姉妹チート

和希

文字の大きさ
219 / 535

朝が来た

しおりを挟む
(1)

「じゃあ、今年もお疲れ様でした~」

 僕がそう言うと皆乾杯して飲み始めた。
 後期も無事試験を終えて後は卒業式までのんびり過ごすだけになった。
 卒業式が終ったら皆で長崎に旅行に行く予定になっている。
 大地達はまだあと2年ある。
 4月になったら善明は社長だ。
 で、あると同時に翼の妊活が始まる事になっている。
 大変そうだな。
 僕も他人事じゃないけど。

「美希ももう妊活するの?」
「まだ式も挙げてないのに早いよ」
「本当にそう思ってる?」

 翼はこういう事はやけに勘が働く。
 だけど僕には教えてくれなかった。

「空も大変なことになったね」
 
 善明がそう言っている。

「それでも決めた事だから」

 ただこれから式の段取りとかどうしよう?と父さんに相談したけど「その心配はしなくていいよ」とだけ返してきた。
 どういう意味だろう。
 今日も天音や遊達が騒いでいる。
 遊達も結婚した割にはあまり変わらない。
 そういう物なのだろうか?

「空は大丈夫なのか?」

 学が聞いてきた。
 水奈は紗理奈達と騒いでいる。
 学が聞きたいのは仕事をしながらSHをまとめていかなければならない事だろう。
 大学生達は大地に、高校生は純也に任せる事にした。
 困ったことがあれば連絡して欲しいとだけ言ってある。

「空も大役を任せられたね」

 今や怒らせたら地元を焼け野原にしかねない勢力を持つSH。
 こういうのを眠れる獅子というらしい。
 誰も怒らせるのを恐れてSHに手出しする愚か者はいなくなった。
 しかし今度はSHの名前を利用して悪だくみをする輩が増えた。
 FGにもちょっかいを出しているらしい。
 茜が絶えずSHのチャットログを監視している。
 何かあれば僕達に教えてくれる。
 後は僕に判断を委ねるらしい。

「王の仰せのままに」

 いい加減そのネタ止めて欲しいんだけど。
 勧誘活動はしなくていいと言っておいた。
 今でも全体を把握できないのにこれ以上大きくなっても困る。
 
「もはやSHに敵なしだな!」

 遊達はそう言って騒いでいる。

「いっそのこと天下狙うか?」

 光太もテンションが高い。
 
「今のままで十分だよ」

 今でも危ういのにこれ以上デカくなったら分裂は避けられないだろう。
 こうして偶に飲み会をして騒いでるくらいのグループで十分だ。

「その割には空は騒いでないじゃないか」

 遊と粋と天が言う。
 
「まあ、2次会はカラオケ行くんだろ?」
「それでいいんじゃないかな」

 また風俗とか行って美希の機嫌を損ねたくない。
 そういっても最近の美希は上機嫌だ。
 
「遊達もやっとなずな達に気づかうようになったんだね」

 美希がそういう。
 僕もそう思っていた。
 けど、2次会のカラオケに行くと早速始まる。
 遊が端末で入力していく。

「やっぱりSHの定番はこれだろ!」

 イントロが流れると曲が中断された。

「遊はいい加減にしないとこの指輪つき返すよ!」

 女子がアイドルグループの曲を歌うと粋達が踊り出す。
 天は懐かしいラブソングを歌って皆から「キモい」と言われる。
 僕と翼は料理を食べていた。

「空はどうなんだ?」

 光太と善明と学が来る。
 美希は翼達と一緒にはしゃいでる。

「何が?」
「お前も婚約したんだろ?色々不満とかないのか?」
「ないよ」

 光太が言うと僕は即答した。
 最近になってますます幸せを感じるようになった。
 美希から溢れて来る幸せが僕に伝わってくる。
 
「美希も幸せってことか?」
「多分そうだと思う」

 不満を聞いたこともないし、なんかいつも嬉しそうにしている。
 たまに一人で実家に帰ってるくらいだ。

「それって本当に実家に行ってるのか?」
「どういう意味?」
「美希が何か隠してるって言ってたろ?ひょっとして……」

 浮気じゃないのか?と光太が言う。
 そういわれると不安になる。
 それを美希が察したらしい。
 いつの間にか隣に来て僕の頭を小突く。

「空は私を信用してくれないの?」
「い、いや。光太に言われて急に不安になってさ」
「そういう事は絶対ない。なんなら母さんに電話で確認すればいいじゃない」

 あ、そっか。

「光太も空に余計な事言わないで!」
「でもさ、美希が隠し事って滅多にないだろ?ちょっと心配になってさ」

 急に海外に一人で行くとか言い出さないだろうかとか色々心配らしい。

「私も空には教えてあげたいんだけど母さんが絶対に言ったらだめって言うから」

 美希の母さんも噛んでるのか?

「空は余計な心配しなくていい。そのうち愛莉から教えてもらえるはずだから」

 忘れたの?卒業したら最後の贈り物があるって。
 翼が言うと思いだした。
 ああ、その事か。

「分かった」

 でもどうして美希には教えて、僕には教えてくれないのか?
 それがどうしても気がかりだった。
 だけど今はそんな事は忘れて楽しむことにした。
 朝まで騒いで始発で帰る。

「空、ごめんね」

 美希がベッドの中で言う。

「何が?」
「私も空に教えてあげたいんだけど、後で教えた方がきっと空が喜ぶと思うから」
「……美希がそう思ってるなら信じるよ」
「ありがとう」

 もう少しで僕達は学生という身分を失う。
 自分たちで稼いで自分たちで生活しなければならない。
 だからもう少しだけ楽しんでおこう。
 美希と最後の春休みの過ごし方を考えながら眠りについた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...