姉妹チート

和希

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(1)

「じゃあ、皆おめでとう」

 僕が挨拶して宴の始まり。 
 今日はSHの大学4年生組が全員就職先が決まったのでそのお祝い。
 学も公務員試験は大丈夫みたいだ。
 僕と翼も父さんの会社に内々定が決まった。
 こうして皆社会に巣立っていくんだろうな。
 僕の席には翼と学と光太と善明と美希がいる。
 お祝いの席だけど片付けておきたい用件があった。
 SHの暴走。
 SHのメンバーは僕達でも把握できないくらいに多くなっていた。
 FGほどではないけどFG決して僕達に手を出してこない。
 それをいいことにやりたい放題の暴徒がいるらしい。
 暴走は東京や県外だけではなかった。
 県内でも起きていたらしい。
 それが原因で渡辺正俊君が被害にあった。
 その対策を考えいてた。
 まずはどうやって彼らを制御するかだ。

「片っ端から潰すしかないんじゃない?」

 翼が言う。
 しかしSHの中で善悪が分からない以上判断がしづらい。

「と、なるとやっぱりあれか」

 光太が言う。
 ふざけた真似をしたやつから潰していく。

「もう無謀な連中はいないと思ったら、今度は仲間の中に敵がいたとはね……」

 善明が溜息をつく。
 SHのブランドを傘にやりたい放題の連中。
 SHのメンバーである証などない。
 だから外部の人間が語っても分からない。
 深刻な状況だ。
 この際再構築するかという案も出た。
 しかしそんな事をしたところでSHを騙る人間は消えない。
 僕もどうしたらいいか分からなかった。
 そんな僕達も見ていたら翼が言った。

「今さらSH全体を監視するなんて無理」

 そうだけどそれでいいの?
 だけど、翼はこうも続けた。

「目に映る人だけを助けてあげればいい」

 大体地元という舞台を全部守るなんて無理がある。
 当初は小学校の仲だけで作ったグループなんだから。
 だから僕がそんなに気負う必要は無い。

「そうだな。ふざけた真似をしたやつから追放していくしかないな」

 部外者がSHを騙ったら片っ端から潰していく。
 精々僕達が出来ることなんてその程度だ。

「空も、空の王だからってそんなに気負う必要は無いよ」

 パパも言ってたでしょ?
 人間出来る事には限界がある。
 だからやれることからやろうよ。
 翼はそう言ってくれた。
 その二つ名いつまで続くんだろう?

「ま、そうするしかないだろうな。今日は空達のお祝いもあるんだ。湿っぽい話はこのくらいにしよう」

 光太が言う。
 今さら解散を宣言したところで残党は残る。
 なら逆に監視しておいた方がいい。
 すでに茜がグルチャを監視している。
 気になるワードが出たらそいつらをチェックする。
 後は他のメンバーが制裁に出る。
 そんな流れで話が決まった。
 話題を変えよう。

「善明は卒業したら社長就任なんだってね」

 僕が善明に話を振ると、善明は苦笑する。

「もっと厄介な問題もあるんだけどね」

 問題?
 卒業したらとっとと孫を作れ。
 母親からそう言われてるらしい。

「あ、晶ちゃん。仕事を始めてすぐに作るのは善明もしんどいんじゃないかい?」
「そう言って今度は仕事が忙しいからって嫁の相手をしないに決まってる」
「晶の言う通りね。翼は専業主婦だし、家も引っ越せば私達が手伝ってあげられる」

 善明の父さんが弁護しても善明の母さんと母さんには勝てなかった。
 新築した家はたった4年で無駄になるらしい。

「まあ、でもやっぱり善明仕事するなら実家の近くの方がいいぜ。翼一人じゃ大変だろ?」
「翼も家事で大変だから少しゆっくりする期間を置きたかったんだけどね」
「私は大丈夫。もう家事は慣れたし」

 私も早く子供が欲しい。
 翼はそう言って笑う。

「翼は男の子と女の子どっちが欲しいの?」

 美希が聞いていた。

「大地が家を継ぐだろうから、私はどっちでもいいかな。男の子なら善明そっくりの素敵な子になるだろうし」

 きっと絶対に女性に逆らえないんだろうな。

「俺も卒業するから水奈が子供が欲しいと言いだしてな」

 学が言う。
 天音とどっちが早く子供を産むか勝負する気らしい。
 だけど水奈はまだ大学3年生。
 せめて卒業くらいはしろと説得してるんだそうだ。
 それ以前の問題もあるらしいけど。
 水奈の要望にも応えてやりたいんだけど、相変わらず水奈の父さんが家に来るらしい。
 そして学が付き合わされる。
 酷い時には学の父親も一緒に来るようになった。
 二人共奥さんに強制連行されるようだけど。
 天音の家にも母さんがたまに行くって言ってたな。
 僕達の家には滅多に来ない。
 ただ僕が変な事に興味を示したりすると、美希がすぐ翼に相談するらしい。
 そして翼から母さんに伝わって母さんに叱られる。

「そんな事に興味を示すくらいなら少しは美希に構ってあげなさい」
「皆大変なんだな」

 光太が言った。

「光太の所はどうなんだ?」

 僕が光太に聞いてみた。
 光太の家には偶に光太の母親が様子を見に来るらしい。
 いきなり双子を授かった麗華が気になるんだろう。
 麗華の親は来ないらしい。

「いい加減大人なんだから、そのくらい自分で何とかしなさい」

 孫の顔を少し見に来ただけなんだそうだ。
 麗華は必死らしい。
 何もかもが初めてで、何度も親に電話で相談してるらしい。
 とにかく何も無い日が無い。
 突然熱を出したり、泣いてる理由が分からなくて困ったり。
 やっと寝てくれたと思ったら光太が帰ってきて子供を起こそうとするのを止める。

「そういえば光太の子供って名前は?」

 僕が聞いてみた。

「光聖と玲衣。男の子と女の子だ」

 光太が考えたらしい。
 どんなに仕事が大変でも子供の寝顔を見てるだけで癒されるらしい。

「そろそろラストオーダーの時間です」

 店員がそう言うと最後の注文をして、飲むと店を出る。

「当然2次会用意してるんだろうな?」

 天音が言う。

「普通にカラオケの予約取っておいた」
「何でカラオケなんだよ!」

 遊達から不満が出る。
 困ったことに天音や水奈も文句を言う。

「2人とも風俗に行って一人で落ち込んでたそうじゃない」

 翼が言うと天音達はそれ以上何も言わなかった。
 遊と粋は言うまでもない。

「そんなに私を怒らせるのが楽しい?」

 なずなが言うと遊達も黙ってしまった。
 みんな彼女には頭が上がらないみたいだ。
 カラオケに行くと「トップバッター俺!」と遊が言う。
 大体皆想像がついていた。
 画面に曲名が出ると演奏が中断する。
 
「いい加減にして!」

 なずなが怒り出す。
 しかし、遊達も馬鹿じゃない。
 次々としょうもない歌を披露する。
 水奈と天音と紗理奈達は爆笑している。
 なずなと花は機嫌が悪くなっていく一方だ。
 見るに見かねた翼が、なずな達を宥める。
 そんな翼の気づかいを無駄にするのが遊。
 バラード調の曲で安心していたら、なずなの我慢の限界に達した。

「いい加減にして!!」
「こ、これはフランスパンの歌なんだって!!」

 僕は何をしていたのか?
 ずっと食べてた。
 カラオケのラーメンとか結構美味しいんだよね。
 飲みながら食べていて忙しかった。
 朝まで騒ぐと店を出る。
 そうして皆家に帰る。
 家に帰るとお風呂に入ってベッドに入る。

「ねえ空?」

 美希が何か聞きたい事があるそうだ。

「どうしたの?」
「もし私が空より大きい人がいいって言ったら怒る?」

 ああ、遊達のあの歌か。

「それは僕にはわからないよ」
「どうして?」
「だって翼が僕の物をどう思っているのか分からないから」

 そんなの一々聞いてくる彼氏なんて嫌だろ?
 それに美希だって僕以外の男の人の物を見た事あるの?
 精々冬吾が小さい頃くらいじゃないのか?

「でも男の人は皆大きな胸に目線がいくでしょ?」

 美希自身そういう目で見られたからよく分かるんだろう。

「それは目立つからだよ。下半身露出して歩く男がいいの?」

 美希が気にするんだとしたら、僕が美希以外の……

 ぽかっ

「それ以上言わないで」
「そうなるだろ?」

 前にも言ったけど僕は美希以外の女性を知らない。
 でもそれを不満に思ったことが無い。
 美希がいれば十分なんだから。
 美希は納得したのかにこりと笑っていた。

「じゃあ、空を満足させてあげるね」

 そう言って抱き着く。

「それにしても次は善明かな?」
「何が?」
「子供。学はともかく他の男子も考えていないようだし」
「女性はそんなに子供が欲しいの?」
「それは愛する夫との証を作りたいよ」
「ごめんね」
「私は大丈夫。あと1年の我慢だし」

 美希も大学を卒業したら子供を作るつもりなのだろう。
 皆も同じだろう。
 しかし人生何が起こるか分からない。
 僕達にはまだ大きな難関があることをまだ知らなかった。
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