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正義を示せ
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(1)
「まさ君目を覚まして!」
小泉夏希が自分の彼の渡辺正俊君に泣きながら必死に声をかけてる。
渡辺君は体中に包帯を巻かれて今もなお意識が回復しない。
俺達が甘かった。
もっと早く気付くべきだった。
渡辺君を襲ったのはSHを名乗る連中。
高校2年になってすぐの頃だった。
渡辺君はSHを名乗る集団から夏希さんを守った。
それをSHに対する敵対行動と見なしたらしい。
SHに歯向かう連中には制裁を。
その通りに行動した。
放課後呼び出して袋叩きにしたらしい。
夏希さんを人質に取られて、何もできなかったらしい。
夏希さんも長い髪を切り落とされている。
西松先生が言うにはそんなに重症ではない。
頭を強く打たれてるみたいだから、一応検査はしておいたけど特に異常はなかった。
時期に目を覚ますだろう。
梨々香が夏希さんを懸命に慰めている。
同じクラスだったのに気づかなかったのは俺のミスだ。
あいつらを叩きのめさないと怒りが収まりそうにない。
そう思っているのは俺だけではないらしい。
渡辺君の姉の紗理奈と茉里奈、俺の姉の天音……そして。
空は今病室の外で警察に事情を聞かれている。
空はSHの現リーダー。
警察によるとSHの暴走は俺達の防府高校だけではないらしい。
ある意味FGよりも厄介な暴徒と見なされていた。
それでも俺達の両親や渡辺君の両親がかけつけて警察と交渉していた。
遠坂のおじさんの後輩の渡瀬新次郎の口添えもあって、空達の言い分が通った。
だが、当然空達がこのまま黙っているはずがない。
警察が空達に「くれぐれも厄介事をおこすなよ」と念を押した。
空は何か考えていた。
そして……
「できますん」
ぽかっ
翼に頭を小突かれていた。
「愛莉も言ってたでしょ。妙なドラマや漫画のセリフをまねるのはやめなさいって」
愛莉からも「そんなところまで冬夜さんに似なくてもいいの」と怒られていた。
だけど、そんな茶番をして笑ってないと空の怒りは今にも爆発しそうなのだろう。
警察が帰った後も美希に注意されてた。
「空、今回だけは絶対にダメ。お願いだから私の言う事聞いて」
「やったのはSHだ。だったら僕が始末するのが道理でしょ?」
「ダメ!今がどういう時期か分かってるの!?」
やっと父さんの会社の内々定が決まったのに暴力沙汰なんて起こしたら取り消されちゃうよ。
父さん達も必死に説得する。
「今、空が問題を起こしたら僕でもかばいきれない。美希の言う事を聞きなさい」
「そうやって後先考えないのは空の悪い癖です。もう子供じゃないんだから自分の立場を考えなさい」
すると天音が言った。
「空。心配するな。お前の代わりに私が処刑してやる」
「天音の言う通りだ。私達は少々やってもどうってことない」
「私の弟がやられたんだ万倍にして返してやる」
紗理奈と茉里奈も言う。
遊と粋も同様だった。
「勝手に騙りやがって。全員灰にしてやる」
「俺がやるよ」
俺が言った。
防府高校にいるのは俺だ。
目の前でふざけた真似をされて黙ってられるか。
「純也、あなただって梨々香がいるでしょ。少しは彼女の気持ちも考えなさい」
愛莉が止める。
「防府高校にいるメンバーは少なすぎる。純也達だけでやらせられない」
天音の夫の大地はやる気らしい。
少々のゴタゴタは石原家がもみ消すだろう。
本当は空が暴れても石原家がもみ消すだろうけど、それでも噂までは消せない。
石原家が空の就職先を作るだろうけど、それでは父さんの後を継ぐという夢は叶わない。
「お前だけで美味しい所持ってくなんて許さないからな」
天音はそう言って笑う。
「まさ君の意識が戻った」
病室から夏希さんが出てくると父さん達は帰るという。
愛莉は「絶対に空は動くな」と念を押していた。
「美希、ここで空を制御できないと空の嫁なんて務まらないからね」
「分かってる」
翼が言うと美希が返事している。
先に渡辺君の家族に入ってもらうと、その間に今後の方針を決めていた。
「いつも海じゃつまらねーな」
天音が言う。
天音にいいアイデアがあるらしい。
昔ネットで見たネタらしいけど。
「まあ、最悪行方不明者が出るだけだろう」
天音がそう言うと皆そのアイデアに賛成した。
「空達、入って来てくれないか」
渡辺君の母さんが言うと俺達は入った。
「事情は姉さんから聞きました」
そう言って笑みを浮かべる渡辺君。
「空、おじさんの話を聞いてくれないか?」
渡辺君の父さんが言う。
話は父さんの事だった。
昔峠を攻めたりしてた時の事、仲間を傷つけられて、挑発され父さんはキレた。
愛莉が止めようとしても聞いてくれなかったらしい。
それで渡辺君のお父さん達が一緒に説得した。
父さんはバスケで世界の頂点に立つと約束した。
日本代表に任せられた直後の事。
問題を起こせば夢が潰える。
そんな真似を許す仲間なんて絶対にいない。
「今の空にも言えるんじゃないのか?」
空だって父さんの会社を継ぐ夢があるのだろう。
それに美希を悲しませてまでやらなきゃいけない事なのか?
「それは天音や純也だって同じじゃないんですか?」
空は反論する。
「空、お前一人のSHじゃない。お前を支える仲間がいるんだ。今は我慢しろ」
渡辺君のお父さんが必死に説得する。
グルチャでも光太が「今は時期がまず過ぎる!お前は厄介事に首を突っ込むな」と説得していた。
「天音達はどうするの?」
「そんなの決まってるだろ」
天音が言う。
「万倍にして返してやる!」
ついに空は折れたようだ。
渡辺君に「迷惑かけたね。償いは必ずさせるから」と言って美希と一緒に帰っていった。
「ねえ、夏希。大きくなってゴタゴタに巻き込んだのは悪いと思ってる。でも夏希たちを守る口実が欲しい」
だからSHに戻っておいて。
正しいSHのあり方をきっと空達が証明してくれる。
心配する事無いから。
そう言って梨々香が夏希を説得する。
「まさ君。どうしよう?」
「……夏希に任せる」
「正俊、姉ちゃんたちも入ってるんだ。お前らに何かいちゃもんつけてきたら真っ先に始末してやる」
紗理奈が言うと、2人はSHに入った。
当然のその事をあいつらも知っているはずだ。
誰がやったのか。
招かざるメンバーは茜がとっくに調べていた。
「話が決まったところで俺達邪魔みたいだしあとゆっくり話させてやろうぜ」
遊が言うと俺達は病院から帰る。
空が車で送ってくれた。
「純也、一人で無理しちゃだめだよ」
梨々香が言う。
俺も家に着くと車を降りる。
「純也」
空が声をかけたから振り返る。
「やり過ぎるなよ」
「空に言われるとは思わなかったよ」
家に帰ると遠坂のおじさんにも注意された。
SHの問題はかなり深刻らしい。
どこで間違えたのだろう?
前におじさんが言ってた。
正義とは弱い人を助ける事。
だから俺はその言葉に従うだけだ。
(2)
弁当屋に寄って夕食を買ってから家に帰る。
弁当を食べながらテレビを見ていた。
風呂に入るとビールを飲みながらテレビを見る。
すると美希が抱きついてきた。
「空が前に言ってた。自分の中にある狂気を収める鞘が必要だって」
それが美希に出来る精一杯の事。
だから美希の願いも聞いて欲しい。
美希は必死だった。
本当に僕の事を心配してくれているんだ。
SHのチャットでも僕に「馬鹿な真似は止めろ」と僕を引き留める声が多くあった。
それよりも僕は美希の不安を解消してやらなければならない。
僕にも守るべきものがある。
それは美希。
美希を守るというのは物理的な物だけではない。
美希を安心させることも守る事なんだ。
だから美希を抱く。
「もう大丈夫だから。ありがとう」
「うん。このくらい出来ないと愛莉さんに怒られちゃう」
美希はそう言って笑う。
美希の不安を取り除いてやる為に、僕は天音達に任せる事にした。
朝になると先に目が覚める。
ベッドを出て悩んだ。
朝食くらい作ってやるべきだろうか?
多分ゲームしてたら怒るだろうな。
簡単な朝食くらいなら僕でも作れる。
すると美希が気がついてキッチンにやって来た。
「一言声をかけてくれたらいいのに」
「いつも美希に任せっきりだから」
「それは私だって空の彼女だから」
片づけは美希に任せてスマホを見る。
天音達の行動は早い。
今日、防府高校に乗り込むらしい。
「天音に任せて本当に大丈夫なのかな?」
「相手の心配をした方がいいんじゃないの」
大地だって怒ってた。
制御するべき空に止める気がないのだからただじゃすまないだろう。
「そっか」
いつも通り支度をすると僕達は大学に向かった。
(3)
「夏希!ちょっと来い!」
私が教室に入ると、あいつらが私を呼び出す。
「お前SH辞めて、すんなりと戻ってくるなんて許されると思ってるのか?」
「渡辺ってデブもSHの敵だ。まだやられないと分からないのか?」
「どうせ渡辺ってやつもまだ未経験なんだろ?」
「あいつの前でお前を襲ってやるのも悪くないな」
そんな話をしていると後ろから怒気が迫って来た。
純也は彼女達の胸ぐらをつかむと睨みつける。
「お前等か、ふざけた真似しやがって」
「何?お前もSHに逆らうの?」
今にも殴りかかろうとする純也を梨々香が止めて彼女たちに言う。
「ごめんね。私達もSHでさ。先輩に怒られちゃったんだよね」
「どういう意味?」
「だからそういう事を先輩達抜きでやるなって注意されちゃってさ」
「え?」
「SHに逆らったらどうなるか天音たちが直々に教育するらしいから全員呼び出せって言われた。今日放課後校門の前に来い。逃げたって無駄だぞお前らの事は全部把握してるんだ」
どっちが後悔するかしっかり教えてやる。
本来なら俺がお前らを袋叩きにするところだけど、天音が「私が一番最初にやる」というから天音に譲る。
放課後楽しみにしてろ。
純也がそう言って女子を開放すると純也は席に戻った。
「大丈夫だから、心配しないで」
梨々香が残っていた私にそう言ってきた。
何をするつもりだろうか?
学校が終ると私達は校門に集まった。
そこにはごつい車が何台も止まっている。
輸送車ってやつだろうか?
普通の車から出て来たの天音や紗理奈や茉里奈たち。
「純也、これで全員か?」
天音が純也に聞いている。
「茜から聞いた連中は全員呼び出した」
「そうか」
「あんた達が私達を呼び出したの?」
連中が天音に何か言っている。
天音の事すら知らないのだろうか?
SHの火薬みたいな物なのに。
「なんか私らSHに文句あるの?喧嘩なら買うよ?」
連中の数は天音達の何倍もいる。
ちょっと無理があるんじゃないか?
「ほう?SHが私に喧嘩売ってくれるのか?」
「本気でやる気?」
天音はにやりと笑って、その女の顔を思いっきり殴り飛ばした。
「どうせ、醜い面してるんだ。問題ないだろ!」
天音がそう言うと乱闘が始まった。
純也もキレていた。
朝からずっと我慢していたのが奇跡なんだろう。
ガタイのでかい男は大地が相手する。
「身内の不祥事は僕達がしっかり後始末してやる」
SHは強大な力を持っているがゆえに、絶えず自分たちの正義を示さなければならない。
それをこいつらは台無しにした。
その清算はしっかりさせてやる。
いつも海に沈めたり北の国に送ったりじゃつまらない。
輸送車に乗っていた軍人みたいなのが彼女達を無理矢理輸送車に押し込む。
それが終ると天音は「お前達も来ないと気が済まないだろ」と言った。
私は天音達の車に乗ると山に登って行った。
そこは夜景スポット。
夕方に来るところではないと思うけど。
そこで連中を降ろすとスコップを渡す。
「穴を掘れ」
天音の命令はシンプルだった。
完全に怯えていた連中は素直に穴を掘る。
掘り終えるとその穴に連中を落とし込むと穴を埋め始めた。
生き埋めにするわけではない。
観光スポットだ。
人が見つける事があるだろう。
天音達は連中の頭だけを出して埋めていた。
「殺しはNGみたいだから多分助かるだろう」
天音が言う。
「けど、次にお前らの面みたら確実に殺してやる」
紗理奈が言った。
「じゃ、帰ろうぜ」
私達は連中を残して帰る事にした。
だけどこれはまだ氷山の一角。
あの時警察が言ったようにSHの暴動はとどまる事を知らなかった。
その度にSHの正義を証明しなければならない。
私達は常に行動でそれを証明しなければならなかった。
それでも、調子づいたSHのメンバーの暴走はとどまることを知らなかった。
「まさ君目を覚まして!」
小泉夏希が自分の彼の渡辺正俊君に泣きながら必死に声をかけてる。
渡辺君は体中に包帯を巻かれて今もなお意識が回復しない。
俺達が甘かった。
もっと早く気付くべきだった。
渡辺君を襲ったのはSHを名乗る連中。
高校2年になってすぐの頃だった。
渡辺君はSHを名乗る集団から夏希さんを守った。
それをSHに対する敵対行動と見なしたらしい。
SHに歯向かう連中には制裁を。
その通りに行動した。
放課後呼び出して袋叩きにしたらしい。
夏希さんを人質に取られて、何もできなかったらしい。
夏希さんも長い髪を切り落とされている。
西松先生が言うにはそんなに重症ではない。
頭を強く打たれてるみたいだから、一応検査はしておいたけど特に異常はなかった。
時期に目を覚ますだろう。
梨々香が夏希さんを懸命に慰めている。
同じクラスだったのに気づかなかったのは俺のミスだ。
あいつらを叩きのめさないと怒りが収まりそうにない。
そう思っているのは俺だけではないらしい。
渡辺君の姉の紗理奈と茉里奈、俺の姉の天音……そして。
空は今病室の外で警察に事情を聞かれている。
空はSHの現リーダー。
警察によるとSHの暴走は俺達の防府高校だけではないらしい。
ある意味FGよりも厄介な暴徒と見なされていた。
それでも俺達の両親や渡辺君の両親がかけつけて警察と交渉していた。
遠坂のおじさんの後輩の渡瀬新次郎の口添えもあって、空達の言い分が通った。
だが、当然空達がこのまま黙っているはずがない。
警察が空達に「くれぐれも厄介事をおこすなよ」と念を押した。
空は何か考えていた。
そして……
「できますん」
ぽかっ
翼に頭を小突かれていた。
「愛莉も言ってたでしょ。妙なドラマや漫画のセリフをまねるのはやめなさいって」
愛莉からも「そんなところまで冬夜さんに似なくてもいいの」と怒られていた。
だけど、そんな茶番をして笑ってないと空の怒りは今にも爆発しそうなのだろう。
警察が帰った後も美希に注意されてた。
「空、今回だけは絶対にダメ。お願いだから私の言う事聞いて」
「やったのはSHだ。だったら僕が始末するのが道理でしょ?」
「ダメ!今がどういう時期か分かってるの!?」
やっと父さんの会社の内々定が決まったのに暴力沙汰なんて起こしたら取り消されちゃうよ。
父さん達も必死に説得する。
「今、空が問題を起こしたら僕でもかばいきれない。美希の言う事を聞きなさい」
「そうやって後先考えないのは空の悪い癖です。もう子供じゃないんだから自分の立場を考えなさい」
すると天音が言った。
「空。心配するな。お前の代わりに私が処刑してやる」
「天音の言う通りだ。私達は少々やってもどうってことない」
「私の弟がやられたんだ万倍にして返してやる」
紗理奈と茉里奈も言う。
遊と粋も同様だった。
「勝手に騙りやがって。全員灰にしてやる」
「俺がやるよ」
俺が言った。
防府高校にいるのは俺だ。
目の前でふざけた真似をされて黙ってられるか。
「純也、あなただって梨々香がいるでしょ。少しは彼女の気持ちも考えなさい」
愛莉が止める。
「防府高校にいるメンバーは少なすぎる。純也達だけでやらせられない」
天音の夫の大地はやる気らしい。
少々のゴタゴタは石原家がもみ消すだろう。
本当は空が暴れても石原家がもみ消すだろうけど、それでも噂までは消せない。
石原家が空の就職先を作るだろうけど、それでは父さんの後を継ぐという夢は叶わない。
「お前だけで美味しい所持ってくなんて許さないからな」
天音はそう言って笑う。
「まさ君の意識が戻った」
病室から夏希さんが出てくると父さん達は帰るという。
愛莉は「絶対に空は動くな」と念を押していた。
「美希、ここで空を制御できないと空の嫁なんて務まらないからね」
「分かってる」
翼が言うと美希が返事している。
先に渡辺君の家族に入ってもらうと、その間に今後の方針を決めていた。
「いつも海じゃつまらねーな」
天音が言う。
天音にいいアイデアがあるらしい。
昔ネットで見たネタらしいけど。
「まあ、最悪行方不明者が出るだけだろう」
天音がそう言うと皆そのアイデアに賛成した。
「空達、入って来てくれないか」
渡辺君の母さんが言うと俺達は入った。
「事情は姉さんから聞きました」
そう言って笑みを浮かべる渡辺君。
「空、おじさんの話を聞いてくれないか?」
渡辺君の父さんが言う。
話は父さんの事だった。
昔峠を攻めたりしてた時の事、仲間を傷つけられて、挑発され父さんはキレた。
愛莉が止めようとしても聞いてくれなかったらしい。
それで渡辺君のお父さん達が一緒に説得した。
父さんはバスケで世界の頂点に立つと約束した。
日本代表に任せられた直後の事。
問題を起こせば夢が潰える。
そんな真似を許す仲間なんて絶対にいない。
「今の空にも言えるんじゃないのか?」
空だって父さんの会社を継ぐ夢があるのだろう。
それに美希を悲しませてまでやらなきゃいけない事なのか?
「それは天音や純也だって同じじゃないんですか?」
空は反論する。
「空、お前一人のSHじゃない。お前を支える仲間がいるんだ。今は我慢しろ」
渡辺君のお父さんが必死に説得する。
グルチャでも光太が「今は時期がまず過ぎる!お前は厄介事に首を突っ込むな」と説得していた。
「天音達はどうするの?」
「そんなの決まってるだろ」
天音が言う。
「万倍にして返してやる!」
ついに空は折れたようだ。
渡辺君に「迷惑かけたね。償いは必ずさせるから」と言って美希と一緒に帰っていった。
「ねえ、夏希。大きくなってゴタゴタに巻き込んだのは悪いと思ってる。でも夏希たちを守る口実が欲しい」
だからSHに戻っておいて。
正しいSHのあり方をきっと空達が証明してくれる。
心配する事無いから。
そう言って梨々香が夏希を説得する。
「まさ君。どうしよう?」
「……夏希に任せる」
「正俊、姉ちゃんたちも入ってるんだ。お前らに何かいちゃもんつけてきたら真っ先に始末してやる」
紗理奈が言うと、2人はSHに入った。
当然のその事をあいつらも知っているはずだ。
誰がやったのか。
招かざるメンバーは茜がとっくに調べていた。
「話が決まったところで俺達邪魔みたいだしあとゆっくり話させてやろうぜ」
遊が言うと俺達は病院から帰る。
空が車で送ってくれた。
「純也、一人で無理しちゃだめだよ」
梨々香が言う。
俺も家に着くと車を降りる。
「純也」
空が声をかけたから振り返る。
「やり過ぎるなよ」
「空に言われるとは思わなかったよ」
家に帰ると遠坂のおじさんにも注意された。
SHの問題はかなり深刻らしい。
どこで間違えたのだろう?
前におじさんが言ってた。
正義とは弱い人を助ける事。
だから俺はその言葉に従うだけだ。
(2)
弁当屋に寄って夕食を買ってから家に帰る。
弁当を食べながらテレビを見ていた。
風呂に入るとビールを飲みながらテレビを見る。
すると美希が抱きついてきた。
「空が前に言ってた。自分の中にある狂気を収める鞘が必要だって」
それが美希に出来る精一杯の事。
だから美希の願いも聞いて欲しい。
美希は必死だった。
本当に僕の事を心配してくれているんだ。
SHのチャットでも僕に「馬鹿な真似は止めろ」と僕を引き留める声が多くあった。
それよりも僕は美希の不安を解消してやらなければならない。
僕にも守るべきものがある。
それは美希。
美希を守るというのは物理的な物だけではない。
美希を安心させることも守る事なんだ。
だから美希を抱く。
「もう大丈夫だから。ありがとう」
「うん。このくらい出来ないと愛莉さんに怒られちゃう」
美希はそう言って笑う。
美希の不安を取り除いてやる為に、僕は天音達に任せる事にした。
朝になると先に目が覚める。
ベッドを出て悩んだ。
朝食くらい作ってやるべきだろうか?
多分ゲームしてたら怒るだろうな。
簡単な朝食くらいなら僕でも作れる。
すると美希が気がついてキッチンにやって来た。
「一言声をかけてくれたらいいのに」
「いつも美希に任せっきりだから」
「それは私だって空の彼女だから」
片づけは美希に任せてスマホを見る。
天音達の行動は早い。
今日、防府高校に乗り込むらしい。
「天音に任せて本当に大丈夫なのかな?」
「相手の心配をした方がいいんじゃないの」
大地だって怒ってた。
制御するべき空に止める気がないのだからただじゃすまないだろう。
「そっか」
いつも通り支度をすると僕達は大学に向かった。
(3)
「夏希!ちょっと来い!」
私が教室に入ると、あいつらが私を呼び出す。
「お前SH辞めて、すんなりと戻ってくるなんて許されると思ってるのか?」
「渡辺ってデブもSHの敵だ。まだやられないと分からないのか?」
「どうせ渡辺ってやつもまだ未経験なんだろ?」
「あいつの前でお前を襲ってやるのも悪くないな」
そんな話をしていると後ろから怒気が迫って来た。
純也は彼女達の胸ぐらをつかむと睨みつける。
「お前等か、ふざけた真似しやがって」
「何?お前もSHに逆らうの?」
今にも殴りかかろうとする純也を梨々香が止めて彼女たちに言う。
「ごめんね。私達もSHでさ。先輩に怒られちゃったんだよね」
「どういう意味?」
「だからそういう事を先輩達抜きでやるなって注意されちゃってさ」
「え?」
「SHに逆らったらどうなるか天音たちが直々に教育するらしいから全員呼び出せって言われた。今日放課後校門の前に来い。逃げたって無駄だぞお前らの事は全部把握してるんだ」
どっちが後悔するかしっかり教えてやる。
本来なら俺がお前らを袋叩きにするところだけど、天音が「私が一番最初にやる」というから天音に譲る。
放課後楽しみにしてろ。
純也がそう言って女子を開放すると純也は席に戻った。
「大丈夫だから、心配しないで」
梨々香が残っていた私にそう言ってきた。
何をするつもりだろうか?
学校が終ると私達は校門に集まった。
そこにはごつい車が何台も止まっている。
輸送車ってやつだろうか?
普通の車から出て来たの天音や紗理奈や茉里奈たち。
「純也、これで全員か?」
天音が純也に聞いている。
「茜から聞いた連中は全員呼び出した」
「そうか」
「あんた達が私達を呼び出したの?」
連中が天音に何か言っている。
天音の事すら知らないのだろうか?
SHの火薬みたいな物なのに。
「なんか私らSHに文句あるの?喧嘩なら買うよ?」
連中の数は天音達の何倍もいる。
ちょっと無理があるんじゃないか?
「ほう?SHが私に喧嘩売ってくれるのか?」
「本気でやる気?」
天音はにやりと笑って、その女の顔を思いっきり殴り飛ばした。
「どうせ、醜い面してるんだ。問題ないだろ!」
天音がそう言うと乱闘が始まった。
純也もキレていた。
朝からずっと我慢していたのが奇跡なんだろう。
ガタイのでかい男は大地が相手する。
「身内の不祥事は僕達がしっかり後始末してやる」
SHは強大な力を持っているがゆえに、絶えず自分たちの正義を示さなければならない。
それをこいつらは台無しにした。
その清算はしっかりさせてやる。
いつも海に沈めたり北の国に送ったりじゃつまらない。
輸送車に乗っていた軍人みたいなのが彼女達を無理矢理輸送車に押し込む。
それが終ると天音は「お前達も来ないと気が済まないだろ」と言った。
私は天音達の車に乗ると山に登って行った。
そこは夜景スポット。
夕方に来るところではないと思うけど。
そこで連中を降ろすとスコップを渡す。
「穴を掘れ」
天音の命令はシンプルだった。
完全に怯えていた連中は素直に穴を掘る。
掘り終えるとその穴に連中を落とし込むと穴を埋め始めた。
生き埋めにするわけではない。
観光スポットだ。
人が見つける事があるだろう。
天音達は連中の頭だけを出して埋めていた。
「殺しはNGみたいだから多分助かるだろう」
天音が言う。
「けど、次にお前らの面みたら確実に殺してやる」
紗理奈が言った。
「じゃ、帰ろうぜ」
私達は連中を残して帰る事にした。
だけどこれはまだ氷山の一角。
あの時警察が言ったようにSHの暴動はとどまる事を知らなかった。
その度にSHの正義を証明しなければならない。
私達は常に行動でそれを証明しなければならなかった。
それでも、調子づいたSHのメンバーの暴走はとどまることを知らなかった。
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極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
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