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春が来る前に
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(1)
「空、おはよう」
「あ、美希おはよう」
「じゃ、教室行こうか」
「あ、美希待って」
美希が振り返ると、僕は引き出しから紙袋を取り出す。
「これホワイトデーのお返し」
「ありがとう。中味見てもいい?」
「ああ、いいよ」
美希は中身を見る。
マカロンティアラが入っていた。
「ありがとう、卒業式に使おうかな」
美希は喜んでるみたいだ。
「じゃ、行こう?」
そう言って教室に向かう。
そしてSHの皆と話をしていれば高槻先生がやってきて朝礼が始まる。
授業は少なくなり卒業式の練習の時間が増えた。
卒業証書の受け取り方から合唱、そしてコールの練習。
一日の半分くらいを卒業式の練習で過ごす。
授業もほとんど内容がなかった。
卒業式までに教科書の内容は大体終えてしまう。
そして帰りの時間になる。
昇降口で天音達を待つ。
「もうじき卒業だね」
美希が言う。
「そうだね」
「来年度からは中学生か」
「美希は何か部活とかするの?」
「しないよ。空は?」
「やる気ないよ」
そう言って笑ってた。
天音達が上機嫌で戻ってくる。
ホワイトデーのお返しをもらったらいい。
お菓子をくれたそうだ。
家に帰ると僕は部屋で宿題をする。
ほとんどないんだけど。
宿題を終わるとゲームをしてた。
それは夕食が終わった後、お風呂にはいってそして22時まで続く。
美希に「おやすみ」とメッセージを送って僕は眠りについた。
もうすぐ卒業。
こんな生活は中学に上がってからも続くのだろうか?
そんなことを考えていた。
(2)
卒業式の日。
僕も翼もいつもよりもお洒落をする。
そんなやりとりをする。
天音も今日は在校生代表として式に参加する。
その事に対して不満をもらしていた。
純也達は休み。
4人で最後の登校をする。
色々あった6年間を振り返りながらずっと通った道を歩く。
まあ、中学校の通学路とそんなに変わらないんだけど。
学校に着くと教室に行く。
みんなおめかししてるようだ。
わいわい騒いでいた。
去年は送る側だった。
今年は送られる側。
「中学でも同じクラスだといいな」
光太が言う。
多分心配いらないんじゃないかな?
先生も今日はスーツで来ていた。
そして最後の朝礼が終ると開場に入場する。
そして卒業式が行われる。
1人ずつ呼ばれ卒業証書を受け取る。
最後に校歌を歌って終わると退場する。
最後の終礼が始まる。
終礼が終ると女子は泣いている。
翼は泣いてなかった。
これが最後の別れじゃないと知っていたから。
高槻先生に抱き着く女子児童を高槻先生は温かく受け止めていた。
最後に親と一緒に校門を抜けていく。
「週末に俺達だけで遊びに行こうぜ」
光太が言う。
僕と翼は賛成した。
「SHの小学生を支えるのはお前たちだ。あとは任せたぜ」
光太が天音達に言う。
「まかせろ!ゴキブリ駆除ならしっかりやっておくから」
「……やりすぎるなよ」
光太でもさすがに不安だったらしい。
まあ、大地に任せるしかないだろう。
「光太や。SHとやらは中学でもやるのかい?」
善明が光太に聞くと、光太はにやりと笑った。
「当たり前よ!中学に進出してやらぁ!」
そう言うと僕達は小学校を後にした。
その日は外食だった。
卒業式のお祝い。
これから忙しいらしい。
制服や教科書、鞄の購入。
やる事は色々ある。
美希のセーラー服か。
「変な事想像してると美希にいいつけるからね」
翼に怒られた。
(3)
「じゃあ、みんな今日は楽しくやろう!」
カラオケ店で僕達は盛り上がっていた。
当然僕と翼は食べることに必死だった。
皆はそれぞれ歌を歌っている。
話の話題は尽きることが無かった。
小学校の想い出。
SHの想い出。
それぞれの告白のエピソード。
話すことは沢山あった。
そして最後にみんなで歌う。
店を出ると「じゃあまた」と言って解散する。
「楽しみだね、中学校生活」
翼が言う。
「そうだね」
「いろいろあったよね。小学校生活」
だいたいが天音絡みの事件だけどね。
中でも5,6年は怒涛の2年間だった。
あっという間に過ぎて言ったけど。
「空はうまくやれてる?」
翼が聞く。
「美希から不満を聞いたの?」
「不満ていうか不安みたい」
何もしてくれないから不安なんだそうだ。
何かしてくる小学生には不安じゃないのだろうか?
もう少し相手してあげないとダメかな?
父さんにコツでも聞いてみようか?
そんなことを翼に話すと、翼は笑い出した。
「止めといた方がいいよ。それが愛莉には不満だったらしいから」
どうも片桐家の男は女性の扱いが下手らしい。
「まあ、中学生になったら少し考えたら?」
「そうだね」
とりあえずは一度くらいはデートに誘うか。
こうして僕達の小学校生活は終わった。
終わりは次の始まり。
ようやく回り始めた運命の風車。
そして、僕達は次の階段へと駆けあがる。
ここから僕達は始まる。
父さん達が歩いた道を擬えるように。
僕達の朝と夜の物語が幕をあげる。
「空、おはよう」
「あ、美希おはよう」
「じゃ、教室行こうか」
「あ、美希待って」
美希が振り返ると、僕は引き出しから紙袋を取り出す。
「これホワイトデーのお返し」
「ありがとう。中味見てもいい?」
「ああ、いいよ」
美希は中身を見る。
マカロンティアラが入っていた。
「ありがとう、卒業式に使おうかな」
美希は喜んでるみたいだ。
「じゃ、行こう?」
そう言って教室に向かう。
そしてSHの皆と話をしていれば高槻先生がやってきて朝礼が始まる。
授業は少なくなり卒業式の練習の時間が増えた。
卒業証書の受け取り方から合唱、そしてコールの練習。
一日の半分くらいを卒業式の練習で過ごす。
授業もほとんど内容がなかった。
卒業式までに教科書の内容は大体終えてしまう。
そして帰りの時間になる。
昇降口で天音達を待つ。
「もうじき卒業だね」
美希が言う。
「そうだね」
「来年度からは中学生か」
「美希は何か部活とかするの?」
「しないよ。空は?」
「やる気ないよ」
そう言って笑ってた。
天音達が上機嫌で戻ってくる。
ホワイトデーのお返しをもらったらいい。
お菓子をくれたそうだ。
家に帰ると僕は部屋で宿題をする。
ほとんどないんだけど。
宿題を終わるとゲームをしてた。
それは夕食が終わった後、お風呂にはいってそして22時まで続く。
美希に「おやすみ」とメッセージを送って僕は眠りについた。
もうすぐ卒業。
こんな生活は中学に上がってからも続くのだろうか?
そんなことを考えていた。
(2)
卒業式の日。
僕も翼もいつもよりもお洒落をする。
そんなやりとりをする。
天音も今日は在校生代表として式に参加する。
その事に対して不満をもらしていた。
純也達は休み。
4人で最後の登校をする。
色々あった6年間を振り返りながらずっと通った道を歩く。
まあ、中学校の通学路とそんなに変わらないんだけど。
学校に着くと教室に行く。
みんなおめかししてるようだ。
わいわい騒いでいた。
去年は送る側だった。
今年は送られる側。
「中学でも同じクラスだといいな」
光太が言う。
多分心配いらないんじゃないかな?
先生も今日はスーツで来ていた。
そして最後の朝礼が終ると開場に入場する。
そして卒業式が行われる。
1人ずつ呼ばれ卒業証書を受け取る。
最後に校歌を歌って終わると退場する。
最後の終礼が始まる。
終礼が終ると女子は泣いている。
翼は泣いてなかった。
これが最後の別れじゃないと知っていたから。
高槻先生に抱き着く女子児童を高槻先生は温かく受け止めていた。
最後に親と一緒に校門を抜けていく。
「週末に俺達だけで遊びに行こうぜ」
光太が言う。
僕と翼は賛成した。
「SHの小学生を支えるのはお前たちだ。あとは任せたぜ」
光太が天音達に言う。
「まかせろ!ゴキブリ駆除ならしっかりやっておくから」
「……やりすぎるなよ」
光太でもさすがに不安だったらしい。
まあ、大地に任せるしかないだろう。
「光太や。SHとやらは中学でもやるのかい?」
善明が光太に聞くと、光太はにやりと笑った。
「当たり前よ!中学に進出してやらぁ!」
そう言うと僕達は小学校を後にした。
その日は外食だった。
卒業式のお祝い。
これから忙しいらしい。
制服や教科書、鞄の購入。
やる事は色々ある。
美希のセーラー服か。
「変な事想像してると美希にいいつけるからね」
翼に怒られた。
(3)
「じゃあ、みんな今日は楽しくやろう!」
カラオケ店で僕達は盛り上がっていた。
当然僕と翼は食べることに必死だった。
皆はそれぞれ歌を歌っている。
話の話題は尽きることが無かった。
小学校の想い出。
SHの想い出。
それぞれの告白のエピソード。
話すことは沢山あった。
そして最後にみんなで歌う。
店を出ると「じゃあまた」と言って解散する。
「楽しみだね、中学校生活」
翼が言う。
「そうだね」
「いろいろあったよね。小学校生活」
だいたいが天音絡みの事件だけどね。
中でも5,6年は怒涛の2年間だった。
あっという間に過ぎて言ったけど。
「空はうまくやれてる?」
翼が聞く。
「美希から不満を聞いたの?」
「不満ていうか不安みたい」
何もしてくれないから不安なんだそうだ。
何かしてくる小学生には不安じゃないのだろうか?
もう少し相手してあげないとダメかな?
父さんにコツでも聞いてみようか?
そんなことを翼に話すと、翼は笑い出した。
「止めといた方がいいよ。それが愛莉には不満だったらしいから」
どうも片桐家の男は女性の扱いが下手らしい。
「まあ、中学生になったら少し考えたら?」
「そうだね」
とりあえずは一度くらいはデートに誘うか。
こうして僕達の小学校生活は終わった。
終わりは次の始まり。
ようやく回り始めた運命の風車。
そして、僕達は次の階段へと駆けあがる。
ここから僕達は始まる。
父さん達が歩いた道を擬えるように。
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