姉妹チート

和希

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春の憧憬

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(1)

「天!!何やってるのですか!?」

 私は天の恰好を見て唖然とした。
 スーツ姿なのには間違いない。
 しかしネクタイは適当にしてるし、ズボンは相変わらず腰パンだし、それにともなってシャツがはみ出ている。

「この方がかっこよくない?」
「そういうのはだらしが無いというんです!」

 高校の時からずっと続いていた。
 どんなに高級なスーツを着ても、全く意味をなさないのを天が証明していた。
 
「良いからズボンをあげて」
「わ、わかったよ」
 
 その間に天のネクタイを解いてちゃんと締めてやる。

「窮屈だからいやなんだよ」
「少しくらい我慢しなさい」

 私だって慣れないヒールの付いた靴で辛いんだから。
 ちなみに天はバスケットシューズを履いていこうとしたので注意した。
 慣れない革靴を履くのに手こずっている。
 家を出ると私の車の鍵を天に預ける。

「俺の車でよくね?」
「天の車では駐車に苦労するでしょう」

 実際春休みの間に天の車でドライブに行った。
 わずかな凸凹にも注意しなければならない。
 コンビニや店に立ち寄る時も慎重になる。
 そしてそこらへんのコインパーキングは利用できない。
 やっぱり別に買っておいてよかった。
 家から入学式の会場まで渋滞を起こすところはいくつもある。 
 大学でしてくれたらよかったのに、医学部と合同だからそうもいかない。
 会場のホテルに着くと、紗奈達が待っていた。
 見た事のない男性がいる。
 梅本優斗と優弥。
 同じ高校に通っていたらしい。
 学部は違うそうだ。
 父親に憧れて教師の道を選ぶらしい。
 私と天が最後だったようだ。
 会場のホールに入る。
 学長などの祝辞が続く中、天は爆睡していた。
 本当に仕方のない人だ。
 入学式が終る頃天を起こす。
 私達だけでちょっとお祝いしないかと小泉優が言うのでそうすることにした。
 街でランチを食べて、カラオケに行くだけだけど。
 その際に梅本兄弟もSHに勧誘した。
 心よく入ってくれた。
 梅本兄弟には双子の姉がいるらしい。
 その二人もSHに誘ってみた。
 皆経済学部や医学部に集中していたので、誰も気づかなかったようだ。

「SHってみんな恋人いるんでしょ?」

 優斗が聞いてきたので頷いた。
 別れた人もいるみたいだけど。
 
「よかったら俺達にも紹介してくれないかな?」

 優斗が言った。
 
「任せとけ!そう言うのは得意だ!」

 天音がチャットで言っている。
 多分出来るだろう。
 カラオケが終ると夕食に行こうと言う。
 私と天は辞退することにした。

「なんで?いいじゃん。行こうぜ!」

 天が言うけど私は「絶対にダメ!」と天に言った。

「私達車で来てるから」
「あ、そういう事ならまずいよね。わかった。先輩たちが新歓してくれるらしいからその時話そう?」

 紗奈が言うと私達は駐車場に戻る。
 天は拗ねている。
 ……本当に世話の焼ける彼氏だ。
 途中スーパーによると夕食の食材と飲み物を買う。
 その飲み物を見て天は驚いていた。

「……いいのか?」
「家なら車運転する必要ないでしょ?」

 そう言って買い物を済ませて家に帰る。
 着替えて夕食の準備を始める。
 その間天はゲームをしている。
 準備が終ると天を呼ぶ。

「今良い所だから少しだけ待って!」
「天は私の手料理が冷めてもいいのですか?」

 母様は手料理が台無しになったという理由で零細企業をことごとく潰して来たらしい。
 
「もうちょっとだけだから!」

 そんな言い訳はこの世界では通用しない。

「選択肢を与えます。ゲームを続けて私の機嫌を損ねるか、さっさとゲームを済ませて夕食にするか選びなさい」

 私の機嫌を損ねるとどうなるか、天は分かっているらしい。
 大人しくゲームを止めてダイニングに向かう。
 私は部屋に脱ぎ散らかしている服を整理する。
 夕食を食べる際に飲み物を開けて乾杯する。

「何でさっきはダメなのに今はいいんだ?」
「さっきは車だったから私と天のどちらかが飲めないでしょ?」

 代行という手もあるけど、街からここまでかなりの距離がある。
 もちろんそれくらいできつくなる様な仕送りを受けていないが、それでも節約はしたい。
 それに理由はもう一つあった。

「初めてなんだから彼と2人っきりで飲みたいと思いまして」
「なるほどな……それにしても苦いなこれ」

 大体の人が初めてビールを飲むとそう思うらしい。
 夕食を済ませると天に風呂に入るように言って、私は片づけをする。
 天は大声でしょうもない歌を歌いながら風呂を楽しんでいる。
 そう言う歌を好む割には私にはまったく興味を示してくれない。
 私に魅力がないんだろうか?
 天が風呂を出ると、私が風呂に入ってそして出る。
 天はゲームを再開していた。
 その隣で私は本を読んでいる。
 23時ごろになると天はゲームを止める。
 明日も大学が早いから早めに寝ようと思ったのだろう。
 どうせ寝坊するだろうけど。
 本当に困った彼氏だ。
 私もベッドに入ると、天が抱き着いてくる。
 
「どうしたの?」
「楽しみだな。大学生活」
「そうですね」
「親が金暮れるし遊びまくろうぜ」
「留年しない程度にお願いします」
「わかってるって。俺さ、今夢が一つ叶って嬉しいんだよね」

 夢?

「彼女と一緒に暮らすって夢」

 天でも私の事を彼女と見てくれている様だ。
 精々お世話係くらいにしか思ってないんじゃないかと思ってた。

「それは私も一緒です」

 そう言って天を抱きしめる。
 これから何が起こるのだろう?
 期待に胸を震わせながら夜を過ごした。

(2)

 僕達は小学校6年生になった。
 小学校最後の年。
 色んな事があった。
 今年は修学旅行もある。
 友達も増えた。
 もちろんサッカーも勉強も頑張ってる。
 先月卒業式に、在校生代表として出席した。
 卒業生はみんな綺麗な服を着て、そして泣いていた。
 卒業するってどんな気持ちなんだろう。
 それは今年分かるはず。
 今はまだいつも通りに学校に通っている。

「小学校最後の年かあ」

 帰り道に瞳子が口にした。

「いよいよ中学生になるんだな……楽しみだな」

 誠司が言う。
 誠司はよく家に冴を呼んでいるらしい。
 誠司の母さんがこまめに様子を見に来るらしいけど。
 僕もたまに家に瞳子を呼んでいる。
 母さんは「部屋のドアは開けたままにしておきなさい」と言うけど。
 瞳子は緊張していた。
 まあ、僕も瞳子の家に行くときは緊張するから同じような物なのだろう。

「冬吾は中学生になるのが楽しみじゃないのか?」

 誠司が聞いてきた。

「あるよ」

 姉さんたちが言ってた。
 
「帰りにコンビニよっておにぎりとか食えるぞ!」

 家に帰ったらおやつがあるのにどうして食べ物を買うのかは不思議だったけど、楽しそうだ。

「そうじゃねーだろ!!」

 誠司の求めている答じゃなかったようだ。
 大体こういう時の誠司の考えている事はろくでもないけど。

「彼女の制服姿にぐっとくるものがあるだろ!」

 やっぱりしょうもない事だった。
 まあ、興味ないわけじゃないけど……。

「瞳子は僕の学ラン姿に興味あったりするの?」

 瞳子に聞いてみた。

「変な恰好するのだけはやめてね」

 まあ、冬吾君に限ってそれはないと思うけどと瞳子は笑っている。

「誠司もだよ!」

 冴が注意している。
 誠司は相変わらず変な事を冴に要求しているらしい。

「通学帽にランドセル背負ってくれ……あ、ミニスカートで」

 そんなのいつも見ているだろうにどうして要求するのだろう。
 問題はその先にあった。
 その恰好でベッドに入るんだそうだ。
 ランドセル邪魔じゃないのか?
 そして冴が怒っていた。
 誠司は冴を怒らせるのが得意みたいだ。
 毎日のように冴を怒らせている。

「冬吾君は気にしなくていいからね」

 瞳子が言うので気にしないようにしているけど、やっぱり疑問に思う事はある。
 制服でベッドに入ることのどこにロマンがあるのだろうか?
 誠司は相変わらずろくでもないDVDを複数所持している。
 それを借りて来てみるわけだけど。
 たまに瞳子と見る事がある。
 さっぱり分からなかった。
 ただ、瞳子といつかこういう事をするのかな?とかは考える。
 母さんや姉さんたちもしたことがあるのかな?
 こういう事は女性に聞いたらいけないと父さんが言っていたので、母さんが風呂に入っている間に父さんに聞いてみた。

「してなかったら冬吾は生まれていないよ」

 父さんはそう言って笑っていた。

「あと、父さんの経験から言わせてもらうと」

 誠司のロマンは絶対に真似しちゃいけない。
 そういう事は多分自然と瞳子から求めてくるから待っていてあげたらいい。

「言っとくけど父さんはまだ冬吾の孫はみたくないからね」
 
 そう言って笑っていた。

「冬夜さんは冬吾に何を吹き込んでいるのですか?」

 気がつくと母さんが風呂から上がって来ていた。

「い、いや。誠司の言う事はあまり気にしない方がいいって言ってただけだよ」
「ちゃんと聞いてました。瞳子ちゃんから行動させるなんてかわいそうじゃないですか」

 僕が雰囲気を察してしてあげたらいい。
 ただし小学生の間はまだ駄目だ。
 母さんはそう言う。

「冬夜さんも最初は気づいてもらえなくて母さん苦労したの」

 告白すら母さんの方からしたらしい。
 そういや、父さんが言ってたな。

「片桐家の男は絶対に女性に逆らえない」

 別にそういうのは瞳子には感じないんだけど、もっと大人になれば分かるのだろうか?

「そろそろ寝なさい」

 母さんが言うので僕は部屋に戻った。
 部屋で瞳子とメッセージを交わしている。

「私も誠司君の要求はちょっと恥ずかしいかな」

 瞳子はそう言って笑っていた。

「冬吾君はそういうのに興味ないの?」

 難しい質問だ。

「相手が瞳子なら特に問題ないよ」
「私以外に興味持ったら私も怒るよ」

 まあ、そうだろうな。
 瞳子と喋っていると瞳子は喜んでくれる。
 なのにどうして誠司は、ああも冴を怒らせるんだろう?
 不思議でしょうがなかった。

(3)

「うぅ……」
「どうした?愛莉」

 子供達がもう一人で大丈夫なくらい成長した私達は、偶に美嘉の店でランチをする事がある。
 今日は神奈と恵美と晶と亜衣の5人で来ていた。
 娘の問題は私でどうにかなる。
 だけど冬吾と冬眞の問題は私一人ではどうにもならない。
 だから冬夜さんに任せているのだけど、冬夜さんも苦手みたいだ。
 それで今日神奈に相談してみた。
 神奈も誠司がいるから。

「……その流れからして、誠司のやつがまた冬吾に何か吹き込んだか?」

 神奈が言うと私は先日、冬夜さんと冬吾が相談していたことを話した。

「誠司のロマンは関わったらいけない」

 冬夜さんですらそう言うしかなかったみたいだ。
 もう冬吾も流石にそう言うのに興味を抱く年頃。
 とりあえず瞳子と2人っきりの時はドアを開けておきなさいと注意している。
 冬吾も理由を聞いてこないし、ちゃんと守っている。
 
「あのバカ……またそんな事を言っていたか……愛莉すまん」

 神奈がそう言って謝った。

「まあ、余程変な趣味に興味持たない限り仕方がない事だと思ってるの」

 天音達の時だって中学生になったらいいと許可していたのだから。
 だけど息子のそういう行為にはなぜか抵抗を感じてしまう。
 冬夜さんも翼や天音達の時はそうだったのだろうか?

「うちも学の時は違う意味で苦労したけど、遊は同じだったよ」

 亜依が言う。
 学は水奈が中学生になるまで水奈とそういう関係は持たなかったらしい。
 だけど遊は亜衣の夫の瑛大君の部屋からそう言うのを持ち出して変な知識を持ってしまったそうだ。
 さすがに自分の息子が一人で妙な事をしているのを見てしまったら、複雑な気持ちになるらしい。

「それは誠司も一緒だよ」

 誠司が1人で騒いでるから様子を見に行ったらその直後だったらしい。

「ちゃんとティッシュで拭いてゴミ袋分けておけよ」

 そう言ったらしい。
 その後しばらく気まずい空気が流れたそうだ。
 神奈の夫の誠君に相談したら「まあ、誠司くらいの歳になったらやるだろうな」とだけ言ったらしい。
 それどころかまたしょうもないDVDを買ってきて「これもなかなかロマンがあるぞ」と渡したそうだ。
 そして神奈と大ゲンカ。
 そう言えば冬夜さんはたまに誠君から送られた動画を見たりはしてたけどそういう行為はしてなかった。
 私に対してもそこまで求めてこなかった。
 冬吾もきっと同じなんだろう。
 冬吾がちがうのは「これの何がロマンなんだろう?」と疑問を持ってしまった事。
 恵美の旦那の望君もやっぱり同様だった。
 恵美も苦労したらしい。
 美希の教育は出来る。
 だけど大地に何を言ったらいいか分からなかったらしい。
 今も友誼や岳也の事で悩んでいるそうだ。
 晶は善明にちゃんと教えたそうだけど元々が善幸君に似ていいたのでああなってしまった。
 皆苦労してるんだな。

「まあ、冬吾は瞳子を傷つけるような真似はしないよ」

 神奈が言う。
 真似はしないだろうけど、きっと何もしないような気がしてならない。
 だって冬夜さんの息子だから。

「どうしてこうも男ってのは積極性がないのかしらね」

 恵美が言う。
 もっとも瑛大君や誠君みたいになられても困るけど。

「根本的には諦めるしかないんだろうな」

 神奈が言う。
 娘の時と変わらない。
 そういう時期が来たんだ。
 自分の行動に責任がとれるならいいだろう。
 そんな話をして家に帰った。
 するともう一つの悩みに直面した。

「茜は何て格好をしているんですか!?それに冬莉まで!」

 さすがに年頃の兄妹を同室には出来ないと、冬莉を天音がいなくなった茜の部屋に移動させた。

「でもこの方が楽なんだもん。部屋から出なかったらいいでしょ?」

 冬莉が言う。
 どうせ小学生の冬莉を見ても気にしないだろう。
 冬莉がそう主張する。
 そう言う変態がいる事も多分知っているのだろうけど。

「茜はお姉ちゃんなのだからちゃんと冬莉のお手本になるようにしなさい」
「わかってるって」

 その晩冬夜さんに相談する。
 冬夜さんは私が相談すると、早めに寝室のベッドに入って私を抱いてくれる。
 それは今も変わらない。えへへ~。
 ってそうじゃない。
 冬夜さんに今日話したことを説明する。

「冬吾は大丈夫だよ。僕の時よりしっかりしてる」

 ただ誠司から妙な情報を入手してるだけ。
 それはダメだとちゃんと説明してやればいい。
 現に「愛莉だって女性なんだからそう言う話をしたらいけない」といったら全くしなくなった。
 冬夜さんはそう説明する。

「愛莉はやっぱり冬吾が瞳子とそう言う関係になるのは嫌なのかい?」

 冬夜さんが聞いてきた。

「するのは年頃なら仕方ないと覚悟してます。ただそう言うのを見たくないなと思ってるだけで」

 麻耶さんはどうだったんですか?

「母さんは”愛莉ちゃんに恥かかせるんじゃないよ!”って言ってたね」

 冬夜さんはそう言って笑う。
 
「話はそれだけ?」
「あと冬莉と茜を同室にしたのは間違いだったんじゃないかと思って」

 今日の事を説明する。

「それは難しいね」

 冬夜さんでもどうしたらいいか分からないらしい。
 子供が沢山いたら、それぞれの子供に対応しなくちゃいけない。
 それにマニュアルはない。
 今もなお手探りで育て方を考えている。

「ご苦労さん」
「冬夜さんこそお疲れ様です」

 冬夜さんは良い旦那様だ。
 こうして私の悩みを聞いてくれたり、愚痴を聞いてくれたりしてくれる。
 そして私を労わってくれる。
 そして朝になると私は母親として行動しなければならない。

「冬夜さん、朝ですよ。起きて下さいな」

 こうして片桐家の一日が始まる。
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