返してくる。
何度かやってるうちに僕も出来るようになった。
それからボールの位置は感覚で蹴るようになった。
試したいテクニックがある。
試したいプレイがある。
だけどプレイは僕一人じゃ出来ない。
次の練習の時に手伝ってもらおう。
早く明日にならないかなとか考えながら眠っていた。
練習日。
女子達が見に来てくれた。
相変わらずフィールドの外でボールを蹴ったりしてたけど。
「たまには1対1やってみね?」
誠司が言うと皆賛成した。
僕の相手は誠司がしてくれた。
誠司がボールを奪う側。
僕は誠司を抜く側。
僕のドリブルはいきなりトップスピードに入る。
誠司もその事を知っている。
一定の距離を置いて待ち構える。
誠司は僕が左足しか使わないのを知っている。
だから左足を執拗に狙ってくる。
早速テレビで見た技を試してみる。
トップスピードからの直角ターン。
あっさりと誠司を抜き去る。
追いかけてくる誠司を待って誠司が背後に迫るとフェイントをかける。
他にもシザースやマルセイユルーレットと呼ばれるフェイント等をいくつか試してみた。
誠司が疲れて降参する。
他の皆もプレイを止めて僕を見ていた。
女子も歓声を上げている。
「どこの世界にトップスピードでクライフターンする小学生がいるんだよ!」
誠司が抗議する。
「お前だけいいかっこさせねーぞ!攻守交替しようぜ!俺だってドリブルには自信があるんだ!」
そう言って誠司が僕を抜いた試しは一度もない。
父さんは言ってた。
「ドリブルで抜くよと宣言してる時点で攻める方は不利なんだよ」と。
誠司だってドリブルは上手い。
だけどどこを抜いてくるか何となくわかるから取れないはずがない。
そんな事をして遊んでると上級生が絡んできた。
「かっこつけてんじゃねーよ!女子にキャーキャー言われたいのかもしれないけど練習の邪魔なんだよ」
ちなみに練習は休憩時間に入ってコーチたちは何か相談していた。
「別にそんなつもりでやってたわけじゃないんだけど?」
ただ遊んでただけなんだけどな。
「お前ちょっと上手いからって天狗になってるんじゃないのか!」
「気に障ったならあやまります。ごめんなさい」
面倒事はおこしたくない。
しかし上級生の不満がここぞとばかりに爆発した。
様々な不満をぶつけてくる。
すると監督が言った。
「年末だしな。そろそろ慣れておくのもいいかもしれない」
僕達とレギュラーで試合をしよう。
ただし接触プレイは認めない。
確認した時点で即中止にする。
僕達にビブスが渡される。
ただのビブスだけど10番を渡された時は嬉しかった。
そして準備に入ろうとフィールドに入ると監督が言った。
「冬吾、お前は控えだ。ベンチに座ってみてろ。劉也。お前が入れ」
10番をつけて控えか。
なんか悔しいけど仕方ない。
上級生のストレス解消に僕達を利用してるのか?
僕達に上級生の凄さを体感させたいのか?
単に試合形式というものを体験させたいのか分からないけどゲームは始まった。
恐らく監督の予想外だったのかもしれない。
まだサッカーの練習を始めて1年も経たない僕達が優位に試合運びをしていた。
激しい削りはないものの、ボールを保持する誠司にチェックは入る。
それをものともせず誠司はじっくりとスペースを探す。
そしてスペースを見つけると素早くボールを送り込む。
江崎劉也君や高久隼人が飛び込んでシュートを決める。
ディフェンスも圧倒的だった。
しっかりプレスを決めてボールを奪うと誠司に渡すか村木兄弟を使って両サイドから攻めるか水野君や白岡君が即時に判断する。
守備がしっかり連係を取れてるのはゴールキーパーの江本君の的確な指示もあった。
もちろんロングシュートも打ってくる。
だけどペナルティエリア外からのシュートは絶対決めさせないと自負する江本君の守備は的確だった。
上級生は劣勢になると自陣のペナルティエリアを固めだす。
いくら高久君や江崎君が背が高いといってもやはり6年生の方が高い。
ポストプレイを上手く決められずに攻めあぐねていた。
すると監督が動いた。
「冬吾。今からゲームに参加する準備をしなさい」
監督に言われると、僕はベンチから立ち上がり軽く体を温める。
それをみた誠司がボールをわざと外に出す。
僕は江崎君と交代した。
ゲームが再開されると僕はフィールドをウロウロする。
全くプレイに関係ない所もくまなくチェックする。
上級生はそれを見て笑っていた。
「あいつびびってプレイに参加しようとしないぜ」
そんな罵声を浴びていた。
ゲームが止まると誠司が近づいてきた。
「どうだ?」
「もういいよ」
それが僕と誠司の合図だった。
誠司のパスは的確だ。
ここだと思った位置に正確にタイミングも合わせてくる。
僕はそのタイミングに合わせて飛び込むだけでいい。
ボールをゴールに向かってける。
僕もキックには自信があった。
正確に針に糸を通すようにしっかりボールが通る隙間を通す。
キーパーが取りずらい場所をめがけて飛んでいく。
江本君が「ペナルティエリア外からのシュートは絶対に捕る」というなら僕は「狙ったシュートは絶対に枠から外さない」自信があった。
ゴールの端っこギリギリの位置で決める。
中に固まってるから外から打つのは容易だった。
やがて中に固まっていたディフェンスが広がってくる。
僕にマークがついた。
それでも誠司はスペースとタイミングを狙って僕にパスを送り続ける。
僕も相手の守備を嘲笑うようにシュートを打つ。
片手でキャッチやパンチングを試みても通用しない。
両手でしっかりつかまないと僕の「ブレ玉」はとれない。
そして僕の打つシュートは無回転だけじゃない。
エンドラインからシュートを打つときは若干回転をかける。
ボールはゴールに吸い込まれるように入る。
もちろんサッカーは一人でやれるスポーツじゃない。
僕のマークが増えると僕は踵でボールを後ろに蹴る。
後には誰もいない。
そんな事いちいち見なくても分かってる。
僕が放ったボールはフィールドの小石に当たって向きを変えてバウンドする。
その先で高久君が待ち構えていた。
フリーになりキーパーからは敵のディフェンスが壁になって見えない高久君は利き足で触るだけでいい。
なんで小石があるのを知ってたのか?
さっきフィールドを見てたから。
把握できている。
そうやってまともに点をつけていたら心が折れていたかもしれないゲームは続いた。
僕は楽しめた。
誠司や高久君、水野君をつかってテレビで見たあのプレイを再現できないか試すことができたから。
やがて点をつけてなくても上級生の心は折れた。
プレイが適当になっていくのが分かる。
それは監督にもわかったようだ。
終了の合図が告げられた。
何も言えない上級生をよそにコーチが僕達に聞いてくる。
「スタミナ配分は出来てた?」
「冬吾が独り舞台してたから冬吾に聞いてやってください」
誠司がそう言った。
「冬吾。どうなんだ?」
「まだいけます!」
すると上級生が叫んだ。
「やってられるか!こんなチーム止めてやる!学校でやってた方がましだ」
監督は言う。
「そんな心がまえでやってたら学校でも通用しないぞ。強豪校を相手に負けを認めるのか?」
「だったら俺達にどうしろっていうんですか?」
「今の悔しさを忘れるな。いつかこいつらを越えてやる。そのくらいの気持ちで練習しろ」
そのためには今までのような適当な心構えで練習してたらだめだ。
「……もう一ついいですか?なんでこいつらをレギュラーにしないんです?」
上級生が聞いていた。
「こいつらにはさらに上に行って欲しいからだ」
それは上級生を踏み台にして上に上がれと言うのではない。
既に小学生高学年では相手にならない技術と体力を持っている僕達にここで慢心させてはいけない。
もっと高い位置を常に見るように敢えて試合には使わない。
「冬吾達は将来このチームを出る。このチームを支えるのはお前達しかいない」
監督が言うと上級生は何も言わなかった。
その後黙々と練習する上級生たち。
そして僕達もボールを蹴って遊んだり走り込みしたりしてた。
そして練習が終わり母さん達が迎えに来ると家に帰る。
家に帰ると夕食を食べてお風呂に入るとリビングでおじいさんと飲んでいる父さんに質問していた。
「僕達が目指す場所ってどこなんだろう?」
父さんは笑って答えた。
「それを聞いてどうするの?冬吾はまだ基礎を固める段階だ。基礎を疎かにして高さを求めても足下から崩れるだけだよ」
「そっか……」
「今日の練習何かあったの?」
父さんが聞くと僕は今日あったことを話した。
「なるほどね……」
父さんは考えている。
「冬吾。自分でもう見つけてるじゃないか」
「え?」
「冬吾の目標はこの前見てた試合のプレイの再現なんだろ?とりあえずそれを目標にしたらどうだ?」
なるほど。
でもそれは一人では無理だ。
「そうだ。冬吾一人では無理だ。だからチーム皆を引っ張ってやりなさい。焦ったらダメだよ」
「分かった!」
「今日はもう疲れたろうから休みなさい」
父さんにいわれると僕は自分の部屋に戻るとベッドに入る。
今日の練習は楽しかった。
フィールドの中を駆け回り自分の思い描くプレイを実現できた。
もっと素敵な場面を描ける。
それはまるで夢幻の翅模様の様に。
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