姉妹チート

和希

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海より深く

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(1)

「みんなありがとう。そば用意してあるから」

 翼がそう言って人数分の盛りそばを用意した。
 出前でとったものだ。
 まだ料理をする準備は出来ていない。
 段ボールに囲まれて空いたスペースを利用して皆そばを啜ってる。
 僕達は今日引っ越した。
 入試の前から発注していたらしい。
 気が早いにも程があるよ母さん。

「だって納期縮めたら業者が手抜きするでしょ?」

 母さんは当たり前のように答えた。
 そういう問題なのだろうか?
 もともと大学に行ったら家を出るつもりだった。
 翼にも一緒に暮らそうと言った。
 そしたら「入学祝い」と一戸建ての新築をプレゼントされた。
 どこの世界に4LDKで暮らす大学生がいるんだい?

「あら?狭かったかしら?」

 そうじゃなくてね……。

「まあ、学生の間はこのくらいで我慢しなさい。子供も作る気無いんでしょ?結婚したら結婚祝いにまた買ってあげるから」

 大学生活の4年間の為に4000万を投じたらしい。
 点検だけで250万近くする車を買う母さんにとっては何とも思ってないんだろう。
 祈も同じのを買うと今から発注している。
 この車買うのにまず面接をしなければならない。
 そして手付金を払ってそれから自分用に設計していく。
 購入にしてから納車されるのに1年以上待たされる。
 僕の下にくるのも夏ぐらいになると言われた。
 しかし考えても見よう。
 0-100キロにかかる時間が僅か2秒の車を日本のどこで運転するんだい?
 最高速度が400キロって道交法守る気絶対ないでしょ?
 ちなみにタイヤはレーシング用のタイヤをはいてるそうだ。
 タイヤ交換に400万円、タイヤ交換2回に付き1回は必要になるホイール交換が500万円。
 納車される頃には初心者マークも取れるだろうけどとてもじゃないけど怖くて乗れないね。
 維持費を考えたらプライベートジェット機の方が安いそうだ。
 空港に止めて駐機代も桁が違う。
 もちろんそんなことは絶対に言わない。

「免許取りなさい」

 絶対言われるから。
 ジェット機なんて購入してどこへ行けばいいんだい?
 ちなみに我が家では某基地に無人爆撃機なんか止めてるそうだよ。
 そんな物騒な話にならないことを祈るよ。
 SHに手を出したらただじゃ済まない。
 僕と翼が一緒ならきっとそうなるだろうね。
 島国一つくらい軽く壊滅させてしまうそうだ。
 そんなのを個人に所有させてるなんて問題だと思わないかい?
 自動車会社の経営者の横領なんて些細な事の気がするんだけどね。
 とりあえずそんな車には絶対乗りたくないんだけど「善明なら安心して運転任せられるね」と翼が笑って言ってた。
 国内でそんな車走らせるなんて鉄の棺桶に乗るようなものだよ?
 絶対に峠なんて走りたくないね。
 空なら使いこなすんだろうけど。
 空と美希も同棲を始めるらしい。
 親が仕送りと親の口座を利用した学生向けのクレジットカードを用意してくれたそうだ。
 もちろん僕も用意してくれた。
 ブラックカード。
 まともに考えて無理な事をやってのけるのが僕と美希の親。
 家族カードという手段を取った。
 大体ブラックカードである必要があるのかい?
 そんな上限額ぎりぎりまで使うなんて絶対にないよ。
「月の仕送り」と言っていくら貰ってるというんだ。
 大学生がファーストクラスで旅をすると思うかい?
 そんな1流の店が地元にあるわけないでしょ?
 家を出てバイトをして身の丈にあった生活を送る。
 そんな夢は儚くも消えた。
 蕎麦を食べると皆帰る。
 そして美希と二人で荷ほどきをしながら話をしていた。
 荷ほどきをしているとあっという間に時間は経つもので薄暗くなってきた。
 時間的には頃合いか。

「翼、今日はこのくらいにして何か食べに行かないかい?」
「そうだね、入学式までまだ間があるし。すぐ着替えるから待ってて」

 キッチン周りはまだ全然手を付けてない。
 明日には使えるようにしたいところだ。
 いや、破産するなんてことはまずありえないんだけど。
 なんせ月の仕送りが1年の学費に相当するんだから。
 翼が乗ってる車くらい一括で払える仕送り。

「僕も社会経験を積みたいと思うからバイトしようと思うんだけど」

 母さんにそうお願いしたことがある。

「確かに社会経験はひつようかもしれないね」

 父さんは賛成してくれた。

「その間美希はどうなるの?自分の彼女の相手をするつもりが善明には無いの!?」
「しかし仕事をするってのも必要かもしれないよ。どうだい?うちの会社でバイトさせてみるってのは?」

 父さんが妥協案を模索している。
 ちなみに上手く言った試しは一度もない。

「そんな事言って善君みたいに『仕事で帰れない』とか言い出すのが目に見えてるから駄目!」
「そんな重要な仕事じゃなくてもちょっとした簡単な仕事でもさせたらいいじゃないか?」
「そんな下っ端がするような仕事を善明にさせるつもりはありません!」

 ただ、バイトしたいっていう願いは母さんの中ではエリートになると脳内変換されていたようだ。
 4年間遊び放題じゃん?
 どうやって年間100万円近くする年会費に見合った浪費をたかが大学生がしろと言うんだい?
 毎日一流ブランドの服を買ったり宝石を買ったりするような生活をしろというのかい?
 どこかの国の貴族はバイト代数千万円の為に数億の時計を買ったそうだよ。
 初めてのバイト代だと喜んでいた。
 色々間違ってるような気がするんだけど。
 その貴族は毎回パーティに出席する度にシャツを新調するらしい。
 僕は毎日通学する度に服を買えばいいのか?
 翼の車は一応国産のコンパクトカーだ。
 女性には人気の可愛らしい車。
 燃費も全然いい。
 通学はそれで行くと決めた。
 リッター当たり5キロくらい違うくらいでおたおたする月収じゃないけど。
 それでも極力経済的に生きていこう。
 溜まったお金はハネムーンの費用にでも当てるってのはどうだい?
 そう翼に提案してみた。

「もうそんな先の事まで考えてくれてるんだ」

 翼は喜んでいた。
 翼が着替え終わったので食事にでた。
 普通の食堂。
 ワンコインでご飯がおかわり自由という店。
 おかずの量もそれなりにある。
 そして支払いに困る。
 2人で1000円。
 普通に払えると思った。
 だが財布にない。
 お金がないんじゃない。
 1000円札が無いんだ。
 もちろんクレジットカードが使える店じゃない。
 困っていると翼が1000円を出してくれた。
 情けないな。

「帰りに買い物して帰ろうよ?細かいお金も持っていた方がいいと思うし」

 翼のアドバイスを受けて服を買って帰った。
 後で考えたら食材でもよかったのかもしれないけど。
 家に帰ると風呂に入ってテレビを見ながら荷ほどきを続ける。
 そして翼がテレビを消した。

「そろそろ寝ようよ。残りはまた明日で」
「そうだね」

 寝室がどの部屋だったか忘れてしまいそうだ。
 何か札みたいなのをつけておくべきだろうか?
 部屋にもテレビがある。
 そして無駄にデカいスピーカーのコンポがある。
 さらに無駄にデカいダブルベッドがあった。
 この世界ではたまに不思議な空間が出来る事がある。
 2人でベッドに入る。
 荷ほどきに日数を費やしてる余裕はない。
 入学式の準備もしなきゃいけない。
 ノートPCだって買いに行かないといけない。
 スーツも買わないといけない。
 そんな話をしていると翼がベッドの上に座る。
 何事かと僕も上身を起こす。

「善明……不束者ですが末永くよろしくお願いします」

 その挨拶はまだ早いと思うよ。

(2)

 俺達は業者に頼んで引越しをしていた。
 就職先の会社の近くでさらにスーパーとかコンビニが近いアパート。
 それで俺達の収入で維持できる家賃。
 そんな都合のいい物件があるわけないと思ったらあった。
 7階でしかもメゾネットタイプの1LDK
 家賃は美希のお母さんが交渉してくれた。

「社員の住宅費くらいだせないの!?」

 善明の母さんが会社に掛け合っていたけどさすがにそれは遠慮した。
 それでは俺達が家を出た意味がない。
 引越しが済むと荷ほどきをする。
 夜になると作業を一時休止して近くのファミレスに向かう。
 メニューが豊富な県内でただ一店舗の店。
 来るのは初めてだった。
 食事を済ませると家に帰って再び荷ほどきを始める。

「夜にやるのは近所迷惑なんじゃない?」

 麗華がそう言うので今日はここまでにした。
 家電等はすでに用意してある。
 2人交互にシャワーを浴びてテレビを見ながらジュースを飲んでいた。
 麗華の様子がおかしい。
 なんだろう?妙に緊張してるようだ。
 あ、そうか。

「こうやって二人で一つ屋根の下にいるのって初めてだったな」
「そうだね」
「これから二人っきりの新生活だな」
「浮気されたらすぐ帰ってきていいって言われた」
「し、しねーよ」
「分かってるよ」

 だってこれまで一度もなかったんだから。
 麗華はそう言って俺の目をじっと見ている。

「……幸せになろうな」
「まずはテストだよ」

 そろそろ寝ようというので麗華と二人で寝室に行く。

「あ、スーツとか買いに行かないとまずいな」
「そうだね」
「荷ほどき終わってから買いに行こうか?」
「うん、早く終わらせないとね」

 卒業旅行もあるし。
 そうして俺達も新生活に向けて着々と準備を進めていた。

(3)

「じゃ、今日は盛大に盛り上がろうぜ!」

 光太が言うと始球式は光太がやった。
 見事にストライクを決めると皆が歓声を上げてハイタッチする。
 今日はみんなでお疲れ様会。
 沢木兄弟や水島みなみは卒業旅行に参加できない。
 既にプロとして活動を始めている。
 調整が大変そうだ。
 
「与留は後悔してない?益々女性らしくなくなってきてるけど」
「そ、そんなことないよ。みなみは変わらないよ。いつもキレイだ」
「ありがとう」

 結婚式は当分はお預けになるそうだ。
 理由はみなみのスケジュールが過密だから。
 オリンピックとW杯が2年続けてある。
 どうせゆっくりする事すら出来ない。
 なら、両方終えてから挙式しよう。
 試合中はルールでつけられないけど今はしっかりとみなみの左手の薬指に指輪がされてある。
 2人で選んだそうだ。
 美希たちが羨ましそうに見てる。
 オリンピックへの選手の参加を所属チームが拒否する権利がある。
 FIFAの女子サッカーの規定ではそうなっていた。
 せっかく出られるのに拒否されたら元も子もない。
 水奈の父さん達と相談して海外チームへの移籍は白紙にした。
 地元チームはまだ弱い。だからやりがいを感じたらしい。
 とはいえ、女子サッカーは地元リーグや九州地区の大会に出るくらいのチーム。
 みなみも与留に気を使っているのか約束したらしい。
 W杯とオリンピックを制覇したらサッカーは引退して子供に未来を託すと。
 だから2大会まとめてあるのは都合がいいと思ってるようだ。
 学も引越しを終えた。
 そんなに離れていない場所に新居を構えた。
 1LDKの部屋。
 水奈がいつ来ても良い様にするつもりなんだそうだ。
 スーパーも近い。
 大学からも近い。
 大学生なのだからさすがにバイトをすると言ったが学の母さん達が認めなかった。
 普通は逆だと思うんだけど。
 そして水奈の母さんが妥協案を出した。

「水奈の家庭教師やってくれないか?」

 水奈の母さんが提案すると学はそれで引き受けた。
 問題は水奈に勉強する気があるのかどうかだが。
 問題なかったようだ。
 毎日一緒にいられる。
 それだけでうれしいらしい。
 水奈が帰ってくる頃に家に訪問するらしい。
 休みの日は学の家で教えると言っている。

「余計な事は教えなくていいからな!水奈は神奈に似て清純派なんだ!」
「余計な事を言っているのはお前だ馬鹿たれ!」
「偶には遊びに連れて行ってくれよな!」
「わかった。テストでいい成績取れたら奢ってやるよ」
「任せとけ!」

 ちなみに水奈の2学年の成績は悲惨だったらしい。
 よく留年しなかったな。
 ボーリングが終るとカラオケに行く。
 みんなでこうして騒いでるのも最後かもしれない。

「ちょっと光太。どさくさに紛れて何飲んでるの!?」
「気にするなバレないって!」

 よく年齢確認通ったな。
 その日は朝まで遊んだ。
 そして皆家に帰る。
 部屋に帰ると部屋にはもう荷物は殆どなかった。
 後は、着替えとかそんなのだけだ。
 18年世話になった部屋。
 最後にはちゃんと掃除していこうと決めていた。

(4)

「天音!力を貸して!」

 佐岡美鈴が教室に飛び込んできた。
 かなり慌ててる。
 顔は青ざめている。

「美鈴、落ち着いて。何があったの?」

 美穂が美鈴を落ち着かせていた。
 美鈴は説明する。
 幼馴染の沢本里香が質の悪いグループに入っていた。
 中々抜け出せずに一緒に行動していた里香を美鈴が説得した。
 そして今日抜けると里香がグループのリーダーに伝える。

「抜けるって事はどういう意味か分かってるんだろうな?ガキ」
「……はい」

 するとリーダーが里香の頬をビンタする。
 それが私刑の始まりだった。
 物陰で様子を見守っていた美鈴が私に助けを求めた。
 そこまで聞いて私達はすぐに私刑が行われている体育館裏に向かった。
 そこで目にしたのはピクリとも動かずに倒れている里香だった。

「里香!!」
「なんだお前ら?」

 上級生も混ざっているグループを無視して里香を抱き起す。
 腕が折れていたのだろうか?
 痛みで気が付いたようだ。

「天音がどうしてここに?」
「それは後で説明してやる。動けるか?」
「体に力が入らない」

 こうして体に触れられているのも辛いのだろう。
 恐怖と苦痛で涙を堪えきれない里香を美穂と美砂に預ける。

「保健室に連れて行ってやってくれ」
「勝手な真似するんじゃねえ!」

 グループのリーダーらしい奴が恫喝する。
 だから私もそれに応じてやる事にした。
 体育館の壁を思いっきり殴りつける。
 コンクリートの壁がへこみ周囲に亀裂が入る。
 私にも翼や空と同じ血が流れているようだ。

「紗理奈と金髪とピンクと緑は雑魚を任せた」
「任せとけ。天音は何も心配せずにあのボス猿を処刑してやれ」

 相手は十数名。
 私一人でも十分だけどこの馬鹿には徹底的に躾をする必要があるようだから。
 美鈴も里香に付き添ったらしい。

「お前ら私の友達に手を出してただで済むと思うなよ」

 それが私の死刑宣告。

「いつから里香がお前らの友達になった……」

 セリフを書くのもめんどくさい。
 何か反論しようとしていたリーダーを思いっきり殴りつける。
 リーダーは思いっきり吹き飛びフェンスに叩きつけられた。
 感触からして奥歯の何本かはいったはずだ。
 私はゆっくりと倒れるリーダーに近づく。

「何してくれてんだてめぇ!」

 雑魚が近づいてくるようだけど紗理奈たちが片付けてくれる。

「お前らの相手は私達がしてやらぁ!殺されたい奴からかかってこいや!」

 私はリーダーの前に立つとそいつを見下ろす。

「立てよ、それともそのまま袋にされたいか?」
「て、てめぇ……こんなことしてタダで済むと思ってるのか?」

 起き上がろうとするリーダーの頭を容赦なく踏みつける。

「鬱陶しい真似しやがって。お前はこんなもので済むと思うなよ」

 頭を踏みつけた程度で気絶してんじゃねえ!
 私はリーダーを掴み無理矢理起き上がらせると体育館の壁に向かって投げつける。
 壁に叩きつけられ壁にさらにへこみが出来た

「気絶すりゃ許されると思うなよ!てめえはこの場で塵にしてやる!」

 ピクリとも動かないリーダーを徹底的にけり続ける。
 怒らせた片桐家の人間に手加減という文字はない。
 流石にヤバいと思った紗理奈たちが止めに入る。

「止めろ天音!もう十分だ!これ以上やったら本当に死ぬぞ」

 紗理奈が言う。

「いいんだよ!こんな名前もないような奴が死んだところで何の影響もねーよ!」

 ちなみに雑魚共は既に逃げた。
 と、いうより教師に助けを求めに行ったようだ。
 しばらく紗理奈たちが私を止める中私はそいつを袋叩きにしていた。

「弱っちい癖にだせぇ真似してんじゃねえ!」

 すると教師がやって来た。

「片桐!何してるんだ」
「そんなの見たら分かるだろ!こいつを殺してんだよ!」
「事情は佐岡から聞いた。もう十分だろ。止めなさい」

 里香は気絶するまでやられたんだ。こいつは墓場に送り込まないと割が合わない!

「息の根止まるまでやってやらぁ!」

 教師数人も加わりさすがにしんどくなってきた。

「これで助かったと思うなよ。次お前の顔見たときは確実に殺してやる!」

 返事が無いのが気に食わない。

「ちゃんと人の話聞いてるのかこら!!」

 私が蹴りつけた壁が割れた。
 その後学校に愛莉たちも呼びつけられた。
 もちろんリーダーの親も呼びつけられた。
 そして言い渡された宣告はリーダーは退学。他のメンバーは一ヶ月の停学処分。
 私には何のお咎めも無し。
 もちろんリーダーの親は抗議した。
 だけど理由が明かされることはなかった。
 まあ、大地の親の圧力がかかったんだろうな。
 里香も全治一カ月の怪我を負っていた。
 休みの日に見舞いに行く。

「助かりました。ありがとう」
「気にするな。友達だろ?」
「え?」

 驚く美鈴と里香。
 そんなに2人に笑顔で言う。

「連絡先交換しようぜ。グループに入れてやる」
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