姉妹チート

和希

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(1)

「え?」

 信じられない一言だった。

「ごめん。リリーより大切な人が出来た」

 遠距離で離れていたから寂しいとかじゃなくて、私より大切な人が出来た。
 黙っていればただの浮気。
 だけどそれは隠し通せないだろうし、そんな不義理なことできない。
 だから、先に別れを告げようと思った。
 
「そんなに大切な人なの?」
「かけがえのないパートナーだと思った」

 すぐに心変わりするかもしれない。
 そんな風に説得しようとも考えた。
 直接会って話をすれば彼の気持ちが変わるかもしれない。
 そう思う人もいるかもしれない。
 だけど浮気がバレる前にわざわざ伝えたという事の意味くらい分かる。
 彼なりにけじめをつけようと思ったのだろう。
 
「いやだ」

 そう言って我儘を言ったところで彼を困らせるだけだ。

「そうなんだ。じゃあ、仕方ないね」

 私だって二股かけられるのはごめんだ。

「わかった。今までずっとありがとう」
「うん、俺も楽しかった。ずっと好きだったという事は間違いない」
「うん……」

 その後も色々と思い出話をした。
 中学が離れても一緒だよって小学校の修学旅行の時に話した。
 高校、大学も離れ離れになったけどずっと連絡を取ってくれた。
 私が大学を卒業したら一緒に暮らそうと夢を語った。
 だけどそんな夢のような時間は永遠ではなかった。
 今、終わりの時が来た。

「将門はスケジュールハードなんだから気を付けてね」

 風邪とか引かないでね。
 遊びすぎて彼女を困らせたら駄目だよ。
 ちゃんと彼女を大事にしてあげてね。
 私の事は大丈夫。
 この時間が止まってしまえばいいのに。
 だけど終わりの時はきた。

「ありがとう。そしてさよなら」
「……うん」

 電話は終わった。
 私は将門の連絡先を削除した。
 アルバムは実家に置いて来てある。
 スマホのホーム画面にしていた将門の写真を消そうとすると画面にしずくが落ちた。
 私は泣いている。
 でも、ずっと泣いてるわけには行かない。
 彼のいない今を生きていかなければならない。
 分かってるから今夜だけは許して欲しい。
 私は思いっきり泣いた。
 涙が涸れるまで泣いた。 
 泣き疲れて、そのまま眠ってしまった。
 朝になると朝食を食べて出かける準備をする。
 たった一人での進学先だったけど、将門がいるから大丈夫だと思った。
 だけど彼はもういない。
 さようなら、昨日までの私。
 誰もいない部屋を眺めて、私は外に出た。

(2)

 彼女にさよならを伝えた。
 きっと怒り出すと思ったけど、リリーは最後に……笑っていた。
 もっと罵倒された方がまだすっきりする。
 浮気や二股は許されないと思ったからリリーに別れを告げた。
 俺が活動するユニット「フレーズ」のボーカルの秋吉麻里は失恋してから元気をなくしていた。
 お互いの気持ちのすれ違い。
 決定的なのは麻里の彼氏が正真正銘の浮気をしていた事。
 しばらくは空元気を出していた麻里も、寂しさや不安を匂わせる歌詞を書き始めた。
 
「支えてやりなさい」

 専務の石原恵美さんから言われたけどどうしたらいいか分からない。
 オフの時は麻里と同じ大学の山本環奈とその旦那の喜一と4人で遊んでいた。
 少しでも彼女の気を紛らわせることが出来たら。
 しかし麻里に無理矢理笑顔を作らせている事に気付いた時後悔した。
 どうすればいい?
 俺は麻里に何をしてやればいい?
 俺はどうすれば麻里を元気にさせる事が出来る。
 そんな事を毎日思っていたら、俺の頭の中は麻里の事が第一になっていた。
 彼女のリリーの存在が消えていく事に気付いた時、俺は自分の気持ちが変わってしまったことに気付いてしまった。
 リリーが嫌いになったわけじゃない。
 ただ、リリーよりも麻里の方が大切になってしまっただけ。
 そんな状態でリリーと付き合うなんて無理だ。
 リリーに悪い。
 自分勝手な男だと蔑まれても文句は言えない。
 リリーは切り替えが早いのだろうか?
 あの日別れを告げた時からぱたりと連絡が途絶えた。
 しかし俺は今だに麻里に思いを告げられずにいた。
 俺に恋をする資格があるのか?
 そんな風に自分を責めていた。

「ストップ!」

 新曲のレコーディングの時だった。
 突然、プロデューサーが言った。

「今日はここまでにしよう。将門君明日までに気持ちを切り替えて来て」

 演奏にいつもの勢いがない。
 そう言われた。
 レコーディングが突然休止になるとやることが無くなる。
 気持ちを切り替えろ、か。
 どうすればいいんだろう?

「将門、今夜予定ないよね?」

 ボーカルの麻里が聞いてきた。
 特に予定はない。

「一緒に食事しない?私も話したい事があるし」

 麻里から食事を誘われて、俺はいく事にした。
 店に入って注文すると麻里が話を切り出した。

「最近リリーとうまくいってないの?」

 そういや麻里には伝えてなかったな。
 あの日から様子が変だと思った麻里はリリーに連絡したが当然返事が無い。
 それで麻里は誤解したのだろう。

「私と仲良くしてるのがバレた?」

 麻里はそう受け取ったらしい。
 誤解は解かないとだめだろうな。
 俺は麻里にリリーとは別れたと説明した。

「どうして!?」

 麻里は驚いていた。
 小学校の頃から付き合って来たのにどうして今になって。
 そして気づいたのだろう。

「ひょっとして……私が原因?」

 麻里は不安そうに言った。
 麻里が原因と言えば原因かもしれないな。
 麻里まで不安定な気持ちにしてしまったら意味がない。
 ダメならダメで諦めがつくだろう。
 ひょっとしたら解散も覚悟する必要があるだろう。
 俺は麻里に答える事にした。

「好きな人が出来たんだ」
「え?」

 麻里の表情が険しくなる。

「将門も浮気したわけ?」
「そう言われても仕方ないかもしれない」
「その相手は誰?」

 麻里が聞くと俺は麻里の顔を見て答えた。

「麻里だよ」

 俺が答えると麻里は黙ってしまった。
 俺は話をつづけた。
 麻里の辛そうな姿を見ていて、力になってやりたいと思ったのがきっかけ。
 それが恋に変わるのにさほど時間がかからなかった。
 そう言うと麻里は少し考えていた。

「ごめん、私のせいだよね……」
「そんな事無い。俺が勝手に浮気しただけだ」

 ただそんな状態で麻里に想いつ伝えるわけにはいかないから、けじめをつけた。
 それは正しい行動だと思う。
 ただ、自分で別れを言い出しておいて罪悪感に苛まされていた。
 俺に恋をする資格があるのか分からなくなった。
 ただそれだけの話。
 麻里が気に病む必要は無い。

「うん、わかった……」
「ごめんな」

 そう言って注文した料理が届くと静かに食べていた。
 夕食が済むと店を出て「じゃ、気をつけて」と言って俺は帰ろうとした。
 少し飲んで帰ろうかなと思っていた。
 だけど、麻里が引き留めた。

「もう一軒くらいよって行かない?」
「いいけど……」

 麻里と近くのバーによって飲む。
 麻里も静かに飲んでいた。
 先に切り出したのは麻里だった。

「で、これからどうするの?」
「え?」

 私を元気づける為に彼女と別れた。
 その後はどうするの?

「わからない」
 
 俺はそう答えた。

「どうしてそこで怯えるの?」

 麻里は言う。
 俺は麻里とリリーという選択肢に当たって麻里を選んだ。
 なら、その道を最後まで歩いていくべきじゃないのか?

「だけど俺は彼女を不幸にしてしまうのが怖いんだ」
「どうしてそう決めつけるの?」
「それは……」
「私は将門の口からはっきりと聞きたい。将門は私の事をどう思ってるの?」

 自分の選んだ道だ。
 最後まで逃げてはダメだ。
 思い通りにならないかもしれないけど無駄にだけはしてはいけない。
 大事なのは最後の自分を認める事が出来るかだ。
 覚悟を決めなければならない。

「麻里……良かったら俺と付き合ってくれないか?」

 賽は投げられた。
 そして麻里は涙を流していた。

「私は恋の神様に見捨てられたんだとずっと思ってた」

 そんな私を拾ってくれる人がいるなんて思いもしなかった。

「私も将門と同じ。私の存在が将門を苦しめるかもしれない。その事が怖い」

 初めての失恋で恋人を大事にしなかった罰が当たったと思い込んでいたらしい。

「本当に私でいいの?私は怖い」

 きっと本音だろう。
 やっと麻里の本音が分かった。

「出会いと別れを繰り返す終わらない旅の果てに不変の愛に届くんだろ?」

 麻里の歌詞を引用した。

「ありがとう」

 麻里が心から喜んでくれた。
 店を出ると家に帰ろうとタクシーを拾う。
 するとなぜか麻里も一緒に乗った。

「帰りに私の家に寄って欲しいんだけど」
「どうして?」

 麻里はにこりと笑った。

「彼氏の家に泊る準備なんてしてなかったから」

(3)

 朝になった。
 私の隣では、私の新しい彼氏の将門が寝ている。
 初めて過ごした夜。
 慣れない私達は手探りの状態だった。
 男の人は凄く疲れるらしい。
 寝るのも遅かったし彼はぐっすり眠っている。
 将門が起きない程度に抱きついてその温もりを確かめる。
 幻じゃないんだって確かめる。
 その後そっとベッドから抜け出して冷蔵庫を見る。
 飲み物ばかりだった。
 自炊するという事を知らないのだろうか。
 しょうがないから近くのコンビニにおにぎりとお茶とかを買いに出かけた。
 将門の家に戻ると将門は起きていた。

「どこ行ってた?」
「コンビニ」

 朝食すら作れない状況なんだからしょうがないじゃない。

「いつも一人だったから」
「偏った食生活はあまりよくないよ」

 将門にお茶とおにぎりを渡すと一緒にテレビを見ながら食べていた。
 食べ終わる頃将門が聞く。

「レコーディングの時間までどうする?」
「将門はどうするつもりだったの?」
「いや、特に何も考えてないけど」
「じゃあ、それでいいよ」

 時間までゆっくりしよう?
 2人でテレビを見ながら色々話をしていた。
 将門はあまり触れたくないようだけど私は容赦しなった。

「昨夜は将門は楽しかった?」

 慌てる将門。
 お互い初めてだから無理もないよね。
 私と将門の何気ない会話から生まれる新しい歌詞。
 時間になると家を出て、タクシーでスタジオに向かう。

「うーん、ある程度着替えとか将門の家に置いておこうかな?」
「どうして?」
「毎回着替えを取りに行くのは面倒だから」
「そんなに頻繁に泊って大丈夫なのか?」

 大学だってあるだろ?と将門は言う。

「じゃあ、将門が家に来てよ」
「急にどうしたんだ?」
「忘れたの?」

 私が泣かないように寂しさに震えないように側にいてくれるって言ったじゃない。
 将門は少し困っていた。
 スタジオに着くと将門はギターのチューニングを始める。

「将門君、大丈夫かい?」

 プロデューサーが言う。

「はい」

 そしてレコーディングが始まる。
 これから舞い上がる秘密のワンダーランド。
 さあ、始めるとしよう。

(4)

 社長と専務が急遽東京に来る。
 理由のフレーズの2人を呼び出しておいた。
 二人共緊張している。
 社長たちが着くと応接室で話を始めた。
 社長は単刀直入に聞いた。

「2人が交際を始めたというのは本当なの?」

 ここ数日世間を騒がせている噂。
 年頃の子に恋愛をさせないなんてことは我が社ではない。
 だから俺は嫌な予感がした。

「最近付き合い始めました」

 将門が説明をする。
 将門は元カノと別れて麻里に打ち明けたらしい。
 それから頻繁にお互いの家に寝泊まりしてるそうだ。
 世間ではそれを「ふしだらな交際」というんだろうな。
 我が社を除いては。
 社長と専務は話をしていた。
 このまま噂になるのは得ではない。
 それが不適切かどうかは世間が判断するだろうけど、あまりいい印象を与えないだろう。
 
「夏休みになったら2人とも両親に挨拶に行きなさい」

 始まった。
 二人共驚いている。
 
「式は麻里が卒業するまで待ちなさい」

 そうなると思ったよ。

「中村、あとは分かってるわね?」

 専務が言う。
 俺の仕事は事務所としての公式回答をマスコミに送る事。
 二人の新居を用意する事。
 行ったり来たりでは面倒だろうという専務の配慮。
 まだ早いと思うんだけど「結婚してしまえばスキャンダルも何もないでしょう」というのは専務の言う通りだ。
 そうなるだろうなと思っていた俺は2人に注意する。

「麻里が大学卒業するまでは絶対に子供だけはダメだ」

 本当は結婚も止めたいくらいだけど、結婚さえしておけば「不純異性交遊」という中傷からは逃れられる。
 2人が実家に帰る為の休暇を作る為にスケジュールを変更する。
 麻里が大学卒業するまでは長期休暇の時にライブツアーをするように調整していた。
 それをまた1から組みなおす必要がある。
 まあ、出来婚よりはましか。
 これでもまだましな方だ。
 恐ろしいまでに大量発生していた子役が次々と辞めていった。
 子役から続けていけるのなんてそうはいないのだから当たり前だろう。
 それでも所属した時はまだ赤子だった子供が年頃の年齢になる。
 フレーズのような件はこれから増えて行くだろう。
 俺は頭を抱えていた。
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