姉妹チート:RE

和希

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3rdSEASON

微睡む意識の中で

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(1)

「わあ~本物のライオンだ」

檻籠に閉じ込められたかのようなサファリバスに乗っていた。

「じゃあ、餌をあげてください」

係員の指示があると父さんが僕に餌を渡す。
バスに設置されてある餌やり場からライオンの口に肉をやる。
誠司は「好き嫌いは良くないぞ」と人参とか食べさせようとして誠司の母さんに叱られていたけど。
連休の最終日。
僕達はサファリパークに来ていた。
普通に車で入れる場所だけど父さん達は敢えてサファリバスを選んだ。
理由はすぐにわかった。
動物たちは賢いみたいだ。
獰猛なイメージのライオンですら一般車両には近寄ろうとせずただ寝ているだけ。
だけどサファリバスが来ると一斉に集まってくる。
僕達が餌を持っていると知っているんだ。
ライオンだけじゃない。
色んな動物がいくつかのエリアにわけられ生活している。
何もしなくても餌が与えられるのは他の動物園と変わりないらしくて普段はのんびり生活しているみたいだ。
いくつかのエリアを抜けるとサファリバスを降りて散策する。
猫や犬に触れ合えたり、ミニチュアホースに乗れたりカンガルー等の動物に接することが出来る。
虎やライオンの赤ちゃんを抱っこして写真を撮ったりもできる。
水奈姉さんたちも抱っこしてた。
天音姉さんは不機嫌だ。
原因はサファリパークに来る途中車の中にあった。
昨日純也兄さんが梨々香さんと映画を観に行った際パンケーキの店に行ったそうだ。
それは駅ビルの中にある。
しかし天音姉さんがその事を知らなかった。

「そう言う情報をはもっと早く言え!」

天音姉さんは怒った。

「天音は帰り道だからいつでも寄れるだろ?」

水奈姉さんが言う。

「学校始まったら絶対に行ってやる。その焼き肉屋も行ってやる!」
「食べ過ぎて夕ご飯食べれないなんて言っても母さんは許しませんからね!」

天音姉さんに限ってそれはないと思う。
原因はそれだけじゃない。
このサファリパークに来て名産らしいものがソフトクリームしかなかった事も原因の一つだ。

「なんでサファリパークまできてカレーやラーメン、オムライスなんだ!!」

天音姉さんはそう叫ぶ。
ちなみに天音姉さんは全部食べた。

「帰ったら夕食は焼肉に連れて行ってやるから」

父さんがそう言う。
今夜は焼肉か。
そうして一通り楽しむとサファリパークを発って家に帰る。
家に帰る途中で梨々香さんを家の前で降ろす。

「お世話になりました」

梨々香さんはそう言って礼を言うと家に入る。
僕達は家に帰る。
それから徒歩でのんびり焼肉屋さんまで歩く。
徒歩で行ったのは父さんがお酒を飲むから。
母さんは大きな車の運転は慣れてないらしい。
それに母さんも父さんとお酒が飲みたいから。

「天音!まだちゃんと焼けてないでしょ」
「熱さえ通っておけば問題ねーよ!」
「だめ!ちゃんと焼き終わってから食べなさい!」

我が家が焼肉に来ると「野菜も食べなさい!」とは言われない。
「野菜を生で食べてはいけません!」と注意される。
この店は2時間食べ放題のコースがある。
もちろん飲み放題もある。
今日サファリパークで見た餌に群がるライオンの光景が今再現されていた。
一緒に来ていた誠司達も驚いている。
僕はのんびり母さんが焼けた肉を取ってくれるのを満遍なく食べていた。
純也兄さんは昨日も夜は肉だったらしくてあまり食べれないらしい。
もったいないなあ。
結局母さんはあまり飲めなかった。
水奈姉さんと空兄さんは2人で分け合って食べていた。
大地兄さんに天音姉さんは止められない。
母さんは天音姉さんを制御するので手一杯だった。
30分前になるとドリンクのラストオーダーが来る。
片桐家はそこからが本領発揮。
残り30分で焼けるだけの肉を注文する。
いくらでも食べられるけど鉄板に焼ける面積は決まっている。
そこからどれだけの肉を焼けるのか計算する。
何度も来てる店なのでだいたい把握できていた。
時間になると大人しく帰る。
帰りはタクシーを何台かに分けて帰る。
理由は帰る途中にコンビニがある。

「コンビニ寄ろう!お菓子買って帰りたい」

天音姉さんが主張するから有無を言わさず帰る為にタクシーを利用する。
家に帰ると順番にお風呂に入る。
僕も風呂に入ると部屋に戻る。
父さんに買ってもらったサッカークラブを作るゲームをやる。
ゲームでスーパープレイが起こるとそれをしっかり見る。
そうやってドリブルやパス、連係プレイのヒントを掴む。
22時を過ぎる頃母さんが部屋にきて「もう遅いから、そろそろ寝なさい」と言う。
あ、忘れてた。
僕はスマホを持って瞳子にメッセージを送る。
今日あった事なんかを伝える。
瞳子も旅行してたらしい。
鹿児島に行っていたそうだ。
話を聞いてみたいけど今日はもう遅い。

「また明日話を聞くよ。おやすみなさい」
「うん、冬吾君も話聞かせてね。おやすみなさい」

スマホを机に置いてケーブルを繋げると再びベッドに入る。

(2)

「お、水奈。来たか」

私に気付いた空が声をかけた。

「せっかくの家族でお出かけなのにいいのか?」

私が空に聞くと空の母さんが変わって答えた。

「水奈ももう家族同然なんだから気にしないで」

私は空に嫁ぐことに決まってるらしい。
別に悪い気はしなかったけど。
今日は連休最終日。
昨夜空から一緒にいちご狩りいかないか?と誘われた。
空は今年度大学入試を控えている。
余り遊びに誘ったら悪いかな?と思っていたんだけど私の事も忘れていなかったようだ。
今年空は車の免許を取るそうだ。
そして大学に合格したら一人暮らしを始めるらしい。
そうしたら家族全員で集まることもないだろうからと空の父さんが提案したそうだ。
助手席には空の母さんが乗っていた。
空の父さんの運転する助手席は絶対に譲らないらしい。
私も空の車の助手席を占有できる日がくるのだろうか?
苺ファームは市内にあった。
到着すると40分間食べ放題のコースを選択する。
そしてひたすら苺を食べる。
デザートは別腹。
そんな事を誰かが言っていた。
もっとも天音には別腹も何も関係ないんだろうけど。
時間が経つと折角だからとソフトクリームとアイスクリームを食べた。
冬莉達も食べていた。
空は無理って言っていた。
空でも苦手な食べ物ってあるのかな?

「近くにショッピングモールあるしそこで昼食にしようか?」

空の父さんが言った。
ショッピングモールに行くと天音はラーメン、空はチャンポン。茜達はハンバーガーで軽く済ませた。
昼食を食べるとやる事がない。
しかし今から行くとこと言っても限られている。
結果私と空は別行動で。夕食時になったらスマホで呼ぶと空の父さんは言った。
私達はどうしようか相談した。

「せっかくだし映画でもどうだ?」
「観たいのあるのか?」
「まあ、あるんだけど……」
「じゃ、それにしようぜ」

私は特に観たいものは無かった。
面白いのがあったのならBlu-rayで見ればいい。
空が選んだのは恋愛漫画の実写化だった。
互いの両親のパートナーを降参しての再婚により一つ屋根の下で暮らすことになった男女が織り成す恋模様が描かれている。
その漫画は漫画喫茶で読んだ事がある。
結構泥沼化してる作品だった。
だけど映画では綺麗にまとめられていたようだ。
でも空がこんな作品を選ぶとはな。

「暇なときに父さんが買っていた漫画の中にあってさ、気になってたんだ」

なるほどな。
私達が劇場を出るとスマホの電源を入れる。
メッセージが入っていた。

「そろそろご飯にしようか?」
「分かった。集合場所はゲーセンの前でいいか?」
「ああ、その方が助かる」

私達はゲーセンに向かった。
空の父さん達と合流すると夕食を何食べるか決める。
定食屋さんに入った。
迷った時はその方がいい。
そして定食屋独特の焼き魚を食べる。
空はマグロご飯とうどんを食べていた。

「水奈は高校生活はどう?」

空の母さんに聞かれた。

「今のところ何も事故とかは無いです」

天音からも特に何も聞いてないな。
街で遊んで帰るらしいけど。
それだけが羨ましいと思った。

「勉強はついていけてるのか?」

空の母さんが聞いてきた。

「大丈夫です。空がしっかり教えてくれるから」
「空の家庭教師は凄く上手いみたいなんだ。水奈が自分から勉強する日が来るとは思わなかった」

母さんがそう言って空を褒めていた事を伝えた。
空も胸をなでおろしていた。
文系か理系か聞かれた。
多分文系だろう。
理系が好きだけど進学後の就職とかは考えてない。
だったら空と一緒の方が都合がいい
そう両親に説明した。
食事が終ると家に帰る。

「夏休みの間に免許取るよ。秋には車買ってると思う」

そしたら車でドライブに行こう。
空がそう言った。

「楽しみにしてる。じゃあな」

そう言って車を降りると家に入る。

「お、早かったな」

父さんが言う。

「まあ、明日から学校だし」
「疲れただろ?風呂入って休め」

母さんが言うと風呂に入って部屋でテレビを見てた。
学からメッセージが届く。
やり取りを終えるとベッドに入る。
疲れていたのだろうか?
すぐに眠りについた。
明日からまた学校生活が始まる。
1学期は始まったばかりだった。

(3)

昼休みに入った。
机の上に弁当と買ってきたパンを置く。
クラスメートと一緒にご飯を食べる。
それが当たり前だと思っていた。
しかしふと気づくと1人ぽつんと弁当を食べながらスマホを弄ってる女子に気付く。
確か蒼山美加って言ったっけ?

「お~い、蒼山」

私は当たり前のように声をかけていた。
蒼山は私の方を振り向く。

「一人寂しく食ってないでさ。こっち来いよ」
「一人にさせてくれないか」

蒼山はそう言う。
だけど蒼山の意思がどうあれ私は納得いかない。
皆グループを作って食べてる中一人孤立している奴を放ってはおけない。

「いいから来いよ。別におかずたかろうってわけじゃないんだから」
「どうして私に構うの?」
「見てしまったからしょうがないだろ?蒼山が来ないなら私がそっちに行く」

私がそう言うと蒼山も観念して私達と一緒に合流した。
調理科の生徒というだけあって皆自分で弁当を作ってくる。
そしてその弁当の気合の入りようはすごい。
ちなみに私はそこまで時間をかけない。
手早くそしてたっぷりとが私の弁当のコンセプト。
蒼山も私寄りだ。
もっとも量は全然違うけど。
でもシンプルな弁当だった。

「で、私を呼んだ理由は?」
「別に?一人で食ってたから誘ってみただけ」

食事は楽しく。
だから一人で食ってる蒼山を放っておけなかった。
ただそれだけ。
楽しくって言うからには何か話しかけないとだめだよな。
鉄板の質問をしてみた。

「蒼山って彼氏いるの?」
「いるよ」

意外だった。
クールというか無愛想な蒼山に男がいたなんて誰が想像しただろうか?
一緒にいた友達も驚いていた。
このクラスの女子は大体彼氏がいる。
そして大体が防府高校の男子。
蒼山も類に漏れないようだった。
佐渡康平。
大地の高校の友達らしい。
本当に世間て狭いな。
正義感が強く律義な奴。
言い換えればくそ真面目な優等生タイプ。
それなら蒼山にあうだろう。
一見クールぶってる蒼山も話をしているうちに打ち解けていった。
皆と話をしているのを聞きながらスマホを弄っていた。
そして蒼山に言う。

「お前もSHに入れよ」
「そういうのって私の趣味じゃない」

そう言うと思ったよ。

「佐渡も入ったみたいだぜ」

そう言ってスマホを蒼山に見せる。

「うちのグループまだ男子が足りないからさ。横取りもあり得るぜ」

心配だろ?
心配だったようだ。
蒼山は渋々SHに入る。

「で、何をやるグループなの?」
「特に何も?」

高校に入って特に何も無いな。
とはいえ、何かやらないとまずいよな。
閃いた。

「紗理奈。今日放課後暇か?」

私は渡辺紗理奈に聞いていた。

「ああ、いつだって暇だ。カラオケでも行くか?」

帰りに寄る場所と言ったらゲーセンかカラオケくらいしかない。
SAPで遊びまくるって手もあったな。
街のSAPは近所のSAPとは一味違う。
屋上に作られた観覧車やジェットコースターがある。
だけど今日の私はどれも選ばなかった。

「ちょっと行ってみたい店があるんだ」
「なんの店だ?クラブでもいくのか?」
「パンケーキの店」

女子高生らしいだろ?
茜から聞いた店。
一度行ってみたいと思ってた。
駅ビルにはまだ他に色々お店があるらしい。
3階のフードコートしかないと思ってた私は致命的なミスを犯していたようだ。
やっぱり雑誌とかネットとかで調べないと駄目だな。
どうせ駅ビルの前を通ってバス停に行くんだ。
行ってみる価値はある。
クラスの皆も誘っていた。

「ごめん、連休に遊び過ぎて金欠なんだよね」

そう言う奴もいた。

「私は大丈夫だぞ」

紗理奈は言った。

「じゃあ、決まりだな」

そう蒼山に行った。

「私は行くこと確定なんだね」

蒼山は観念したようだ。
何人かで話しながら駅ビルに入ってその店に入る。
駅ビルの一階は宝石店や高いブランド物の店が並んでいる。
特に興味がないのでさっさとエスカレーターで上に行ってしまうので見落としてしまう。
同じような女子高生が列を作って並んでいた。
制服からして西校や藤明の子が多い。
まだ会社帰りのOLが並ぶには早い時間だった。
席に着くとメニューを見る。
ダッチベイビーと呼ばれるパンケーキが売りだった。
ちょっと想像していた。パンケーキと違う。
それにリンゴとシナモンを乗せた料理がある。
それとミックスフルーツを乗せた普通のパンケーキを注文する。
トッピングも出来るらしい。
ホイップや、バニラアイスはともかく目玉焼きにベーコン?
まあ、海外じゃパンケーキは朝食らしいから普通なんだろう。
普通なんだろけどホイップクリームとバニラアイスにしておいた。
それと飲み物を頼む。
全部頼んだら焼肉食い放題くらい行ける額になった。
今度から大地と来よう。
フレンチトーストですら下手すればラーメン替え玉出来るくらいの値段だった。
女子高生が「放課後お茶して帰らない?」で済む価格ではない。
海外に本店があって近年日本に上陸したらしくて東京でも並ぶ店なんだそうだ。
また来ればいつでも見れるだろ?とは言いにくい店だった。
その後話題は蒼山を中心にパンケーキを食べる。
パンケーキにこれだけ金払って不味かったらテーブルひっくり返すところだ。
それなりの味だった。
店を出ると「どうする?」と紗理奈が言う。

「もう一件寄りたい店があるんだけど?」
「天音、まだ食うつもりか?」
「中学生でも食えるらしいぞ」
「まあ、お前がそう言うなら私はつきあうけど」

紗理奈は残る。
蒼山に選択肢はない。

「蒼山の歓迎会なんだから。お前は残れ」
「……べつにいいけど」

茜に聞いた焼き肉屋の系列店に行く。
高校生が食べにくる価格ではなかった。
2人はハンバーグを頼んだ。
スープとご飯はついて来るらしい。
問題は何をおかずにするかだ。
滅多に来ないだろうし食べれるだけ食べておきたい。
ステーキと牛タンとサラダとデザートを頼んだ。
2人もデザートは抑えていた。
ご飯が足りないのでおかわりを注文した。
目一杯食った。
今度からは大地を連れてこよう。
帰ったら愛莉に小遣い交渉しないとやばいな。
店を出ると、蒼山に聞いてみた。

「どうだ?彼氏もいいけど女子友達と遊ぶのも悪くないだろ?」
「遊ぶっていうか食べてただけじゃないか」

蒼山は笑っていた。
蒼山の家も近所らしい。
一緒のバスで帰る。

「……ありがとうな。密かに憧れてたんだよね。こういう遊び。天音の言う通り彼の前じゃ出来なくてさ」

蒼山がそう言う。

「そうだろ?男子同士でだって遊んでるんだ。女子同士で遊んでも文句言われる筋合いねーよ」

次はカラオケとか行こうな?と約束すると家に帰った。
もちろん夕食も食べる。
さすがにきつい。
きついと言えば財布の中身もきつい。
さすがに大地に「金くれ」とは言えない。
愛莉が風呂に入ってる隙をついてパパにねだる。

「パパ~お願いがあるんだけど」
「どうした?天音」
「今月小遣いピンチなんだよね。少し都合してもらえないかな?」
「そう言う交渉は母さんにする決まりじゃないのか?」
「そこを何とかお願いします」
「……一体何を買ったの?」
「聞いてくれよパパ。パンケーキと肉を食っただけなんだ」
「そんな高い店だったのか?」

下手すればクリスマスディナーが食える額だと説明する。

「純也が言ってた店に行ったのかい?」
「うん」
「美味しかった?」

パパが感想を聞いてくる。
そして味を説明してると愛莉が戻ってくる。
しまった。
パパと話をしていると長引いてしまう事を忘れていた。

「天音?部屋に戻らないで何してるの?」

まずい!

「ああ、愛莉。天音に小遣い渡してやってくれないか?」

愛莉に内緒でっていうのを忘れてた。
それを聞いた愛莉の表情が険しくなる。
私の行動など愛莉はお見通しだ。
だって私はパパの娘なんだから。

「天音、そういえば今日は随分夕飯控えめでしたね?まさかまた買い食いしたんじゃないでしょうね?」
「そうみたいだよ。美味しかったそうだ」

パパ、そう言うのは言わないのが約束だろ?

「天音!!」

母さんの説教が続いた。
説教から解放されると部屋に戻る。

「随分絞られてたみたいだね」

茜がPCを操作しながら言う。

「ちょっと高い肉食ったくらいいいじゃんな」

まあ、いくらか小遣いもらえたからいいや。
次からは大地を連れて行こう。
意外と駅ビルには店が多いみたいだ。
食べ歩いてみるのもいいかもしれない。
いつもとんこつラーメンやら味噌ラーメンだったからな。
大地も喜ぶだろう。
この前パパが買ってきた新作のゲームをやっていた。
パパは3本ゲームを買ってきていた。
私は戦闘機のゲームを、空はFPSの最新作を、冬吾は架空世界を舞台にした戦車のゲームをやっていた。
どれも人気シリーズの最新作だ。

「終わったら父さんに貸してくれ」

パパもゲームは好きだし上手だ。
うちでゲームに興味があるのはパパと空と私と冬吾。
茜はネットで適当にゲームをやってる。
課金と呼ばれる行為はあまりしない。
暇な時間に気が向いた時にやるていっだから必要ないのだろう。
冬吾は誠司達がやってるからやってるだけ。
最近だとモンスターを倒すネットゲームに夢中になってた。
茜が寝る頃になると私もベッドに入る。
ゲームというかテレビの光は思った以上に強い。
睡眠の妨げになったら悪い。
もっとも中学生になった茜は勉強やらで日付が変わってから寝るようになった。
私もそのくらいには寝ないと朝が早い。
大地にメッセージを送って寝る。

「今度週末街に食事に行かない?」

大地は最近デートに誘ってくれるようになった。
離れているから不安にさせたくないと思ってるのだろうか?

「わかった」
「じゃあ、楽しみにしてる。おやすみなさい」

週末大地は悲鳴を上げる事になると思ったけど。

「天音もこういう料理に興味持つようになったんだね」

そう言う感想をもらった。
大地の懐は全然大丈夫らしい

(4)

今年も始まる夏の祭典。
僕達はスポーツをしてるわけじゃないけど年に一度県内の高校生が一堂に集まる。
そして部活生は総体への切符を目指して頑張る。
すでに試合が始まっている種目もある。
今日は開会式。
スポーツをやってない者たちもこの日は盛り上がる。
うちの学校の男子も「あの制服どこの高校だろう?」と騒いでいる。
1年生はまるでお見合いでもしてるかのような状態だ。
僕の通う防府高校と天音が通う桜丘高校のカップル率が凄かった。
何かあったのだろうか?と思うほどのカップルの数。
応援席には行かずに今通路で話し合っている。
僕達も光太と話をしていた。

「開会式終わったら。ファミレス行かね?」

そしてその後はSAPで遊ぶ。
いつもの事だ。
部活生が死闘を繰り広げている裏側で僕達は盛り上がってパーティを楽しんでいる。
ファミレスでお腹を満たすとSAPでボーリングしてゲーセンで遊んでカラオケ行って最後にファミレスで夕食。
夕食を食べ終わると皆解散する。
家へと帰る。
天音がまだ帰っていない。
電話をかけても出ないそうだ。
父さんも心配していた。
そして帰って来た時には日付が変わっていた。

「今まで何をしてたのですか!?」

母さんが天音に説明を求める。

「ちょっと中学校のクラスメートと盛り上がって遊んでただけだよ」
「もうお店に入れる時間じゃないでしょ!」
「別に店に入れなくても遊べるだろ?」

コンビニの前でたむろしていたらしい。
こんな夜遅くに外をうろついてたら危ない時間だよ。
天音は何も言わなかった。
しかし父さんと母さんは見逃さなかった。
今日は開会式に出るだけ。
どこの高校も一緒だ。
それにしては荷物の量がすごい。
天音は嘘をついている。

「天音、鞄の中味だしなさい」

翼が言う。
嫌がる天音ともみあいになる。
そして床に転がる荷物を母さんが取って確認した。
出てきたのは私服だった。
制服だと夜間お店に入れない。
だから着替えた。
そしてまた帰る前に着替えて来た
まあ、冷静に考えてみたら天音の友達の人数でコンビニの前にたむろはないだろう。

「どこに行ってたの?」
「怪しい店には行ってない!」

単にカラオケに行ってただけ。
それは本当みたいだ。
だけど母さんは怒っていた。

「どうしてそんなバレる嘘つくの?」
「空たちだって夜遅くなる時あるじゃないか!」
「そういう問題じゃない!どうして隠し事をするのですか?」

2人の意見は平行線のままただ時間だけが過ぎた。

「今夜はもう遅いから寝なさい」

父さんが言うと僕は部屋に戻る。
天音も風呂に入って寝たようだ。
そしてその日は眠った。
次の日は休みだった。
だけど朝皆起きてダイニングにやってくる。
天音も起きて来た。
どんなに喧嘩をしていても食事中は休戦。
片桐家のルールを守っていた。
そしてそそくさと朝食を終えると部屋に戻ろうとする天音を父さんが呼び止めた。

「天音、待ちなさい」

天音でも父さんには逆らえない。
席に戻る
父さんは静かに言った。

「じゃあ、昨夜の続きをはじめようか」
「……もう話したって時間の無駄だろ?」
「天音と愛莉が話をしていてもそうだろうから父さんから質問するよ」
「嘘をついたのは悪かった。ごめんなさい。これでいいのか?」
「だめだ」
「じゃあ、どうすればいいんだよ!?」

天音の語調が荒くなる。
母さんが何かを言おうとすると父さんがそれを制した。

「まず天音は思い違いをしている」

父さんが言う。

「どういう意味だよ?」
「嘘をついた理由に問題があるんだ。嘘をついた事自体は気にしてない」

じゃあ、何が問題なんだろう?

「嘘をついたのは『本当の事を話したら父さん達に叱られるから』そう思ったんじゃないのか?」
「……うん」

まあ、そりゃ怒られるだろうな。
だけど父さんは言う。

「天音は父さんや愛莉を信じてもらえないのか?皆天音を心配してたよ」
「だからそれは悪かったって……」
「天音は夜遊びしたから怒られる。そう思ってるのだろうけどそれは違う。天音は夜パーティに出かけたりするんだ。叱る理由がないだろ?」

天音も高校生だし休日前だ。徹夜くらいしてくるだろう。
大地がいる、大地の家に泊まるって事もあるだろう。
もうそういう歳頃だと父さん達は理解しているらしい。
学校に差し支えないなら文句は言わない。
天音はやることはやってるんだから。

「じゃあ、何が問題なんだよ?」

天音が聞いた。

「天音はそんな僕達が信じられない?それは凄く悲しい事だ」

家族や恋人を信じられないなら何を信じて生きていくつもりだ?
父さんは言う。

「夜カラオケに行ってるのがばれたら僕達に怒られる。その時点で信用がないってことじゃないか」
「……ごめん」
「分かってもらえたらいい。ただ連絡くらいして欲しい。天音を放任してるわけじゃない。僕だって天音の親だ。夜になっても連絡一つないんじゃ心配するよ」
「わかった」
「愛莉だってそうだ。何かあったんじゃないか?そう不安になってた事を忘れてはいけない」
「愛莉……ごめん」
「分かってもらえたらいいの」

天音が謝ると天音の頭を母さんが撫でた。
そんな2人を満足そうに見る父さん。

「愛莉はそうだな……久しぶりにあれはどうだ?」

父さんが母さんに提案する。

「あれって何ですか?」

母さんが尋ねる。

「罰ゲームだよ。さすがに連絡もしないで夜遊びしていた娘になんのお咎めが無いのは親としてまずいだろ?」

父さんが言うと、天音は神妙な顔つきをする。
小遣い減らされるか当分の間外出禁止くらいは覚悟していたんだろう。
しかし連絡したら夜遊びしていいのだろうか?

「そんな事言ったら初詣はどう説明するんだ?」

父さんが僕の疑問に答えてくれた。
それもそうだな。

「罰ゲームですか……あっ!良い事思いつきました」

母さんはいいアイデアが浮かんだようだ。

「調理科に通って2ヶ月になるんです。腕前を披露してもらいましょう」

今晩の夕食を天音に任せるという。
それなら今夜は天音は夜遊びできない。

「言っとくけど授業じゃまだやっと米のとぎ方教わったくらいだぞ」

天音はそう言って笑った。

「天音は大地のパーティで美味いもの一杯食べてるんだ。味付けは信用してるからね」

父さんがそう言って天音の頭を撫でる。
夕方になると両親は天音を連れてスーパーに買い出しに行った。
帰ってきて食材を並べると料理に取り掛かる。
進化した天音の料理を楽しむと片づけは母さんがして、僕は風呂に入って部屋に戻った。
天音の料理は美味しかった。
量も満足した。
テレビを見ながら水奈と電話をする。
そして父さんの言葉を思い出す。
信頼。
だから信頼を裏切るような真似をしてはいけない。
だけど父さんはどんな状況下でも子供たちを信じていくのだろう。
親が僕達を信じてくれなかったら誰が僕達を救ってくれる?
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