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この夏こそは!
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(1)
「わあ、きれいな海」
僕と夏希は父さんの運転する車の後部座席で海を見ていた。
とても見晴らしのいい海岸線。
母さんは相変わらず助手席で爆睡している。
夏希とどこに行こうか考えていたら、父さんから言われた。
「今年は渡辺班で海の日にキャンプ行くけど、正俊は行くか?」
「父さん、一つお願いしてもいいかな?」
「どうした?」
「彼女も連れて行っていいかな?」
「ああ、そういう事なら大歓迎だ。誘ったらいい」
「正俊の彼女か。楽しみだな!」
母さんも賛成の様だった。
そして次の日夏希を誘うと「ぜひ行きたい!」と言ってた。
「今日の為に新しい水着用意したんだよ」
夏希が嬉しそうに言う。
紗理奈と茉里奈はSHの海キャンプに行くらしい。
父さんは「あの事件の時よく見てなかったけど、綺麗な彼女さんだな」と言う。
夏希は少し照れていた。
キャンプ場は杵築の少し先にある。
キャンプ場に着くと、父さんとテントの設置をしていた。
片桐家も今年は来ていた。
冬吾も彼女の中山瞳子を誘ったらしい。
純也と茜は来ていないそうだ。
「こんな日でもないと茜も彼氏と2人っきりになれないから」
と、冬吾のお母さんが言っている。
「お前も大変だな」
父さんが冬吾の父さんに言っていた。
「夏希はこっちに来て昼ご飯の準備手伝ってくれないか?」
母さんが言うと夏希は母さんに着いて行った。
テントの設置が終ると火を起こす。
すると具を準備した母さん達が鉄板で焼きそばを作り始める。
その間に夏希達は更衣室で水着に着替えていた。
僕達男子も水着に着替える。
夏希が水着に着替えて戻って来た。
とても綺麗な水着。
体型も女性らしいものだった。
「最初に褒めてやれ」
父さんが言っていたので「似合ってる。綺麗だよ」と言った。
「そう言えってお父さんに言われたの?」
夏希にバレていた。
どうしようか悩んでいると夏希は笑って答えた。
「それでも嬉しいよ。ありがとう」
「僕はどうかな?」
「やっぱり運動した方がいいよ」
夏希はそう言って笑った。
「やっぱりそう思うだろ?正志と一緒で食ってばかりなんだ」
母さんが言った。
夏希に見とれていたのは僕の両親だけじゃなかった。
「女子高生の水着姿だぞ!」
そう言って誠司のお父さんや桐谷瑛大さん達が写真を取ろうとしていて奥さんに怒られていた。
「他人様の彼女に何やってんだお前らは!」
「だって、滅多に見れないだろ!」
「そういう真似をするから歩美にも嫌がられるんだろうが!」
「瑛大も同じだぞ!遊のやつ妙な歌ばっかり歌ってなずなが困ってるらしいぞ。お前が余計な事教えたんだろうが!」
大人だけじゃない。誠司も同じだった。
「そんなに女子高生がいいなら、自由にしてあげるから勝手に玉砕してこい!」
「冴、それは間違ってる。俺は冴が女子高生になった時の姿を楽しみにしてるんだ!」
「誠司が言ってもいやらしくしか聞こえない」
冬吾は彼女の瞳子と一緒に水着を選んだらしい。
「やっぱり似合ってるよ」
「ありがとう、まだ子供だけど」
「それは僕も一緒だよ」
冬吾は彼女との付き合い方が美味いらしい。
教えて欲しいくらいだ。
昼食を食べると大人が片付けている間、海で遊ぶといいと父さんが言った。
桐谷さんと多田さんは一緒に片づけを命じられた。
「お前らの場合、娘の側に置いておく方が危険だ」
と、奥さんから言われたらしい。
冬吾の父さんが監督していた。
夏希は親が仕事であまり家にいないので、こういうところに来るのは珍しいんだろう。
凄くはしゃいで楽しそうにしていた。
「そろそろシャワー浴びて着替えてくるといい」
日が沈む頃、冬吾の父さんが言うのでシャワーを浴びて着替えた。
テントに戻るとBBQの準備が出来ていた。
僕と冬吾はひたすら食べる。
父さん達は酒を飲みながら少しずつ食べていた。
「冬夜さん、もう少しお酒を控えて下さい」
冬吾の母さんが父さんに注意してる。
多田さんと桐谷さんの周りには男が集まっている。
何してるのか気にしていると「お前は近づかない方がいい」と父さんから言われた。
あとで、奥さんたちに叱られていたそうだ。
BBQが終ると花火で遊ぶ。
僕も夏希と2人で遊んでいた。
「綺麗だね」
夏希がそう言って笑う。
花火の明かりに照らされた夏希の笑顔も凄く綺麗だった。
花火が終ると夜食のラーメンが待っている。
「まだ、食べるの!?」
夏希は驚いてた。
冬莉も食べていたけど。
食べ終わると「そろそろ寝とけ」と父さんが言う。
まだ眠くないんだけどな。
「まだ正俊には聞かせられない話になるから」
父さんがそういうので素直に従った。
「いいか、女に恥かかせるなよ!?」
母さんが言う。
何の事だろう?
父さんが説明する。
僕と夏希は2人だけのテントで寝るらしい。
「正俊はまだ経験してないのか?」
多田さんが聞いてきた。
ああ、そういう事か。
「まだです」
夏希が答える。
「初めてが野外か……まあ、それもありかもしれないな」
さすがにそんな度胸はない。
「お前はいい加減にしろ!」
奥さんに叱られていた。
確かに一緒にいるとまずそうだ。
「じゃ、先に寝ようか。夏希」
「……うん」
誠司の父さんに言われて意識してしまったのだろうか?
夏希が緊張しているように見えた。
テントに入ると横になる。
その隣に夏希が寝る。
「心配しなくても初めてがテントの中じゃ僕も嫌だよ」
そう言って夏希を安心させようとした。
だけど夏希は違う事を考えていたみたいだ。
夏希は僕に抱きついた。
「正俊が全然誘ってくれないから、私じゃ魅力ないのかなって不安でさ」
女子ってそういう生き物なんだろうか?
誘った方がいいのかな?
「誰でもってわけじゃないんだよ。でも恋人に相手にされないって寂しいよ」
そうはいうけど問題がある。
どこでする?
僕の家だって茉里奈がいる。
それは心配する必要はなかったようだ。
「夏休みに私の家に遊びにおいでよ。私の部屋だったら秀史も入ってこないから」
「いいの……」
「夏休みの思い出にと思って」
それなんかもう終わりみたいでいやなんだけど。
「正俊君はそういうの興味ないの?」
男子だから少なからず水着姿に反応すると思ったけどそれすらない。
単に夏希に魅力がないだけ?と思ったそうだ。
「彼女だから大切にしたい。じゃ、だめかな?」
「優しくしてくれるなら大切にされてるんじゃない?」
そっか。
別に夏希の裸に興味が無いわけじゃない。
夏希から誘ってくれるなら願ったりかなったりだ。
「じゃ、おやすみ」
そう言って僕を抱きしめて夏希は眠りについた。
僕は夏希の温もりを感じながら中々眠れずにいた。
(2)
「天音遅いよ!」
僕達は別府のコンビニで待ち合わせをしていた。
どうせ国東の方まで行くからそれでいいだろうから。
大地が理由を説明した。
また紗理奈達と前夜祭をしたらしい。
天音達がコンビニで食料を調達するのを待って僕達は移動を始めた。
相変わらず天や遊は飛ばしている。
天音と紗理奈と水奈は助手席で爆睡していたらしい。
キャンプ場に着くとテントの設置を始める。
その間に女性陣は昼食の焼きそばの仕込みを始める。
天音に至ってはビール片手にやってる。
テントの設置が終り、火を起こすと紗理奈が焼き始める。
それにコンビニで買っておいたおにぎりやパンを食べながら騒ぐ。
昼食が終ると、男性陣で片づけをする。
その間に女性陣は水着に着替える。
今年は翼の水着を買いに行ってきた。
彼女だからかもしれないけど、やっぱり美希が一番きれいだ。
海で遊んでいた。
ゴムボートを借りて遊んだりしていた。
美希は木陰で読書していた。
僕も一緒にいる。
光太はサーフボートで遊んでいる。
夜になると着替えてBBQの準備を始める。
光太と克樹はフライングして飲み始めていた。
当然麗華さん達に怒られる。
まあ、天音はビール片手に準備してたけど。
「じゃあ、今夜は楽しもう」
僕がそう言って、皆肉を食べ始める。
「空!それはまだ焼けてない!」
翼に注意される。
「大地!お前は肉ばかり食ってないで野菜も食え!」
大地は好き嫌いが酷い。
毎日大地の食事を考えるのが大変らしい。
「天!飲んでばかりでないで少しは食べなさい!」
繭も天相手に苦戦してるらしい。
遊は粋と光太達と盛り上がっている。
関わったらまずい。
僕と学と善明と大地はそう感じたのだろう。
遊達から離れていた。
しっかり歌詞を覚えているらしい。
おなじみの馬鹿な歌をまた歌い始める。
「SHって言ったらこれだろ!」
遊が勝手にテーマソングにしたらしい。
当然の様になずな達が怒り出す。
「他の人にも聞こえるんだから止めて!」
「まあ、いいじゃねえか!男なんだらしょうがないだろ!」
天音が言う。
「天音は旦那が大地だから分かんないよ」
なずなが言うと天音が答えた。
「でもさ。なずなも彼氏が遊だから分かんない事だってあるんだぜ」
「何それ?」
「大地!お前はいつになったら自分から私を抱いてくれるんだ!」
全く興味をしめさない大地に苛立ちを覚えていたらしい。
「天音だってバイトと学校で疲れてるから休ませてあげようと思って」
「休みの日だって同じじゃねーか!」
「だから休日は飲みに連れてってあげただろ」
「しけた店でちまちま飲むのは嫌いなんだよ!」
私はお前の家政婦じゃない。妻だぞ!
天音はそう主張する。
「そういう事なら私にも言わせてくれ。学の奴全く相手にしてくれないんだ」
「水奈だってバイトしてるだろ」
それに水奈や学の親がいつ来るか分からない状況で、誘いづらいんだと学が言う。
「まずはそれをどうにかしないといけないな」
水奈が考え込む。
それを見た学が考える。
「いい方法があるんだが」
「なんだよ?」
「新婚旅行にまで親はついてこないだろ?」
「それまでお預けなのか!」
私は今寂しいんだと水奈が言う。
それに天音に先を越されるのは嫌だと主張する。
「水奈、こっち来い。これじゃ勝負にならない。どうやったら旦那をその気にさせられるか作戦会議だ」
「分かった!」
そう言って2人で何か相談を始めた。
大地と学は笑うしかないみたいだ。
BBQが終ると花火をする。
今年出来たカップルもそれぞれ楽しんでるみたいだ。
そんな様子を見ながら、僕も美希と花火を楽しんでいた。
花火が終ると夜食のラーメンを食べて残っている酒を飲みながら話す。
来年はどうなるかな?
そんな相談をしていた。
すると先に善明達がテントに戻ると皆テントに戻っていく。
大地は最後まで火の番をしていた。
善明もいつもは残っていたのに、翼が無理矢理引っ張っていった。
本当に強引になってきたな。
外から怒声が聞こえる。
「大地!お前は私と2人で寝るのがそんなに嫌なのか!?」
「いや、なんか気になってさ」
訓練の癖が抜けないらしい。
だけど天音は認めなかった。
「ふざけんな。さっさと火の始末してテントに行くぞ!」
「……言っとくけど、ここじゃ無理だよ?」
「翼と善明はやってるのに、大地は無理なんて理屈は通じねーぞ!」
どうやら天音が無理矢理テントに引きずっていったらしい。
静かになった。
美希に聞いてみる。
「美希はわざわざキャンプに来てまでしたいって思うの?」
「どうして?」
「天音や翼はそうみたいだから」
「それって理由になってないよ」
どうして?
「あの2人は日頃、夫が構ってくれないみたいだから」
善明は母親が怖くて偶に相手するらしいけど。
「でも、空は私がねだったら相手してくれるじゃない」
だから別に今日という日を選ぶ必要は無い。
なるほどね。
「よかった。美希の不満を貯めてるんじゃないかと思ったから」
「そんな事無いよ。いつも私のお願い聞いてくれてるじゃない」
「……そろそろ寝ようか」
「そうだね」
そう言って美希と眠りについた。
翌朝天音と翼は朝起きてこなかった。
大地達は普通に起きていたけど。
「わあ、きれいな海」
僕と夏希は父さんの運転する車の後部座席で海を見ていた。
とても見晴らしのいい海岸線。
母さんは相変わらず助手席で爆睡している。
夏希とどこに行こうか考えていたら、父さんから言われた。
「今年は渡辺班で海の日にキャンプ行くけど、正俊は行くか?」
「父さん、一つお願いしてもいいかな?」
「どうした?」
「彼女も連れて行っていいかな?」
「ああ、そういう事なら大歓迎だ。誘ったらいい」
「正俊の彼女か。楽しみだな!」
母さんも賛成の様だった。
そして次の日夏希を誘うと「ぜひ行きたい!」と言ってた。
「今日の為に新しい水着用意したんだよ」
夏希が嬉しそうに言う。
紗理奈と茉里奈はSHの海キャンプに行くらしい。
父さんは「あの事件の時よく見てなかったけど、綺麗な彼女さんだな」と言う。
夏希は少し照れていた。
キャンプ場は杵築の少し先にある。
キャンプ場に着くと、父さんとテントの設置をしていた。
片桐家も今年は来ていた。
冬吾も彼女の中山瞳子を誘ったらしい。
純也と茜は来ていないそうだ。
「こんな日でもないと茜も彼氏と2人っきりになれないから」
と、冬吾のお母さんが言っている。
「お前も大変だな」
父さんが冬吾の父さんに言っていた。
「夏希はこっちに来て昼ご飯の準備手伝ってくれないか?」
母さんが言うと夏希は母さんに着いて行った。
テントの設置が終ると火を起こす。
すると具を準備した母さん達が鉄板で焼きそばを作り始める。
その間に夏希達は更衣室で水着に着替えていた。
僕達男子も水着に着替える。
夏希が水着に着替えて戻って来た。
とても綺麗な水着。
体型も女性らしいものだった。
「最初に褒めてやれ」
父さんが言っていたので「似合ってる。綺麗だよ」と言った。
「そう言えってお父さんに言われたの?」
夏希にバレていた。
どうしようか悩んでいると夏希は笑って答えた。
「それでも嬉しいよ。ありがとう」
「僕はどうかな?」
「やっぱり運動した方がいいよ」
夏希はそう言って笑った。
「やっぱりそう思うだろ?正志と一緒で食ってばかりなんだ」
母さんが言った。
夏希に見とれていたのは僕の両親だけじゃなかった。
「女子高生の水着姿だぞ!」
そう言って誠司のお父さんや桐谷瑛大さん達が写真を取ろうとしていて奥さんに怒られていた。
「他人様の彼女に何やってんだお前らは!」
「だって、滅多に見れないだろ!」
「そういう真似をするから歩美にも嫌がられるんだろうが!」
「瑛大も同じだぞ!遊のやつ妙な歌ばっかり歌ってなずなが困ってるらしいぞ。お前が余計な事教えたんだろうが!」
大人だけじゃない。誠司も同じだった。
「そんなに女子高生がいいなら、自由にしてあげるから勝手に玉砕してこい!」
「冴、それは間違ってる。俺は冴が女子高生になった時の姿を楽しみにしてるんだ!」
「誠司が言ってもいやらしくしか聞こえない」
冬吾は彼女の瞳子と一緒に水着を選んだらしい。
「やっぱり似合ってるよ」
「ありがとう、まだ子供だけど」
「それは僕も一緒だよ」
冬吾は彼女との付き合い方が美味いらしい。
教えて欲しいくらいだ。
昼食を食べると大人が片付けている間、海で遊ぶといいと父さんが言った。
桐谷さんと多田さんは一緒に片づけを命じられた。
「お前らの場合、娘の側に置いておく方が危険だ」
と、奥さんから言われたらしい。
冬吾の父さんが監督していた。
夏希は親が仕事であまり家にいないので、こういうところに来るのは珍しいんだろう。
凄くはしゃいで楽しそうにしていた。
「そろそろシャワー浴びて着替えてくるといい」
日が沈む頃、冬吾の父さんが言うのでシャワーを浴びて着替えた。
テントに戻るとBBQの準備が出来ていた。
僕と冬吾はひたすら食べる。
父さん達は酒を飲みながら少しずつ食べていた。
「冬夜さん、もう少しお酒を控えて下さい」
冬吾の母さんが父さんに注意してる。
多田さんと桐谷さんの周りには男が集まっている。
何してるのか気にしていると「お前は近づかない方がいい」と父さんから言われた。
あとで、奥さんたちに叱られていたそうだ。
BBQが終ると花火で遊ぶ。
僕も夏希と2人で遊んでいた。
「綺麗だね」
夏希がそう言って笑う。
花火の明かりに照らされた夏希の笑顔も凄く綺麗だった。
花火が終ると夜食のラーメンが待っている。
「まだ、食べるの!?」
夏希は驚いてた。
冬莉も食べていたけど。
食べ終わると「そろそろ寝とけ」と父さんが言う。
まだ眠くないんだけどな。
「まだ正俊には聞かせられない話になるから」
父さんがそういうので素直に従った。
「いいか、女に恥かかせるなよ!?」
母さんが言う。
何の事だろう?
父さんが説明する。
僕と夏希は2人だけのテントで寝るらしい。
「正俊はまだ経験してないのか?」
多田さんが聞いてきた。
ああ、そういう事か。
「まだです」
夏希が答える。
「初めてが野外か……まあ、それもありかもしれないな」
さすがにそんな度胸はない。
「お前はいい加減にしろ!」
奥さんに叱られていた。
確かに一緒にいるとまずそうだ。
「じゃ、先に寝ようか。夏希」
「……うん」
誠司の父さんに言われて意識してしまったのだろうか?
夏希が緊張しているように見えた。
テントに入ると横になる。
その隣に夏希が寝る。
「心配しなくても初めてがテントの中じゃ僕も嫌だよ」
そう言って夏希を安心させようとした。
だけど夏希は違う事を考えていたみたいだ。
夏希は僕に抱きついた。
「正俊が全然誘ってくれないから、私じゃ魅力ないのかなって不安でさ」
女子ってそういう生き物なんだろうか?
誘った方がいいのかな?
「誰でもってわけじゃないんだよ。でも恋人に相手にされないって寂しいよ」
そうはいうけど問題がある。
どこでする?
僕の家だって茉里奈がいる。
それは心配する必要はなかったようだ。
「夏休みに私の家に遊びにおいでよ。私の部屋だったら秀史も入ってこないから」
「いいの……」
「夏休みの思い出にと思って」
それなんかもう終わりみたいでいやなんだけど。
「正俊君はそういうの興味ないの?」
男子だから少なからず水着姿に反応すると思ったけどそれすらない。
単に夏希に魅力がないだけ?と思ったそうだ。
「彼女だから大切にしたい。じゃ、だめかな?」
「優しくしてくれるなら大切にされてるんじゃない?」
そっか。
別に夏希の裸に興味が無いわけじゃない。
夏希から誘ってくれるなら願ったりかなったりだ。
「じゃ、おやすみ」
そう言って僕を抱きしめて夏希は眠りについた。
僕は夏希の温もりを感じながら中々眠れずにいた。
(2)
「天音遅いよ!」
僕達は別府のコンビニで待ち合わせをしていた。
どうせ国東の方まで行くからそれでいいだろうから。
大地が理由を説明した。
また紗理奈達と前夜祭をしたらしい。
天音達がコンビニで食料を調達するのを待って僕達は移動を始めた。
相変わらず天や遊は飛ばしている。
天音と紗理奈と水奈は助手席で爆睡していたらしい。
キャンプ場に着くとテントの設置を始める。
その間に女性陣は昼食の焼きそばの仕込みを始める。
天音に至ってはビール片手にやってる。
テントの設置が終り、火を起こすと紗理奈が焼き始める。
それにコンビニで買っておいたおにぎりやパンを食べながら騒ぐ。
昼食が終ると、男性陣で片づけをする。
その間に女性陣は水着に着替える。
今年は翼の水着を買いに行ってきた。
彼女だからかもしれないけど、やっぱり美希が一番きれいだ。
海で遊んでいた。
ゴムボートを借りて遊んだりしていた。
美希は木陰で読書していた。
僕も一緒にいる。
光太はサーフボートで遊んでいる。
夜になると着替えてBBQの準備を始める。
光太と克樹はフライングして飲み始めていた。
当然麗華さん達に怒られる。
まあ、天音はビール片手に準備してたけど。
「じゃあ、今夜は楽しもう」
僕がそう言って、皆肉を食べ始める。
「空!それはまだ焼けてない!」
翼に注意される。
「大地!お前は肉ばかり食ってないで野菜も食え!」
大地は好き嫌いが酷い。
毎日大地の食事を考えるのが大変らしい。
「天!飲んでばかりでないで少しは食べなさい!」
繭も天相手に苦戦してるらしい。
遊は粋と光太達と盛り上がっている。
関わったらまずい。
僕と学と善明と大地はそう感じたのだろう。
遊達から離れていた。
しっかり歌詞を覚えているらしい。
おなじみの馬鹿な歌をまた歌い始める。
「SHって言ったらこれだろ!」
遊が勝手にテーマソングにしたらしい。
当然の様になずな達が怒り出す。
「他の人にも聞こえるんだから止めて!」
「まあ、いいじゃねえか!男なんだらしょうがないだろ!」
天音が言う。
「天音は旦那が大地だから分かんないよ」
なずなが言うと天音が答えた。
「でもさ。なずなも彼氏が遊だから分かんない事だってあるんだぜ」
「何それ?」
「大地!お前はいつになったら自分から私を抱いてくれるんだ!」
全く興味をしめさない大地に苛立ちを覚えていたらしい。
「天音だってバイトと学校で疲れてるから休ませてあげようと思って」
「休みの日だって同じじゃねーか!」
「だから休日は飲みに連れてってあげただろ」
「しけた店でちまちま飲むのは嫌いなんだよ!」
私はお前の家政婦じゃない。妻だぞ!
天音はそう主張する。
「そういう事なら私にも言わせてくれ。学の奴全く相手にしてくれないんだ」
「水奈だってバイトしてるだろ」
それに水奈や学の親がいつ来るか分からない状況で、誘いづらいんだと学が言う。
「まずはそれをどうにかしないといけないな」
水奈が考え込む。
それを見た学が考える。
「いい方法があるんだが」
「なんだよ?」
「新婚旅行にまで親はついてこないだろ?」
「それまでお預けなのか!」
私は今寂しいんだと水奈が言う。
それに天音に先を越されるのは嫌だと主張する。
「水奈、こっち来い。これじゃ勝負にならない。どうやったら旦那をその気にさせられるか作戦会議だ」
「分かった!」
そう言って2人で何か相談を始めた。
大地と学は笑うしかないみたいだ。
BBQが終ると花火をする。
今年出来たカップルもそれぞれ楽しんでるみたいだ。
そんな様子を見ながら、僕も美希と花火を楽しんでいた。
花火が終ると夜食のラーメンを食べて残っている酒を飲みながら話す。
来年はどうなるかな?
そんな相談をしていた。
すると先に善明達がテントに戻ると皆テントに戻っていく。
大地は最後まで火の番をしていた。
善明もいつもは残っていたのに、翼が無理矢理引っ張っていった。
本当に強引になってきたな。
外から怒声が聞こえる。
「大地!お前は私と2人で寝るのがそんなに嫌なのか!?」
「いや、なんか気になってさ」
訓練の癖が抜けないらしい。
だけど天音は認めなかった。
「ふざけんな。さっさと火の始末してテントに行くぞ!」
「……言っとくけど、ここじゃ無理だよ?」
「翼と善明はやってるのに、大地は無理なんて理屈は通じねーぞ!」
どうやら天音が無理矢理テントに引きずっていったらしい。
静かになった。
美希に聞いてみる。
「美希はわざわざキャンプに来てまでしたいって思うの?」
「どうして?」
「天音や翼はそうみたいだから」
「それって理由になってないよ」
どうして?
「あの2人は日頃、夫が構ってくれないみたいだから」
善明は母親が怖くて偶に相手するらしいけど。
「でも、空は私がねだったら相手してくれるじゃない」
だから別に今日という日を選ぶ必要は無い。
なるほどね。
「よかった。美希の不満を貯めてるんじゃないかと思ったから」
「そんな事無いよ。いつも私のお願い聞いてくれてるじゃない」
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サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
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