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4thSEASON
春のその向こうへ
しおりを挟む「それじゃ、皆乾杯!」
光太が言うと宴会の始まり。
今日はSHの新人歓迎会と花見を兼ねて公園に着ている。
桜もちょうど見頃で綺麗に咲き誇っている。
舞い散る桜の花びらが飲み物の中に落ちたりと風情のある日だ。
僕も前期が始まって一週間が経っていた。
水奈と一緒に忙しい日々を過ごしてる。
前もって水奈に履修の仕方を教えておいたので地獄のような前期を過ごすという事は無かった。
朝も1限は基本科目だけ取っておいてゆっくりめでいいと助言しておいた。
遊達も元々勉強する気が無いので最低限の科目しか履修していない。
もっともその分バイトに精を出しているみたいだけど。
人数も増えてにぎやかな宴になっていた。
盛り上げているのは天音達だけど。
「水奈、何で飲まないんだ!?入学式の時もそうだったが付き合い悪いぞ!」
「悪い、空がいるから飲めない」
「空が原因か!?空、水奈にだって自由を与えてやれ!」
「そうじゃないんだ」
「じゃあ、何だよ?」
水奈は恥ずかしそうに言った。
「空は運転手だから飲めないだろ?どうせ飲むなら2人で飲みたいし」
水奈は僕と一緒にいる時間に幸せを感じているらしい。
だから何をするのも僕と一緒と決めているんだそうだ。
「だったら空が飲めばいいんだな!?」
天音の矛先は僕に変わる。
「だから僕は運転するからダメだって言ったろ?」
「そんなもん、代行頼めばいいじゃねーか!」
「代行で家までだと結構な額になるんだよ」
一週間の食費くらいは飛んでいく。
「けち臭い事言うな!パパたちからカード貰ってるんだろ!?」
「天音は言われなかったの?これは最後のテストだって」
クリアしたらプレゼントがあるって。
「うぬぬ」
ちなみに光太達は飲んでる。
家が近いから。
後は電車組とバス組も飲んでいる。
飲んでないのは車組と弁当班だけ。
僕達もバスで良かったんだけど水奈が張り切って弁当を作っていたから、荷物になる。
どうせならとカセットコンロも持ってきた。
ちなみに弁当を作って来たのは天音と水奈と紗理奈。
紗理奈と天音は彼氏に運転させている。
宴は夜で行われた。
当然弁当だけじゃ足りずに出店の料理に手を出す。
花見が終ると皆片づけをして家に帰る。
電車組や、バス組、徒歩組は二次会に行く。
僕達は大人しく家に帰る。
「悪いな」
学が言った。
学は二次会に参加するらしい。
「歓迎会の時はバスで来るから」
今日やっておいてまたやるらしい。
その次は連休の合宿。
要するに皆騒ぎたいんだ。
それは良いと思う。
そんな時間が許されるうちにやっておけと父さん達も言っていたから。
荷物を積み込むと車を出す。
真っ直ぐ家に帰ると片付けて風呂に入る。
そして水奈と細やかな二次会を開く。
つまみは水奈がありあわせの物で作ってくれた。
「明日は休みだから付き合ってくれるよな?」
「……あんまり飲み過ぎるなよ」
「分かってる」
水奈は嬉しそうだ。
それから水奈の話を聞いていた。
学校での事、買い物で値段が値札とレシートの数字と違っててレジともめた事。
色々あるみたいだ。
授業は何とかわかるらしい。
高校と違って受けてる科目が違うのは教えようがない。
だから僕に合わせるようにしていたらしいけど、極力5限にも入れないようにしたみたいだ。
理由は夕食の支度をしないといけないから。
それでも僕が5限を入れてる時は図書館なんかで時間を潰しているらしい。
一緒に通学してるからそうなってしまう。
あまり遅くなったら外食で済ませている。
朝方近くまで水奈と話をしてそして寝た。
起きたのはお昼だった。
「悪い、カップラーメンしかない」
「それでいいよ」
2人でカップラーメンを食べながらテレビを見る。
地元のローカル番組。
あまり興味はなかったけど偶に穴場みたいなスポットを紹介してくれるので今度行ってみない?と水奈と話す。
それから何日か過ぎて僕の誕生日になると実家に帰る。
父さんが僕とお酒を飲みたいらしい。
男の子の僕が生まれた時からの夢だったそうだ。
「どうだ冬夜。息子と酒を交わす気分は?」
お爺さんが言っていた。
「感無量……かな?」
父さんは嬉しそうだった。
母さんも一緒に飲んでいた。
水奈との生活はどうだ?とか色々聞かれていた。
その翌日に水奈の家から呼び出された。
何事だろうと水奈と行った。
「水奈は母さんと話をしててくれ。空と2人っきりで話がしたい」
何か聞いちゃいけないような気がする。
「空に変な事吹き込むな!」
水奈が反発するが水奈の母さんが「まあ、男同士色々あるんだから」と水奈を連れて行った。
水奈の父さんも何かいつもと様子が違う。
水奈の母さんがビールとコップとつまみを用意して「なんかあったら呼んでくれ」と言って部屋を出た。
「まあとりあえず飲め」
そう言って水奈の父さんがコップにビールを注いでくれた。
僕も水奈の父さんのコップにビールを注ぐ。
2人で乾杯して飲む。
「……夢だったんだ」
水奈の父さんがビールを注ぎながら話してくれた。
水奈が出来た時は嬉しかった。
水奈の為なら何だってする。
そう誓ったらしい。
ただその愛情の注ぎ方を間違えた。
結果水奈は男嫌いになってしまったんじゃないかと心配していた。
そんな時水奈の母さんから「水奈に好きな子が出来た」と言う話を聞いた。
言うまでもなくそれは僕。
水奈の父さんの親友、僕の父さんの息子。
水奈の母さんは僕の父さんの事が好きだった。
親の夢を娘に押し付けるのはよくないと分かっていたけど上手くいくといいと思っていた。
そして今日に至る。
「俺みたいな父親で娘がちゃんと育ってくれるか心配だったけど神奈がちゃんと育ててくれたらしい」
娘婿と飲むのは娘親の夢なんだそうだ。
僕はまだプロポーズすらしてないけど。
この先どうなるか分からないけど。
「水奈は良い娘さんですよ」
そう言うだけで精いっぱいだった。
「そうだろ?空のお蔭だ。こんなに立派に育つなんて思っても見なかった」
水奈のお父さんは嬉しそうに話す。
「まだまだ至らないところがあると思うけどよろしく頼む」
水奈と僕の交際には多田家と片桐家、両家の希望が詰まっているらしい。
責任重大だな。
それから水奈の事を色々聞いていた。
天音とやんちゃしてた事が懐かしいと思うくらい水奈は変わった。
それは紛れもなく僕の存在のお蔭だと水奈の父さんは語る。
「誠、そろそろ家に帰してやれ」
水奈の母さんが言うと僕達は家に帰る。
酔い覚ましに夜風に当たりながら歩いて帰る。
「何を話してたんだ?」
水奈が聞いてきた。
「水奈の父さんも父親なんだなって思ったよ」
「どういう意味だ?」
歩きながら水奈の父さんと話したことを話していた。
「……なるほどな」
「僕もしっかりちゃんと水奈を支えないとね」
「今もしっかり支えてくれてるよ」
家に帰ると皆が「腹減ってるだろ?弁当でも買ってくるよ」と車で買い物に行った。
何度も春を越えて、いろんな人に支えられて、今の僕がある。
この先もいくつも春を越えていくだろう。
その度に感謝を忘れてはいけないんだと思った。
水奈が弁当を買ってくるとそれを食べて、風呂に入って夜を過ごす。
「僕も娘を持ったら水奈の父さんみたいになるのかな?」
「あんな変態になられたら困る!」
そうでなくても母さんが苦労してたんだと水奈は笑いながら言う。
「空は男の子と女の子どっちがいいんだ?」
水奈が聞いてきたから僕は答える。
「水奈との子供ならどっちでもいいよ」
それはきっとかけがえのない宝だと思うから。
「どっちも作れば問題ないか」
水奈はそう言って笑っていた。
「水奈が大変じゃないのか?」
「大変なのは私だけだと思ったら大間違いだぞ」
もうそんな夢を見られる歳なんだな。
遅くまで将来の希望、大きな夢について語り合っていた。
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